導入事例インタビュー

株式会社足利銀行様

健康経営の側面から男女ともに働きやすい環境を整える

 

 

北関東を中心に134店舗(2023年1月末時点)を展開する足利銀行は、地域に根ざした事業活動で地元企業や個人のお客さまからの信頼も厚く、本店を置く栃木県内では圧倒的な預貸金シェアを誇ります。地域経済を支える銀行の従業員がまず心身共に健康であるべき、という考えに基づき、2017年には「健康経営宣言」を制定。従業員の健康促進と、働きやすい環境づくりに取り組んでいます。同時に女性活躍推進を経営課題の一つに掲げ、達成に向けた環境整備も継続的に行っています。
今回は、同社の健康経営を牽引する人事部のメンバー5名に、男女ともに活躍できる環境づくりへの取り組みや『Kira+sup(女性の健康サポートプログラム)』導入の経緯などについてお伺いしました。

人事部 ダイバーシティ推進室室長 秋場 陽子氏
人事部 次長 荒井 京美氏
人事部 業務役 産業保健師 湯澤 洋美氏
人事部 部長代理 諏訪 佐知子氏
人事部 部長代理 山口 有莉氏

全世代の女性従業員の健康をきめ細かくサポート

貴社の特徴やサービスについて教えていただけますか。

当社は、地域の総合金融機関として「お客さま本位」の精神のもと、企業や個人のお客さまに金融商品やコンサルティングサービス等を提供しています。2016年から、めぶきフィナンシャルグループの一員として、ネットワークを活かした広域ビジネスマッチング(顧客の課題解決に向けたパートナー紹介サービス)なども進めています。また、地域社会のさらなる活性化に向けて、「健康経営応援ローン」という金融商品を通じ、健康経営に取り組む企業への支援も行っています。

貴社では、健康経営についてどのような取り組みを行っていますか。

体と心の健康促進と、働きやすい環境づくりに向けた長時間労働の是正やワークライフバランスの促進です。健康促進についての具体策は、従業員の人間ドック受診率の向上や特定保健指導の取り組み強化、生活習慣病の予防を目的とした保健指導などがあります。

企業規模的にあまり例が無いと聞きますが、当社には健康経営に取り組む以前から常駐の産業保健師が2名在籍するなど、特定保健指導にはかなり力を入れています。月1回、健保と組合、当社の三者で健康管理事業推進委員会を開催して、現状の課題や今後取り組むべき内容を整理しています。

少し前から、委員会で「女性の健康」が取り上げられるようになりました。例えば、30歳以上の方は人間ドックで婦人科検診が受けられますが、30歳未満の方はサポートの手だてが無かったのです。そこで、2024年度から健康診断に婦人科検診を加えた「プチ人間ドック」を健保負担で実施しようと計画しているところです。ランチ付きなので、リフレッシュにもなるのではないかと考えています。
また、女性は長く働いていると更年期障害という健康上の課題に向き合う局面も出てきますので、今の自分の状態を調べる「エクオール検査」を試験的に導入しました。

プレ更年期にあたる40代女性を対象に希望者を募り、初回は100名に受診してもらいました。2回目は希望する従業員100名に自己負担1,000円で実施しました。健康リテラシー向上のためにも、まずは自分の体を知ってもらうということですね。

女性のキャリアをつなぐ「基本方針」を制定

貴社の女性活躍推進の具体的な取り組みについて、教えていただけますか。

女性が今まで以上に活躍し、キャリアをつないでいくために、2023年4月に「女性のキャリア形成基本方針」という大きな枠組みを制定しました。 キャリア形成に関する女性のマインドを分析すると、ある一定以上のステージを望む段階で大きな差が出てきます。育児中の世代が多いため、どうしてもキャリアの「踊り場」ができやすくなって、そこで止まってしまう。なので、出産や育児で生活環境が変化しても、将来的にしっかりキャリアアップしていける仕組みを作りました。

