コラム
2025.4.8 更新

健康経営推進検討会に参加してわかった令和7年度調査対策ポイント

2025年3月18日開催の第2回健康経営推進検討会に参加してきました。今回は令和7年度健康経営度調査の方向性や設問変更が検討されている点など、調査対策を進める上で指針となる議論が多数ありました。健康経営担当者がいま押さえておくべき重要ポイントをレポート形式でまとめております。第2回健康経営推進検討会が2025年3月18日に開催されました。企業の健康経営担当者であれば、毎回の本検討会で議論される内容は都度チェックしておくことをお勧めします。本稿では、まず健康経営推進検討会とは何かを解説致します。その後、第2回検討会で議論された内容のうち、令和7年度健康経営度調査に向けた準備を進める上で、担当者が今押さえておくべき重要ポイントをまとめております。

 

 

 

健康経営推進検討会とは

経済産業省 商務・サービスグループの令和6年12月9日資料によると、健康経営推進検討会の趣旨は以下のように書かれています。(※一部抜粋)

第5回健康・医療新産業協議会の決定により、今後は、その下部組織としての健康投資ワーキンググループではなく、経済産業省 商務・サービスグループ長の私的検討会として「健康経営推進検討会」を設置し、引き続き健康経営の持続的な発展に向けて、有識者の意見を踏まえつつ検討を行うものとする。
本検討会においては、健康経営の推進に必要な政策的な方向性を定め、その内容は、経済産業省と健康経営優良法人認定事務局との官民連携企画や、同事務局が主催する基準検討委員会等を通じた各年度の健康経営度調査票改定など、制度の在り方や運営に随時反映していくこととする。

引用:経済産業省 商務・サービスグループ |健康経営推進検討会について

企業の健康経営担当者にとって「健康投資ワーキンググループ」(※以下、健康投資WG)は馴染みがあると思います。健康経営推進検討会とは、健康投資WGの役割を引き継ぐ形で、国として健康経営の推進の方向性を示していく会議であると言えます。健康投資WG同様に、本検討会の事務は経済産業省が行います。

令和7年度健康経営度調査に向けて今押さえるべきポイント

健康投資WGの開催時と同様に、今回も弊社パソナの健康経営コンサルタントが本検討会に一般傍聴で参加してきました。以降では今回の議題から、主に令和7年度健康経営度調査に向けた準備を進める上で、健康経営担当者が今押さえておくべき重要ポイントをまとめました。当日資料を引用しながら、ひとつずつ解説していきたいと思います。

今後の健康経営の展開における3つの方針

まず議論に先立ち、過去10年間にわたるこれまでの健康経営の推進状況について、認識合わせがありました。健康経営担当者としては、以下のスライド「健康経営の波及効果と目指すべき姿(2.0)」を確認し、国が目指す健康経営の全体像を把握しておくことをお勧めします。そして、目指すべき姿を実現していく上で、大きく3つの方針が示されています。すなわち、❶健康経営の可視化と質の向上、❷新たなマーケットの創出、❸健康経営の社会への浸透・定着です。

(出所:第2回健康経営推進検討会 事務局資料①)

この3つの方針はいずれも昨年から変わっておらず、引き続き積極的に進められていくことになります。これらの方針のもと、今回議論された論点は以下の通りでした。

(出所:第2回健康経営推進検討会 事務局資料①)

①~⑤の論点うち、今年度以降の健康経営度調査に直接影響すると考えられるものは①と③です。

健康経営の可視化と質の向上

「健康経営の可視化と質の向上」はここ数年、常に重要な議題としてあげられています。これに対する具体的な方策として、主に「経営層の関与」「PHR活用のための環境準備」「女性の健康推進」が取り上げられました。いずれも健康経営度調査において重要な評価対象となる分野です。

経営層の関与

一昨年から昨年にかけても経営層の関与にまつわる設問は増えましたが、今後もその傾向は続くことが予想されます。今年度調査票については、議論の中で、 経営層の関与の在り方を“より多面的に問う”設問を盛り込むことが検討されました。 例えば、「年度毎の経営者メッセージの社内外発信」「健康経営の意義等に関する管理職研修」「取締役会等での議論による改善内容の有無」などが新たに問われる内容としてあげられています。

(出所:第2回健康経営推進検討会 事務局資料①)

経営層の関与は一朝一夕に進められるものではないため、今すぐにでも対策に取り掛かることを強くお勧めします。

従業員がPHRを活用できる環境準備

PHRの活用もここ数年、非常に重視されています。健康経営の質を向上させるためには、従業員の健康状態を可視化し、それをもとに行動変容に繋げていくことが大切と考えられているからです。昨年度調査では、従業員がPHRを活用できる“環境の有無”が問われていました。令和7年度調査ではさらに一歩踏み込んで、具体的に“どのような環境が整えられているか”を問うことが検討されています。例えば、PHRデータをもとに専門職(保健師・管理栄養士等)や医療職が関わって従業員の健康づくりをサポートできる環境がある等です。

(出所:第2回健康経営推進検討会 事務局資料①)

また、昨年度はPHR集計データを健康経営の施策に活用しているかという設問も問われていました。こちらも今年度は具体的な活用方法を問うことが検討されています。

(出所:第2回健康経営推進検討会 事務局資料①)

PHRの活用は今後ますます具体性が求められるようになるでしょう。既に活用する企業は従業員へのさらなる利用促進を、まだ活用のない企業はPHRサービスの導入を検討することをお勧めします。

女性の健康推進

女性の健康施策はこれまでも重視されてきましたが、今後ますますその必要性が高まってきます。今年度から、女性の健康課題に関する取り組みの効果を検証する大規模なプロジェクトがスタートします。同プロジェクトは約500社が参加し、1年間にわたって実施される予定です。このようなプロジェクトの展開により、女性の健康への関心は一層高まることが予想されます。それに伴い、来年度以降の調査票では、女性の健康に関する取り組み状況がより詳しく問われることも考えられます。

(出所:第2回健康経営推進検討会 事務局資料①)

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健康経営の社会への浸透・定着

例年どおり、非正社員が就業する企業の割合が高いことを受け、引き続き多様な働き方に対応した健康経営の推進が重要と示されています。ここでは非正社員に対する健康経営の普及がテーマにあげられました。

非正社員を含めた健康経営の推進

非正社員に対する健康経営では、まず派遣元企業と情報を共有するなど、対象となる労働者の状況把握から始めることが肝心と述べられました。派遣元と派遣先の連携が進むことで、非正社員の健康づくりをサポートできる体制が整うということです。調査票への具体的な反映については言及されませんでしたが、非正社員を含めた健康経営が今後ますます求められることが予想されます。

(出所:第2回健康経営推進検討会 事務局資料①)

まとめ

以上、第2回健康経営推進検討会で議論された内容のうち、特に今年度の健康経営度調査に向けた準備を進める上で、担当者が把握しておくべき重要ポイントを解説致しました。「経営層の関与」「PHR活用のための環境準備」「女性の健康推進」「非正社員向け健康経営」、いずれの議論も今回に始まったことではなく、近年、常に重要な位置付けで話し合われるテーマです。それぞれのテーマについて、ぜひご自身の会社の状況をご確認の上、今年度の調査に向けた対策を進めてください。
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※第2回健康経営推進検討会に関する資料は経済産業省ホームページで閲覧することができます。