DXコラム

DXを推進するための内製化の重要性とは?メリットと乗り越えるべき壁を徹底解説!

#業務効率化  #人材育成  #DX推進  #DX人材 

2024.4.15
 DX

DXを推進するための内製化の重要性とは?メリットと乗り越えるべき壁を徹底解説!

はじめに

近年、DXというキーワードとあわせて、DXを推進するための内製化という言葉をよく耳にすることが増えてきました。それはなぜでしょうか?

本記事では、DXを推進するための内製化を検討されている方々に向けて、なぜ今DXを推進するための内製化が必要と言われているのか、メリットと乗り越えるべき壁について詳しく解説していきます。
また、日本のDXを推進するための内製化の状況についても紹介し、最近のトレンドや変化についても触れていきます。

DXを推進するための内製化が必要な理由

まずDXの定義のおさらいをすると下記のようになります。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」
出展:経済産業省 デジタルガバナンス・コード2.0 2022/9/13改訂
 
わけて書くと下記のようになります。
・デジタル:デジタルを使いこなして、製品やサービス、ビジネスモデルを変革すること
・ビジネス:業務・組織・プロセス・企業文化・風土を変革すること

DXは、デジタル化のみを行うこととは違います。従来行われてきたデジタル化に留まらず、デジタルを使いこなし、ビジネスモデルを変革しつづけるということです。
また、デジタルを使いこなすためにも、業務・組織・プロセス・企業文化・風土を変革する必要があるのです。

つまりDXとは、上記の2つ「デジタル」と「ビジネス」の両方を進めていくことにより「競争上の優位性」を確立することなのです。
それを実現するために有効な手段の1つが、DXを推進するための内製化です。(以下内製化と言います。)

今までのように外製化をしながら「デジタル」と「ビジネス」の両方を進めようとするとどうでしょうか。
企業によっては、どうしても技術やビジネスのノウハウがたまらない、自社内と外注先との相互理解にコミュニケーションが必要になるなどの課題が発生するのではと思います。

それが、内製化を行うことで、上記に記載した課題を解決するだけではなく、DXを推進するための様々なメリットが生まれるのではないでしょうか。

もちろん、外製化が有効という企業もありますので、本コラムにある、内製化のメリットと乗り越えるべき壁を読んでいただき、自社が「DXを推進するにはどうすればいいのか」を考える、材料の一つとしていただけますと幸いです。

DXを推進するための内製化の、メリット

内製化にはさまざまなメリットがあります。その中でも特にメリットで大きいと言われているものをご紹介します。

ビジネス変革のスピードと柔軟性がアップする

自社内で使用するシステム開発運用を例とすると、システムにも社内の業務プロセスにも詳しい人材が社内にいることで、システムと業務プロセス両方の観点から、アイデアや連携が生まれやすくなります。それにより、スピードが上がるのはもちろん、より成果のだせるシステムに変更することも可能となります。

近年、生成AIの進化により、各社がさまざまな業務効率化、ビジネスモデル変革を打ち出しています。自社内の業務を熟知した社内の人材ならではの着眼点から生まれるアイデアだからこそ、自社ビジネスにマッチした柔軟な技術利用が可能になります。

各社が、ビジネス変革のスピードを上げる中、自社も遅れをとらないように、ビジネス変革のスピードを上げていくためには、内製化は非常に魅力的な手段ではないでしょうか。

ノウハウの蓄積が可能になる

外部委託の場合、システムに関するノウハウは外部に蓄積されます。その為、いつまでたってもシステムのノウハウが蓄積されず、他のシステム企画も外部に頼ることになります。しかし、内製化であれば、社内にシステムに関するノウハウが蓄積され、将来的に自社で企画を行う際にノウハウを役立てることができます。

また、外部委託の場合、社内の業務プロセスを十分に理解した人材がシステムを開発するわけではありません。双方の認識がずれないように緻密な設計の認識合わせが必要となり、その作業には時間が必要になります。しかし、内製化であれば、社内の業務プロセスを理解した人材がシステム開発を行うため、関係者内での設計の認識合わせも行いやすく、比較的早い設計が可能になります。

