はじめに
AIは業界を問わず、全ての分野でDXに大きく貢献することが分かっています。しかし「自社のどの業務に使えるか分からない」「導入するまでどのくらい大変なのか分からない」「自社にAIの専門家がいないから自信がない」という不安から、なかなか一歩を踏み出せずにいる企業様をお見受けします。このようにAI導入までに企業の前に立ちはだかる課題が多くあることが日本企業で大きな問題となっています。
そこで今回はDX実現のために、実際にAIを導入したいと考えている方々に、AIを導入するための進め方と、事前に知っておきたいポイントについて紹介します。
AIの仕組みや効果、実現可能なことを正しく理解いただき、ビジネス現場でのAI導入を検討している方の情報収集の一助となれば幸いです。
AIとは何か
AIを導入するにあたり、AIとは何ができる技術なのかを正しく理解する必要があります。
AIは「Artificial Intelligence」の略語であり、日本語では人工知能と訳されることが多いです。取得可能なデータ量やデータ種類の増大、アルゴリズムの高度化、ストレージ技術の発展といった近年の動向により、AIで実現可能な規模が拡大したため、いっそう広く知られるようになりました。さまざまなデータを、プログラミングすることで私たち人間の行う行動を人工的に再現することができます。
AIは経験から学び、新たに登録した情報に順応することで、人間が行うように柔軟にタスクを実行することが可能です。人間では捌ききれないほどの膨大なデータ量でも高精度かつスピーディーに分析が可能なため、顧客データを分析してニーズを把握することや、生産状況を可視化して生産性向上のためのボトルネックを発見すること、AIチャットボットによる顧客対応でコミュニケーションの効率化など、幅広い業種・業態や職種において業務のあり方に変革を起こす能力があると言われています。
AI導入までの進め方
AIを自社に導入する際に必要なプロセスを、ここでは6つのステップにして解説します。
STEP1 自社の経営目標・業務課題を把握する
AIはあくまで「課題解決」のための手段です。
まずは経営目標の明確化と自社の現状把握として抱えている経営課題を整理しリストアップしましょう。
自社の経営目標は何か考え、それを実現するためには何を解決しなければならないのか把握する重要なステップです。課題は可能な限り洗い出し具体化することによって、今後のSTEPで最適な方法を導き出すことが可能となります。
経営課題を洗い出すにあたり、業務プロセスの全体像を把握しましょう。必要に応じて、現場へのヒアリングを実施することも重要です。
ポイント
リストアップした自社課題のどこから取り組むべきなのか、導入後の改善インパクトなどを経営目線で検討してみましょう。
STEP2 導入するIT技術と業務範囲を検討する
STEP1で自社の課題を整理したら、その課題はどのIT技術で解決可能かを検討します。
場合によってはAIではないIT技術が適していることもありますし、既存のプログラムの改修で事足りるケースもあります。
WEBサイトで検索し社内外の類似の事例がすでに存在している場合には、その事例を参考にするのもよいでしょう。
検討した結果「AIが最適な技術である」となった場合、人が行う作業とAIが行う作業を整理し、AIを活用する範囲を決めます。
ポイント
AIの導入自体を目的にしてしまうと、安易なAI導入となってしまい、途中で頓挫してしまうケースがあります。AIにこだわらず広く検討することが必要です。
STEP3 AIに学習させるデータを集める
AIを利用する目的に沿ってデータを集めます。
データの種類は多岐にわたるため、まず自社にどのようなデータが蓄積されているのか確認しましょう。ベースとなるデータが多ければ多いほど、AIはより性能の高い提案を導き出します。できるだけ多くのデータを集め、学習させましょう。
今までデータを蓄積した経験がない、つい最近取得を始めたのでそれほど量がない、という企業様も短期間で必要データが準備できる可能性があります。
ポイント
どのようなデータが利活用できるか分からない場合は、些細なデータでも捨てずに保管しておきましょう。そのデータがより精度の高い提案につながる可能性があります。
STEP4 データを成形する
データの品質を高める作業を実施し、AIに学習させるデータを作成します。
具体的には、データクレンジング(エラーやノイズ、欠損値などの修正や削除)、データの統合(さまざまなデータを結合し一貫したデータに形成し結合)、データの変換(AIモデルの必要性に応じて生データを指定のフォーマットに変換する)などの処理が発生します。
全行程のうち、大部分が前処理に割かれているといわれるほど、重要かつ手間のかかる工程です。
ポイント
STEP4以降は特に専門知識が必要になります。AI人材が自社にいない場合は、データクレンジングサービスやツールを使用したり、外部のAI専門ベンダーの力を借りつつ進めましょう。
STEP5 テストを繰り返し検証する
データを収集し前処理を行ったら、次はAIにデータを学習させ、テストとして試験運用をします。
試験運用の結果をもとにして技術的な現実性、課題解決へと導いてくれるのかなど適用可否を検討します。試験運用で現実性が低い場合は、学習させるデータ量をさらに増やしていきます。何度も繰り返しテストをすることによって、パフォーマンスが向上し、実用可能なレベルまで成長させます。
ポイント
テストの結果から業務への適用可否検討する際は、実際に利用する場面を想定した、人によるチェックを実施しましょう。テスト結果をそのまま使用してしまうと、思いがけない見落としが発生する場合があります。
STEP6 AIを本格稼働させる
AIモデルが実用可能なレベルまで向上したら、本格導入し稼働させます。
導入後も繰り返し検証を行い、最新のデータを学習させ続け、システムを継続して見直すことによってAIを最適化します。
ポイント
定期的にAIモデルの判定結果を評価し、問題なく働いてくれているのかをチェックしましょう。精度の低下、外部環境の変化があった際には、必要に応じて再学習しましょう。
AI導入でつまずいてしまった場合の解決方法
「AI導入までのプロセス」を読んでいただいた方のなかには
●STEP3以降の作業がイメージできない
●データの収集・処理・設計ができる人材が社内にいない
●AI開発リソースが足りていない
などの理由で、AI導入を自分たちの力だけでは現実的に不可能かもしれないと感じた方もいるのではないでしょうか。このような理由でつまずいてしまい「AIを導入したいけど、導入できない」という企業様が多く存在しています。
こうした事態を避けるためには、外部のAI専門ベンダーの力を借りることが一般的な解決策の1つです。AI専門ベンダーはAI技術でできること・できないことを的確に理解した上で、企業固有の課題に対し、どのようなAIを開発し、現場で活用していくのか提案します。
また、最適な解決策にたどりつくためにはどうすればよいのかという多種多様な知識やノウハウ、スキルを持ち合わせています。すべてを自社内で完結させることにこだわらず、適宜外部委託することを検討してみましょう。
まとめ
AIを活用すれば大量のデータをもとに、さまざまな分析や判定を行うことができ、正しく運用すれば業務効率化や業務改善、あるいは新商品開発や新サービス開発に役立ちます。
自社にAIを導入するためには、解決すべき課題と目的を明らかにし、AIモデルの開発と実装、運用後の検証までを継続して行わなければなりません。
AI導入までにはさまざま障害が発生し、つまずいてしまいそうになることもあります。適宜外部のAI専門ベンダーの協力を得て導入を進めましょう。
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