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業務のアウトソーシングとは?メリット・デメリットや自社に適した種類、業務、導入の注意点を解説

上手に導入すればコストの削減や業務効率化などを期待できる、アウトソーシング。その導入には、業務がアウトソーシングに向いているか、現場の状況はどうか、などしっかりと見極める必要があります。今回はアウトソーシングの基礎知識からメリット・デメリット、導入の際の注意点を解説していきます。

アウトソーシングは簡単にいえば「外部に仕事を任せる」こと

アウトソーシングとは「out(外部)」と「sourcing(資源利用)」というふたつの英単語を組み合わせた和製英語です。一言で言えば「社内の業務の一部を外部に任せる」ことを指します。

アウトソーシング=業務委託

アウトソーシングを日本語で言うと「業務委託」です。自社で不足している、業務に必要な人材やサービスを外部に委託することを言い、対義語は「インソーシング(内製)」となります。アウトソーシングの対象となる業務は、バックオフィス業務や経理業務、営業補佐業務など多岐に渡ります。近年はインターネットの普及やIT技術の向上により、情報分野やシステム開発などさまざまな分野で導入されています。

アウトソーシングの歴史と背景

アウトソーシングは1960年代のアメリカで誕生したと言われています。アウトソーシングが広がったきっかけは、1989年にイーストマン・コダック社が情報処理部門をIBM社に委託した事例です。コダック社のような大手で高い技術力を持っている企業がIT分野をアウトソーシングしたことで注目を浴びました。この事例により、アウトソーシングは経営資源を別の事業へ集約するために有効な手段として広く認知されました。

また、日本でアウトソーシングが近年注目される背景の一つに、若年人口の減少があります。特に人的資源に限りがある中小企業では、人材不足を補いつつ、売り上げを増加させていくためにも有効であると考えられています。

アウトソーシングの歴史と背景 資料:中小企業庁委託「中小企業・小規模事業者の人材確保・定着等に関する調査」(2016年11月、みずほ情報総研(株)) 注1:小規模事業者のみを集計している。 注2:人材不足企業」とは、「中核人材・労働人材共に不足している」と回答した企業としている。 注3:「中核人材」とは、高い専門性や技能を有し、事業活動の中枢をなす人材とし、「労働人材」とは、特殊な技能等は有さないが、
中核人材の指揮を受けて事業の運営に不可欠たる労働力を提供する人材と定義している。
注4:ここでいう「アウトソーシング」とは、製造委託・建設工事の委託以外の外部委託をいう。
参照元:中小企業庁 「2017年版小規模企業白書の概要」 3 アウトソーシングの活用

業務のアウトソーシングを導入する利点、メリットとは?

アウトソーシングを導入する利点、メリットとは?

アウトソーシングを導入することによるメリットは人手不足の解消だけではありません。考えられるメリットとして以下の5つが挙げられます。

業務効率化による企業競争力の強化

アウトソーシングを導入することにより、社員は売上や成績に直結する重要な業務に時間をより使えるようになります。経費の申請やアポ取りの電話、FAXの送受信などの単純作業に時間を取られていたのが、アウトソーシングを導入することで工数を減らし、本来の業務に時間や人材を集中できるのです。

業務スピードと品質のアップ

アウトソーシング先の業者は、依頼を受ける業務の専門知識や最新のツールなどを持っている場合が多いです。そのため自社で行うと時間のかかる作業も、アウトソーシング先ではより短期間で効率よく処理され、さらに専門知識のある業者が行うことで品質の向上も期待できます。

多角化経営に対応できる

近年目まぐるしく変わる時代のニーズやグローバル化に対応しようと、多角化経営を行う企業も増えています。多角化経営とは主力となる事業とは別に、新しい業界に進出し企業全体の成長を狙う経営のことです。新たな事業を展開する際に今あるリソースで対応するには、既存事業のリソースを再配分する必要があり、場合によっては既存事業の縮小につながってしまうということも起こり得ます。アウトソーシングをうまく活用することで、既存の事業を縮小せずに新規業務へ挑戦をすることができます。

