はじめに
DX(デジタルトランスフォーメーション)は、企業が多様化・複雑化する市場ニーズの変化に柔軟に対応するための手段として注目されています。DX推進の重要性が広く認知される一方で、DXによってビジネスモデルを変革させる必要性について、明確に説明できない方は多いのではないでしょうか。
DX推進を成功させるには、DXの目的(ゴール)や現状の課題を明らかにしたうえで、自社に合った取り組みの実施が求められます。DX推進を効果的に実施するためにも、ビジネスモデルを変革する理由について正しく理解しておくことは非常に重要です。
この記事では、DXでビジネスモデルの変革が必要とされる背景や、ビジネスモデル変革を成功させるポイント、ビジネスモデルのおもな種類について具体的に解説します。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とはデジタル技術を活用して競争上の優位性を確立すること
ビジネスにおけるDXとは、データおよびデジタル技術の活用によってビジネスモデルを変革し、企業が競争上の優位性を確立することを意味します。
つまりDX推進とは、デジタル技術を活用して、時代の変化に柔軟に対応し、より付加価値の高いサービスや製品を提供できる仕組みを構築するための、取り組みといえるでしょう。
注意点は、DX=単なるデジタル化ではないということです。デジタル化は、あくまでビジネスモデルを変革するための手段の一つにすぎません。そのため、DXは単にデジタルツールを導入すれば完了するものではないという点は押さえておきましょう。目的と手段が入れ替わり、デジタル化そのものが目的とならないよう注意が必要です。
DXの定義や歴史的経緯、DXに取り組むメリットについて詳しく知りたい方は、以下の記事もぜひご覧ください。
『今さら聞けない!DXの基礎 -企業におけるDXについて-』
DXでビジネスモデルの変革が必要とされる理由
DXでビジネスモデルの変革が必要とされる、おもな理由について見ていきましょう。
顧客の行動が多様化した
スマートフォンやタブレットなどの端末の普及により、ユーザーはインターネットと常時接続した状態を維持できるようになりました。SNSの影響力も大きく、ユーザーは自由かつ迅速に情報を発信・受信することが可能です。顧客ニーズは急速に多様化・複雑化しており、既存システムではユーザーの行動変化に対し、十分に対応するのが難しくなっています。
そのような状況を打破するため、DXを導入したビジネスモデルの変革が必要とされています。
デジタル技術が急速に進歩した
既存システムを構築した頃と比べると、事業を取り巻く環境が大きく変化していることも、DXが必要とされる理由の一つに挙げられます。
デジタル技術の急速な進歩により、コミュニケーション手段の多様化、商品やサービスの提供方法の変化など、事業環境は大きく変化しています。また、大量のデータを高速で処理できるようになり、データに基づいた新たなビジネス戦略を立てられるようになりました。
刻々と変化する事業環境に合わせたビジネスを可能とするために、DXでビジネスモデルを変革することが喫緊の課題なのです。
DXでビジネスモデル変革を成功させるポイント
DXでビジネスモデルの変革を成功させ、競争上の優位性を確立するには、以下の3つのポイントを押さえることが重要です。
● DXのゴールを明確化する
● 組織全体でDXに取り組める体制づくり
● DX人材を確保・育成する
DXのゴールを明確化する
DX推進では、DXによって目指すべきゴールを設定し、そのゴールに到達するために必要な戦略を立てることが重要です。
DXのゴールを定めるには、現状の課題を把握し、目指すべき状態を明確にする必要があります。そのうえで、どのような施策が必要なのかを考えましょう。
デジタル技術を利用する際は、ただ漠然とデジタルツールを導入するのではなく、現状の課題を解決するために必要なツールを選択することが重要です。
組織全体でDXに取り組める体制づくり
DXは全社的な取り組みです。そのため、DXに向けた組織体制の構築が必要となります。
DXの過程において、現場の従業員はさまざまな業務の変化に対応することとなるでしょう。DXを推進するにあたり、あらかじめ従業員にDXの必要性を入念に説明し、理解を得られるよう努めることが大事です。
現場の理解が得られないままDXを推進した場合、DXへの反発が生じ、デジタルツールの導入や利活用がうまくいかなくなる可能性もあります。
DX人材を確保・育成する
DX推進には、DXに関する知見を有し、デジタル技術に精通した「DX人材」の存在が欠かせません。
DXは一度取り組んだら終了するものではなく、競争上の優位性を確立し続けるために継続して取り組むことが重要です。長期的なDXに対応するため、外部からDX人材を確保する、社内でDX人材を育成するなどして、持続的なDXの体制づくりを進める必要があります。
