災害というのは何時どこで発生するのか分かりません。よって事前の防災/発生時対策、その後の復興マニュアルなど災害の被害をできるだけ軽減できるよう、努めることが必要不可欠です。
しかしながら実際には、予算不足や防災対策の不備、専従する職員不足などその地域によってさまざまな課題が残っています。

◆都市圏の場合
・火災延焼の可能性
住宅密集地が多く公道や公園も少ないため、火災が広がる可能性が高い。また密集市街地では道路が狭いため、避難や消火・救出活動が困難になる。
・避難行動の課題
超高層ビルが混在する市街地や駅ターミナルに人があふれてしまう可能性が高い。通勤・通学による大規模な人口移動による帰宅困難者の大量発生が予想できる。
また、避難所の数に対して避難民が多いため収容できず、備蓄品も行きわたらない。

◆都市郊外
・人手不足
指示系統、連絡網が麻痺し自治体が機能しない可能性が高い。また広大な面積の防災対策や医療支援がカバーできない。
・孤立集落の発生
高齢化や過疎化により、災害弱者が多くなる可能性が高い。また、道路の未整備/未舗装により避難が困難になるだけではなく、電気やガス、水道などのライフラインの復旧に時間がかかる可能性が高い。

デジタルツインを使い、仮想空間のシミュレーションを行うことで、災害時の潜在的リスクや、避難計画を三次元的に可視化します。
まず、火災によって発生する熱や煙が人の避難行動に与える影響をシミュレーションし、避難民の建物内部からの視点で避難する様子を確認することができます。
河川の氾濫などによる浸水時のシミュレーションでは、水位別にどのタイミングで避難するべきかが分かるため、エリアごとに避難する順番を決め、最適に避難ルートを作成することが可能です。
土砂による被害についても、あらかじめ建築物などの位置と三次元的な形状をデータと流出土砂の3D測量データを組み合わせて解析することで、どの程度の家屋が被害を受けているのか迅速に把握することが可能となります。
さらに、これらの情報をAR技術を用いて可視化することで、現地における救助オペレーションに活用できます。
仮想空間でのシミュレーションによってあらかじめ被害規模の把握とその対策ができるため、迅速な対応と大幅なコスト削減が実現可能になります。

スマートシティが注目を浴び、それぞれの地域で住みやすい環境を確保することはどの地域においても、目下の目標となっています。
地域内での「仕事」が「人」を呼び、また「人」が「仕事」を呼び込む好循環を確立させることで、初めて「まち」に活力を取り戻すことができます。
そのため、地域内外の人材の育成や資金の確保をしながら、人がどんどん集まる仕組みを作ることが必要不可欠になります。
コロナ禍で、感染防止への関心が高まりました。外出を控える人が急増し、消毒の徹底や人と人との間隔を開けることが義務付けられるなど、ニューノーマル時代における観光・飲食事情はとてもシビアであり、店舗の感染症対策などの情報をストレスなく取得できるシステムや、他人と接触することなく目的を果たせるようなシステムを実装することが求められるようになりました。

デジタルツインの技術を使用することで、街づくりを計画的かつ効果的に進めることが可能です。
例えば、観光業が盛んな都市では土地の高低差を見える化し、無駄のない効率的なルートを割り出しシミュレーションすることが可能です。

【地域住民参加型コミュニティ】
デジタルツインはゲームと連携できるため、子どもたちも親しみやすく、一緒に街づくりを考える機会が生まれます。
グルメが盛んな観光地ではお店探しからメニューの注文までスマホ1台で完結できるような、感染対策を意識したアプリの実証実験を行うことで、安心できる地域コミュニティ醸成に活かすことが可能です。

【VR観光ツアー】
新しい形の観光ビジネスである、VRを使った観光ツアーや、メタバースの構築のシミュレーションが低コストで行えます。
VR観光ツアーなどの検証では、5G回線の電波の流れが重要になります。5Gの電波がビルによって反射・減衰しないかどうかをデジタルツインを使って計算し、最適な配置計画に役立てることが可能です。

総務省の情報通信白書によると
コロナ禍のロックダウンや緊急事態宣言のように、経済や産業がストップした際にも国としてその深刻な影響を最小限に食い止めるためには社会全体がデジタル化（した街づくり）を定着させることが重要。
また、災害時対策についても、避難所の開設や行政による「公助」だけでは間に合わないため、住民や民間の自主的な活動体制を整えることが必要とされている。