DXコラム

AIとIoTの相乗効果が業務やビジネスにもたらす影響について

#AI活用 

2022.11.28
AI/IoT スマートシティ

AIとIoTの相乗効果が業務やビジネスにもたらす影響について

はじめに

近年、デジタル技術の発展により急速な勢いで成長しているAI市場は今後も拡大することが期待されています。AIはさまざまな形式のデータをアルゴリズム(AIモデル)が処理し、判断を行います。なかでもAIによって業務の自動化、効率化が進みつつあります。同じくデータを収集し、分析した結果をもとに業務の新しい可能性を見つけるIoTもAIと親和性が高い技術です。AIとIoTの技術を組み合わせれば、より大きな価値を生み出すことが期待されています。
そこで今回は、AIと連携させることによってさらなる高機能化が期待されるIoTシステムの利活用シーンについてご紹介します。

「AI」と「IoT」にはそれぞれ異なる役割があり、組み合わせて活用されています。そのため2つの技術の違いや特徴などが混同してしまっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。それぞれの特徴についてご紹介いたします。

AIとは

AIは「Artificial Intelligence」の略語であり、日本語では人工知能と訳されることが多いです。取得可能なデータ量やデータ種類の増大、アルゴリズムの高度化、ストレージ技術の発展といった近年の動向により、AIで代替可能な規模が拡大したため、一層広く知られるようになりました。さまざまなデータを、プログラミングすることで私たち人間の行動を人工的に再現することができます。
AIは機械学習技術の発達によって、大量のデータをAIモデルが学習し画像認識、音声認識、自然言語解析、予測判断といった技術を発展させてきました。

IoTとは

IoTは「Internet of Things」の略称で、日本語では「モノのインターネット」と訳されます。読み方は「アイオーティー」です。従来インターネットに接続されていなかったモノがネットワークを通じてサーバーやクラウドサービスに接続され、相互に情報交換をする技術です。モノとは工場などのセンサー機器、住宅や建物、自動車、各種家電製品、電子機器など多岐にわたります。通信技術の急速な発展に伴い、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末からもインターネット接続が可能になりました。モノがインターネットとつながることによって、これまでは不可能だった「離れているモノ」を操作する・状態を確認する・位置を把握する・モノ同士でデータを送受信することが実現可能となりました。
IoT技術の進歩によりさまざまなモノから情報を収集して可視化することができるようになりましたが「モノ」とは物理的に存在する物だけではなく、自然現象や生物の行動なども含んでいます。対象に取り付けられたセンサーデバイスから情報をインターネット経由で受け取ることで情報を収集し、その結果を分析して新たな価値を見出します。

AIとIoTの違い

AIとIoTはどちらも同じような場面で活用されることが多く、違いが分からないと感じる方もいるのではないでしょうか?
AIはビッグデータを集積し分析するプログラムを活用したソフトウェアで、AIそのものには形がありません。AIを活用するためにはコンピューターが必要になります。一方、IoTはインターネットにつながったモノというハードウェアです。データを集め、動作するモノが必要不可欠です。

AIとIoTの関係性

AIとIoTは組み合わせて利活用することで新しい価値を生み出すことができる、親和性の高い技術とされています。その理由はIoTがモノに取り付けたセンサーからデータを取得し、AIがサーバーに収集したデータを分析し、次の動作の指示に利活用するためです。IoTが取得する大量のデータは、AIの精度を上げるための学習データに用いられ、AIをより高度に動かすための資産となります。

IoTでは従来より、過去のデータの傾向の分析・処理を行い、ある一定のルールに沿った判断、もしくはデータ分析専門家の判断に基づいて、次の行動が実行されていました。ここにAIを適用すると、取得したデータをリアルタイムに分析して、即時に状況把握や監視、予測・予知ができるようになります。IoTで情報を集めAIで判断し実行することで、従来は人間が行っていた作業をAIに任せて自動化することができます。人的ミスがなくなり精度の向上が見込めるだけではなく、無駄な工数削減にも寄与することができます。
このようにAIとIoTはお互いの特性を生かしビジネスではもちろん、私たちの私生活での利便性も向上すると考えられています。

AIとIoTを組み合わせたシステムやサービス

総務省が発表している「令和2年通信利用動向調査の結果」(対象:公務を除く産業に属する常用雇用者規模100人以上の企業6,017企業)では、デジタルデータの収集・解析のためIoTやAIを導入している、または導入予定の企業は、全体の2割を超えています。そのなかで、IoT・AIシステムの導入効果があったと回答した企業は8割を超えていました。この結果からわかるようにAIやIoTの導入は一定の良い効果があるといえます。
では、どのようなAIとIoTを組み合わせたシステムやサービスが利活用されているのか、いくつか事例を紹介します。

1:スマートシティ

交通渋滞の問題解決をするために道路のIoTの技術が含まれたライブカメラ映像をAIで分析し交通状況に応じて信号機の点滅間隔を自動で切り替えるようにしました。その結果、救急車の到着時間が半減したり、自動車の走行速度が15%上昇したりしました。このように街中に配置されるあらゆるものがネットワークにつながりインフラ整備に役立っています。

スマートシティーについては、詳しくは「~スマートシティの過去と今~社会が求めるウェルビーイング前提の都市づくり」をご参照ください。

2:自動運転車(運転自動化技術)

自動車に取り付けたIoTの技術が含まれたセンサーから位置情報・走行情報といったデータをクラウドへ送り、AIがそのデータを解析し、その結果を自動車へ送信し返します。AIから返ってきたデータに基づき、道路状況や渋滞状況を判断し自動運転を実施します。自動運転では、AIの画像処理やセキュリティに関わる技術も活用されています。

3:在宅医療・介護

深刻な人手不足が慢性的となっている医療・介護の現場において在宅療養者・要介護者の状態確認に用いられています。IoTの技術が含まれたカメラを療養者・要介護者の自宅に設置して、状態をモニタリングします。AIが画像の解析を実施し、異常を検知した際は家族や病院へ連携を行い迅速な対応を行うことが可能です。

まとめ

近年は第5世代の移動通信システムである5Gの商用サービスが日本でも開始されたことにより、さまざまなIoTデバイスを同時にインターネットに接続して大量のデータのやり取りも可能になりました。IoTの成長は大量のデータから学習する技術であるAIの成長にもつながります。AIとIoTは場所や時間、環境に関係なく活用が可能な技術であり、更なる進展が期待されています。
今後企業にとって必要不可欠な技術となることが予測されますが「便利そうだから」という短絡的な考えで最新の設備を導入しても最大限に活かしきれない場合があります。AIやIoTの導入を検討する場合は「なぜ必要なのか・どんな課題を解決したいのか」を、明確にしたうえで導入を進めましょう。

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