INTERVIEW

BPO事例インタビュー三菱日立パワーシステムズ株式会社

PASONA

長崎の火力プラント保守機器・部品の営業部門で、初めて事務業務を委託
固定費削減と受注額増加を実現し、改善活動が社内の業務改善コンテストで表彰

BPO導入事例インタビュー 三菱日立パワーシステムズ株式会社三菱日立パワーシステムズ株式会社 山田 敏夫様(写真中央)、関 加津子様(写真右)、株式会社パソナ 中島 啓介(写真左)

三菱日立パワーシステムズ株式会社(以下、MHPS)様は、2014年2月に三菱重工業株式会社と株式会社日立製作所が両社の火力発電システム事業を統合して誕生。火力発電システム・環境技術分野におけるリーディングカンパニーです。
属人的な業務体制に課題を感じ、2015年10月に、長崎サービス部で初めて事務業務のBPO・アウトソーシングをパソナに依頼。業務を委託したパーツマネジメントグループは、保守/メンテナンスに必要な部品・機器の見積対応、受注後の手配、出荷、請求・入金業務を担当しています。現在、委託メンバーは14名体制で、年間1500件程度の見積対応のうち、8割程度を対応しています。
今回は、BPO・アウト―シング導入の経緯から、その効果や、成功の秘訣まで、長崎サービス部 パーツマネジメントグループ長 山田様、関様にお話を伺いました。

導入前の課題と効果

導入前の課題
  • 対応する国や地域が異なると、業務処理方法が異なり、メンバー間でフォローができない状態
  • 見積を提出できていない案件(引合)があった
導入後の効果
  • 導入後の効果・業務標準化シートの有効活用や、スキルの棚卸、相互補完体制を整備して、属人的な業務運営体制を解消
  • 全ての引合に対して見積を提出。引合のうち、業務委託で80%以上を対応。結果として受注額も増加

長崎サービス部 パーツマネジメントグループにおけるアウトソーシング対象業務

同グループでは、新設工事で引き渡した火力プラントの保守サービス、予防保全、改造/改善工事の提案・遂行を担当。BPO・アウトソーシングを導入し、海外のプラントで必要になった保守部品の引合から、入金確認まで、お客様とのやり取りを一気通貫で対応しています。

「中央業務センター」とBPO・アウトソーシング対象範囲

業務の継続性に課題を抱え、BPO・アウトソーシングを検討

BPO導入事例インタビュー Chubb損害保険株式会社

− 早速ですが、BPO・アウトソーシングを検討された背景を教えてください。

BPO導入事例インタビュー Chubb損害保険株式会社

部門のオペレーション業務が人に紐づいていたため、業務の継続性に対する懸念が以前からありました。そのため、私の前任者の時代から、上層部も交えて、BPO・アウトソーシングの導入を検討していました。そうした矢先に前任者の異動が決まり、私がその役目を担うことに。急にバトンを渡されたので、正直なところ、「アウトソーシングとは何か」「派遣との違いは?」というところから、全く理解できていませんでした。
そんな中、弊社の高砂工場(兵庫県)でBPO・アウトソーシングを導入している実績があると聞いて、実際にヒアリングして理解を深めました。

− 業務を継続していくことに課題があったということですが、それ以外に課題はありましたか。

BPO・アウトソーシングを導入する以前は、多くの派遣社員の方々に勤めていただいていました。当時は、派遣社員一人ひとりと部門責任者や指揮命令者が面談をするのに時間を割いていました。ただ、派遣社員の方が退職することになると、引継ぎ期間の設定や、次の派遣社員の受け入れ計画の策定が必要でした。また、計画通りに派遣社員を採用できないこともあり、その場合、社員が一旦業務を巻き取って対応することもしばしばありました。
さらに、費用面での違いもありました。派遣契約は、発生した分を請求いただく方法です。そのため、残業を多くお願いした月は費用が膨らんでしまうという課題がありました。
一方で、BPO・アウトソーシングの形態にすることで、契約業務に関しては、一律の費用で対応していただき、費用が見えやすくなったことが大きかったです。
弊社でもお客様である電力会社に対して「長期保守契約(Long Term Service Agreement:LTSA)」というサービスを提供しています。一律の費用で、一定の期間、保守を行うという内容で、そのサービス形態に近いものだと考えれば、理解しやすかったです。