社内人材の育成のチャンスになる

今後のビジネス変革にはデジタル人材が必要です。ただし、慢性的な人不足の日本では、採用だけでデジタル人材を確保するのは難しいでしょう。その為、内製化をするとともに、社員のリスキリングも行っていく必要があります。

デジタル人材の育成状況についてPwCグループが行った調査によると、「DX先進」の61%が「期待以上の効果が出ている」と回答し「DX先進」ではない企業と大きな差がでました。

そこから推測されたこととしては「全社的に育成プログラムを展開し、システム開発・運用を自社内で完結(内製化)することにより、人材育成を期待以上に進めることが可能」という事です。

※本調査での「先進」とは「アジャイル開発手法展開状況」「パブリッククラウド活用状況」「マイクロサービス、コンテナ、サーバーレスなどのクラウドネイティブと呼ばれる新技術要素の活用状況」を全面的に採用している企業とします
出展:2022年DX意識調査―ITモダナイゼーション編―

内製化を行うということは、社員の育成のチャンスにもなるということでしょう。

リスキリングについては、こちらのコラムもご覧ください。
リスキリングとは?メリットや導入手順・成功のポイントについて解説

DXを推進するための内製化の、乗り越えるべき壁

メリットをご紹介しましたが、一方で内製化には乗り越えるべき壁も存在します。

2023年に経済産業省が発表した「デジタルフォーメーション調査2023の分析」では、DX銘柄に選ばれる企業と、そうでない企業の違いについて、大きな差があるのは「挑戦を促す仕組み」や「人材育成・確保」である旨の記載があります。

これは、実施したくとも、実施するのは困難であることとも受けとれます。また、内製化当初から言われている「初期投資のコスト」も引き続き問題としてあるでしょう。これらの乗り越えるべき壁ついて、ご紹介します。

社内の体制や意識を変える必要がある

内製化をするという事は、今まで外製化していた「社外にまかせる」という体制を変え、挑戦を促す仕組みづくりが必要です。しかし、社内に根付いた体制や意識を変えていくのは、容易なことではありません。
内製化の目的を明確にし、社内の状況を把握しながら、段階的に進めていく必要があります。

人材育成、人材確保が必要になる

メリットの「社内人材の育成になる」でも触れましたが、内製化を行うためには、システム開発のスキルや知識を有するデジタル人材を確保する必要があります。しかし、近年、デジタル人材の不足が深刻化しており、特に高度なスキルや知識を有する人材は、獲得が難しい状況です。
そのため、内製化を検討する際には、社内にどのような人材がいるのかを把握し、人材育成や採用などの対策を検討・実施する必要があります。

パソナでは、DX人材育成サービスもご提供しております。ご興味がありましたら、ぜひお問い合わせください。

初期の設備投資にコストがかかる

内製化を進める際、初期投資は避けられません。新しい設備や技術への投資が必要であり、これには一定の初期コストがかかります。しかし、この投資は将来的な収益やコスト削減につながり、企業の競争力を向上させる重要な一歩です。初期の費用に対して中長期的な利益を見据え、計画的な試算をする必要があります。

国内外のDXを推進するための内製化の現状

国内ではここ数年、内製化の方針に進んでいます。
ガートナージャパンの調査によると、所属する企業の方針が内製化の方針にあるという回答は54.4%で半数を超えたとの記載があります。外製化の方針との回答は35.4%でした。
出展:日本におけるソフトウェア開発の内製化に関する調査結果2023/1/18

ただし、国内で内製化が進んでいると言っても、海外と比べると、そこにはまだ大きな差があります。

国内では、企業のDX意識が高まりつつある一方で、伝統的な業務プロセスへの執着やリスク回避の傾向が見受けられます。このため、内製化への移行が比較的慎重な一面もあります。
大手企業が先行している一方で、中小企業のDXへの取り組みはこれからという実情です。

一方で、海外では積極的なDX推進が進んでおり、内製化が一般的です。特にアメリカや欧州では、新たなテクノロジーやアジャイルな開発手法の導入が進み、企業は変革をリードする意識が強いです。外部ベンダーへの依存を減らし、自社内で技術開発を主導することで、市場での競争力向上を狙っています。中小企業も積極的に内製化に着手しており、地域や規模に関係なくDXが浸透しています。