「不妊治療休職制度」も新たに設けられたと聞いております。

「女性のキャリア形成基本方針」における支援策のひとつとして位置づけています。厚労省のデータによると、不妊治療経験者の約4人に1人が仕事と両立できずに離職しているといいます。
当社でもこれからキャリアアップしていく女性が不妊治療を理由に断念することのないよう制定しました。制度を使う側だけではなく、上司や同僚など周囲への支援も必要ですので、スムーズに運用できるよう課題を抽出しながら進もうとしているところです。

こうした女性従業員への支援策を打ち出していくにあたり、男性従業員からの理解は得られているのでしょうか。

アンコンシャスバイアス(性別による無意識の思い込み)は根強く残っていると思います。現在、第一子の出産後にフルタイム勤務に復帰する女性は、20年前の約2倍といわれていますが、「家庭のことは女性が中心にするもの」という意識は社会構造的に残っています。潜在的な男女間の役割分担意識を解消することは、運用を定着させるために我々が行うべき支援のひとつだと考えています。

動画を通して得たさまざまな「気づき」が「働きやすさ」にもつながる

パソナ健康経営支援サービスを利用する経緯を教えていただけますか。

元々パソナさんには人材育成研修や人材派遣など多方面でお世話になっており、キャリア形成基本方針をつくる段階で相談したのがきっかけです。確か、2022年の冬だったと思います。「女性が活躍するための土台作りに必要なものは何か」と伺ったところ、健康面からのアプローチも大切ですよと『Kira+sup(女性の健康サポートプログラム)』サービスを紹介していただきました。

実際にはどのようにご利用いただいたのでしょうか。

新任の部店長の研修に、女性特有の健康課題について学べる動画を活用しました。男女が働きやすい環境づくりに向けて、男性と女性、異なる性を持った方の体のしくみを理解するところから始めました。女性特有の病気については、これまでの管理職研修にも取り入れていましたが、産婦人科医の高尾美穂先生に基礎からわかりやすく動画で教えていただいたことが、皆さんにとってすごく勉強になったのではないかと感じています。アンケートには「これまで女性や男性の体について知る機会がなかった」「若い世代の方は自ら申し出ることはないけれど、実はそういった不調があると知り、今後は何か気づいたら声がけしようと思った」といった回答が多数寄せられたのです。そういった気づきを得ることが、まさに今回の目的でもありました。

 

このメンバーも受講生の一人としても参加したのですが、同じ女性でもホルモンによる影響は人それぞれだと知り、自分基準でしか見ていなかったと気付かされました。今後のリーダー候補に「女性の健康課題」について意識啓発することを今まで避けてきたところもあり、部内でも「しっかり学ぶことも大切だよね」と話し合っています。

元々、全従業員に知ってもらいたいとの想いがあったので、動画導入に際して全行的にアナウンスをして、ご家庭でご家族とも一緒に見られるようにと二次元コードをつけていただきました。従業員であれば、パソコンでいつでも視聴できる環境も整えています。

今回、聴覚障害がある従業員から動画が見たいという声が寄せられまして、改めて字幕を付けていただきました。「気づいていなかった」という反省と同時に、見たいと思ってくれている気持ちが嬉しかったですね。
この動画に対する注目度は非常に高かったです。更年期にさしかかる世代が多いので、そういう者から喜んでもらえた他、動画に登場されている高尾先生についても「最近気になっていた先生でした」と話す者がいました。男性にとっても、高尾先生の親しみやすい語り口は受け入れやすかったのではないでしょうか。

山口さんはパソナが開催した「女性の健康」に関するセミナーに参加した際に高尾先生とお会いされたそうです。企業規模が大きいほど、何かを始め浸透させていくことの難しさがあると感じていたので、一担当者としてどのように訴えていけばよいのか、といったお話も聞かせていただきました。医学的なお話も含め、本当に大きな収穫でした。
また動画を見た部店長たちの感想には「もっと知りたい」「コミュニケーションをはかっていきたい」といったものが非常に多く、部下として嬉しかったです。これを機に理解が深まれば互いに話しやすいし、個人的な健康課題について部下が上司に伝えてよいのだ、という安心感が持てたと思います。