組織のスリム化、肥大化の阻止

事業が大きくなっていくと、それに付随して人材の採用・教育、追加の設備投資、事務処理の増加などが、各事業に発生します。また季節性の業務や期間限定のプロジェクトなど、一過性の業務にその都度対応していると、組織は肥大化していきます。集約することで効率的になる業務や、一過性の人的リソースを自社で運用するのではなく、アウトソーシングを活用することで、最適な組織体制を作ることができます。また、肥大化した組織をスリム化するために、部門を分社化してアウトソーシング先として独立させるという手法もあります。

コスト配分の最適化

事業拡大に伴い、新たな業務の対応や人材の採用を行う場合、採用・教育コストがどうしてもかかってしまいます。そこで自社の状況を踏まえ、最適なアウトソーシングを活用することで、追加でかかるコストを抑えることが期待できます。新たな社員の採用に伴い発生する社内手続きの時間や、教育する時間を削減することができれば、そうした業務に時間を使っていた社員に、今後期待したい別の業務を依頼したり、キャリアアップするための学習時間を確保したりすることができます。この例で言えば、人件費の最適化が実現されます。人員配置の自由度もあがるでしょう。

業務のアウトソーシングの問題点、デメリットとは?

アウトソーシングの問題点、デメリットとは?

メリットが多いように思われるアウトソーシングですが、デメリットがないわけではありません。アウトソーシングのメリットを生かすためにも、問題点や注意点も確認しておきましょう。

社内にノウハウを蓄積できない

業務をアウトソーシングすると、その業務についてのノウハウや知識を自社に蓄積することが難しくなることがあります。将来的に自社で内製化を検討した際に、業務の全体を把握できていない状況になると、想定外のコストがかかることになります。また、アウトソーシング先の企業が倒産したりサービスを撤退したりした場合、自社でその業務を行えないというリスクもあります。
そうした事態を避けるためには、定期的に業務の進捗や、ノウハウを共有する機会を持ち、マニュアル整備などを並行して進めることが大切です。

管理・コントロールの難しさ

業務をアウトソーシングすることで、業務内容を細かい粒度で把握することが難しくなります。業務がどのように進められているのかが不透明で、重要な欠陥やミスが発生しても気づきにくいという可能性も考えられます。品質管理のコントロールが難しいという点も挙げられます。
定期的に進捗状況の確認や、品質チェックなどを行うことのできる運用体制を整備することで、こうした課題は避けることができます。

情報漏洩リスクの対策が必要

業務内容によっては、企業秘密や顧客情報といった機密性の高い情報をアウトソーシング先と共有することがあります。情報を外部と共有するということは、漏洩するリスクはゼロではありません。もちろんアウトソーシング先のセキュリティ対策・リスクマネジメントがしっかりとされているか事前の確認は重要です。
トラブルを避けるためには、プライバシーマークを取得している企業を選定条件に入れることや、定期的なセキュリティチェックの実施が大切です。

場合によっては、コスト削減につながらない

プロセスの整理ができていない業務など、社内で適正コストを判断できていないまま闇雲にアウトソーシングを導入した場合、かえってコストがかかってしまう可能性が出てきます。また無理にアウトソーシングをすることで非効率になる可能性もあるため、注意が必要です。アウトソーシングを効果的に活用するために、事前に業務プロセスの整理を行いましょう。

業務のアウトソーシングの型、種類

アウトソーシングの型、種類

アウトソーシングには大きく分けて3つの種類があります。また、委託の形態や分野による分類、契約形態による分類があります。それぞれの用語と概要を知っておきましょう。

委託する範囲による分類

アウトソーシングは対象とする業務内容ごとに3つに大別されます。

内容 業務例
BPO 業務プロセスを一括して外部委託する コールセンター、バックオフィス業務
ITO IT業務を外部委託する システムの保守・運用、新システムの設計
KPO データの収集や分析を外部委託する ビッグデータの分析、営業マーケティングの資料作り

