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BPOサービスとは? 事業会社を選ぶときのポイント、導入時のメリットとデメリットを解説
更新日:2025.01.23
近年アウトソーシング、BPOが経営戦略の一つの柱になる事例はよく聞かれます。言葉は知っていても、「BPO」が、具体的にどのようなものなのか正確に理解している人はまだ少ないようです。今回はBPOについて解説し、そのメリットとデメリット、そしてサービス会社の選定を行うときに押さえておきたいポイントもあわせてご紹介します。
BPO導入時によくある課題とは?
業務効率UPやコスト削減などの導入効果が期待できるBPO。 限られた経営資源を有効に活用することが可能です。しかし導入時には課題も。課題とBPO導入の流れやポイントを解説します。
BPOとは何か?


最近、企業に浸透しつつあるBPO。会社の規模を問わず、導入を検討しているところも多いようです。まず、BPOとは、どういうサービスなのか解説します。
BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の略
BPOとはビジネス・プロセス・アウトソーシングの略で、業務プロセスの一部分を専門的な外部企業に委託する手法です。「業務委託」という言葉を使うこともあります。
部署が担当している業務をまるごと委託する場合のほか、業務のフローの見直しや、最適な人材の配置プランなど、業務の効率化に向けた改善ポイントを提案してもらう場合もあります。
なおニュースなどでよく話題になる放送用語のBPO(Broadcasting Ethics&Program Improvement Organization)は放送倫理・番組向上機構のことで、これとは違うので注意しましょう。
BPOとアウトソーシングの違いは?
BPOはアウトソーシングの一種ですが、一般的に使われるアウトソーシングとは違いがあります。
■ BPO
BPOはその業務にかかる業務フロー・システム・必要な人材の採用・教育含めて、まるごと外部に委託するものです。
例えば、従来経理部門が数名で担当していた精算業務を、まるごと経費の申請フローから運用体制まで委託先に委ねるようなイメージです。
■ 限定的なアウトソーシング
アウトソーシングは一般的に、業務請負業者や人材派遣業者などに業務の一部分だけを外部発注することを指しています。例えば経理の経費精算処理業務だけを外部業者に依頼、または人材派遣業者からリソースを調達して業務を行います。運用フローの改善などは行わず、特定の業務を遂行してもらうことを目的としています。
アウトソーシングについてはこちらの記事もご参照ください。
「アウトソーシングとは?メリット・デメリットや自社に適した種類、業務、導入の注意点を解説」
市場規模拡大の流れとBPO推進の目的

拡大しているBPO市場
2024年に矢野経済研究所が実施した調査によると、2023年度のBPOサービス全体(IT系BPOと非IT系BPOの合算値)の市場規模は、事業者売上高ベースで前年度比3.9%増の4兆8,849億2,000万円となっています。
この2つの数字からもわかるように、近年BPOの市場規模は拡大し、導入を検討している企業はますます増えているのです。
経済産業省が提唱する「デジタルトランスフォーメーション(DX)」により、企業同士の競争が激化する今、限られた社内リソースをどのように配分して売上向上を目指すのか?といった選択と集中の経営手法が必要となっています。
BPO推進の目的
企業がBPOを推進しようとする目的には人手不足の解消、働き方改革などが考えられます。現時点でリソース不足に陥っているわけではないものの、今後ますます拍車がかかると思われるこれからの人材不足に対して今から備えておくという企業もあるようです。
BPO実施のメリット
BPOが注目されてきた背景や理由を解説してきましたが、ここで具体的なメリットについても解説します。
業務の効率化・外部ノウハウの活用
部署では日々の業務に追われ、これまでのやり方を大きく変えたり、新たな業務に割く十分なリソースを確保したりすることが困難な状況も多くみられます。そうした状況下で、例えば、新しいシステムを短期間で導入し、新しい業務フローを推進することは簡単ではありません。一方、BPO業者はその部署・その業務に特化しているため、例えば、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)などを活用し、今まで社内の担当者で30分かかっていた業務を1分で終わらせてしまうといったこともありえます。外部ノウハウを活用することで、業務の効率化を図ることができるのです。