実施してみて、従業員の方の関心度が非常に高かったのですね。

はい。普段はそういう話題に触れないようにしているけれど、動画をきっかけに話が盛り上がったので、やはり関心を持たれている方は多かったんだなという印象です。自分だけでなく、周りの方にも気を使っていることが感じられて、個人的にもよい機会になりました。

近く、「男性の健康」に関する動画も導入を検討されていると伺いました。

2023年度内に、再度、部店長以外の階層に対しての必須研修として、同じ動画コンテンツと新しい「男性の健康編」も導入予定です。女性の健康動画を足がかりに、男性の健康についても社内で理解を深め、男女ともに働きやすい環境を健康経営の側面からも整えることが、小さなゴールになると思っています。働きやすさに寄与する制度は多くありますが、ウェルビーイングを高める上では健康経営からのアプローチも必要ですから。

今後、パソナに期待することがあれば教えていただけますか。

パソナさんは人を大切にする社風だと、会社を見学させていただき感じています。人的資本経営が求められる中、従業員によりフォーカスすることが、お客さまを大切にしたいという思いにもつながっていくと考えているので、我々が気づかないことを引き続き教えていただきたいです。ダイバーシティや健康経営のみならず、バリアフリーな職場環境づくり、人の育成や支援など、多角的なご支援を期待しています。




働く男女の健康について共通理解を育み 女性活躍が進む風土づくりをサポート

・産婦人科医・産業医の高尾美穂先生による研修動画にアドバンス編(短編集)を追加。 男性・女性それぞれに多い病気やメンタルケア、不妊治療、両立支援など、46のテーマについて1分から学べます。
・動画研修の後は、男女が自分の家族も含め相談できるオンライン相談でセルフケアや周囲へのサポートを実践できます。

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働く女性が活躍しやすい環境づくり 何からはじめる?

女性活躍推進法の改正により、企業にはますます働く女性が活躍しやすい環境づくりが求められています。一方で、では何をすればよいのかがわからないという声も。
取り組むべき内容とそれらがもたらす効果を知ることで、「働く女性の健康推進に取り組むべき理由」が見えてきます。

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パソナからコメント

メディカル健康経営本部 健康経営コンサルタント 高津戸 友佳

足利銀行様は、弊社のキラサポ動画コンテンツをとても丁寧に展開していただいたことで成果のでるご活用をいただきました。
管理職の必須研修として100%の管理職に学んでいただけたことから、管理職の方への大きな反響につながり、任意参加の従業員の方々からも、管理職がこの内容を知っていると安心できるというような効果を実感いただくことができました。まさに男女の性差に関する共通の理解における風土醸成のおおきな1歩につながっていると思います。これは女性活躍推進においても好影響となります。従業員を大切に思う気持ちが、必須研修としての位置づけになったと思いますし、ご担当者様皆様から伝わってくる、銀行という職種の働き方の未来をまず自分たちの銀行から良くしていきたいという想いに、私も大変共感しサポートをすることができ大変嬉しく思います。
同じ業種の企業や近い働き方の職種の皆様にも参考になるかと存じます。引き続きよろしくお願いいたします。

 

企業プロフィール

1895年に栃木県足利郡足利町で営業を開始。地域に根ざした事業活動で、貸出金、預金ともに栃木県内ではシェアトップ。本店を置く栃木県を中心に、134店舗を展開。地方銀行トップクラスの収益力を誇る。2016年には常陽銀行と経営統合し発足した「めぶきフィナンシャルグループ」の中核銀行のひとつ。行動指針に「お客さま志向」と「当事者意識」を掲げ、お客さまの「メインパートナー」として地域に貢献している。

会社名
株式会社 足利銀行
所在地
栃木県宇都宮市桜四丁目1番25号
創業
1895年10月
代表者
取締役頭取 清水 和幸
従業員数
2497名(2023年3月末現在)