「標準化シート」を活用し、国ごとのオペレーションを可視化

− アウトソーシング導入当初は、どんな課題がありましたか。

弊社の課題感に対して、親身に相談に乗ってくれたパソナに依頼し、2015年10月からBPO・アウトソーシングを導入しました。その際、パソナ側(委託先)の役割分担を、判断を必要としない定型業務と決めました。ただ、想定した業務に、弊社の社員が関わっている業務も多く含まれていたため、アウトソーシングに全て移行すると、委託メンバーの業務ボリュームが過剰になってしまうのではないかという懸念もありました。工数試算をして、検討してきたものの、実際に運用してみないと分からなかったため、まずは設定した範囲の業務を全てお願いしました。
案の定、委託メンバーの残業が膨らんでしまいましたが、一方で、人員体制に応じた対応可能な業務量を把握することができました。その後、委託メンバーの人員を補強し、業務量を微調整しながら進めてきました。
またこの時、他のメンバーが業務量の多いメンバーをフォローしようとしても、できないということも分かりました。それは、対応する国や地域が異なると、業務処理方法が異なるからという理由でした。

− どのような方法で解決してきましたか。

まず、スタンスのひとつとして決めていたことは、我々とパソナ(委託先)の間に壁を作らないということです。これまで、BPO・アウトソーシングの現場を見学した際に、場所も、コミュニケーションも完全に分離された状態で運営している現場もありました。しかし、我々のような見積作成や、輸出業務においては、双方が遮断された状態だと上手くいかないだろうと考えていました。
そのため、お互い歩み寄りながら、業務の標準化を着実に進めていきました。まず、それぞれ異なる火力プラント毎の取引条件をまとめた「標準化シート」を活用して、国別のオペレーションを可視化しました。
例えば、インドネシアのA発電所における部品を手配するにあたり、どんな書類が必要なのかが、このシートを見ると一目瞭然になりました。BPO・アウトソーシングの導入をきっかけに、社内で業務プロセスやルールを共有したり、属人的な判断をできる限りなくしていくという流れを作ることができました。

また、弊社の場合、扱っている部品等が身近なものでないため、委託メンバーにとって、製品のイメージが湧きにくいという課題がありました。その時、パソナが他社から受託している受注関連業務において、実際の製品(部品・パーツ等)を事務所に用意して、確認しながら作業を進めているということを聞きました。そこで、同様の取り組みをしたいと考え、実際の発電所(自社製品が活用されている現場)の見学会を企画。見学を通じて、パソナの委託メンバーが、「毎日見積書を作成している部品を初めて見ることができ、感動した」と言ってくれたのが嬉しかったですね。加えて、当社の事業ドメインである発電設備にかかわる仕事は、生活になくてはならない社会インフラの構築に貢献しており、自分自身がその一翼を担っているということを実感できる、有意義な場になったと思います。「何のために今の仕事をしているのか」「自身の働きが結果的にどこに繋がっているのか」ということを知ることで、それぞれの仕事の重要性をより理解してくれたのではないでしょうか。

受注額を継続的に伸ばしながら、部門の社員数は減少
BPO・アウトソーシングの取り組みが社内の業務改善コンテストで表彰

BPO導入事例インタビュー Chubb損害保険株式会社

BPO導入事例インタビュー Chubb損害保険株式会社

− BPO・アウトソーシングを導入してからの効果を教えてください。

定型業務をパソナの委託メンバーが担ってくれているため、社員が難易度の高い業務(英語を使用しての商社を通さない直接販売対応、複雑な取引条件等での社内折衝、社内外調整を伴う案件、短納期の案件等)に集中して時間を使えるようになりました。また、人員の入れ替わりが発生した場合でも、弊社側での教育や個別面談等のフォローも不要に。
そうした取り組みの結果、固定費を削減しながらも、受注額を増やすことに成功しています。2015年当初11人だった実担当社員は、2018年12月に6人に減少していますが、受注額は約2割伸びています。

− 社内の業務改善コンテストで、BPO・アウトソーシングの取り組みが表彰されたと伺いました。内容を教えてください。

弊社では、「CSサークル」という社内の業務改善の発表会が年に2回開催されます。長崎地区のほぼ全ての課(約50チーム程度)が対象で、毎回テーマを決めて、各課の課題解決の取り組みを発表し、表彰する場です。
まず部内、次に営業・管理部門、その後、長崎工場内で勝ち上がってきたところと競い合い、見事、パソナアウトソーシングチームが優勝を勝ち取りました。そして、MHPS長崎工場を代表して九州大会に出場し、「審査員賞」を受賞することができました。アウトソーシング先が主体となって、社内大会に出場して、ましてや長崎工場内で優勝するということは前代未聞でした。
優勝できた背景は、パソナアウトソーシングチームが課題をしっかりと棚卸しし、認識したうえで、それを解決していくためのアプローチをロジカルに実践できていた点でした。「スキルマップ」というスタッフのスキルを可視化したシートを作成し、ベテランスタッフでもすべての業務ができるわけではないという課題を可視化しました。その情報から得られた各スタッフの強みと弱みを鑑みて、チーム体制を再編。弱みを補っていくための教育カリキュラムも作成しました。結果的に、見積対応率80%という目標を見事達成しました。

