INTERVIEW
BPO事例インタビュー丸紅株式会社

BPOで旧一般職の庶務従事比率を17%削減、コア業務に割り当てられる体制を実現
業務棚卸と外部活用で加速した、生産性向上の新たな形
丸紅株式会社
電力・インフラサービス戦略企画部
企画課長 桃井 千晴様、浅野 由圭李様、原口 佳子様
丸紅株式会社は、2025年に発表した中期経営計画『GC2027』(25~27年度)で2030年までに時価総額10兆円超を目指すという方針を掲げています。電力・インフラサービス部門でも、これまでの発電事業や大型インフラ開発を中心としたビジネスから、電力卸売・小売事業や水道関連事業など、消費者に近い川下のサービス領域へとビジネスを拡大。注力事業が変わっていく中で、社員にはこれまで以上に新規事業の創出やスピードある意思決定が求められ、組織も大きな変革期を迎えているのです。
中期経営計画『GC2027』に加え、2024年度の「職掌制度の改定」も社員にとって大きな変化の一つでした。従来の一般職・総合職という区分を撤廃し、一人ひとりがより高度な業務や役割に挑戦することを前提とした人事制度へと大きく舵を切りました。その結果、社員がどの業務に時間を投じるべきか、組織としてどの仕事に価値を置くべきかが問い直されています。
こうした変化の中で電力・インフラサービス部門が選択したのは、パソナによるBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の導入でした。経費精算や会食手配など一般職が担ってきた庶務業務を棚卸しし、標準化できる業務はパソナに委託。社員がより本質的な業務にシフトできる体制を整えています。今回は、BPO導入を推進した丸紅の電力・インフラサービス部門のキーパーソンたちに、制度改定と並行してBPO導入に踏み切った背景、推進の過程での苦労、そして現在の成果について詳しく話を伺いました。
導入前の課題と効果
導入前の課題
- 職掌制度の改定に伴い、「新たな業務への挑戦」がより求められるようになった一方で、従来の庶務業務の負荷が大きく、業務領域の拡張が難しいことが懸念されていた。
- 庶務業務が属人化し、担当者によって業務の粒度や進め方が異なっていたため、標準化が進みづらかった。
- 組織としてのBPOの活用経験がなく、委託を推進するイメージが沸いていなかった。
導入後の効果
- 旧一般職が担っていた庶務業務の比率が39%から22%へ減少。
削減した時間を新しい業務やより難易度の高い業務に割り当てられるようになった。 - 経費精算・会食手配・各種社内申請業務の代行など、標準化可能な業務をBPOに移管し、業務の属人化が解消された。
- BPOチームの積極的な認知度向上や提案により、委託業務範囲が継続的に拡大した。
- オンサイト支援により、BPOメンバーと社員の関係構築がスムーズに進み、営業社員が依頼しやすい環境が整った。
- マネジメント層が「社員が担うべき業務/BPOに任せるべき業務」を判断する意識が醸成され、業務整理の質が向上した。
- 社内の生産性向上・改善アワードの受賞を通じ、取り組みの価値が全社的に認知された。
職掌制度改定と並行しながら、業務の整理と標準化を加速