● BPO

BPOは「Business Process Outsourcing」の略で、企画・設計から実施まで業務プロセスを一括して外部委託する形態です。例えばコールセンターやヘルプデスク、人事や経理、総務といったバックオフィス業務などが挙げられます。

BPOについてはこちらの記事もご参照ください。
「BPOとは? 導入時のメリットとデメリット、サービス会社を選ぶときのポイントを解説」

● ITO

「Information Technology Outsourcing」の略で、企業のIT部門を外部に委託する形態です。デジタル化が進み、企業にも新しいシステムを導入したいと思っていても、社内にはITに精通している人材が不足している場合は多々あり、ITOは注目されています。新システムの導入、保守や運用、サーバー管理など高度なIT専門性が求められる業務をアウトソーシングします。

● KPO

「Knowledge Process Outsourcing」は、日本語では「知的業務委託」と訳され、主にデータの収集や分析を外部委託することを指します。企業の内外に蓄積されているビッグデータを活用し、データに基づいた資料作りや提案をしてもらえます。

委託の仕方、仕事の進め方による分類

アウトソーシングは「誰に」「どのように」業務を委託するかによって形態を分類できます。

概要 メリット
シェアードサービス グループ内の特定業務を一か所に集約 グループ企業間でのノウハウの共有が可能
コ・ソーシング 委託先とともに自社の担当も業務を行う 社内にノウハウを蓄積可能
マルチソーシング 業務の内容ごとに委託先を変える 専門性の高い企業に委託できる
クラウドソーシング フリーランスの人材に委託する コストを抑えやすい
オフショアソーシング 海外に委託する コストを抑えつつ専門性の高い企業に委託できる

● シェアードサービス

グループ企業内で、特定業務を集約させることを言います。大手企業などグループ会社がある場合の、人事や経理など特定業務をグループ企業内の1社に集約する形態です。グループ企業全体の業務効率化やノウハウの共有が可能になります。

● コ・ソーシング

委託先と一緒に、自社の管理者や担当者も業務を行う形態です。社内にノウハウを蓄積できるメリットがあります。

● マルチソーシング

委託する業務を一括して1社にアウトソーシングするのではなく、業務の内容ごとに分割し委託先企業に発注する形態です。IT業務など内容ごとに専門性の高い企業に委託できるメリットがあります。

● クラウドソーシング

企業だけではなく、クラウドワーカーのようなフリーランスの人材に依頼する形態です。企業に委託するよりコストを抑えやすいメリットがあります。

● オフショアソーシング

オフショアとは「Offshore(海岸から離れる)」という意味で、海外に委託する形態です。特にインドや中国などのアジア圏はIT分野に精通している人材が多いことで知られています。コストを抑えつつ高い専門性のある人員の確保が期待できます。

契約形態による分類

アウトソーシングは契約形態によっても3種類に分かれ、それぞれに対し適用する法律も異なります。

法律 概要
請負契約 民法632条 仕事の成果物の対価として報酬を支払う。瑕疵担保責任がある。
委任契約 民法643条 法律に関する業務を委託する。
準委任契約 民法656条 業務の処理に対して報酬を支払う。瑕疵担保責任はない。

● 請負契約

委託先は任された仕事を完成することの対価として発注者から報酬をもらう契約です。委託先はいったん仕事が完成しても、瑕疵(欠陥やミス)があれば修正を行う責任があります。

● 委任契約

法律に関する業務を委託する場合のみ行われる契約です。裁判の弁護や、税理士の税務業務などがこれに当たります。

● 準委任契約

委託先の責任と管理のもと業務を行うことを約束する契約です。発注者は「業務の処理」の対価として報酬を支払います。給与計算やカスタマーセンター業務などが業務例に挙げられます。

人材派遣との違いは?

人材派遣との違いは?