これに対し、海外では内製化が浸透していることから、将来的には国内もさらに内製化が進むと考えられます。その時に、はやくから内製化に取り組んでいた企業と、そうでない企業の優位性の差はより大きくなっているのではないでしょうか。

DXを推進するための内製化を検討する際のポイントと留意点

内製化を検討する際には、いくつかのポイントと留意点があります。

まず、内製化の実施方法とステップをしっかりと計画することが大切です。内製化には時間やリソースが必要ですので、プロジェクト管理をしっかりと行いましょう。

また、人材の確保も重要です。内製化における必要なスキルを持ったデジタル人材を採用や育成することが必要です。リスク管理とコスト削減のバランスも考慮しなければなりません。内製化によって得られる品質や効率化のメリットを最大限に活かしつつ、コストを抑えることが求められます。そのため、内製化は短期的ではなく、長期的な戦略性を持つ必要があるでしょう。

DXを推進するための内製化は、企業優位性を確立するための有効な手段

冒頭でもふれたとおり、内製化は「企業優位性」を確立するための有効な手段です。なぜならば、DXとは「デジタル」と「ビジネス」の両方を進めていくことで「競争上の優位性」を確立することであり、内製化にはそれを行う上で様々なメリットがあるからです。

もちろん、乗り越えるべき壁にあげた、内製化を行ううえで困難なこともありますので、その点を念頭に置いて計画的に進める必要があります。自社のみで内製化を進めるのが困難な場合は、内製化支援サービスを利用することもおすすめです。

内製化のステップやリスク管理、人材の育成・確保など、内製化に関する専門的な知識やノウハウを持ったサービスを活用することにより、内製化が進みやすくなるでしょう。

パソナでは、多数の内製化支援の実績があり、お客様の課題にあわせた内製化支援サービスをご提案いたします。
まずは情報交換からでも可能ですので、お気軽にお問合せください。
内製化を検討されている方々に、この記事が少しでも参考になりますと幸いです。

■サービス資料はコチラ
DXサービスガイド
AI導入支援サービス
DX人材開発支援サービス~Microsoft Power Platform編~
DX人材開発サービス~AI活用人材編~

■お問い合わせはコチラ


関連サービス

今回ご紹介した課題に対してパソナでは以下のサービスで解決させていただいています。


関連記事

企業DXにご興味のある方にはこちらの記事も読まれています。

おすすめコラム

2023.3.16
都市のさまざまな建物がアップデート
話題の「東京2030」とは?

2023.10.10
業務アプリケーションとは?種類や選ぶ際のポイントを解説

2022.12.15
-今、スマートシティを考える-
都市の取り組みと企業ができること

2024.4.5
デジタル変革時代のセキュリティ対策とAI活用

2023.2.8
新規事業を高速で進める
おすすめの「ローコード開発ツール」

2023.1.6
進化するデータ活用!~取り組むメリット・注意点・最新事例をご紹介~

2023.8.18
DXとAIの関係性とは?DX実現のためのAI活用のメリットについて

2023.6.7
ICTとは?IT・IoTとの違い・ツールを導入するメリットについて

2022.10.11
2025年の崖 とは?企業が直面する課題や対策について紹介

2022.10.25
ゼロから始めるDX人材育成方法
~企業の組織と体制確立について~

2021.1.5
DXの推進における課題とは?成功させるポイントなどを解説

2022.12.1
会社内で部門間連携が取れない状態
「サイロ化」がもたらす弊害と解消方法

2023.8.28
業務効率化の具体的な方法5選!具体的なツールと注意点も合わせて解説

2023.9.1
GPTとは?日本語対応のAIチャットサービスと言語モデルも紹介

2023.9.8
AIが注目される理由とは?開発の流れとエンジニアに求められるスキルも解説

2023.6.20
アプリ開発に必要な費用とは?相場やコストを抑える方法について

2021.1.5
DX認定制度とは?申請するメリットや有効な取り組みを紹介

2023.3.27
今話題の「ChatGPT」とは?
その機能とビジネス活用シーンについて

2022.1.13
SaaSとはなにか?特徴と業務に活かすポイントを解説

2023.10.18
アプリのプライバシーポリシーを詳しく解説!記載内容や注意点は?

