DXコラム

都市のさまざまな建物がアップデート
話題の「東京2030」とは?

#カーボンニュートラル  #サステナブル 

2023.3.16
スマートシティ

都市のさまざまな建物がアップデート
話題の「東京2030」とは?

はじめに

さまざまな都市で再開発や建物の立て直しが進んでいますが、特に最近は東京の渋谷駅や新宿駅の再開発計画が話題になることが多く、皆さまもニュースなどで耳にされているかと思います。
惜しまれつつ閉店をした新宿西口の小田急百貨店新宿本店や、渋谷駅の東急百貨店は特に話題になっていました。
今回は2030年前後に竣工を迎える話題の建物について、その背景やリニューアル計画についてご紹介、ポイントを解説します。

2030年までに建て替えられる建物

新宿駅西口 小田急百貨店新宿本店の跡地

長きにわたって人々に愛されてきた小田急百貨店新宿本館は50年以上の歴史に幕を閉じ、2022年9月末に閉館しました。
今回の閉館は国家戦略特別区域の都市再生プロジェクトである「新宿駅西口地区開発計画」に伴うもので、2029年に再開発ビルが誕生する予定とのこと。小田急電鉄、東京メトロが共同で発表したリリースによると「駅とまちの連携を強化する重層的な歩行者ネットワークやにぎわいと交流を生み出す滞留空間を整備するとともに、災害時の帰宅困難者支援等による防災機能の強化、最新技術の導入等による環境負荷の低減に取り組んでいく」(引用:『新宿駅西口地区の開発計画について』)としています。

整備方針は以下の通りです。

<計画における整備方針>

(1) 新宿グランドターミナルの実現に向けた基盤整備
 ・ 駅とまちの連携を強化する重層的な歩行者ネットワークを整備します。
 ・ にぎわいと交流を生み出す滞留空間を整備します。
 ・ 人中心の駅前広場整備へ協力します。
(2) 国際競争力強化に資する都市機能の導入
 ・ 交流・連携・挑戦を生み出すビジネス創発機能を整備します。
(3) 防災機能の強化と環境負荷低減
 ・ 帰宅困難者支援や面的な多重エネルギーネットワークの構築による防災機能を強化します。
 ・ 最新技術の導入等による環境負荷低減に取り組みます。

高層部にはハイグレードなオフィス機能、中低層部には新たな顧客体験を提供する商業機能を備え、新宿グランドターミナルの一体的な再編を象徴する大規模開発となる予定です。

再開発の理由の一つは1960年代の高度経済成長期の整備から時間が経ち、建物の老朽化が進んでいることです。なかには半世紀余りが過ぎた建物もあり、安全性の懸念がありました。さらに、鉄道が増えたことによって駅の構造は「巨大迷路」と言われるくらい複雑になっていて、ビジネス街として分かりづらい構造に不満の声も多かったようです。
再開発後は、東西の移動がスムーズになる他に、車の導線と歩行者の導線が見直され、初めて訪れた方でも迷わない、便利で分かりやすい構造に生まれ変わる予定です。

渋谷駅 東急百貨店の跡地

幅広い年代層から愛され、渋谷を代表する商業施設の一つであった東急百貨店本店が2023年1月末で閉店しました。そして、東急株式会社は2027年竣工に向けて、渋谷の新たなランドマーク「Shibuya Upper West Project」を始動したことを発表しました。このプロジェクトは東急株式会社、L Catterton Real Estate、株式会社東急百貨店の3社共同で進められているものです。渋谷の賑わい、松濤の静謐な住宅地、独自のカルチャーが息づく奥渋エリアの結節点に位置し「Tokyo‘s Urban Retreat」というキーコンセプトのもと、都会の喧騒のなかに安らぎと寛ぎを提供する計画がなされています。

また、東急グループとL Catterton Real Estateが掲げる持続可能な開発目標の達成に向けて、環境とサステナビリティに配慮した国際認証などの取得を目指しているようです。建物の構造としてウェルビーイングを体験できる空間も提供する予定で、非常に注目度の高い取り組みです。

スマートシティ要素を取り入れた建物

時代に合わせた、サステナブルな木造建築(東京海上日動ビル本館・新館)

東京海上ホールディングス株式会社は昨年10月、東京海上日動ビル本館および新館を立て替えて建設する新・本店ビルのデザインと基本設計を発表しました。
デザイン上の重要な役割は木材が担っていて、構造部材である柱や床に国産木材をふんだんに使い、木の使用量が世界最大規模となる高さ100mの「木の本店ビル」として生まれ変わります。

