導入事例インタビュー

野村ホールディングス株式会社様

全ての社員がパフォーマンスを発揮できる環境を
目指し、「女性の健康」推進に尽力

 

 

中核会社の野村證券株式会社を筆頭に、グローバルな金融サービスを提供している野村グループ。その持ち株会社である野村ホールディングス株式会社は、2016年7月に「NOMURA健康経営宣言」を採択し、社員の健康保持・増進に積極的に取り組んでいます。特に優良な健康経営を実践している法人を顕彰する「健康経営優良法人認定制度」においては、グループ2社が「ホワイト500」の上位50位以内に名を連ねており、その施策にも注目が集まっています。
今回は、同社が推進する健康経営をはじめ、パソナによる女性の健康サポートプログラム『Kira+sup(キラサポ)』導入の経緯などについて、ヘルスサポートグループの2人にお話を伺いました。

写真左から
人事企画部ヘルスサポートグループ
シニア・アソシエイト 河野 和絵氏
人事企画部ヘルスサポートグループ
エグゼクティブ・ディレクター 兼 グループ長 水野 晶子氏

創業の精神を受け継ぎ「Well‐Being」を推進

貴社グループは多岐にわたる事業を展開されていますが、その内容について教えていただけますか。

日本を含めグローバルな金融サービスを提供しており、大きく3つの部門に分かれています。株式や債券のほか、お客様のライフステージに合った資産運用をサポートする「営業部門」、広義のアセット・マネジメント・ビジネスを担う「インベストメント・マネジメント部門」、国内外の機関投資家などへのソリューション、インベストメント・バンキング(投資銀行サービス)を提供する「ホールセール部門」です。

2016年に「NOMURA健康経営宣言」を採択され、CHO(健康経営推進最高責任者)も選任されています。ここが健康経営のスタート地点だったのですか?

目に見える形だとそうですね。ただ、野村證券創業者の野村徳七の自叙伝『蔦葛(つたかつら)』には「健康は我々の最大の資本なり」という一節があり、創業時からすでに健康の重要性がうたわれていました。野村證券健康保険組合では、30歳以上の社員は無料で人間ドッグを受診できますが、これは40年以上前から実施している制度です。最大の資本である社員が健康でなければならない、という考え方を受け継ぎ、さらには単に健康になるだけでなく、肉体的にも、精神的にも、社会的にも満たされた状態「Well-being」になることを目標に、社員全員と共有しています。

「Well-being」に向けた、具体的な取り組みを教えていただけますか。

反響が大きかったのは就業時間内禁煙です。もともと20代男性社員の喫煙率の高さが課題としてあり、社員に毎年実施している健康意識調査の中でも「職場で喫煙に関して不快に感じることがある」という意見が多かったため、2021年10月から、在宅勤務も含め就業時間内禁煙に踏み切りました。
また、健康経営を推進する上で、プラットフォームとして機能しているのが「WellGo」です。これは健診結果や現場の勤怠状況といった各種データを一元的に管理、分析できるクラウド健康システムで、社内コンテストで入賞したアイデアを基に開発されました。

紙の健診結果を入力して…という時代もありましたが、「WellGo」でかなり省力化が進み、その他の仕事に時間を注げるようになりました。

「WellGo」の運動記録機能を活用して、部署ごとの平均歩数を競うオンラインのウォーキングイベント「ノム☆チャレWALK」も実施しています。

ランキングを載せるようにしたところ、もともと競争好きな社員の闘争心に火がついてしまったようで(笑)。一日2万歩を記録する部署があるなど、年々大きな盛り上がりを見せています。SNSのように写真を投稿できる機能もあるので、各地のきれいな景色を投稿するなど、それぞれの楽しみ方で多くの社員が参加してくれています。

7割の女性社員が困っている問題に、管理職の半数以上が気づいていないという事実

施策の中で課題はなかったのでしょうか。

野村證券の社員のうち約半数が女性ですが、女性の健康に特化した対策ができていないという課題がありました。健康意識調査では「女性特有の症状に困った経験があるか」という質問に、女性社員の7割が「何かしら困った経験がある」と回答したのに対し、同様の質問を投げかけた管理職の半数以上が「ない」と答えています。そこに大きなギャップを感じ、働きやすい職場環境にするには女性だけでなく、男性も女性の健康について知る必要があると考えました。

パソナの女性の健康サポートプログラム『Kira+sup』を利用いただいたのは、そういった課題が背景にあったのでしょうか。導入の経緯を教えてください。

社員向けの研修は、社内の医療職の人間を中心に手作りしていましたが、もう少しメッセージ性があるものができないかなと考えていたとき、産婦人科医の高尾美穂先生のお話を拝聴する機会がありました。お人柄や語り口がとても魅力的で、社員にもきっと届くだろうと思いました。たまたま、グループ会社の人事担当から『Kira+sup』についてうかがったのを機に、パソナさんに高尾先生との間を取り持っていただきました。

