DXコラム

-今、スマートシティを考える-
都市の取り組みと企業ができること

#ICT  #MaaS 

2022.12.15
スマートシティ アプリ開発

-今、スマートシティを考える-
都市の取り組みと企業ができること

はじめに

昨今「スマートシティ」という言葉をよく耳にしますが、日本の企業、あるいは行政/自治体がどのように、今スマートシティに取り組んでいるのか?気になるところです。また、スマートシティ事業を進めたいが、進め方が分からない方、言葉は知っているが、どういうモノなのか?ご存じない方もいるかも知れません。
本日は「スマートシティ」の基礎知識を交えて、実際にスマートシティを進めている都市やそこに参入している業界のご紹介をいたします。

基礎知識(スマートシティ)

スマートシティとは?

デジタル技術/ICTなどの新技術を活用して、都市の運営(計画、整備、管理)を最適化し、企業や生活者の利便性の向上を目指す持続可能な都市、または地区をスマートシティと呼びます。スマートシティはさまざまな社会問題の解決、そこに住む住民の価値観やニーズに合わせた最適な都市運営を目的としているため、日々変化する社会に柔軟に対応できるICT技術と高い親和性を持っています。

ICTとは?

Information and Communication Technology
通信技術を使って「人と人」「人とインターネット」をつなげる情報技術のことで「人とモノ」をつなげるIoT技術と、このICT技術がスマートシティ構想の中核を担っています。現在急速に進んでいるデジタル化の環境整備と働き方改革には必要不可欠なものです。既に「できて当然」というレベルとなっている技術も多数あるため、ICT活用が思うように進められていない企業は、他社に後れをとってしまうこともあるかもしれません。

なぜ注目されてるのか?

スマートシティが注目される理由のひとつに、都市部への人口集中が挙げられます。都市に人が集まると、エネルギーが急激に消費されるため、いかに効率的に無駄なく供給するかが都市部の大きな課題でもあり、急務とされています。また交通渋滞や犯罪の増加、大気汚染などが問題視され、地方では人口減少と超高齢化が深刻な問題です。こうした問題に対して、日々進歩する技術を取入れ、まちの人々の生活を支える体制づくり(持続可能な生活)が求められています。

スマートシティが実現した社会では「生活者は物理的な距離や時間的な制約から解放される」と言われています。ICTの活用により無人店舗、自動運転、リモート監視、自動農作業などが可能となり、都市部では交通渋滞、待機児童の増加、医療介護の増大、大気汚染など、地方では過疎化や人手不足などの社会問題が解消できるのです。

スマートシティを実現させるために

必要なテクノロジー

スマートシティで活用できるテクノロジーは、大まかに3つのカテゴリーに分けられます。

MaaS(移動・交通)

ICTを活用したマイカー(自動運転)含めた公共の交通手段全てをクラウド化し、1つのサービスとして連携させる移動概念。路線/経路案内、予約/決済、電車やバスなどとの連携、複数サービスの統合がMaaSです。

通信ネットワーク/センシング技術

5G通信規格により高速大容量通信に対応、またセンサーを活用し環境情報や混雑状況を把握することが可能となり、あらゆるものを検知/感知し、セキュリティ認証も強化されています。

ビッグデータの管理/分析および可視化

多量のデータを集約するプラットフォームを構築し、電気/ガスなどのエネルギー利用状況といったリアルタイムデータを可視化。そのデータを交通/防災/セキュリティ/効率化などに活用させます。

不可欠な業界

スマートシティに関わる業界は、ほぼ全ての業界です。大きく3つの分野に分けることができます。

① 行政機関

内閣府は「スーパーシティ構想」をはじめ、今後の在り方を定めています。文部科学省は、先進技術を活用する人材育成を行う教育機関の支援を行っています。経済産業省は、中小企業の競争力強化とデジタル化を支援しています。国土交通省は、道路・鉄道交通などのモビリティ関連事業や建物の省エネ化の関連事業を手掛けています。

② 開発分野

開発分野は不動産・住宅・建設・総合商社・IT・電機業界などの幅広い業界です。これらの業界は異業種と連携し、自治体や生活者とスマートシティの骨組みを作っていきます。

