導入事例インタビュー

学校法人東京理科大学様

学生支援の質を高めるパートナーシップ
~大学とパソナの協働による“こころの健康への支援~

学校法人東京理科大学 学生支援部 部長 久保 聡 氏、学生支援部 学生支援課 係長 大村 昌徳 氏

 

 

東京理科大学は、1881年に創立された理工系総合大学であり、私学随一の規模を誇ります。現在、7学部33学科を有し、神楽坂キャンパス(神楽坂校舎・富士見校舎)、葛飾キャンパス、野田キャンパス、北海道・長万部キャンパスの4拠点で展開しています。

設立は若き青年理学士21名によって行われたという独自の歴史的背景があります。2031年には創立150周年を迎える予定であり、現在、節目の年に向けてさまざまな準備が進められています。

学生数は約2万人で、男女比はおよそ7:3となっています。近年は国際化にも力を入れており、東アジアを中心とした25の国と地域より884名の留学生を受け入れています(2025年5月1日現在)。

今回は、学生の「こころの健康」に関わる取り組みとして、学生支援に携わるキーパーソン2名へのインタビューを行いました。悩みを抱える学生が年々増加する中、どのように相談体制を構築してきたのか。同大学の想いと取り組みをご紹介いたします。

学生を取り巻く環境の変化に伴い、大学の支援体制も進化する

貴校の特長と取り巻く環境の変化について教えてください。

本学では、特に理工系総合大学として、理学・工学分野の知見を活かし、数量的かつ実証的なアプローチを重視した教育に注力しており、あわせてグローバル化も進展しています。

長年職員として勤務する中で、コロナ禍以降、学生や社会の環境変化を強く感じております。たとえば、オンライン授業の導入による学習環境の変化や、学生間のコミュニケーション機会の減少等により、メンタルヘルスへの課題が顕在化しています。 このように学生の学ぶ環境が変化する中で、教職員の考え方や支援体制も柔軟に対応していく必要があると考えております。こうした課題は本学だけでなく、多くの大学でも共通して見られるものです。

学生支援体制や相談窓口について教えて下さい。

現在、各キャンパスでは以下のような体制で学生支援を行っています。

  • 神楽坂キャンパス:学生支援課とキャリアセンターをそれぞれ独立して設置しています
  • 葛飾・野田キャンパス:学生・キャリア支援課として、両機能を一体化した組織体制を敷いております。
  • 北海道・長万部キャンパス:長万部事務課を設置しています。

神楽坂キャンパスの「学生支援課とキャリアセンターの分離」や「一部業務を外部委託企業と連携して進める体制」は、他キャンパスへ展開できるのではないかと考えております。

加えて、夜間や閉室時には外部機関による24時間電話相談サービスを導入し、健康面およびメンタル面のフォロー体制も整備しています。さらに増加する留学生への対応として、多言語対応の相談・支援体制も構築しております。

学生相談室の業務をパソナにアウトソーシングした経緯について教えてください。

パソナに神楽坂キャンパスの学生相談室のアウトソーシングをお願いする前は、個人で活動されているカウンセラーの方々と個別に契約をしていました。体制やマニュアルの整備が不十分だった面もあり、統一的な対応が難しい、タイムリーに大学側と情報を共有することが難しいなどの課題を感じていました。

また、2024年4月からは「合理的配慮」が義務化されたことで、障害のある学生や個別の事情を抱えた学生への対応・配慮の柔軟性がより求められるようになりました。さらに、コロナ禍をきっかけとした学生の学習・生活環境の変化などもあり、既存の体制では対応しきれないケースが増えてきました。

こうした経緯から学生のニーズに臨機応変に対応できる体制の必要性を感じ、検討を始めました。

神楽坂キャンパスの学生相談室の受付事務の派遣をパソナにお願いしていたことから、学生相談室の運営についても相談したところ、アウトソーシングという形での支援をご提案いただきました。

アウトソーシングという発想自体が本学では新しいものだったので、他社からの提案も含めて情報収集をし、慎重に検討を進めました。

アウトソーシングを決められる際に、重視したポイントは何ですか?

高い専門性、業務品質の安定性、情報共有と統制のとれた体制、そして信頼関係の4点を重視しました。

まず、ご提案いただいた内容から高い専門性、相談業務の品質の安定性があること、また、属人的ではない統一された組織対応を取っていただけることがよくわかりました。また、定期的な報告会だけでなく、相談内容によっては即時報告をいただけるなど、本学が求めている要望すべてに合致していました。

さらに、決断の大きな後押しとなったのは、野田・葛飾キャンパスに派遣でご紹介をいただいたカウンセラーの方々の専門性の高さ、そしてパソナの営業担当者との信頼関係があったことです。これまでの信頼関係を土台に、神楽坂キャンパスの学生相談室をアウトソーシングするという決断をすることができました。

アウトソーシングの導入にあたり、学内やパソナとの調整で苦労した点はありましたか?