『Kira+sup』には、高尾先生による研修動画を設けています。今回はこれに加え、貴社CHOと高尾先生の対談動画も制作されていましたね。きっかけを教えていただけますか。

当社では、日常的に研修自体が多いことから、研修を実施しますと告知すると「また何かやらされるのか」という印象を社員に与えてしまう懸念もありましたので、「なぜ会社が女性の健康を推進するのか」を社員に理解してもらう必要があると考えました。

対談では、不調を感じている女性が一定数存在すること、その人たちが仕事上で最大限のパフォーマンスを発揮するためにも、女性が各年代で体験しうる心身の「落とし穴」を埋める必要性について触れています。これは、すべての社員に公平な機会を提供する、当社のダイバーシティー経営に通じる考え方でもあり、そういったところを社員に周知したかった思いもありました。

また、聴覚障害がある社員向けに資料を作成したり、外国語を第一言語とする社員には、こちらで内容を英訳したものを準備したりと、できるだけ多くの社員に見てもらえるよう、関係者を総動員して工夫いたしました。結果としてホールディングス15,000人を超える社員全員に視聴いただき、受講率100%を実施することができました。

対談の反響はありましたか。

大変好評でした。本来は社員向けに制作したものですが、一部の役員から「良い内容だから全役員が見たほうがいい」という言葉もいただきました。CHOは男性なのですが、高尾先生との対談をきっかけに、先生の本を読んで勉強したそうです。トップの意識が変わることによって、今後の女性の健康施策が進めやすくなりますし、そういった意味でも対談を実現していただいてよかったです。

男性の理解を深めるアプローチはとても重要ですよね。

女性自身の意識も変わったのではないでしょうか。不調があればまず病院に行く、上司に相談する、上手に休みをとる。それが仕事できちんとパフォーマンスを発揮することにつながるのだと理解できる内容であったと思います。

女性特有の健康課題を正しく理解することが、リテラシー向上の第一歩

一方研修動画は、年代やライフステージごとに異なる女性特有の健康課題について、基本的な知識や当事者への接し方などが学べる構成となっています。こちらはいかがでしたか。

男性社員からも「知ることができてよかった」という声を多数もらっています。職場はもちろん、パートナーに対しても「大変な中で頑張っているんだな」と感じたようです。対談の際にCHOも話していましたが、男性は女性の生理について「知ってはいけない」と思っている人が少なくありません。それだけに、研修で学んで初めて知り、驚いた人が多かったのではないでしょうか。

今後、健康経営において取り組みたいテーマはありますか。

女性の健康に関して、社員が基本的な知識を共有できたことはとても大きな一歩です。ただ、まだ「一歩」なんですね。これからやっていかなければならないことはたくさんあります。まずは、会社の窓口に相談したり、具体的な症状があれば病院に行ったりと、困っている女性社員が次のステップに進むために、背中を押せるような施策ができればいいなと考えています。
今後は、どこにいても、どんな状態であっても、仕事のパフォーマンスを向上させる技量が求められるようになると思います。そういった意味では、女性の健康にひそむ落とし穴を埋める取り組みはとても重要ですし、出社機会が減る中で、メンタルヘルスの課題に対応する必要性も高まるでしょう。リモート勤務時にチャットで相談できる仕組みを作ったり、希薄になりがちな部署の一体感を高めるイベントを企画したりと、新しい働き方にフィットした取り組みも進めていきたいですね。

さまざまな取り組みのアイデアがあるのですね。今後、パソナに期待することがあれば教えていただけますか。

『Kira+sup』の研修は継続を望む声が多く、また女性だけでなく「男性の更年期も取り上げて欲しい」という要望も届いています。なかなか口にしづらいデリケートな課題についても、こうした研修などの機会を通じて取り上げることで解決の糸口になると思いますので、パソナさんにご提案いただければと期待しています。

 

パソナからコメント

メディカル健康経営本部 志波 由季絵

『Kira+sup』の動画研修の受講率が100%であり、施策として大成功であったことに喜びを感じつつ、これだけの成功の要因は何だったのか大変興味がありました。今回の取材を通じてお二人からお伺いし、全社を巻き込む設計に加え、計画的かつ的確に社員へ干渉する等の対応による納得の結果であると感じました。インタビューの際にお伺いしましたご要望を基に、当社でもさらにブラッシュアップを重ねます。引き続き、パートナーとして伴走支援をさせていただきます。

 

企業プロフィール

1925年に中核会社である「野村證券」を設立。時代の変化に合わせて業態を進化させ、世界30カ国・地域を超えるネットワークを有するグローバル金融サービス・グループへと成長を遂げる。2025年の創立100周年に向け、経営ビジョン「社会課題の解決を通じた持続的な成長の実現」を掲げ、サステナブルな社会の実現に向けた取り組みを加速させている。

会社名
野村ホールディングス株式会社
所在地
東京都中央区日本橋1丁目13番1号
創業
1925年12月
代表者
代表執行役社長 グループCEO 奥田 健太郎
従業員数
(グループ全体) 27,131名(2022年9月末現在)