コラム
2023/06/30 更新

社員の欠勤や休職を未然に防ぐメンタルヘルス体制の築き方

「元気そうに働いていた社員が突然休みがちになった」「心身の不調から話し合いの末、休職することになった」社員の欠勤や休職は、本人はもちろん、周囲の社員に少なからぬショックを与え、会社にとっても大きな損失となります。退職など最悪の事態に至る前に、どんなことができるでしょうか。本稿では、職場におけるメンタル不調の現状と課題を巨視的に確認し、その後、ひとつのフレームワークを提示しながら、メンタルヘルス対策の効率的かつ効果的な進め方をわかりやすく解説致します。

1. どの会社でも起こり得る職場のメンタル不調の現状

どの会社でも起こり得る職場のメンタル不調の現状

近年、テレワークの日常化や社会情勢の急激な変化などにより、多くの企業でメンタル不調を原因とした休職者や退職者が増えています。

昨年度の第13次労災防止計画策定時に厚生労働省から出された資料では、働く上でいかにストレスを感じている人が多いかが明らかにされています。

(出所:厚生労働省 独立行政法人労働者健康安全機構 職場における心の健康づくり)

さらに同資料によると、“業務による心理的負荷を原因として精神障害を発症し、あるいは自殺したとして労災認定が行われる事案が近年増加”と言及されています。

(出所:厚生労働省 独立行政法人労働者健康安全機構 職場における心の健康づくり)

もはや、メンタル不調はどの会社や職場にも起こり得る決して珍しくない課題であると言えます。

特に中小企業においては、採用難や社員の高齢化など、人材確保の面でも課題が重なります。今働いてくれている社員にいかに元気に健康で長く働いてもらうか。安定した事業継続のためにも、メンタルヘルス対策を“未来への投資”として捉え、積極的に取り組む企業が出始めています。

2. 未来への投資としてのメンタルヘルス対策

メンタルヘルス対策の取り組みは、実にさまざまです。法令ではストレスチェックが義務付けられていますが、それ以外の施策に関しては、社員向け研修や健康情報の提供、産業医・看護職と連携した健康管理など、多岐に渡ります。そこで、これらを整理しながら、体系的に進めていくために、厚生労働省が公開する資料「メンタルヘルス対策のポイント」がとてもわかりやすく参考になります。同資料で整理されるメンタルヘルス対策の全体像は下図の通りです。

(出所:厚生労働省 メンタルヘルス対策のポイント)

ここでは、予防医学の考え方の基礎である1~3次予防のそれぞれの段階に対して、労働者、管理者、事業場内スタッフ、事業場外専門家ができる取り組みを検討するよう説明されています。つまり、【3つの予防段階】×【4者の取り組み主体】となり、計12カテゴリからなるフレームワークとして捉えることができます。

このように各施策を振り分けた上で、メンタルヘルス対策の全体像を把握しておくと、現在取り組んでいる施策はどのカテゴリを強化するものか、これからどのカテゴリを重点的にカバーしなければならないかなど、意識すべきところを即座に把握することができます。さらに、どの施策がどのカテゴリに影響を与えたり、相互作用的に機能したりしているか、施策やカテゴリ間の因果関係を俯瞰して捉えることもできます。単純に施策を実施していくのではなく、全体像を把握した上で、各施策を有機的に統合させつつ推進していくことが、より効率的で効果的なメンタルヘルスを実現します。

しかし一方で、自社のリソースとノウハウだけでこれらすべてに取り組み、メンタルヘルス体制を構築していくには、当然限界があります。従業員向けの研修や教育コンテンツはどうするか、管理職の協力体制をどう作るか、産業看護職の採用はどうするか、外部機関との連携オペレーションはどうするか等、検討すべき課題は山積みです。また、メンタルヘルス体制に限らずとも、そもそもVUCA時代(※)にこれほど大掛かりな体制をフルスクラッチで築いていくことは高いリスクを伴います。

※「VUCA(ブーカ)」とは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとった造語で、一般的に企業経営や社会情勢において、変化が激しく、複雑で予測困難な状況のことを言います。

3. VUCA時代の新しいメンタルヘルス体制の作り方

そこで、VUCA時代の新しいメンタルヘルス体制の構築手段として、弊社パソナが開発したのが「ONLINE健康推進室」です。メンタルヘルス対策に必要な教育コンテンツやノウハウ、産業保健人材など、オンラインでいつでも自由に利用できる仕組みです。LINEをインターフェースとして、従業員のセルフケアに役立つ健康情報を配信したり、社内の健康相談窓口としてONLINE健康推進室専属の保健師や看護師を活用したり、健診後の健康指導や受診勧奨に従業員面談を依頼することもできます。

すべてが既に完成されたコンテンツと仕組み、経験豊富な専門家で構成されているため、人事担当者は自社のメンタルヘルス体制に合わせて、必要なものを選びとり社内に提供していくだけです。フルスクラッチで準備を進めるより、格段に工数や経費を省くことができ、かつ専門性の高い最新のメンタルヘルス対策をタイムリーに実施していくことができます。ONLINE健康推進室は先のメンタルヘルス対策12のカテゴリのうち、1~8までを広範囲にカバーできるため、これからメンタルヘルス対策に取り組もうとする、あるいは取り組みの初期段階にある企業にとてもフィットします。

冒頭で紹介したように、メンタルヘルス対策は非常に緊急性を有する社会課題であり、各企業にとっても重要な課題です。一方で、VUCA時代を象徴するように(V)変化が激しく、(U)不確実で、(C)複雑であり、(A)曖昧な分野にも関わらず、予防を徹底していくことが求められます。大切なことは、常に最新の事情をキャッチアップし、多様で曖昧な状況に合わせ、適宜的確に施策や体制をブラッシュアップさせていくことと言えます。

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著者名:パソナ・健康経営コラム編集部

健康経営・産業保健の推進パートナーとして健康経営の「着実な一歩」を伴走サポートするパソナが運営しています。
企業のご支援経験だけでなく、パソナ自身が健康経営銘柄に初選出、ホワイト500を7年連続取得する過程で得たノウハウを踏まえ、皆様にお役に立つ情報を発信しています。
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