アウトソーシングとよく比較される形態として「人材派遣」があります。どちらも自社以外の従業員に業務を任せるという点では同じですが、指揮系統などが異なります。

人材派遣は、派遣会社が人材を派遣しスタッフが業務を遂行します。対価はその業務時間に応じて支払います。アウトソーシングは、業務を委託し、その業務内容や成果物に対して対価を支払います。また、業務の指示は、人材派遣では自社の管理者が派遣されたスタッフに直接指揮命令を行いますが、アウトソーシングでは、委託先の責任者が業務指示をします。

アウトソーシングと人材派遣の違いについては、こちらの記事もご参照ください。
「アウトソーシングと派遣の違い メリット・デメリットと活用のポイント」

アウトソーシングに適した業務とは?

アウトソーシングは比較的幅広い領域で実施できます。ここでは、アウトソーシングに向いている業務の特徴についてお伝えします。どういった業務が適しているのか確認しておきましょう。

定型化しやすい業務か

マニュアル対応が可能な業務はアウトソーシングに向いていると言えるでしょう。定型的で独自性が少ない業務はアウトソーシングでも品質管理がしやすく、委託も容易です。

アウトソーシングに不向きな業務は?

自社独自の知見を活かす必要のある業務や、企業の柱となる業務はアウトソーシングには不向きです。アウトソーシングを選択すると、独自の技術・知見が他社に流出するリスクや、アウトソーシングする業務内容が複雑になってしまい、コストがかえって高くなるリスクがあります。

アウトソーシングに適している業務には具体的にどのようなものがある?

アウトソーシングに適している業務は、例えば総務の電話やメール対応、来客対応や文書の管理単純作業だけでなく、経理の給与計算や年末調整、営業のアポ取りや費用精算などにも適しています。ヘルプセンターやコールセンターなどはマニュアル化しやすく業務全体をアウトソーシングするのに向いています。IT業務ではシステム構築や保守運営などもアウトソーシングしやすい業務です。

導入する際の注意点

アウトソーシングを依頼する前には、いくつか確認しておくべき点があります。注意するべき点を確認していきましょう。

目的と範囲を明確化する

どの業務をどの範囲で委託するのか明確にすることが重要です。依頼する業務を整理せず、むやみに委託してしまうと手違いややり直しも増え、コストや業務が増えてしまうことがあります。また、その業務を委託することで得られるメリットについても確認しておきましょう。コストを削減するのか、人材不足を解消するのか、目的を明確にしておくことが大切です。

責任範囲や所在を明確化する

アウトソーシングを行うと指示命令は自社を離れ、委託先で行われます。委託先でトラブルが発生した場合、責任の所在は自社にあるのか、委託先にあるのか明確化しましょう。イレギュラーな事態が起きた場合はどちらが対応するのか、費用はどちらが持つのかなど、考えられる問題も想定しておくことが大切です。

品質管理の契約を確認する

アウトソーシングを行う際に大切な契約は「SLA」になります。「Service Level Agreement」の略で、委託先企業が発注者に対して、どの程度の品質を保証するかを明示したものです。品質を客観的判断ができるよう水準を数値化しており、相互に合意すれば品質の保証がされます。

情報セキュリティについての契約を行う

アウトソーシングは社外の企業と情報を共有するため、秘密情報保持契約(NDA)を締結することが重要です。業務によっては顧客情報や従業員の個人情報、ITシステムの設計や内容などを扱います。委託先には情報漏えいが起きないように契約締結しておくこと、また万が一情報漏えいが発生した際の責任所在について明確にしておくことが大切です。

アウトソーシングのメリット・デメリットを理解して、有効活用を

アウトソーシングは、人手不足の解消やコスト削減のために有効な手法のひとつです。自社のコア業務に集中し、業務効率化を狙うことが可能になります。また、急速に進歩するIT分野にアウトソーシングを導入すれば、専門性の高い戦略を立てることも可能です。アウトソーシングのメリットとデメリットを理解して、導入を検討してみましょう。

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