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7種類のDXビジネスモデル
DXにおけるビジネスモデルはいくつかありますが、そのうち7種類について紹介し、それぞれのビジネスモデルの特徴について解説します。
XaaS
XaaS(X as a Service:ザース)とは、商品やサービスをクラウド経由で提供する仕組みのことです。XaaSによるビジネスでは、ユーザーは自分で商品を所有せず、特定のクラウドにアクセスして商品やサービスを利用します。
近年、さまざまなものがXaaS化しています。企業にとってのXaaSのメリットは、場所を選ばず不特定多数のユーザーに対して、同時にサービスを提供できるようになることです。
D2C
D2C(Direct to Consumer:ディーツーシー)とは、ECサイト・SNS・直営店舗などの自社のチャネルを通じて、自社の商品やサービスを販売するビジネスモデルです。消費者に対して商品を直接的に販売する仕組みであり、その特徴から「コト付きのモノ消費」とも呼ばれます。
D2Cのメリットは、広告代理店を挟まずに商品やサービスを販売できる点です。商品やサービスの持つ世界観やブランドイメージをより強く表現可能で、顧客とのコミュニケーションもとりやすくなります。
サブスクリプション
サブスクリプションとは、製品・サービスの利用期間や利用量に対して対価を支払う課金提供型のビジネスモデルです。
従来は、サービスや商品を一回の販売で売り切るビジネスモデルが一般的でした。このような売り切り型ビジネスの場合は、顧客が商品を購入するタイミングで売上が発生します。
一方サブスクリプションの目的は、顧客に長期的に利用してもらうことです。利用期間が長くなるほど売上が増えるため、解約がなければ安定した利益が期待できるメリットがあります。
プラットフォーム
ビジネスにおけるプラットフォームとは、サービスの提供者と利用者をつなぐものを指し、商品やサービス、情報が集まる場所のことを指します。
インターネット上にあるプラットフォームは、サービス提供者が増えるほど、商品が充実します。つまり、サービス提供者数が多いほど、利用者に多くの選択肢を提示でき、魅力的なプラットフォームになるでしょう。
また、プラットフォームの利用者が増えることにより、サービス提供者側も収益性が向上し、多くの顧客データを集められるメリットがあります。
マス・カスタマイゼーション
マス・カスタマイゼーションとは、大量生産によるコストパフォーマンスを維持しつつ、個々の顧客ニーズに合わせて製品・サービスを販売するビジネスモデルのことです。
製品・サービスを、個々の顧客に合わせて提供するには膨大なコストがかかるため、大量生産での対応は難しいものです。しかし近年、デジタル技術の進歩により、さまざまな要望をスピーディーに集約し、受注生産での迅速な対応を実現できるようになりました。
マス・カスタマイゼーションには、高いコストパフォーマンス、多様化した顧客ニーズへの迅速な対応、顧客満足度の向上など多くのメリットがあり、製造業を中心にさまざまな業界で注目されています。
シェアリングエコノミー
シェアリングエコノミーとは、インターネット上のマッチングプラットフォームを介して、個人などが保有する資産を他者も利用できるようにするビジネスモデルのことです。
資産の提供者と利用者がプラットフォームを介してつながることで、利用者はモノを所有しなくても必要なタイミングで利用可能になります。つまり、提供者は眠らせたままになっている資産を活用できる一方、利用者は所有コストを削減できることがそれぞれのメリットです。
シェアリングエコノミーは、経済を活性化させるビジネスモデルの一つです。
パーソナライゼーション
パーソナライゼーションとは、自社の商品やサービスを顧客の興味や関心、嗜好に合わせて最適化していくことです。あらかじめ収集した顧客の属性や行動履歴などのデータに基づき、個人に合ったサービスを選定・提供することを目指します。
パーソナライゼーションにより、ユーザーエクスペリエンスを最大化することが可能です。これにより、顧客満足度の向上や契約率の向上、サービスの長期的な利用などが期待できます。
DXによるビジネスモデル変革は多様化・複雑化するニーズに対応する手段
デジタル技術の急速な進歩により、市場ニーズは目まぐるしく変化しています。多様化するニーズに迅速かつ柔軟に対応するため、DXによるビジネスモデルの変革は多くの企業にとって急務といえるでしょう。
DXは、ビジネスモデルを変革し、競争上の優位性を確立することが目的です。そのため、単にデジタル技術を導入すれば終わるものではない点に注意する必要があります。
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