はじめに
パソコンやスマートフォンなどのデバイスが普及し、アプリケーション(アプリ)の利用は日常生活において欠かせないものとなりました。アプリ運用に関するビジネスも、近年は活発になっています。新規事業としてアプリ運用を検討している方は多いのではないでしょうか。
アプリ運用を成功させるには、開発費だけでなく、リリース後に継続して発生する「維持費」も考慮して予算を組むことが大切です。この維持費は、運用・保守費用、機能追加費用、サーバー費用など全部で6項目にもわたります。
この記事では、アプリ維持費の相場や種類、維持費を抑えるためのポイントについて解説します。
アプリの運用・保守費用の相場は「開発費の15%」
アプリの維持費の中で最も大きくなるのがアプリの運用・保守費用。これに必要な金額は、年間で「開発費用の15%」程度が目安です。
運用・保守にかかる費用は、システムの規模、実装されている機能、利用者数、ビジネス要件などによって変化します。開発費用の15%程度というのはハードウェアやソフトウェアに対する最低限の運用・保守費用のため、場合によっては追加で維持費が発生する可能性もあります。
ちなみに、アプリの開発費用は、アプリに実装する機能や開発規模などの要因により大きく異なりますが、一般的に250万円前後が目安です。
運用・保守費用が開発費用の15%とすると、開発費用が250万円の場合は、年間で37.5万円程度の運用・保守費用がかかることになります。
アプリの開発費用について詳しく知りたい方は、以下の記事もぜひ参考にしてください。
『アプリ開発に必要な費用とは?相場やコストを抑える方法について』
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アプリの運用と保守の違い
アプリ開発において運用と保守はいずれも欠かせない業務ですが、それぞれの業務の違いについてよく知らないという方も多いのではないでしょうか。
アプリの運用業務と保守業務は、それぞれ業務の役割が異なります。アプリの運用・保守費用について理解を深めるために、まずは運用と保守の業務の違いについて見ていきましょう。
アプリの運用業務について
運用業務とは、アプリを安定的に稼働させるために、アプリやシステムの管理を日々行なうことです。
運用業務はおもに「オペレーション」と「監視」に分けられます。
・オペレーション
オペレーションとは、アプリのシステムを安定的に稼働させるための業務です。データのバックアップ作成、データの入力・出力などが、オペレーション業務に分類されます。
・監視
監視とは、アプリが正常に稼働していることを定期的にチェックする業務で、アプリが稼働しているサーバーやハードウェアの監視も運用業務に含まれます。また、必要に応じてトラブルの対処にもあたります。
アプリの保守業務について
保守業務は、突発的なトラブルなど、アプリに不具合が生じた際の対処や、アプリをより快適に使用するための改善作業です。
具体的には、アプリのアップデートや仕様変更、OSアップデートに対応した修正、機能追加、不具合発生時の修正対応などが保守業務として挙げられます。
保守業務には、必要に応じてシステムに改善・修正を加えるという特徴があります。
万が一、アプリのシステムに不具合が生じた場合には、それが解決するまでサービスを停止することとなり、ユーザー評価が下がる原因にもなりかねません。そのため、トラブル発生時には迅速な原因究明とシステム復旧が求められます。
アプリのリリース後にかかる6つの維持費
アプリはリリースしたあとも、アプリを維持するための費用が必要です。ここでは、アプリのリリース後に必要となる以下の6つの維持費用について解説します。
● 運用・保守費用
● 機能追加費用
● サーバー費用
● SSL証明書費用
● ドメイン費用
● アプリストア登録の更新費用
運用・保守費用
前述のとおり、アプリの6つの維持費のうち、特にコストが大きくなるのが運用・保守費用です。データのバックアップ作成、アプリのアップデート、OSアップデートへの対応、バグや不具合の修正など、運用・保守業務はアプリを維持するうえで欠かせません。
先述したように、アプリの運用・保守には、年間でアプリ開発費用に対し15%程度の費用が必要です。アプリに実装されている機能や規模によって運用・保守にかかる工数は変化するため、運用・保守費用はアプリによって大きく異なります。
機能追加費用
アプリのリリース後に、機能の追加が必要となることも珍しくありません。
実装する機能によって費用は異なり、1機能の実装につき数万円~数十万円程度と金額に大きく幅があります。
ユーザーのニーズに応じた機能の追加や修正は、顧客満足度を向上させるためには欠かせません。アプリのリリース後も機能の追加・改善は継続的に行なう必要があるため、機能追加費用の予算は余裕を持って設定しておくとよいでしょう。
サーバー費用
アプリを維持するには、サーバーの契約が必要です。
サーバーには、無料のものから月額数十万円のものまで、さまざまな種類が存在します。無料プランや安価なプランは維持費を削減できますが、アクセスが集中した際に制限がかかり、通信エラーが生じやすいというデメリットがある点に注意が必要です。
