コラム
2022/09/5 更新

令和4年度健康経営度調査票は昨年度から何が変わったか?変更点一覧まとめ

令和4年度健康経営度調査の設問内容が8月22日に公開されました。本稿では、昨年からどんな主だった変更が入ったか、その狙いを分析し、詳しく解説していきたいと思います。なお、取り急ぎすべての変更点を確認したい方は、後半で一覧にしておりますので、そちらをご確認下さい。

 

 

 

1. 令和4年度の健康経営制度の設計における3つの改定方針とは?

まず、今年の健康経営制度の設計にあたり、以下の3つの大きな改定方針が示されています。

(出所:健康・医療新産業協議会 第6回健康投資WG 事務局説明資料)

(出所:健康・医療新産業協議会 第6回健康投資WG 事務局説明資料)

情報開示の促進

1つめは「情報開示の促進」です。人的資本経営の世界的な潮流から、もはや健康経営に対する経営層の強い関与が不可欠です。これを踏まえ、Q26の設問内容は前年度から以下のように変更されています。

<前年度のQ26およびSQ1の設問内容>

(出所:令和3年度健康経営度調査票)

(出所:令和3年度健康経営度調査票)

 

<今年度のQ26およびSQ1の設問内容>

(出所:令和4年度健康経営度調査票)

(出所:令和4年度健康経営度調査票)

経営層のコミットメント度合が評価に大きく影響することがわかります。

また、今年度はQ26で回答した内容が、フィードバックシートで一括開示されることとなります。

同様に、「制度・施策実行」に関する5設問(Q42、Q45、Q51、Q52、Q54)の回答内容もフィードバックシートで公開されることとなりました。これらの設問にも変更が入っています。各設問のSQにおいて、従来は割合で回答を求められていたところが、より詳細にパーセンテージで求められるようになりました。ここから見てとれることは、健康施策のアウトプットを正確な定量データとして情報公開できる企業がますます評価されるということです。例として、Q42のSQ2の設問内容がどう変わったか紹介しておきたいと思います。

<昨年度Q42 SQ2の設問内容>

(出所:令和3年度健康経営度調査票【サンプル】)

(出所:令和3年度健康経営度調査票【サンプル】)

 

<今年度のQ42 SQ2の設問内容>

(出所:令和4年度健康経営度調査票)

(出所:令和4年度健康経営度調査票)

 

以上の変更点から再認識すべきことは、今後企業は健康経営を経営課題として捉え、着実なアウトプットを示していくことが求められるということです。

業務パフォーマンスの評価・分析

健康経営制度の設計における2つめの大きな改定方針は、「業務パフォーマンスの評価・分析」です。当初より経産省が課題としている健康経営の効果の見える化を実現すべく、アブセンティーズム、プレゼンティーズム、ワークエンゲージメントの経年変化や測定方法が問われるようになりました。具体的には、Q18で回答した健康経営の課題と期待する効果について、どのように検証しているか、200字以内で説明を求める設問(Q73)が追加されています。

(出所:令和4年度健康経営度調査票)

(出所:令和4年度健康経営度調査票)

 

また、健康経営の効果分析を深めるため、法人間で比較可能なワークエンゲージメントの共通指標が設定されました。その共通指標とは、ストレスチェック(80問版)に含まれる2設問です。今年度から、Q67でこの2設問が追加されています。

(出所:令和4年度健康経営度調査票)

(出所:令和4年度健康経営度調査票)

データ利活用の促進

健康経営制度の設計における3つめの大きな改定方針は、「データ利活用の促進」です。

Q31では、健保組合への健診データの提供状況が問われていますが、前年度までの回答対象は40歳以上の従業員の健診データのみでした。今年度から40歳未満の従業員に関しても、健診データの提供状況に関する回答が求められます。

(出所:令和4年度健康経営度調査票)

(出所:令和4年度健康経営度調査票)

ところで、会社が得た従業員の健診データを健保組合に提供することは、第三者提供にあたり、これまでは従業員の同意をとる必要がありました。しかしながら、昨年に法制が改定され、現在は同意不要となっています。

それから、Q43では従業員の健康状態やライフログデータ等のPHR(パーソナルヘルスレコード)を電子記録として閲覧できる環境が整っているかが問われるようになりました。

(出所:令和4年度健康経営度調査票)

(出所:令和4年度健康経営度調査票)

 

以上が、今年の主だった変更点と言えます。ここまで見てきたように、今年の健康経営制度は、「情報開示の促進」「業務パフォーマンスの評価・分析」「データ利活用の促進」を更に一歩進めるべく、主な改定ポイントとして設計されています。健康経営の具体的な成果と情報開示ができるオープンな姿勢をもつ企業が、高い評価を得られることは間違いありません。

2. 調査票変更点一覧

以下に、調査票変更点を一覧にまとめました。ご参考下さい。

3. 令和4年度健康経営度調査の傾向と対策ウェビナー動画を見る

9月8日、今年度健康経営度調査の傾向と対策をテーマに、ウェビナーが開催されました。ウェビナーでは、経営戦略としての健康経営の推進とリクルート効果、人的資本経営、人材投資、健康投資について、本分野の専門家である新井卓二先生をお招きし、ご講演いただきました。また、本稿では伝えきれなかった調査票変更点の主旨や対策についても、弊社パソナの健康経営コンサルタントより、詳しく解説しております。アーカイブ動画は、以下の視聴ページより、必要情報をご登録の上、ご覧いただくことができます。

令和4年度健康経営度調査の傾向と対策ウェビナー動画

 

 

 

 

著者名:パソナ・健康経営コラム編集部

健康経営・産業保健の推進パートナーとして健康経営の「着実な一歩」を伴走サポートするパソナが運営しています。
企業のご支援経験だけでなく、パソナ自身が健康経営銘柄に初選出、ホワイト500を7年連続取得する過程で得たノウハウを踏まえ、皆様にお役に立つ情報を発信しています。
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