DX(Digital Transformation)とは?
DXの定義と歴史的経緯
ビジネス上でもよく耳にするようになった「DX」という言葉。
皆さんはDXが何を指しているのか、明確に理解されているでしょうか?
DXとは「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略語です。2004年にスウェーデンのエリック・ストルターマン教授が提唱した概念で「IT技術の浸透によって、人々の生活があらゆる面で良い方向に向かっていくこと」というものでした。
また、経済産業省などにより定義付けされている内容を見ると「デジタル技術によって、ビジネスモデルや人々の生活を根底から変えることを目的とするもの」とされています。
2018年8月に経済産業省により発表されたレポート『DXレポート~ITシステム「2025年の壁」の克服とDXの本格的な展開~』は広く知られており、DXに注目が集まっていることは明白です。
本来「DX」という言葉自体はビジネスだけに関わるものではありません。しかし、時代の流れとともにビジネスに持ち込まれるようになりました。
例えば、世界的に有名なコンサルティング会社、デロイトではこう言っています。「デジタルトランスフォーメーションを進めるのは、技術ではなく、戦略だ」「デジタル技術はイノベーションの加速装置だ。それは効率化を改善し、新しいビジネスモデルを可能にし、業界間の垣根をぼやかす。いつしか成功している企業はすべて“デジタル企業”になっているだろう」
いまや企業はDXを実現できないと、市場の変化に対応してビジネスモデルを柔軟に変化させることが難しくなり、デジタル競争の敗者になってしまうと言われています。
DXの波に乗っていくためにも、まずは基本的な知識を付けておくことが重要です。
本資料では、DXの基礎の部分を解説します。
DXと混同されやすいワード
DX=単なるデジタル化ではありません。
DXは「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」「DX」の3段階に分解できると言われています。
類似しているワードが多く、混乱しがちですが「デジタイゼーション」とは「リアルをデジタルに変えること」を指しています。
「デジタライゼーション」は「何かをデジタル化することによって業務の方法が変わり、業務効率化を実現できること」。
「DX」はその先の「デジタル・ITといったテクノロジーを業務に取り入れることで、企業の提供価値を高め、社会をより豊かにすること」を意味しています。
段階的に見ると以下の通りです。
■ デジタイゼーション
(リアルで扱っていたものがデジタルになる)
⇩⇩⇩
■ デジタライゼーション
(デジタル化により業務効率化が実現できる)
⇩⇩⇩
■ デジタルトランスフォーメーション
(業務効率化が進み、企業の提供価値が高まり、
社会により貢献できる)
それぞれの例を挙げてみました。
<デジタイゼーション>
ITデバイス(PC、タブレット、スマートフォン)の導入
・リアルタイムにどこでも情報が見られる
・書類の確認や連絡業務がスムーズになる
業務システムの導入
・これまで紙やExcelで管理していたものを デジタル化する
・データの加工も自動化できる
Web会議ツールの導入
・会社外にいる人が会議に参加できる
・働き方改革やBCP対策にもつながる
<デジタライゼーション>
データの活用
これまで個々にデジタル化していたものをワークフローとして統合し、業務効率化を実現できる。
システム同士の連携
一つの成果物を作るために複数のシステムから情報を得ていたこれまでとは異なり、すべてのデータを1システムで管理、過去の情報もストックできるように。これまでにない分析もできて、業務効率化を実現できる。
<デジタルトランスフォーメーション>
新しいビジネスモデルの創出
業務効率化によってこれまでかかっていた社員の作業時間が減少すれば、より生産性の高いクリエイティブな仕事に時間を充当できるようになる。
顧客ニーズへの対応
社員が生産性の高いクリエイティブな仕事に時間をかけることができれば、顧客ニーズをいち早く察知でき、柔軟に対応しやすくなる。
ワークライフバランスの実現と残業の減少
単純作業をデジタル化することで、作業時間を短縮できる。テレワークが進めば、働く場所にとらわれないため、自由な働き方ができ、仕事への意識も変わりやすい。
段階的に分かれていることをお分かりいただけたかと思います。
デジタル技術があらゆる場面に浸透しているいま、ビジネスモデルなどが見直され、新たなものに置き換わり始めています。デジタイゼーション、デジタライゼーションのように、改善も重要ですが、会社全体や経営層が取り組むべきこととして「デジタル・トランスフォーメーション」が今後より一層重要視されていきます。