木材は、成長の過程でCO2を吸収・貯蔵する機能を持つ、環境にやさしい優れた建築素材とされていて、新・本店ビルは、一般的なビルに比べて建築時のCO2排出量を3 割程度削減できます。

また、高効率の設備や省エネルギー性に加えて環境保全などメリットの多い「地域冷暖房」の採用、使用電力に100%再生可能エネルギーを導入するなどの施策により、省エネルギーの推進、脱炭素社会の実現に貢献します。
最新技術の耐火国産木材を用いることにより、我が国の林業の再生や地方における雇用の創出、地方創生、地域循環型経済の構築に寄与することを目指しています。

交通の便と豊かな緑の共立(大阪駅 うめきたエリア)

2022年4月の閣議決定により茨城県つくば市とともにスーパーシティ型国家戦略特別区域に指定された大阪市は「まるごと未来都市」の取り組みを進めています。
2024年の夏頃に先行で街びらきをする「うめきた2期」は、更地をゼロから設計・建設するグリーンフィールド型の開発です。2027年に全体開業予定で、オフィスやマンション、商業施設、公園などからなる次世代都市と言われています。
“みどりとイノベーションの融合拠点”がコンセプトで、広大な都市公園が最大の特徴です。
開業に向けて、複数分野の先端的サービスや大胆な規制改革などによってスーパーシティを実現していくようです。

大阪のスーパーシティ構想が掲げるテーマは「データで拡げる“健康といのち”」ということで、以下の3段階のフェーズで実現を進めていくと発表しています。
(1) 万博開催前の段階では、AI分析などによる健康増進プログラムの提供、工事を円滑に進めるための作業員の健康管理や気象情報などのAI解析など
(2) 万博開催時に大阪パビリオンで未来医療が体験できるサービスの提供や自動運転車の実装、空飛ぶクルマの運航など
(3) 万博開催後には、データ連携基盤を通じて、健康・医療・介護・スポーツなどのあらゆる分野のサービスをつなぎ、より便利な健康管理を実現、空飛ぶクルマの日常普及など

スーパーシティに指定されたことで、うめきた2期区域の発展に行政機関がどう関わっていくのかに関しても注目が集まっています。

パソナのスマートシティの取り組み「Civic Earth(シビックアース)」

ここまでにご紹介した建造物はスマートシティの視点を取り入れているものが多く、IT技術の活用によって豊かでより便利な仕組みを期待されている建物が多くあります。
パソナでは、人々が豊かに暮らし続けられる持続可能な街づくりを支援する、スマートシティソリューションを展開しています。

「Civic Earth(シビックアース)」とは、デジタルツイン技術を活用して、現実(フィジカル)空間を、仮想(サイバー)空間に再現することで、現実空間で難しいシミュレーションを可能にします。災害対策や温暖化対策など、社会課題の解決までの時間や労力を大幅に短縮することができます。

例えば「災害対策」です。
予算不足や防災対策の不備、専従する職員不足などその企業や地域によってさまざまな課題があると思います。デジタルツインを使い、仮想空間のシミュレーションを行うことで、災害時の潜在的リスクや、避難計画を三次元的に可視化することができます。仮想空間でのシミュレーションによってあらかじめ被害規模の把握とその対策ができるため、迅速な対応と大幅なコスト削減が実現可能になります。

詳しくは、ぜひユースケースをご確認ください。

まとめ

渋谷、新宿の百貨店跡地の再開発やスーパーシティ型国家戦略特別区域の取り組み以外にも、国内のさまざまな場所で建物の建て替えや大規模開発が進められています。どちらの取り組みも、サステナブル・SDGsの視点を大事にしているものが多く、特にみどりとイノベーションの融合や、にぎわいと憩いの融合といった最新技術を活用してこそ実現できるような都市開発が多い印象です。

特に、2025年の大阪・関西万博に向けての再開発や新技術・新サービス導入を進めている大阪地区の取り組みは、日本のみならず世界からも注目を集める大きなプロジェクトです。空飛ぶクルマをはじめとする、さまざまな最新技術の活用は今後わたしたちの生活を変えていくでしょう。

