DXコラム

オンプレミスからクラウドへ切り替えるメリットとその方法

#DX推進  #業務効率化  #コスト削減 

2023.2.16
クラウド導入 システム開発

オンプレミスからクラウドへ切り替えるメリットとその方法

はじめに

「クラウド」という言葉、最近ますます身近になってきたと思いませんか?
現在iPhoneをはじめとした、ほとんどのスマートフォンで「クラウド」は利用されていて、以前のように、スマートフォン端末に大量の画像や動画データを保存した結果、容量を圧迫し端末自体の機能低下を招いてしまう、そのような経験は減ってきたのではないでしょうか。
私生活において「クラウド」は切っても切れない、重要で便利なデータ管理サービスだという認識を持っている方は多いと思います。
しかし、ビジネスにおいて、情報管理にクラウドを利用している企業は7割にとどまり、まだ多くの企業が自社の社内サーバーで情報管理をしています。
今回は、クラウドのメリットとデメリットといった基礎知識からクラウド導入の進め方まで幅広くご紹介いたします。

(参考:総務省『令和3年通信利用動向調査報告書(企業編)』

クラウドとは?

クラウドとは、クラウド(cloud)=「雲」の意味を持ち、インターネット(空)を経由して、インターネット上にあるサービス(サーバー)を提供することから、クラウド(雲)と呼ばれるようになったそうです。※所説あり
ビジネスにおける最大の特徴は、インターネット上に企業のシステム基盤を構築し、データ管理ができることです。従来のようにハードウェアの購入やソフトウェアのインストールなしで利用できるサービスです。
簡単に言えば「必要な時に必要な分だけ利用できる」サーバーの提供サービスです。

オンプレミスとは?

オンプレミスとは、物理的に社内でサーバーを所有しシステムを管理することを意味します。情報管理を自社内で行うため、セキュリティ面では絶大な効果を発揮する一方で、初期費用や運用費などの管理コストがかかってしまいます。
また、定期的にソフトウェアのアップデートが必要になるのと、会社の成長に伴い、扱うデータ量が増えると、その規模によって容量の大きいサーバーに移行し直す必要があります。

クラウド導入のメリット/デメリット

メリット

コストが削減できる

オンプレミスと比べて、コストを抑えることができます。物理的にサーバーやソフトウェアの購入といった初期費用やその後の管理費が必要ありません。また、それに伴う人件費も必要なくなります。

メンテナンスの必要がない

オンプレミス環境では担当エンジニアが定期的にソフトフェアをアップデートしたり、容量に応じて物理的にサーバーを購入したりする必要がありましたが、クラウドサービスの場合はインターネット上で完結できるため、自社で行う必要がありません。また、物理的なサーバーではないため、サーバーの故障によるデータ破損の心配がありません。万が一、データを無くしてしまう事態に見舞われても、バックアップがあるため、短時間で復旧が可能です。

リモートワークに対応できる

データがクラウド上にあるため、どこからでもアクセスができます。自宅やサテライトオフィス、出先にいたとしても、インターネット環境さえあれば、場所を選ばず仕事ができる環境を作ることができます。また、環境を整えれば、スマートフォンやタブレットなどのいろいろなデバイスでデータの閲覧、共有が可能になります。
もちろん、セキュリティ面も働き方に応じて、自由に設定可能なので、企業にあったリモート環境を検討できます。

容量の拡張が柔軟にできる

企業の状況やタイミングに合わせて自由にサーバーの容量を増やすことができます。サービス会社に連絡を取るだけで容量の拡張が可能です。また、細かい設定も可能で、例えば、サービスリリースなどのタイミングで一時的にアクセスが増えると予測される場合、その時間だけサーバーの容量を増やし、アクセス集中に耐えられる強固なサーバーにすることが可能です。

デメリット

・旧社内システムと連携できない可能性がある
・オンプレミスと比べるとセキュリティ面で劣る
・インターネット環境がない場所では利用できない
・パッケージ化されたサービスが多くカスタマイズの自由度が少ない

なぜ、クラウド導入しないのか?