サーバーを選ぶ際は、アプリのスペックや規模に合ったサービスを選ぶようにしましょう。
SSL証明書費用
SSL証明書とは、通信データの暗号化や、通信先のサーバーが実在することを証明するためのものです。このSSL証明書の費用は、無料のものから、高いものでは年間で10万円程度と費用に幅があります。
近年、社会全体で情報セキュリティへの関心が高まっています。SSL証明書は「なりすまし」防止に役立ち、ユーザーに安心感を与えることもできるため、アプリのバックボーンとしてサーバーとドメインが必要な場合には取得しておくのがおすすめです。
ドメイン費用
ドメインとは、Webサイトがどこにあるかを判別するための情報で、インターネット上の住所のような役割があります。有名なトップレベルドメインとしては「.jp」「.com」「.net」などが挙げられるでしょう。
ドメインは1年ごとに契約を更新するのが一般的で、年間1,000円~3万円程度の費用が必要です。近年では、30万を超える高額なドメインなどもありますが、アプリのバックボーンとして使うことはあまりないと思われます。
ドメインにはさまざまな種類があり、どのドメインを使うかでユーザーへの印象が左右されることもあります。例えば、国内サイトを示す「.jp」は、ユーザーに信頼感を与えられるでしょう。
アプリストア登録の更新費用
アプリストアとは「App Store」や「Google Play」など、ユーザーがアプリを購入・ダウンロードできるサービスのことです。
App StoreやGoogle Playなどでアプリを公開するには、公開先のアプリストアにアプリを登録する必要があります。
例えば、Google Playの登録料金は25米ドル(約3,500円)で、更新費用は発生しません。一方、App Storeの場合は、登録料金は99米ドル(約1万4,000円)で、さらに1年ごとに99米ドル(約1万4,000円)の更新費用がかかります。
※1米ドル=140円として計算(2023年7月31日現在)
アプリ運用では、複数のアプリストアに登録することも珍しくありません。更新手数料が値上がりする可能性も考慮した予算を確保しておきましょう。
アプリの維持費用を抑えるためのポイント
アプリの長期的な運用を検討している方の多くは、維持費を少しでも抑えたいと考えているのではないでしょうか。しかし、アプリの維持に必要なコストを無理に削ってしまっては、運用に支障をきたす可能性もあるため注意が必要です。
アプリの維持費を抑えるには「アプリに実装する機能を絞る」「相見積もりで開発会社を比較する」という2つの方法があります。それぞれの内容について、詳しく見ていきましょう。
アプリに実装する機能を絞る
アプリの維持費を抑えるには、アプリに実装する機能を厳選し、必要最小限の機能のみを実装するという方法があります。
先述したとおり、アプリの運用・保守費用は、開発費用に基づいて算出されるのが一般的です。つまり、いかに開発費用を抑えられるかが、アプリの維持費用の金額を左右するといえます。
アプリの開発費用は、多くの機能を実装するほど高額になります。したがって実装する機能を絞れば、アプリの開発費用も抑えられるでしょう。
アプリ開発時点では実装する機能を必要最小限にとどめ、リリース後に必要な機能を追加実装していくことで、運用・保守にかかる費用を抑えることができます。今、必要ではない機能に維持費をかけずに済むため、維持費用の適正化にもつながります。
相見積もりで開発会社を比較する
相見積もりとは、複数の開発会社に対して、同じ依頼内容で見積もりを請求し、内容を比較することです。同じ条件で金額を比較することにより、相場を把握でき、費用が安い開発会社を選ぶことができます。
相見積もりで開発会社を比較する際は、運用・保守費用だけでなく、開発費用も含めた見積もりを出すのがポイントです。
アプリの運用・保守では、システムの設計やコードなどを理解している必要があります。開発と運用・保守を同じ会社に依頼することで、バグや不具合が発生した際もスムーズに対応できるでしょう。
アプリ維持費の金額には開発費が大きく影響する
アプリを維持するには、運用・保守費用に加え、必要な機能を追加する費用や、サーバーやドメインの契約費用、SSL証明書の取得費用、アプリストアの登録・更新費用など、さまざまな費用がかかります。アプリ運用を成功させるには、アプリの維持費用も考慮した予算を確保しておくことが重要です。
アプリは規模や実装する機能によって、維持費用が大きく異なります。アプリの維持費用は開発費用に基づいておおよその金額が算出されるため、開発費用を抑えることが維持費用を抑えることにつながります。
開発費用と維持費用を抑える場合は、アプリ開発時点で実装する機能を必要最小限にしたり、相見積もりで開発会社へ支払う費用を比較したりするとよいでしょう。
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