はじめに
DX推進によるデジタル化や働き方の変化、多様化によって企業を取り巻く環境は急速に変化し続けています。この変化に対応すべく、人事部門においてもさまざまな変革が求められている状況です。
企業の人事部門の業務は多岐にわたっており、断片化した情報が整理できていないことや、上層部や関わる部署が多く意思決定が遅いという課題があります。
本記事では、このような課題を効果的なデータ分析によってどう解決・推進し、組織全体の能率向上に結びつけるのか、実際の取り組みを具体例とともに解説します。
効率化が必要な人事業務
人事業務における効率化は、組織の生産性向上に直結する重要課題です。
社員データの管理、採用プロセス、パフォーマンス評価など、多岐にわたる業務が非効率なまま放置されると、時間の浪費はもちろんのこと、社員の獲得や保持においても競争力を失うことになります。
例えば、手作業による履歴書の選別や、不透明な評価基準は、プロセスの遅延やモチベーションの低下を招く非効率の典型です。これらの業務をデジタル化し、データを活用することで、迅速かつ公平な意思決定が可能となり、組織全体の成長意欲を高めることができます。デジタルを活用した人事業務の効率化は、単なる作業時間の短縮以上の価値をもたらすのです。
業務効率化の基礎を知りたい方は「業務効率化の具体的な方法5選!具体的なツールと注意点も合わせて解説」をご覧ください。
人事業務の主な課題は、煩雑な手作業と非統合システムにあります。これらに対する解決策は、デジタル化を推し進め、統合HRシステムを導入することです。
まず業務を分析し、自動化可能なプロセスを特定します。次に、適切なHRソフトウェアを選定し、段階的に導入。このプロセスを通じて、人事業務はスリム化され、成長意欲のある職場環境が促進されていきます。
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人事データを活用して社員の成長意欲を促進する方法
人事データの活用は、社員の成長意欲を刺激し、促進させる鍵です。
多様な情報源から得られるデータ、例えばパフォーマンスレビュー、キャリア進展に関する面談、職務満足度調査、および研修プログラムのフィードバックなどを集約し、それらを分析することで、組織内の人材の能力と潜在性を深く理解することができます。
これらの情報を組み合わせることにより、社員の個別のニーズや関心に合わせたパーソナライズされたアプローチを採ることが可能になります。
具体的には、社員のパフォーマンスの評価をデジタル化し、個々の成果をリアルタイムで把握することが重要です。データ分析を利用して能力ギャップを特定し、カスタマイズされた研修プログラムを提供することで、個々の能力を把握しながら社員のスキルアップとモチベーション向上を促進します。
また、360度フィードバックを導入し、複数人の視点から評価をすることで、評価が客観的になり自身の強みや課題を受け止めやすくなります。上司だけでなく、部署内からの評価によって上司だけでは気が付けないより多角的な目線が成長の機会を増やすことになります。さらに目標設定と進捗管理のプロセスも自動化し、一人ひとりの達成感と向上心を養います。
このように、人事データ活用を通じ、社員の成長意欲を刺激し、業務の効率化を図る戦略は組織全体の発展に不可欠です。
人事データ活用のためのステップと分析項目
実践的ステップを踏むために、まずは統合HRシステムを活用して人事データを整理し、複数の担当者がアクセスしやすくすることが重要です。
次に、社員のパフォーマンス指標、勤怠データ、研修受講履歴といった重要な分析項目を特定します。これらのデータを分析することで、パフォーマンスの傾向を把握し、個々の社員に合わせた成長プランを策定することができます。
具体的には、データドリブンでの目標設定、研修・教育プログラムのカスタマイズ、報酬や昇進の公正な決定に活用することが推奨されます。
目的別・段階別のデータ活用プランの立て方
人事業務におけるデータ活用プランは、目的別・段階別に構築することが重要です。
例えば、採用の最適化を目的とする場合、新卒採用データと経験者採用データを分けて分析し、各採用ルートの効果を評価します。
また、企業がスタートアップ段階の場合、採用コストと人材の質のバランスを重視し、成熟期にある企業では社員のリテンション率や社員満足度の向上にデータを活用していく方策が求められます。各段階で重要となるKPIを選定し、それに基づいたデータ活用プランを策定することで、人材戦略をデータ駆動で推進できます。
データ分析結果を活かした戦略的な意思決定プロセス
人事業務における戦略的意思決定プロセスは、データ分析結果を賢く活用することが重要です。
人事データの収集は、組織の健全な運営における最初の重要なステップです。
ここで集めるべき情報は、社員の業務遂行能力、出勤状況、職場内での行動パターン、そして社員の定着率や退職理由などが含まれます。これらのデータは、組織の人的資源に関する洞察を深めるための基盤となります。
データを集めた後は、その情報を統合し、社員の行動やパフォーマンスに関するトレンドを明らかにするための分析を行います。この分析は、統計的手法や機械学習アルゴリズムを用いて、将来の人事イベントや社員の動向を予測するために利用されます。
このプロセスによって、組織が直面している課題や機会が明らかになり、それに応じて対策を講じることが可能になります。
さらに、これらの予測分析を通じて、人材流動のパターン、生産性の低下の原因、または社員の満足度に影響を与える要因など、改善が必要な特定のエリアを識別します。このような分析に基づいて、人事部門は社員の育成計画、福利厚生の改善、働き方の柔軟性の導入、コミュニケーションの強化など、組織のパフォーマンスを向上させるための戦略的な取り組みを計画することができます。
最終的には、これらの分析結果を活用して、実行可能な行動計画を策定し、それを実行に移すことで、組織は人事戦略を具体的に形にすることができます。
この行動計画は、目標設定、リソース配分、時間枠の設定、関係者への責任割り当てなど、詳細なプロジェクトマネジメントの要素を含むことが多いです。体系的なアプローチを取ることで、人事部門はその機能を最適化し、組織全体の効率性と効果性を高めることができるのです。
また、企業全体の継続的な改善と戦略的な意思決定をサポートするために、この一連の流れは定期的に繰り返されるべきものです。
まとめ:人事業務の効率化とデータ活用で組織を成長させる
人事業務の効率化は、時間とコストの削減を実現し、戦略的な業務に集中できる環境を提供することができます。また、データ活用により、社員のパフォーマンス評価やトレーニングニーズを精密に把握し、それぞれの成長意欲を刺激するカスタマイズされたフィードバックを提供することが可能になります。
この二つの取り組みにより、組織は人材の最適化と持続的な成長を促進し、企業全体の競争力を高めることができるのです。
人事業務の未来は「効率化」と「データ活用」が非常に重要になってきます。
人事データの解析により、採用から育成、配置転換までの意思決定が最適化され、さらに統合HRシステムなどによるルーティンワークの自動化で、戦略的業務に集中できる環境を整えることが可能です。
改めて自社の現状を把握・分析し、効率化やデータ活用ができる業務はないか、見直してみませんか。
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