はじめに
パソコンやスマートフォンの普及が進み、日常生活において「Webアプリケーション(Webアプリ)」に触れる機会が増えました。
アプリケーションにはさまざまな種類があります。アプリケーションの開発・運用を検討している場合は、それぞれの特徴や仕組みについて理解しておくことが大切です。
この記事では、Webアプリケーションに焦点を当て、その仕組みや特徴、開発のおもな流れについて解説していきます。Webサイトやネイティブアプリとの違いについても触れていくので、アプリケーション開発に関心のある方はぜひ参考にしてください。
Webアプリケーションとは?
アプリケーションには「Webアプリケーション」と「ネイティブアプリ」が存在します。この章では、それぞれのアプリケーションの違いや、Webアプリケーションと混同されることの多い「Webサイト」の特徴に触れつつ、Webアプリケーションへの理解を深めていきましょう。
Webアプリケーションの基礎知識
Webアプリケーション(Web Application、Web App)とは、インターネットを介して、Webブラウザ上で動作するアプリケーションのことです。Webブラウザ上で利用できるため、アプリケーションをパソコンやスマートフォンなどのデバイスにインストールしなくて良いという特徴があります。
代表的なWebアプリケーションには、Gmail、YouTube、Twitterなどが挙げられます。実際に、これらのサービスをWebブラウザ上で使用したことがある方も多いのではないでしょうか。アプリケーションをインストールする必要がないため、誰でも気軽に利用できる点が魅力のサービスです。
Webアプリケーションはブラウザ上で動作しますが、開発にはHTMLだけでなく、専用のプログラムが用いられています。
Webサイトは閲覧者にページの更新権限がない
Webアプリケーションと混同されやすいのが「Webサイト」です。WebサイトとはWebページのまとまりを指しており、基本的にはHTMLとCSSで記述されています。
一般的なコーポレートサイトやブログサイトなどは、Webサイトに分類されます。Webサイトの閲覧者にはページの修正や更新の権限がないことが多く、基本的にはページの閲覧と、お問い合わせフォームへの入力などが可能です。
それに対し、Webアプリケーションは、ユーザーがデータを更新したり、保存したりできるという違いがあります。
ネイティブアプリはインストールして使うアプリケーション
「ネイティブアプリ」とは、App StoreやGoogle Playなどのストアから、パソコンやスマートフォンなどのデバイスにインストールするタイプのアプリケーションです。アプリケーションをデバイスにインストールするため、インターネットに接続していない場合でも利用できるメリットがあります。
Web アプリケーションとネイティブアプリの特徴を組み合わせたものは「ハイブリッドアプリ」と呼ばれます。ハイブリッドアプリはWebブラウザ上で利用できるコンテンツもありますが、基本的にはデバイスにインストールして使います。さらに、インターネット接続が必要です。
Webアプリケーションの特徴・メリット
アプリケーションには、Webアプリケーションのほか、ネイティブアプリやハイブリッドアプリなどもあります。そのなかでWebアプリケーションを開発・運用するメリットとはどのような点にあるのでしょうか。
ユーザーに配布する必要がない
Webアプリケーションは、ユーザーがURLにアクセスし、ブラウザに表示させるだけで利用できます。サーバーにアプリケーションを公開すると同時に利用できるため、ストアを通して配布する必要がありません。
また、ユーザーもデバイスにインストールしなくて良いため、ストレージの容量を気にせず利用できるというメリットがあります。
サーバーで一元管理できる
Webアプリケーションはサーバーで一元管理できます。
アプリケーションの運用では、修正やバージョンアップの対応が発生することも少なくありません。ネイティブアプリのようにアプリケーションストアを通してユーザーに配布している場合は、アプリケーションを更新するたびにストアの申請・審査が入り、一つの対応に時間がかかるという課題があります。
それに対し、Webアプリケーションは、サーバー上でプログラムを更新し、インターネット上で公開するだけで済むことが特徴です。修正やバージョンアップをする場合も、比較的スムーズに対応が完了するというのは大きなメリットといえるでしょう。
開発コストを抑えられる
Webアプリケーションは、ネイティブアプリに比べて開発コストを抑えられる傾向にあります。
ネイティブアプリはパソコンやスマートフォンなどにインストールする必要があるため、さまざまなデバイスに柔軟に対応できるよう開発しなければなりません。そのため開発に時間がかかり、その分費用も膨らみます。
Webアプリケーションも多機能ですが、ネイティブアプリほど構造が複雑ではありません。そのため、Webアプリケーションはネイティブアプリよりも開発費用を抑えられるのです。
また、Webアプリケーションはストアを通さないため、ストアの登録手数料などがかからないというメリットもあります。
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Webアプリケーションの注意点
Webアプリケーションは、デバイスにインストールせず気軽に利用できる大きなメリットがあります。しかし、インターネット環境がなければ利用できない点は問題です。
また、ネイティブアプリのように、デバイスのホーム画面にアイコンを自動追加したり、プッシュ通知を表示させたりすることもできません。そのため、ネイティブアプリと比べるとアプリケーションの利用頻度を向上させることが難しい、というデメリットもあります。