③ インフラ分野

インフラ分野は、電力・ガス・エネルギー業界だけではなく、物流/小売/機械/自動車/電機などの業界が官民連携で動いています。

スマートシティが進んでいる都市

静岡県裾野市

大手自動車メーカーが中心となって開発する「ウーブン・シティ」。
Wovenは、ネットワークや連携といった意味を持っていて、自動運転の車と人が共存し、自然豊かな道が網目のように張り巡らされるというコネクティッドシティ構想です。
街には太陽光パネルを備え、カーボンニュートラル木材を利用した建物が立ち並び、自然との調和も大きなテーマとなっています。住民はAIを使用した健康チェックが可能となり、自動運転モビリティが配達や人の移動をサポートするほか、移動式店舗が街を循環します。エネルギー関連企業と行う水素エネルギーの活用、雨水ろ過システムやインフラの地下への設置など今後の日本における、持続可能な暮らしのモデルケースを担う最先端都市と言えます。

北海道札幌市

札幌市では官民共有で利用できるデータ連携基盤「札幌市ICT活用プラットフォーム」によって、新たな価値の創造を目指しています。
Webサイトでは、官民が保有している区別の人口データと経済、観光、医療、防災などの生活関連データを分野横断的に参照でき、グラフやマップなどでわかりやすく見える化されたダッシュボードにいつでもアクセスできます。また新型コロナウイルスやインフルエンザの感染者数のデータなどのオープンデータを公開しており、いわゆる「データの地産地消」を実現しています。
さらに札幌市では、キャッシュレス化に向けて決済端末の導入を促進しています。購買データを収集し、飲食メニューや販売商品、プロモーションの改善に役立てられるよう分析して、提供する計画です。

神奈川県横浜市

昨今、横浜市ではゲリラ豪雨や台風による浸水被害が目立つようになっており、2004年10月に発生した台風22号では、1000戸以上が浸水被害にありました。
地球温暖化の対策も兼ね、防災性、環境性、経済性に優れたエネルギー循環都市の実現を目指し、エネルギーの最適化によるサスティナブルなスマートシティをいくつもの事業者の協力のもと進めています。
自宅のエアコンや照明などの電化製品の「電力の見える化」や「電力消費の最適化」を行うシステムを導入した、太陽光発電や電気自動車も多く取り入れ、CO2排出量の削減にも取り組んでいます。
また、電力の過剰供給や急激な需要に対応できるようにVPPといわれる仮想発電所を構築し、電力を双方向に送り合い分散するという省エネな街の実現を目指しています。

福島県会津若松市

東日本大震災の影響を大きく受けた福島県会津若松市は、復興に向けた取り組みの一つとして「スマートシティ会津若松」をスタートさせ、産業振興を含めた「地域活力の向上」「安心快適な生活」「街の見える化」の3つの視点でまちづくりを進めています。
地域の活性化と人口流出などへの対策として、電力の消費データを収集/分析して省エネ方法をレコメンドするサービスや、ゴミの出し方や病院の営業日、降雪地帯特有の除雪車の位置情報などがLINEやアプリで簡単に見られたり、乳幼児健診・予防接種の記録、おすすめの予防接種日などパーソナル化されたデータの扱いも整備されており市民の賛同を得ました。
また、農業振興のため、養液土耕システム・水田水管理システム・栽培支援ドローンの3つを導入し大幅に労働時間を減少させました。

まとめ

スマートシティの取り組みは、持続可能な社会を実現していくために世界各国で推進されています。

人が住みやすい街づくりを目指していくことが急務となっている今、多くの都市で業界をまたぎさまざまなサービスやビジネスを生む「分野横断型」の開発を進めています。また、あらゆる業界で、社会の問題と向き合おうという取り組みが行われており、スマートシティ事業に参入する企業は増えています。今後、競争率はますます高くなることが予想され、企業がスマートシティに参入するためには、柔軟な視点が求められると言われています。
スマートシティ事業を進めたいが、進め方が分からないという方、まずは、自社でできること、課題の整理をしてみてはいかがですか?パソナはお客様のさまざまな課題に対するソリューションを企画からPoC開発まで一貫して提供させていただきます。

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