2022.12.12
今注目のメタバース
-ビジネス活用事例を紹介-

2021.11.24
ERPとは?導入、長期運用を実現するポイントおよび注意点について解説

2023.8.14
業務改善が失敗する原因とは?失敗しないためのポイントについて

2023.8.14
業務プロセス改善とは?具体的な進め方・成功のポイントについて

2023.10.16
アプリの維持費はいくらかかる?相場や費用を抑えるポイントについて

2023.10.20
DXにおけるビジネスモデル変革とは?種類や成功のポイントについて

2023.1.13
人材の育成を助ける仕組み、
助成金を解説

2023.4.6
防災DXとは?
~なぜ防災対策にデジタル技術の活用が必要なのか~

2022.12.6
業務効率化を成功させるポイント
~DX時代に求められるローコード開発~

2022.10.31
いまさら聞けない!メタバースの基礎
―メタバースが注目される理由とは―

2023.2.6
2023年に注目すべきデジタル技術

2021.2.15
BPRとはなにか?導入のメリットや進め方を紹介

2023.3.31
DX戦略に欠かせないビジネスフレームワーク

2021.2.24
なぜデータマネジメントが必要なのか?ビジネスの成長とデータ活用の関係性

2023.9.11
ビジネスに浸透するAI!活用例と今後の課題について知ろう

2022.12.8
DX人材ってどういう人?
~パソナが考える企業内のDX人材とは~

2023.3.10
知らないと失敗する、AI導入時の注意点

2022.9.27
今さら聞けない!DXの基礎 -企業におけるDXについて-

2022.11.7
はじめてAI導入をする担当者の方が「知っておきたい進め方」 

2023.8.23
新規事業開発とは?フレームワークや必要スキルについて

2023.8.15
「ChatGPT」でできること、仕事に使う際の注意点とAzure OpenAI Service活用のメリット

2023.5.26
DXに終わりはない。業務全体を再考し、新たなビジネスを創出するために
〜損保ジャパンDX推進部長 村上氏×パソナ DXテクノロジー本部長 大江~

2023.8.29
リスキリングとは?メリットや導入手順・成功のポイントについて解説

2023.8.28
Webアプリとは?仕組み・メリットや開発の流れについて

2023.10.3
新規事業における
マーケティングの役割と効果とは

2023.1.30
顧客のニーズに答える新規事業創出
~顧客の課題を明確にする~

2022.11.15
~スマートシティの過去と今~
社会が求めるウェルビーイング前提の都市づくり

2021.2.10
デジタルシフトが企業に求められる理由と活用のポイントとは?

2023.4.14
社会課題を解決する デジタルツイン
最近の動向と企業事例を紹介

2023.6.2
DX支援とは?種類やメリット・サービスの選定ポイント

2023.8.25
DX人材育成にスキルマップを導入するメリット・作成方法について

2023.8.3
クラウド化とは?必要な理由や種類・メリットについて解説

2023.10.12
アプリアイコンデザインの重要性とCVR向上への影響

2021.12.20
CRMとは何か?担っている役割や機能をわかりやすく解説

2022.1.18
企業に欠かせない情報セキュリティ対策!おもな脅威と具体的な対策方法

2022.11.21
DXを推進させるための初期費用はいくらかかるのか?
~課題によって変化するソリューションと費用について~

2023.7.3
新規事業のアイデアの考え方とフレームワークについて

2021.2.15
自動化ツールとは何か?業務効率化につなげる5つのポイントを解説

2021.9.22
内製化とはなにか?5つのメリットと押さえておきたいポイントを解説

2023.2.16
オンプレミスからクラウドへ切り替えるメリットとその方法

2024.4.15
DXを推進するための内製化の重要性とは?メリットと乗り越えるべき壁を徹底解説!

2023.10.11
DX推進でシステムの内製化が求められる理由と今後の課題とは?

2022.12.14
全業界が取り組むべき
カーボンニュートラル
~取り組まないことへの企業デメリットとは~

カテゴリー

タグ

CLOSE