なお、多くのWebアプリケーションでは、利用に際してアカウント作成が必要です。アカウント情報には個人情報が多く含まれるため、情報セキュリティ対策も考慮しなければなりません。
Webアプリケーションの仕組み
Webアプリケーションは、大きく「クライアントサイド(フロントエンド)」と「サーバーサイド(バックエンド)」の2つの要素に分けられます。
クライアントサイドとは、ユーザーが実際に手に触れて見ることができる領域のことです。例えば、パソコンやスマートフォンなどのブラウザの表示画面も、クライアントサイドに含まれます。クライアントサイドはユーザーが直接操作する部分のため、アプリケーションのデザインや操作性が満足度に大きく影響します。
それに対し、サーバーサイドとは、ユーザーが直接見たり触れたりすることができない領域のことです。Webアプリケーションにおいて、サーバーサイドは情報処理を担当する部分であり、必要に応じてデータベースを更新したり、その結果をブラウザに送信したりしています。
Webアプリケーションでは、クライアントサイドの要求に対し、サーバーサイドが情報やデータの処理を実行します。そしてサーバーサイドの処理がクライアントサイドに反映されることで、ユーザーはアプリケーションが正常に動作したことを認識できるようになるのです。
Webアプリケーションの開発手順
Webアプリケーションを開発する際はどのような手順で行うか、基本的な流れを見ていきます。
アプリケーションの企画・設計を行う
まず、開発するWebアプリケーションの内容を決めることから始めます。アプリケーションを開発する目的を明確にし、ターゲット層や市場ニーズを分析して、どのようなアプリケーションにするかを具体的に企画・設計していきます。
アプリケーションの種類や機能の数によって、開発期間や予算は変動します。最初に決めた企画・設計は開発の全工程に影響するため、しっかり時間をかけて取り組みましょう。
どんなユーザーがサービスを使うのか、一社員の原体験から構想を作った、Universal MaaSプロトタイプアプリを活用した全日本空輸(ANA)株式会社の導入事例もぜひご一読ください。
開発言語を選択する
Webアプリケーションの開発に用いるプログラミング言語を選択します。
プログラミング言語にはさまざまな種類がありますが、Webアプリケーションの開発ではJavaScript・Java・Ruby・Python・PHPなどがよく使われています。
開発に着手する前に、どの言語で開発を進めるかを決めておきましょう。クライアントサイドとサーバーサイドでは、開発に用いるプログラミング言語が異なります。また、開発するアプリケーションの種類によっても選ぶべきプログラミング言語は変わるため「どのようなアプリケーションを作りたいのか」をしっかり決めたうえで開発言語を選んでください。
フレームワークを選択する
Webアプリケーション開発におけるフレームワークとは「開発の枠組み」のことで、アプリケーションやシステム開発に必要な機能や処理があらかじめパッケージ化されたものです。
フレームワークを使用せずイチからすべて開発することも可能ですが、フレームワークを利用すれば開発をスムーズかつスピーディーに進めることができます。複数のメンバーでチームを組んで開発を行う際も、フレームワークを活用すれば作業の効率化につながるでしょう。
多種多様なフレームワークが存在しますが、開発にあたってはプログラミング言語に合わせてフレームワークを選択します。
開発ツールの選定・開発環境の構築
開発ツールとは、いわゆる開発環境のことです。Webアプリケーションの開発では、一般的に開発ツールを利用して効率的に作業を行います。また、アプリケーション開発は複数名で進めることが多く、開発ツールはチーム単位での共同作業をスムーズにするうえでも有効です。
開発ツールには、開発に役立つ機能が備わっています。例えば、コードのミスやバグのアラート機能、作業履歴、開発途中の状態を再現する機能などがあります。
開発ツールは、プログラミング言語や、ツールに搭載されている機能、開発メンバーの人数、利用料金などを考慮して、自社に適したものを選択してください。
アプリケーションの公開
Webアプリケーションをインターネット上に公開するには、ドメインの取得や、サーバーの用意が必要です。
公開方法には、レンタルサーバーを使う方法と、自社でサーバーを用意して公開する方法があります。レンタルサーバーのなかにはサーバーとドメインがセットになったプランを用意している場合もあるため、ドメイン取得前にどのサーバーを使うかを決めておくとよいでしょう。
また、AWS・GCS・Azure・Herokuなどのクラウド上で利用できるプラットフォーム(PaaS)を利用すれば、より手軽にWebアプリケーションを公開できます。
まとめ
Webアプリケーションは、インターネットを介してブラウザ上で動作するタイプのアプリケーションです。パソコンやスマートフォンなどの端末にインストールする必要がないため、誰でも気軽に利用できるというメリットがあります。
Webアプリケーションは、開発コストの面でも優れています。ネイティブアプリほど開発が複雑ではないため、搭載機能を充実させても費用を抑えやすい点は大きな魅力でしょう。
それに対し、ネイティブアプリはデバイスにインストールすればオフライン環境でも使用でき、プッシュ通知や位置情報などデバイスの機能を活用できるという強みがあります。
アプリケーションを開発する際は、それぞれのアプリケーションの特徴をよく理解したうえで、どちらを開発するか決めるようにしましょう。
「アプリケーションで新しいサービスを展開したい」「運用中のアプリケーションが思うように成果につながらない」という場合は、アプリケーションの開発や運用に精通したプロに相談する方法もあります。
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