おすすめコラム

2024.9.24
人的資本経営とは?
人材を資本と捉えて企業価値の向上につなげる経営手法を解説

2025.2.21
BPRとはなにか?導入のメリットや進め方を紹介

2024.11.19
デジタル変革を成功に導く鍵:イノベーションを促進する組織文化とは

2025.5.20
Webアプリが企業のビジネスプロセスを変革する方法

2023.2.6
2023年に注目すべきデジタル技術

2025.5.7
【2025年最新版】クラウド化とは?必要な理由や種類・メリットについて解説

2023.8.14
業務改善が失敗する原因とは?失敗しないためのポイントについて

2023.8.15
「ChatGPT」でできること、仕事に使う際の注意点とAzure OpenAI Service活用のメリット

2023.8.14
業務プロセス改善とは?具体的な進め方・成功のポイントについて

2023.3.31
DX戦略に欠かせないビジネスフレームワーク

2023.7.3
新規事業のアイデアの考え方とフレームワークについて

2022.11.7
はじめてAI導入をする担当者の方が「知っておきたい進め方」 

2023.8.18
DXとAIの関係性とは?DX実現のためのAI活用のメリットについて

2024.10.8
ビジネスプロセス改善に革命を!
非エンジニアでも分かるPower Platform実践活用事例

2023.6.20
アプリ開発に必要な費用とは?相場やコストを抑える方法について

2025.1.21
クラウド化で管理部門の業務効率化を実現!メリットと活用のポイントを解説

2023.10.18
アプリのプライバシーポリシーを詳しく解説!記載内容や注意点は?

2023.4.14
社会課題を解決する デジタルツイン
最近の動向と企業事例を紹介

2025.3.25
RPA導入でDXを実現~RPAの効率的な運用方法やDX成功のためのポイントを解説~

2021.1.5
DX認定制度とは?申請するメリットや有効な取り組みを紹介

2023.10.20
DXにおけるビジネスモデル変革とは?種類や成功のポイントについて

2025.5.13
DXを成功するためには、アウトソーシング?内製化?DX支援内容の違いを徹底比較

2021.1.5
DXの推進における課題とは?成功させるポイントなどを解説

2025.2.18
DX戦略:内製化かアウトソーシングか、判断ポイントを解説

2023.1.30
顧客のニーズに答える新規事業創出
~顧客の課題を明確にする~

2024.6.3
人事業務の最適化とは?Excel依存からの脱却と業務の属人化の解消

2023.9.11
ビジネスに浸透するAI!活用例と今後の課題について知ろう

2024.6.14
AI導入の成功へ導く!企業が知るべき基礎知識(AI活用ステップ1)

2021.2.10
デジタルシフトが企業に求められる理由と活用のポイントとは?