業務の平準化
企業にとって、働き方改革は避けては通れない問題です。そのために“業務量が多い社員の負荷を減らし、業務の平準化を目指す”という目標を掲げ取り組んでいる企業もあります。ノンコア業務(利益に直結しないが、企業のメイン業務遂行支援に必要な業務全般)や付随業務を集約し、委託化することで、全体的な業務量を削減し、コア業務への集中・業務の平準化を進めることができます。
業務品質の向上、ミスの軽減
一つのことに特化したBPOサービス業者は、業務のフローが確立されています。これまでの業務フローのムダを省き、プロセスを明確に定義、整備されたマニュアルに則って業務が進むため、ミスも軽減され、高品質を維持することができます。
業務運用体制の最適化
ノンコア業務に人員やリソースが取られ、企業本来の業務に人手が不足するようでは本末転倒です。BPOを実践することでノンコア業務に割かれていた人員、リソースを企業のコア業務(企業活動の根幹をなす業務。非定型的で高度な判断を必要とする)や新規参入分野に集中投下できるようになれば、売上の向上や、さらなるビジネスチャンスにつながります。それは企業にとっては大きなメリットといえるでしょう。
コスト配分の最適化
ノンコア業務にかかっていた設備費や人件費・教育費などのコストをコア業務にシフトすることは企業の成長にとって、最適な戦略となり得ます。自社社員をコア業務に集中させることで、全体的なコストを抑えるだけでなく、さらなる売上向上を狙うことができます。
BPO実施のデメリット
一方で、BPOの導入にはデメリットもあります。しかしデメリットの本質を理解することで、回避することが可能です。
管理、手法の可視化、社内ナレッジ構築の難しさ
業務フローを含めて委託してしまうため、その代行業者がデータをどのように管理し、どんなプロセスで業務を行っているのか可視化しづらいことがあります。そのため社員が現状を把握しづらく、社内ナレッジを構築することが難しいというデメリットがあります。しかしBPOを導入したあとも、運用の中で定期的に報告書を提出してもらうなどの契約をしておけば、業務がどのように進んでいるのか企業側で把握することも可能です。
初期費用がかかる
BPO導入時、運用フローの構築に、ヒアリング・業務調査、システムの構築、引き継ぎ、マニュアル作成などの導入コストがかかります。しかし業務が軌道にのり、委託する期間が長くなればなるほど経費とコストの差額で回収ができます。そのためにもサービス会社選びは慎重に行う必要があります。
セキュリティリスク
会社の機密情報を他社に開示するため、情報漏えいリスクの懸念があります。そのため、スタッフに個人情報保護研修を定期的に行っている、エビデンス管理体制が整っているなどセキュリティ対策が万全の委託業者、例えばプライバシーマークを取得している企業などを選択することが大切です。
BPOの3つの契約形態
請負契約 | 委任契約 | 準委任契約 |
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BPOの契約形態は大きく3つに分かれます。
業務委託の3つの契約形態
BPO、業務委託をする場合、その契約形態は主に3種類に分かれます。
■ 請負契約
業務のすべてを委託し、成果物に対して報酬を支払う契約。
成果物に対してミスや欠陥が見つかった場合は、発注者は受託者に対し、瑕疵担保責任として責任追及を行うことができる。
(プログラミング・システム設計・ソフトウエア開発・デザインなど)
■ 委任契約
法律に関する業務を委託する場合の契約。
(裁判の弁護・税理士の税務業務・不動産の契約書作成など)
■ 準委任契約
「業務の処理」の対価として報酬を支払う契約。
成果物を債務完了基準としないため、瑕疵担保責任は問われないが、仕事の過程に対する責任として注意義務(善管注意義務)がある。
(給与計算・カスタマーセンター・事務業務など)
BPO導入のプロセスと最大活用のポイントについては、こちらの記事も参照してください。
「BPO・アウトソーシングのメリット、受託者選定のポイントとは?」
BPOサービス会社を選ぶ時におさえておきたい5つのポイント
BPOサービス企業を選ぶときに、“これだけはおさえておきたい!”5つのポイントを紹介します。
1.専門性の有無
