DXコラム

全業界が取り組むべき
カーボンニュートラル
~取り組まないことへの企業デメリットとは~

#カーボンニュートラル  #環境問題 

2022.12.14
スマートシティ

全業界が取り組むべき
カーボンニュートラル
~取り組まないことへの企業デメリットとは~

はじめに

「カーボンニュートラル」という言葉が浸透してから多くの企業が動き出してはいるものの、一体どれくらいの企業がカーボンニュートラル実現に向けて、明確な目標やその行動を実施しているかは定かではありません。既に取り組まれている企業においても、利益確保と環境問題の両立に難しさを感じている方も多いのではないでしょうか。しかし「カーボンニュートラル」は全業界が対象となる課題です。「カーボンニュートラル」に取り組むことは、新たなビジネスチャンスの創出や社員の環境への意識向上というメリットがあります。その一方で、取り組まずにいることのデメリットがあることはご存じでしょうか。今回は「カーボンニュートラル」への取り組みが重要視される背景から、企業がすぐに取り組める事例についてご紹介します。

カーボンニュートラルとは

カーボンニュートラルとは「温室効果ガス(二酸化炭素)の排出量をゼロにする」ことです。しかし、人間が暮らしていくためには温室効果ガスをゼロにすることは難しいため、排出量から森林などが吸収する温室効果ガスを差し引いた、排出量全体をゼロにしようという考え方です。

カーボンニュートラルの考えが提示されるほど、地球温暖化は大変深刻な状況です。2021年に、気候変動に関する政府間パネル(IPCC: Intergovernmental Panel on Climate Change)より第6次評価報告書が公表されました。そこには、過去2,000年間に、人間の影響により、前例のない速度で温暖化が進んだと記載されています。この内容は、今後も温室効果ガスの排出を続けると地球温暖化がさらに加速することを示唆しています。

これにより世界中でカーボンニュートラルの取り組みが活発になり、2015年の国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)の「パリ協定」では「長期目標として2℃より低く、1.5℃までの気温上昇に抑える努力をすること」に重点に置くことが決定されました。この協定により温室効果ガス排出量の削減は、全世界で取り組まなければならない課題となったのです。
日本においても2020年に菅前内閣総理大臣が、2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指すことを宣言しています。

企業がカーボンニュートラルに取り組まないとどうなる?

カーボンニュートラルと聞くと一見、環境問題と表裏一体である自動車や家電などの二酸化炭素を排出する製品を製造している業界が対象だと思われるかもしれません。確かにカーボンニュートラルへの課題意識が高く先進的に取り組んでいる企業は、メーカーや公共インフラが多いのが現状です。しかし、前章で述べたようにカーボンニュートラルは、全世界における課題であり、それはつまり日本国内においても業界を問わず取り組まなければなりません。

万が一、この課題意識に乗り遅れてしまうと下記デメリットがあります。

コスト増加

企業で排出された炭素が課税対象となる「炭素税」は、既に海外で導入されている国も多く、現在日本国内でも議論されています。例えばオフィスにおけるエアコンなどの利用でも温室効果ガスは必ず排出されます。そのエアコンなどの使用コストに課税される動きが出てきており、企業が負担する全体のコストが増加する可能性があります。

営業利益低下

ある大手外資系企業では、パートナー企業に対し「温室効果ガスの排出に新たな措置を行うこと」を提示しています。主要なパートナー企業の脱炭素化に向けた取り組みを評価し、年次で進捗を確認しています。つまり「パートナー企業のエネルギー使用状況によっては、契約解除も検討する」ということを示唆しています。今後他の企業でもこのような動きが広がる可能性は大いにあり、カーボンニュートラルに取り組まなければ大きな機会損失になることもあり得るでしょう。

何から取り組めば良いのか?