企業でDXを進める
企業にDXが必要な理由
DXへの関心が高まっているとして、企業はなぜ、DXに取り組む必要があるのでしょうか。もしかすると「自社の規模では必要ないのでは?」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。
その理由は、さまざまな技術が進展しているいま、全ての産業・業界において、 DXがイノベーションの強力な手段となりつつあるためです。
これまでも、企業はそれぞれの市場のなかで製品やサービスの激しい競争を繰り返し、優位性を確保するためにさまざまな戦略を立ててきたと思います。
近年、デジタル技術がより一層加速的に進展しており、その優位性を確保するためには、単なるビジネスプロセスの変革(効率化・自動化)だけでなく、ビジネスモデルの変革も必要になっています。
IT企業だけでなく、すべての産業でイノベーションが必要となっており、その手段がDXなのです。
また、消費者の行動形態の変化も影響してきています。
スマートフォンが普及し、自由なタイミングでどこでもインターネットが利用できるようになり、行動形態は大きく変化しています。
例えば、欲しい商品があった時に店頭で見るよりもネットで探した方が早いですし、より安い店舗を探すことも容易です。
少し前の時代までは、近隣の同業者のみの競争でしたが、現在では世界中の店舗が競合になっているのです。
このような理由から、今すぐにでもDXに着手しないと手遅れになってしまうと言えるでしょう。
近年ではさらに新型コロナウィルスの影響もあり、働き方も大きく変わってきているため、少しでも早くDXの取り組みを進めることが求められています。
DXで得られるメリット
[メリット1]業務効率化・生産性の向上
DXの実現によって、業務効率化や生産性向上が見込めます。
例えば、ITツールの活用によって業務の自動化が可能になれば、従業員の業務負担を減らすことができるようになります。
他にも、RPAの活用によってこれまで人間がやっていた単純作業を自動化でき、これまでよりスピードも精度も上がり、作業品質の向上が期待できるでしょう。
定型作業の効率化は、DXの第一歩です。すぐに取り組めるものの1つなので、進めていきましょう。
[メリット2]働き方改革の実現
DXを推進できれば「働き方改革」の実現も可能になります。
少子高齢化が進み、日本では働き手がどんどん縮小している傾向にあります。これまで以上に生産性を考えなければなりません。
近年の新型コロナの影響により、多くの企業で既に進んでおりますが、Web会議ツールやクラウドサービスを活用して、テレワークを実施できるようになりました。テレワークの導入が進むことによって、在宅勤務が可能になり、海外に住む方や育児や介護で出社が難しい社員も同じような働き方が可能になります。
[メリット3]新ビジネスの創出
DXを進めることで、新たなビジネスを創出できるようになります。
企業の生産性を上げて、市場における優位性を確立することで、新しいビジネスを生み出すチャンスが広がるのです。
身近な例で考えると、Apple社のiPhoneはいまや世界中の人にスマホのある生活をもたらしましたし、老若男女に人気なメルカリも消費者同士が取引をする、これまでになかった「CtoC」というビジネスモデルを確立しました。
他にもさまざまな企業で新ビジネス、新サービスが日々生まれていますが、どこの企業でもDXの実現をしたからたどり着いた偉業と言えます。
DXの最終目的は「ビジネスモデルや人々の生活を根底から変えること・豊かにすること」です。
新ビジネスを創出できている企業は、まさにDXの実現によって人々の生活を豊かに変えていっていると思います。
まとめ
経済産業省のDXレポートを見てみると、残念ながらDXが十分に推進できていないのが日本の現状と言えます。
課題はたくさんあり、そもそもDXの手前の「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」が進んでいない企業が多かったり、理解が薄く他人任せになってしまっていたり、デジタル人材が不足していたり…と課題は山積みです。
また、DXと言っても業種によってさまざまですし、数えきれないほどのアプローチ方法があると思います。まずは「自社ではどのようなアプローチが可能なのか、適切なのか」を考えてみると良いと思います。今後さらなる競争の激化、海外からの参入に負けないようDXの取り組みは必須です。
移り変わりが激化していく市場に適応するためにも、ぜひDXの推進方法を考えてみてください。
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