はじめに
昨今、あらゆる企業でDX推進の動きが活発になっています。従来のペーパーレス化などのデジタル化だけでは、DXの波に乗り遅れてしまうと感じている方も多いかと思います。いざ課題を洗い出し、進めていこうと考えたとしても「何にどれくらい費用がかかるのか」「年間の予算をどれくらい押さえれば良いのか」など、費用のイメージを描くことができず動き出せない場合もあるかと思います。
今回は、企業の課題とそのソリューションの費用についてご紹介いたします。皆さまのDX推進の一助となれば幸いです。
DXの費用に対する結果はいつ出るのか
DX推進が進まない理由の1つとして、膨大な費用を要することが挙げられます。DXによる効果は明らかであっても、課題解決までに初期費用やランニングコストが必要です。この費用は企業が使える予算からすると莫大な金額で、一担当者だけではなく経営者を交えた予算編成が必要となります。
また、DXを推進したことで、利益を生み出すには数年かかるとも言われています。長期的に見れば、企業全体の利益は大きくなると言われていますが、必ず成功するとは限らないことに投資をすることは、現業務で多忙であったり、他のミッションがあったりする状況では「挑戦」と感じる方もいるでしょう。また、スモールステップで段階的に目標を定め、推進を続けることがDXの鍵であり、長い目で費用の回収をしていこうとする根気強い心構えも必要となります。その心構えがあり、DXにかかる費用の詳細が把握できれば、取り組みやすくなるのではないでしょうか。
基本的にDXを成功するためには協業するパートナーが必要となるケースが多いです。
冒頭に記載しましたとおり、デジタル技術導入だけではDXを実現することは難しいです。デジタル技術をどのように活用できるかが鍵となるため、デジタル化の先を見据えた構想とその構想を叶えるための予算の確保が必要となります。では、その予算はどれくらい確保しておけば良いのでしょうか。どのような課題を解決するのかによって、費用は異なってくるかと思いますが、具体例を次の章で紹介いたします。
DXを推進させるための初期費用例
前章でも記載いたしましたとおり、DXの費用対効果は、継続的かつ長期期間で見ていく必要があります。そのうえで「自社の課題を解決させる=DX成功」をどこに置くのかは各企業次第です。各企業次第ではありますが、他社の事例を見ると共通点が見つかるケースがあります。特に最初の一歩となる行動や課題は近しいものが多い印象です。今回の章では「他社の課題解決例とそのDXを推進させるための初期費用」についてまとめております。
※あくまで一例であり、企業規模やカスタマイズ内容によって、記載の費用とは乖離が発生するケースがあります。参考までにご覧ください。
DX人材育成
【課題】
・社員のITリテラシーが低い
・実務で活躍できるDX人材を育成していきたい
【費用】
50~300万円(対象20人程度)
【効果】
DX人材研修と言っても幅広く、座学でインプットがメインのものから、実務で活かせるスキルを身につけるためのアウトプットを中心とした研修など、形式はさまざまです。昨今、DX人材が不足していて、DXを推進させるために採用活動を行っている企業は多いです。外部からの採用活動だけではなく、社内のITリテラシー底上げをどうにか向上させられないかという課題意識をもった企業は増えています。その解決策の1つとして、社内のDX推進に向け、まずは人材を育成し、その人物がOJTで社内の人材育成を行うことまでを最終ゴールとして考えている企業もあります。社内でOJTを行うことで、社員のITリテラシー底上げにつながり、一人ひとりがDXに対し当事者意識を持って業務に挑むことができます。
データから営業の形を変える Sales Force Automation(SFA)の導入
【課題】
・案件情報や営業活動の管理を見える化をしていきたい
・「顧客がどのような動きをしているのか」を管理・分析して適宜アプローチをしていきたい
【費用】
600万~(ライセンス費用+開発費)
【効果】
営業活動の履歴を管理できるSales Force Automation。営業同士のコミュニケーションやExcelで管理していた内容をデジタル化することによって、営業活動を見える化することができます。これにより、社員同士の確認はもちろん、上司が部下の営業活動を正確に管理することが可能です。
特に新型コロナウイルス流行後、社内のDX推進に向けて導入している企業は急増しています。
費用の内訳としては「ライセンス費」×「開発費(人件費含む)」が基本となります。開発費を外注するのか、内部で行うのか次第で金額は大きく変化します。
Sales Force Automationを導入することにより、これまで属人化していた営業スキルや顧客情報を営業全員が把握できるようになります。また、Sales Force Automationのデータを活用することで、再アプローチ時期などの見極めができるようになります。その結果、営業手腕に偏ることなく営業全員が目標に前向きに取り組めるようになります。
AIの力で業務フローを改革
【課題】
・人による広告クリエイティブ内のテキストや画像チェックの工数が多く、削減したい
・確認する人によって品質にバラつきがあるので統一したい
【費用】
1,000~2,000万円前後(PoC~導入)
【効果】
今やAIはさまざまなシチュエーションで活用することが可能です。集計、計測ができる数値で明確に表すことができる業務であればAIに学習させることができます。そのため、広告クリエイティブ内の一定の位置にあるロゴや画像のチェックといった作業は適していると言えるでしょう。今回の導入費用はPoC(試作開発の前段階における検証やデモンストレーション)を含んだ費用となります。①審査対象のデータをいただく②KPI設定③簡易AI分析の流れを元に、有効性についてご確認いただきます。その後、PoCを行い、AIを導入することが業務の生産性アップとなり得るのかどうかご判断いただくことが可能です。導入後は継続的にアップデートさせることが可能となるため、精度をあげて生産性アップが期待できます。
まとめ
DXを推進するにあたり、第一ステップとなる初期費用のイメージを掴むことはできましたか?相見積もりを取ったことがある方はご存じかと思いますが、協業するパートナーやソリューションによって費用はさまざまです。それがゆえに 「DX費用の妥当性」に悩まれる方も多いかと思います。
「DXを推進させるための初期費用例」でも記載したように、課題を解決させるために必要な初期費用はシステム導入費だけではありません。DX人材育成や導入前の検証(PoC)なども必要な費用となります。
課題やソリューションは企業によって異なり、もちろんそのソリューションにかかる費用も異なります。なぜなら、DXを推進させるために「●●を行えば良い」と言った具体的な正解がないからです。正解がないからこそ、自社が「どのような課題を解決したいのか」という軸を持つことは大切です。
課題が見えてこない場合には伴走型で一緒に課題整理からお願いできるパートナーを探すことが得策でしょう。