学内の調整においては、理解を得るのに一定の時間を要しました。具体的には、問題が生じた際に学内での対応に戻すことが難しくなるのではないか、また学生カウンセリングのノウハウが校内に残らなくなるのではないかといった懸念の声が挙がりました。

パソナとの調整に関しては、特に困難しい点はございませんでした。

以前より、神楽坂キャンパスの受付事務を派遣していただいていたこともあり、神楽坂キャンパスの状況や学生相談室について十分にご理解をいただいておりました。

また、他大学での運営実績も踏まえ、移行の準備や手順についても事前に丁寧なご説明をいただいたことで、アウトソーシング体制への移行は非常にスムーズに進みました。

パソナとの連携で築いた、学生相談体制 ―信頼と実績が支える支援のカタチー

導入後、どのような効果がありましたか?

最も大きな効果は、「情報共有・統制の取れた運営」が実現できたことです。

従来は、個別契約をしていたカウンセラーの方の中には「個人情報だから」と大学側に必要な情報が提供されず、重大なインシデントが発生してから初めて大学側に連絡が入るということもございました。

アウトソーシング導入に際し、パソナと個人情報や守秘義務の概念整理を行いました。以前は、守秘義務も学生とカウンセラー間での同意にとどまっていたため、大学側に必要な情報が十分に共有されないという状況が生じたこともありました。そこで、パソナより「集団守秘義務」という概念をご提案いただきました。これは学生相談室に関わる担当者全体をチームとして捉え、チーム員全員が知り得た情報を外部に漏らさないという考え方です。

また、学生が相談時に記入するカウンセリングシートの同意事項についても、大学側との情報共有が円滑に進むような文言修正の提案をいただきました。

こうした概念の整理やカウンセリングシートの改訂により、これまで把握したくても把握できなかった情報もタイムリーに把握できるようになりました。

情報の共有については、具体的には、月1回の定期ミーティングで相談内容や各学年・学部別の面談件数、気がかりな学生の情報などを共有いただいています。定期ミーティング以外でも気になる事案があれば随時ご報告いただいております。

学生数に対して教職員数が限られているため、すべての学生の悩みに対応するのは現実的に困難です。パソナとの連携により、緊急性が高い内容には大学として迅速な対応が可能となったほか、日常的な「ちょっとした悩み」も見逃すことなく把握しやすくなりました。報告いただいた内容は必要に応じて関係する教職員と適宜共有し、日ごろから学生へ目配り、心配りができるよう役立てています。

パソナにアウトソーシングして良かったと感じる点を教えてください。

先ほどお伝えしましたように「情報共有・統制の取れた運営が実現した点」が最も良かった点と感じております。加えて、高い専門性とホスピタリティを備えたカウンセラーが多く在籍されている点にも非常に満足しております。

学生相談をご担当いただいている方々は、日常の些細な学生の相談にも丁寧に対応してくださり、学生の満足度も高いです。

また、プロジェクトマネージャーの方は、病院での臨床経験のみならず、大学の学生相談室や健康管理センターでの豊富な経験をお持ちであり、感染症な等の疾病情報や法令対応に関する助言もいただけるため、大変心強く感じております。

私たち職員は、大学内の様々な業務をジョブローテーションで幅広く担当しており、学生相談室や健康相談といった特定の分野を極めていくのは難しい状況です。そうした中で、パソナのような専門家に任せられることは非常に心強く、他の業務との両立を図るうえでも大きな支えとなっています。

今後、パソナに期待することを教えてください。

本学で実践しておりますアウトソーシング体制につきましては、他大学からも関心を寄せていただくことが増えており、パソナをご紹介することもあります。 同様の課題を抱えている大学も多いかと思いますので、パソナを通じて他大学においても学生支援の輪が広がることを期待しています。

繰り返しとなりますが、コロナ禍以降の学生の生活スタイルの変化やSNSの普及による対人関係の変化、合理的配慮への対応など、大学・学生を取り巻く環境は大きく変化しております。それに伴い、学内の運営体制も常に最適化していくことが求められております。

私たちもさまざまなチャレンジを続けてまいりますが、パソナには引き続き、各大学に最適な運営サポートをご提供いただきますようお願い申し上げます。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

健康管理業務アウトソーシング

大学/大学院の保健室/学生相談室支援を対象とした業務委託サービスについて、業務範囲や運営体制、導入事例をご初回します。

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パソナからコメント

株式会社パソナ メディカル健康経営本部 関東営業部 健康経営ソリューションチーム 砂川 健太郎

学生相談室の導入支援およびインタビューを通じて、改めて貴校が学生の皆様に対して真摯に向き合われている姿勢を強く感じております。私どもも、そのお気持ちに応えられるよう誠心誠意取り組んでいく所存です。久保様、大村様からお話がありましたとおり、学生を取り巻く環境はこれまでにないものになっております。学生の皆さんが心身ともに健康で、充実した学生生活を送れるよう尽力して参ります。

 

大学プロフィール

会社名
学校法人東京理科大学
所在地
〒162-8601 東京都新宿区神楽坂1丁目3
創業
1881年
代表者
浜本 隆之
従業員数
1.359名(2024年1月現在)