はじめに
AIが普及し、さまざまな企業が業務効率化や精度向上のためにAIの導入を試みています。しかし、現実にはすべての企業がAI導入に成功し、望んだ成果を得られるようになるわけではありません。「導入後の運用に問題があり、思ったような活用ができない」「組織内に浸透させることができない」「導入前に考えていたよりも費用対効果が悪い」など、予期せぬ事態に直面し、場合によってはAIを有効活用することができず失敗に終わってしまうケースもあります。
そこで今回は、ビジネス現場でAI導入を検討している企業担当者様向けに、企業のAI導入が失敗に終わってしまう原因と、失敗させないための解決策をご紹介します。皆さまの情報収集の一助となれば幸いです。
日本企業の多くがAI活用に失敗している原因
AIに関する知識を身に付け、失敗に終わってしまう原因を知り、適切な方法で導入を進めましょう。
原因1 AIの導入自体が目的になっている
AIの導入はあくまでもビジネスのゴールを達成するための手段であり、それ自体が目的になってはいけません。AIの活用によって「成果」を上げるということが、本来の目的です。
AIの導入プロジェクトにおいて「とにかくAIを使ってみたい」と期待を先行させ、導入すること自体が目的になってしまっているのであれば、AIの導入で何を目指すか、必要なデータがあるか、導入対象の業務がAIに適しているかを十分に検討しましょう。
原因2 「AIができること」を把握できていない
「AIに何ができるのか」を正しく把握せずに「AIは何でもできる」と勘違いしたまま導入してはいけません。
AIにも「できること・得意な分野」と「できないこと・苦手な分野」が存在しています。AIを導入すればすべての課題が解決ができるわけではありません。AIの特徴を理解し、実業務で組み込むことができるのか、費用対効果にあっているのかなどを検討しましょう。
原因3 AIを導入するためのデータを十分に用意できない
AIの能力を発揮するためにはベースとなる学習データが必要です。データは多ければ多いほど、より精度の高い学習が可能です。偏りのあるデータ・欠損値の多いデータ・極端に少ないデータ量などでAI実装をしてはいけません。学習に必要なデータが用意できていない状態でAI開発を進めると、AIはうまく学習できないことがあります。その結果「十分な精度が出ない」「テスト時は十分な精度であったが導入後の実データでは精度が大幅に下がる」など失敗のリスクが高まります。質の良いデータをできるだけ多く学習させましょう。
原因4 導入後の運用改善が実施されていない
AIは導入後も定期的に結果の検証と再実装といった運用をし続ける必要がある技術です。この定期的な運用改善が行われない場合十分な効果を得ることが難しくなります。導入時にはその後の運用フォロー体制も視野に入れて検討しましょう。
技術が進化するスピードも日々加速する昨今、すべてを自社内で完結させることは難しいです。「自社の何に使えるか分からない」「導入するまでどのくらい大変なのか分からない」「自社にAIの専門家がいないから手を付けられない」という不安を感じる場合は、適宜外部委託することを検討してみましょう。
AI導入を成功させるためのポイント
AI導入を成功させるために、前述の課題に対応してどのようなポイントに注意して進めればよいか解決策をご紹介します。
ポイント1 DXで実現したいビジョンを明確化する
AIはあくまで「課題解決」のための手段です。そのため、まずはDXで実現したいビジョンを明確化するために、自社の現状把握や抱えている経営課題を整理しリストアップしましょう。何を解決したいのかの目的を洗い出して把握することは重要なステップです。自社の課題を整理したら、次はその課題はどのIT技術で解決可能かを検討しましょう。場合によってはAIではないIT技術が適していることもありますし、既存のプログラムの改修で事足りるケースもあります。AIの導入自体を目的にせず、広く検討することが必要です。社内外の類似の事例がすでに存在している場合には、その事例を参考にするのも良いでしょう。
ポイント2 AIができること、できないことを理解する
AIはあらゆる問題を解決できるわけではありません。あくまでも、学習を重ねることで、処理の最適化・高度化を図ることができる技術です。AIができること、できないことを正しく理解しましょう。近年、AIの活用方法・事例について情報収集をすることは容易になっています。自社の課題に対して最適なアプローチをするために、具体的な活用イメージを持っておくことが、失敗のリスクを最小限に抑えることにつながります。
ポイント3 AIが活用できる環境づくり
AIを最適な形で活用するためには、それに合った最適なデータ収集が必要不可欠です。日本では部門間でデータの扱いが制限されて、社内独自で作成したデータをAIモデル開発時に出したがらない企業が多くあります。必要なデータを集められる環境を整えるためにも、AI活用に向けて社内規制の緩和や柔軟化を進めましょう。そのためには社内関係者から理解を得ることも大切です。
ポイント4 導入後、短期的な評価で失敗と決めつけない
AI導入の効果は、必ずしも短期間で表れるわけではありません。最新のデータを学習させ続け、システムを継続して見直すことによってAIは最適化されていきます。目標を達成することができていない状況でも短期的な効果を評価してしまい、AIの導入を失敗と決めつけてはいけません。導入後も繰り返し検証を行い、長期的な改善が必要であること視野に入れておきましょう。
ポイント5 社内でAIについての理解が不足しているときは外部ベンダーと連携する
AIは専門的な知識・スキルが必要なケースが多く、自社での内製化が難しい場合はAIベンダーの協力を得て導入を進めていくのが一般的です。AIベンダーを選定する際には、開発実績の有無は大切ではありますが、最も重要なことはポイント1で明確化させた「DXで実現したいビジョン」に対して、同じ目線で考え・判断してくれるかどうかです。長期的に根気強く取り組むAI運用の力強いパートナーとなりえるベンダーを選択しましょう。
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まとめ
AI導入に失敗してしまう企業の原因について詳しくご紹介しました。
AIを有効活用すれば、大量のデータをもとにさまざまな行動や判定を行うことができ、正しく運用すれば業務効率化や業務改善、あるいは新商品開発や新サービス開発のために役立つのは事実です。しかし、AIはすべての問題を解決してくれるわけではありません。闇雲にAIの導入を目指したところで失敗に終わってしまう可能性も多いにある技術です。導入前に「自社内の課題」「AIへの正しい知識」「AIを活用するために必要な環境」を把握したうえで検討しましょう。
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