2022.1.13
SaaSとはなにか?特徴と業務に活かすポイントを解説

2024.5.20
人事業務に携わる方必見
社員の成長意欲を高めるデータ活用戦略

2022.10.11
2025年の崖 とは?企業が直面する課題や対策について紹介

2023.8.25
DX人材育成にスキルマップを導入するメリット・作成方法について

2023.8.23
新規事業開発とは?フレームワークや必要スキルについて

2022.1.18
企業に欠かせない情報セキュリティ対策!おもな脅威と具体的な対策方法

2023.1.13
人材の育成を助ける仕組み、
助成金を解説

2024.8.1
AIの可能性を探る -生成AI戦略-
(AI活用ステップ3)

2023.8.29
リスキリングとは?メリットや導入手順・成功のポイントについて解説

2024.12.13
パソナのエンジニアが「AWS Japan 生成AI ハッカソン」で3位受賞

2023.9.1
ChatGPTのコア技術「GPT」とは?日本語対応のAIチャットサービスと言語モデルも紹介

2024.12.17
DX事例5選:3つの業界別に紹介~有名企業はどんなDXをやっている?~【2024年最新版】

2025.3.4
アジャイル開発導入でDX支援サービスの最適な活用を!課題や解決策を解説

2023.10.12
アプリアイコンデザインの重要性とCVR向上への影響

2024.10.22
AI時代の経営戦略:ChatGPTが変えるビジネス

2022.11.21
DXを推進させるための初期費用はいくらかかるのか?
~課題によって変化するソリューションと費用について~

2025.4.22
人事DX(HRDX)とは?具体的な進め方や起こりがちな課題を解説

2024.4.5
デジタル変革時代のセキュリティ対策とAI活用

2023.10.3
新規事業における
マーケティングの役割と効果とは

2023.10.16
アプリの維持費はいくらかかる?相場や費用を抑えるポイントについて

2024.12.3
既存サービスのアップデートで売上を最大化!新規サービス開発との違いと成功の秘訣

2025.3.3
【2025年最新版】DX支援とは?種類やメリット・サービスの選定ポイント

2022.12.6
業務効率化を成功させるポイント
~DX時代に求められるローコード開発~

2023.8.28
業務効率化の具体的な方法5選!具体的なツールと注意点も合わせて解説

2024.7.8
エンジニアが「AI Challenge Day」に参加

2022.10.31
いまさら聞けない!メタバースの基礎
―メタバースが注目される理由とは―

2022.12.15
-今、スマートシティを考える-
都市の取り組みと企業ができること

2023.2.8
新規事業を高速で進める
おすすめの「ローコード開発ツール」

2025.3.11
DX推進は組織改革である
~成功企業の事例を紹介&解説~

2025.4.15
DX人材が企業競争力を高める方法~DX人材の役割と活動内容を分かりやすく解説~

2025.4.8
DX人材に求められるスキル・知識とは?DX人材の定義や必要なスキル・マインドを解説

2021.12.20
CRMとは何か?担っている役割や機能をわかりやすく解説

2025.3.21
バックオフィスから経営を強くする
~支援ツールで実現できること~

2023.5.26
DXに終わりはない。業務全体を再考し、新たなビジネスを創出するために
〜損保ジャパンDX推進部長 村上氏×パソナ DXテクノロジー本部長 大江~

2025.2.4
ローコードツールで人事業務を一元管理!
人事なら押さえておきたいHR Tech事情

2024.9.17
ローコードツールで実現するビジネスプロセス改善

2023.10.10
業務アプリケーションとは?種類や選ぶ際のポイントを解説

2023.4.6
防災DXとは?
~なぜ防災対策にデジタル技術の活用が必要なのか~

2022.12.8
DX人材ってどういう人?
~パソナが考える企業内のDX人材とは~

2025.4.28
DX人材が押さえるべきデータサイエンスの領域~その価値と未来の展望~

2025.3.18
DX推進を成功に導くプロジェクトマネジメント~課題や解決策を解説~

2025.4.14
内製化とはなにか?5つのメリットと押さえておきたいポイントを解説

2025.5.16
WebアプリとDXの関係性~ソフトウェア開発において~

2024.4.15
DXを推進するための内製化の重要性とは?メリットと乗り越えるべき壁を徹底解説!

2022.11.15
~スマートシティの過去と今~
社会が求めるウェルビーイング前提の都市づくり

2024.9.9
人的資本経営に必要なタレントマネジメントシステム
メリットや選定ポイントを解説

2021.2.24
なぜデータマネジメントが必要なのか?ビジネスの成長とデータ活用の関係性

2023.2.16
オンプレミスからクラウドへ切り替えるメリットとその方法

2023.3.16
都市のさまざまな建物がアップデート
話題の「東京2030」とは?

2023.8.28
Webアプリとは?仕組み・メリットや開発の流れについて

2023.1.6
進化するデータ活用!~取り組むメリット・注意点・最新事例をご紹介~

2022.12.12
今注目のメタバース
-ビジネス活用事例を紹介-

2023.6.7
ICTとは?IT・IoTとの違い・ツールを導入するメリットについて

2025.4.1
DXを加速するシステム内製化―事例で見る、内製開発を成功に導く鍵―

2025.4.18
自動化ツールとは何か?業務効率化につなげる5つのポイントをメリット・特徴と共に徹底解説【2025年最新版】

2022.9.27
今さら聞けない!DXの基礎 -企業におけるDXについて-

2024.11.5
サプライチェーンのデジタル化がもたらす変革

2025.1.7
DX時代を勝ち抜くための、新規事業の立ち上げ方

2023.10.11
DX推進でシステムの内製化が求められる理由と今後の課題とは?

2023.9.8
AIが注目される理由とは?開発の流れとエンジニアに求められるスキルも解説

2023.3.27
今話題の「ChatGPT」とは?
その機能とビジネス活用シーンについて

2022.10.25
ゼロから始めるDX人材育成方法
~企業の組織と体制確立について~

2022.12.1
会社内で部門間連携が取れない状態
「サイロ化」がもたらす弊害と解消方法

2021.11.24
ERPとは?導入、長期運用を実現するポイントおよび注意点について解説

2022.12.14
全業界が取り組むべき
カーボンニュートラル
~取り組まないことへの企業デメリットとは~

2024.7.10
企業のAI内製化戦略 人手不足を解決し他社との競争でリードする方法 (AI活用ステップ2)

2025.1.28
【展示会レポート】「Cybozu Days 2024」にパソナが出展

2023.3.10
知らないと失敗する、AI導入時の注意点

カテゴリー

タグ

close

CLOSE