総務省の調査によると

1位:必要がない 48.2%
2位:情報漏洩などセキュリティに不安がある 27.3%
3位:クラウドの導入に伴う既存システムの改修コストが大きい 26.7%
4位:ネットワークの安定性に対する不安がある 15.6%

となっており、多くの企業でクラウドサービスは「必要がない」と感じていることが分かります。
続いて、情報漏洩への不安、既存システムの改修コストがクラウドサービスを利用しない理由TOP3となります。

2025年の崖として騒がれているように、日本において2025年までにシステムの刷新が進まなかった場合、最大で約12兆円/年もの経済損失が発生するそうです。
システム障害を起因とした日本経済の損失のうち約80%がレガシー化したシステムによるもので、オンプレミス環境で運営している企業も例外ではなく、年々IT人材が減少していることも考慮すれば、クラウドを導入するメリットは十分にあると言えます。

(参考:経済産業省『DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~』

クラウドサービスを提供する企業は、重要な企業データを扱うことが多く、預かったデータを強固なセキュリティで守る必要があるため、セキュリティの専門家が常に最新の技術を駆使してデータを守る体制がとられていることがほとんどです。よってセキュリティ面についても、心配いらないと言えます。

クラウド導入までの流れ

①クラウド導入でどのような業務改善ができるのかを明確にする

クラウド導入にはさまざまな用途、進め方があります。
企業が有するデータを格納する場所が必要な場合と、社員同士の連携/連絡を円滑にしたい場合では導入するクラウドのサービスが変わります。
「オンラインストレージ」「メールサーバー」「SFA・CRM」「社内コミュニケーションツール」など、企業の方針やフェーズに合わせた、その企業ならではの利用用途があるはずです。
闇雲に「クラウド導入」を進めるのではなく方針を固め、実業務に落とし込みましょう。

②クラウドのデメリットを把握する

クラウドを導入することで得られるメリットは多数ありますが、上記でも述べたように、クラウドを導入することによるデメリットもあります。
そのことを十分に理解したうえで、企業においてメリットの方が大きいと判断された場合にクラウド導入を進めましょう。

③料金と用途にあったサービスを選ぶ

クラウドサービスを提供する企業によって、得意/不得意な分野があり、サービスによって実現できることや料金もさまざまです。
クラウド導入によって何を成し遂げたいのかを明確にして、それを実現させるためにはどのサービスのどのプランがベストなのかを企業ごとに見比べてみましょう。そこである程度企業が絞れたら、相談や質問は無料で受けてもらえるのか?24時間体制で対応してくれるのか?電話で直接話せるのか?などサポート体制を見ていきます。
コスト面からサポート面まで一通り見える化できたら、導入に踏み込んで良いでしょう。

導入のハードルを下げられるハイブリットクラウド

ここで、クラウドとオンプレミスのハイブリッド型をご紹介します。
上記で述べたように、クラウドとオンプレミスにはそれぞれ、メリットとデメリットがあります。
クラウド環境ではインターネット環境さえあれば、どこでも利用できるためリモートワークと相性がよく、今のご時世に即しています。ただ、カスタマイズの自由度が低いため、既存システムに適合しない場合があり、すべてのシステムをクラウドに移行することは現実的ではないかもしれません。
一方でオンプレミス環境ではカスタマイズ性が優れており、企業に合わせて自由にカスタマイズができますが、運用コストや人件費がかさむ傾向があります。

ハイブリッドクラウドの環境では、サーバー連携の際に特にカスタマイズが必要なくコストを抑えたい部分をクラウドへ移行し、カスタマイズが必要で、セキュリティ面で懸念のある重要なデータを含んでいる部分はオンプレミス環境で管理をするといった使い方ができます。
簡単に言ってしまえば、クラウドサービスとオンプレミスのいいとこ取りができる運用形態です。

まとめ

今回のコラムでは、クラウドについて、基礎的な知識から導入の方法まで説明しました。クラウドの便利さは知っていても「デメリットがあるから導入には踏み出せない」そう思っていた方にも「クラウドは導入する十分なメリットがある」と知っていただけたと思います。
企業によって、サーバーの利用の仕方やシステムの仕組みも異なりますが、もし、既存システムとの兼ね合いでクラウドサーバーを導入できないという課題をお持ちなら、ハイブリッドクラウドを導入して段階的に社内のサーバーを移行しても良いかも知れません。
既存システムの改修にはある程度のコストがかかり、物理的なサーバーの移行は難しいかもしれませんが、
企業の未来のために、今一度、企業のサーバーのあり方を検討してみてはいかがでしょうか?

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