− 初めに電力・インフラサービス部門の組織について教えてください。
当社は10の営業部門とコーポレート部門からなる総合商社で、私たちはその中の電力・インフラサービス部門に所属しています。発電設備やプラント、交通・インフラなど、いわゆる重厚長大といわれる領域を幅広く担当してきた部門です。
これまでは、発電所やプラントなどの上流資産における大型案件の開発・運営が、我々のビジネスの中心でした。しかし中期経営戦略『GC2027』のもと、最近はより消費者に近い川下のビジネスにも力を入れています。具体的には電力の卸売・小売事業や水道関連事業など、サービス分野へより注力するようになり、事業の広がりを実感しています。
部門には3つの管理組織と8つの営業部がありますが、私たちの所属する戦略企画部は、そのハブとして機能しています。戦略立案や部門の対外発信、事業決裁、サステナビリティー対応、研修、人事戦略、内部統制、システム開発まわりまで、部門全体を支える、いわゆる“コーポレート機能”を担っています。
現在、電力・インフラサービス部門は500人近い大きな組織で、戦略企画部も約50人の体制をとっています。中期経営計画での目標達成を目指し、部門が一つの方向に進めるよう、日々基盤づくりに取り組んでいるところです。
− BPO導入を検討した背景を教えてください。
当社では2024年度から職掌制度が改定され、総合職と一般職という区分をなくすという大きな変革に踏み切りました。社員一人ひとりがより高いミッションに挑戦するための取り組みですが、それに伴って、従来の一般職が担っていた庶務業務を誰がどう対応していくのか、丁寧に検討する必要がありました。そこで、まずは一般職が担っていた業務をひとつずつ棚卸しし、どこに負荷がかかっているのか、どこを整理すればより活躍の幅が広がるのかを確認していきました。
その中で、標準化できる業務や外部の力を借りても品質を保てる部分はアウトソーシングする、という選択肢を前向きに検討するようになったのです。より難易度の高い業務や新しい役割に挑戦するための仕組みづくり、という位置づけです。
− BPO導入にあたり、事前にどのような準備をされたのでしょうか。
BPOの導入は、一朝一夕で進んだわけではありません。2023年度に職掌制度の改定が決まったタイミングから業務を丁寧に抽出し、庶務業務について難易度の整理やレベル分けを行いました。標準化できる業務はアウトソーシングし、複雑なプロセスの業務は社員が対応すべき、といった線引きを整えていきました。
難しかったのは、同じ業務でも人によって“難易度の感じ方”が違うことでした。例えば、庶務業務一つとっても、関わり方は人によって粒度も深度もさまざまです。その違いを言葉にする作業は簡単ではありませんでしたが、 その過程で“標準化しづらい業務はBPOに向かない”という判断基準が明確になり、大きな収穫でした。
また棚卸しを進める中で、一般職の方々にも変化がありました。タスクフォースを組み日常業務を言語化する中で「もっと効率的にできるのでは」といった気づきが生まれ、属人化していた業務が可視化されていったのです。意見交換を重ねることで互いのやり方を知り、改善のヒントが共有され、プラスの変化を生み出しました。こうした積み重ねを経て、2024年6月には無事BPOを始動させることができました。
パソナ社員がプロマネとしてBPOを取りまとめる体制を評価


− パソナとの出会い、そしてパートナーとして選んだ理由を教えてください。
もともとパソナから派遣スタッフを受け入れていたご縁がありました。その中で「BPOも手がけている」と知り、今回のアウトソーシング検討のタイミングで他社とあわせてお声がけしたのです。
各社からお話しを伺う中で、パソナは提案内容が非常に具体的でした。業務仕様書やマニュアルの作り方もしっかり示してくださり「この流れなら安心して任せられそう」とイメージを持てたことが大きかったです。
特に決め手になったのは、プロジェクトマネージャーをパソナの社員さんが担当してくださる点でした。初めてのBPO導入で、当初は業務内容も量も正確に読めない部分が多い状況でしたが、伴走しながら現場に寄り添っていただけるのが安心につながりました。今後、業務を拡大させていく方針の中で、“一緒に成長していけるパートナー”と感じたことも選定理由の一つです。
− BPOの開始当初、苦労されたことはありましたか?
立ち上げ当初は部門内での認知度が低く「何をどこまでお願いできるのか」が十分に伝わっていない状況でした。丸紅のBPO推進メンバーも手探りの部分が多く、また、部門員もBPOメンバーも、お互い顔が分からない中対応を進める形で、両者に戸惑いがあったように思います。
その状況を乗り越えようと、パソナの社員さんとBPOメンバーがとても積極的に動いてくださり、部門内周知に力を貸してくれました。業務の依頼先や依頼方法を記載したチラシづくりや、部門内説明会の開催にご協力くださったり、また、案内メールにパソナBPOメンバーの写真を掲載して身近に感じてもらうなど「どうすれば部門内で知ってもらえるか」を共に考えながら、二人三脚でPR活動を進めました。BPOチームの愛称『アドミノモリ』も、キャッチーで覚えやすい名称をということで、パソナに一緒に考えてもらいました。その積み重ねが実を結び、半年ほど経ったころには部門内の認知度も大きく向上。振り返ってみると、パソナの社員さんとBPOメンバーの前向きな姿勢と伴走があったからこそ、スムーズに浸透が進んだと感じています。