企業はカーボンニュートラル実現に向けてどのように取り組めば良いのでしょうか。今回は「ビジネス」と「社内」における2つの角度から、その取り組みについてご紹介いたします。

新規事業としてカーボンニュートラル実現を目指す

カーボンニュートラルの実現には「スマートシティ」が大きな鍵として挙げられます。

企業・自治体・電気事業者・地域交通・住民がデータを連携、共有することでスマートシティは実現できます。スマートシティの基盤が整えば、地域のエネルギー消費量や温室効果ガス排出量が予測できるようになります。温室効果ガスの排出量全体をゼロにするためには「温室効果ガスをどのように抑制していくべきか」という点が考えられますが、これにスマートシティは適していると言えるでしょう。また、カーボンニュートラルに関するデータだけではなく、さまざまなデータを集計・分析できるため「交通渋滞の緩和」「防災対策」「高齢者のケア」などスマートシティで解決できる課題は多岐に渡ります。

カーボンニュートラルとスマートシティは密接な関係にあります。静岡県裾野市などはカーボンニュートラルの取り組みで有名です。

-今、スマートシティを考える-都市の取り組みと企業ができること

しかし、スマートシティに参入できる業界は限られると捉える方もいるかもしれません。また、カーボンニュートラルを関連させると、インフラ系や公共交通機関の企業のみを連想してしまいがちですが、スマートシティは1社だけで完結することは困難です。スマートシティは、さまざまな企業の技術やアイディア、ビジネスを掛け合わせてできるため、業界が絞られるということはなく、どの業界でも参入できるチャンスはあるのです。
スマートシティの実現は、電力などのインフラ業界から不動産、交通機関、IT、小売業、商社などの企業と自治体が協力することを必要とします。自治体のニーズに合わせてさまざまな業界の企業が参入しており、大学や研究機関・国とも連携しているケースも多いです。

社内の意識を変える

社内の環境への意識を変えることはとても重要です。そこで、すぐに企業で実践できるカーボンニュートラルの一例として、パソナグループの取り組みについて紹介いたします。

企業でカーボンニュートラルに取り組む場合、役職者だけではなくそもそも環境問題をどのように解決していくべきかという視点を全社員が語れるようになるべきだとパソナグループは考えています。社内で働く全ての人の意識を変化させることが、環境問題への取り組みを加速させているのではないでしょうか。

そこで、パソナグループは2005年よりグループ各社の役員を中心とする「環境委員会」を設置しました。目的としては、持続可能な社会の実現を目指して、将来を担う次世代に健全で美しい地域環境を残していくことです。環境問題の意識向上にむけ「エコハンドブック」の発行、さまざまな社会の問題点をテーマに議論を行うパソナ・シャドーキャビネットの環境省の設立、社内での「エコ検定」などを実施しています。
パソナグループは「パソナグループ 環境宣言」として下記を提示しています。

環境保全への意識を高める

全ての役職員やエキスパートスタッフ、その家族に共感の輪を広げ、環境保全に関する高い意識と関心を持ち、行動します。

環境保全活動を推進する

当社と関わる全てのステークホルダーの方々と共に、環境保全活動の推進に向けて協働し、活動の輪を広げます。

環境分野で新たな価値を創造する

環境保全に向けた新たなイノベーションの創出に挑戦し、社会と共に豊かな地球環境を創ります。

この「パソナグループ環境宣言」の内容はパソナグループの企業理念をもとに作成しております。このように企業が大切にしている企業思念やビジョンなどを盛り込むことで、環境問題に対する社員の意識向上につながりやすくなるのではないでしょうか。

まとめ

「カーボンニュートラルの実現」は全ての業界が対象となります。今後、世界中で環境意識がさらに向上し、日本国内でもカーボンニュートラルの動きが活発になればなるほど自分ゴトとして取り組んでいかなければなりません。カーボンニュートラルに取り組まないと発生するデメリットを回避するためにも早々に取り組んでいく必要はあるでしょう。
しかし「カーボンニュートラル」を交えた新規事業や新サービスの立ち上げはハードルが高いと感じてしまうかもしれません。まずは社内の環境意識向上について検討してみるのはいかがでしょうか。

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