− 今後の目指すべき姿やパソナに期待することを教えてください。

弊社では、2019年4月から社内の体制変更がありました。パソナには、我々のパートナーとして、そうした環境の変化にも引き続きフレキシブルに対応していただきながら、個々人の力量に頼りすぎない、組織としての強靭化を期待しています。
また、委託メンバーには、既に芽生えてきている業務品質への責任感をぜひこれからも持ち続けながら、業務に取り組んでほしいです。契約だけのドライな関係ではなく、たとえば弊社の場合、「委託元企業を通して、発電・環境というという世界規模の課題に取り組んでいる」という会社としての社会的な意義を感じてもらえれば、きっと事業内容にも共感いただき、ますます働く意欲や質の高い業務につながっていくのではないかと考えています。

− 最後に、BPO・アウトソーシングの導入を検討されている企業担当者に向けて、アドバイスをお願いします。

昨今の「働き方改革」に見られるように、社会を取り巻く環境は常に変化しています。限られたリソースと時間のなかで結果を残していくために、BPO・アウトソーシングは有効な手段のひとつだと思います。
しかし、委託先に依頼すれば期待したアウトプットが必ず出てくるという、あたかも「魔法の箱」であるかのような錯覚を起こさないことも重要です。委託先と双方が歩み寄り、パートナーとして、そのプロジェクトを一緒に作りあげていくという意識をもって取り組んでいくことが、成功の鍵なのではないでしょうか。
また、自社の社員にも、BPO・アウトソーシングを活用することの意図をしっかりと伝えていくことも大事だと思います。何か課題にぶつかったとき、できない理由はいくらでも出てきますが、「どうしたらうまくできるのか」を真剣に考え、実践していくことをお勧めします。

パソナプロジェクトメンバーからのコメント

株式会社パソナ Chubb損害保険業務委託プロジェクト プロジェクトマネージャー 冨田 貴史
株式会社パソナ
三菱日立パワーシステムズ 長崎サービス部
プロジェクトマネージャー
中島 啓介

MHPS様の長崎サービス部での事務の業務委託は初めての取り組みでした。これまで長い間、派遣社員の方々を活用されていたので、業務委託開始直後は、各業務で「どこまでが社員の業務?どこからがパソナの業務範囲?」と戸惑いが生じたこともありました。
その際、業務フローを作成し、社員の指示が必要なところ、判断せずに対応できる業務を洗い出し、社員の皆様と協議をしながら、業務範囲を決めていきました。
パソナの業務委託の特徴は、オペレーションをただ回すのではなく、委託メンバーの育成にも力を入れている点です。「スキルマップ」という業務ごとに必要なスキルを洗い出し、個々のメンバーの力量を「見える化」する仕組みを活用し、育成計画などに役立てています。
プロジェクトも3年を迎え、商社を介さない直接取引が増える等、業務内容も高度化しています。貿易実務の知識スキルが重要になってきていることから、「貿易実務検定」の資格取得を支援する等、委託メンバーのスキルアップにも力を入れています。
今後も組織や環境の変化にフレキシブルに対応できるよう、MHPSの皆様や委託メンバーとしっかりとコミュニケーションを取りながら、進めてまいります。

企業プロフィール

2014年2月に三菱重工業株式会社と株式会社日立製作所が両社の火力発電システム事業を統合して誕生。会社設立以来、高品質で信頼性の高い製品を生み出す技術力、総合エンジニアリング力、きめ細かな営業力・サービス力を強みに、グローバルに事業を展開。エネルギー分野におけるグローバルリーディングカンパニーとして、低炭素社会の実現への貢献を目指している。

BPO導入事例インタビュー Chubb損害保険株式会社

会社名
三菱日立パワーシステムズ株式会社
所在地
神奈川県横浜市西区みなとみらい三丁目3番1号 三菱重工横浜ビル
設立
2014年2月
代表者
河相 健
従業員数(2018年10月時点)
連結 18,647人 単独 10,541人

※記事の内容については掲載時点のものとなりますので予めご了承ください。

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