BPOサービス企業は、それぞれ得意な分野があります。例えば経理部門のBPOを発注するときに、システムの導入・構築を得意とする企業もあれば、経理業務全般のフローの構築を得意とする企業もあります。もちろん職種によっても得な分野は異なるため、その企業の専門領域については事前に確認しておきましょう。
2.受託会社の規模
従業員規模が数千名単位の企業が、少人数の企業に対してBPOを発注した場合はどうでしょうか。自社と委託先の企業規模に乖離がある場合、業務内容によっては委託先のリソース不足などで、本来想定していた業務運用が履行されない可能性が考えられます。委託先の企業規模が最適なのか、見極めて発注しましょう。
3.コンプライアンス・セキュリティ体制
委託内容によっては企業の内部情報を提供するため、委託会社のコンプライアンス、セキュリティ管理体制はしっかり確認して、BPOサービス企業を選ぶときの最優先事項としましょう。
4.予算
BPOを導入するメリットとしては、長期的に最適な運用が行われることで業務効率化が図られ、コストの削減につながることが挙げられます。BPOに対して最適な予算配分をするためには、委託検討先の提案が長期的な運用となっているのか、必要以上のサービスになっていないかを見極めることが大切です。適切な予算を確保し、予算に対して最適なソリューションを提供してくれる会社を選びましょう。
5.導入実績
自社が期待する業務委託の実績がある企業は、業務のフローやセキュリティ対策などが整えられ、知見があります。求めるサービスでの実績があるかどうか、確認しましょう。
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BPOの安定運用なら伴走型支援のパソナ
BPOは導入後にいかに安定的に運用を継続するか、ということが大変重要です。そのポイントを解説するとともにパソナの継続的な支援サービスについてご紹介いたします。
パソナ BPOサービス 導入事例
導入した企業がどのような成果をあげているのか、パソナのBPO・アウトソーシングサービスの導入事例をご紹介します。
事例1 経理事務BPO シェアード会社
●課題
- 煩雑な業務のため、人材の指導、育成に工数がかかるわりにスタッフが定着しない
- 業務委託を導入し、正社員をコア業務へ集中させたい
●施策
- 属人化していた業務を可視化し、段階的にフローを変更
- 繁閑期を可視化し、働く時間を多様化した
- マニュアルを整備し、新人教育の充実と人材定着率を向上
●成果
- 社員はコア業務にシフト
- 業務繁閑にあわせた運用体制
- コスト抑制を実現
- 新人教育の充実と、人材の定着率向上
事例2 生命保険会社での一般事務
●課題
- 複数のアウトソーサーに業務を依頼したため整合性が欠如し、継続性に対する不安があった
- 統合したマニュアルがなく、ルールやプロセスが不透明
●施策
- 業務の標準化を徹底するため、マニュアル作成、メンバー間への周知、展開、共有を行う
- 新人研修の策定とマニュアルの活用
- ミス発生時の対応ルールを確立し、周知、展開、共有を実施
●成果
- マニュアルを活用し、業務標準化、安定稼働を実現
- 新人スタッフへの研修の体系化により、進捗状況、習得度、スキル、品質面の基盤を構築
- ミス発生時の対応処理スピードの向上、ミスの減少を実現
その他の事例はこちらからご確認ください。
「BPO導入事例インタビュー一覧」
【事務BPO】サービス活用事例
外資系製薬メーカー・生命保険・金融業界等での事務業務のBPO事例をまとめました。BPOによって課題をどう解決したのか、具体的な運用体制と成果をご紹介しています。
【経理BPO】サービス活用事例
繁閑にあわせた運用体制の構築によりコストを抑制した事例や、東京から地方への業務移転と全国の経理業務を集中させた事例などをまとめました。BPOによって課題をどう解決したのか、具体的な運用体制と成果をご紹介しています。
パソナのBPOサービスの特長は?
4つの特長で展開し、豊富な実績を誇るパソナのBPO・アウトソーシングサービス。バランスの取れたサービス内容は多くの企業から支持されています。
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プロジェクトマネージャーを中心に、スキルの研修、横軸の情報交換を行い、サービスの品質を維持。
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単位時間コストの削減などを行い、生産性の向上、品質を担保。
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