任せたことで生み出された時間が挑戦と成長のエンジンに


− パソナへ委託しているのは、どのような業務ですか。
導入当初は、経費精算、各種代理申請、営業サポートだけでした。現在では、経費関連、手配、代理申請、営業支援、その他事務からフロア関連まで拡大しています。
当初、ここまで業務が広がるとは想像していませんでしたが、実際に業務を進める中で「この仕事も任せられそう」という場面が増え、依頼範囲が自然と拡大していったのです。例えば、社内迎賓施設の予約、手土産の手配など、従来は内製が前提だった業務も、BPOメンバーの皆さんからのアイディアのおかげでスムーズに対応していただいています。導入当初267件だった業務の処理件数は直近では月430件近くまで上りました。
特に手土産手配はカード決済が必須で、外部委託は難しいと考えていたのですが、請求書払いが可能な店舗の開拓や百貨店との法人契約まで調整していただき、現在では複数店舗の商品を検討して依頼できる体制が整いました。
さらに、日々の経費精算、各種社内代理申請に加え、お礼状の作成や名刺管理などの事務業務、書類や荷物の発送・受取、執務フロア内のロッカー管理や落とし物対応まで、幅広くカバーしていただいています。週次・月次の定例会議を通じて、業務の進捗や課題を両社で着実に共有し、安定した運用体制を築けている点も大きな安心材料になっています。
− 社内の生産性向上・改善アワードを受賞されたと聞いています。
受賞は、取り組みを全社展開したいという私たちの想いを後押しする、大きな追い風となりました。会社から認められたことで注目度が高まり、他部門から相談を受けることもあります。部門内では、「この仕事もアドミノモリに任せられるのでは」という機運が少しずつ広がり、手応えを感じています。
今回の取り組みを通じ、BPOとは単なる作業の移管ではなく、業務の優先順位や価値観そのものを見直すプロセスだと実感しました。今後も、社員がコア業務に集中できる環境づくりに貢献していきたいです。
− 今後、パソナのBPOに期待していることを教えてください。


私たちがBPO業務をお願いしている根本の目的は変わっていません。社員が担う業務の中で、定型化・標準化できるものは積極的にお任せし、出来た時間をより付加価値の高い業務へ振り向けたいです。
もちろん、バックオフィス業務自体はどれも重要でミスが許されません。だからこそ、安心して任せられるパソナにしっかりと固めていただき、社員が新たな領域にも挑戦できる環境を整えたい。今後、依頼できる業務の範囲がより広がり、質も高まることで、私たちが目指す働き方に一層近づいていくと期待しています。
企業プロフィール
丸紅株式会社は、国内外のネットワークを通じて、ライフスタイル、食料・アグリ、金属、エネルギー・化学品、電力・インフラサービス、金融・リース・不動産、エアロスペース・モビリティ、情報ソリューション、次世代事業開発、次世代コーポレートディベロップメント、その他の広範な分野において、輸出入(外国間取引を含む)及び国内取引のほか、各種サービス業務、内外事業投資や資源開発等の事業活動を多角的に展開しています。
- 会社名
- 丸紅株式会社
- 所在地
- 東京都千代田区大手町一丁目4番2号
- 創業
- 1858年5月
- 設立
- 1949年12月1日
- 代表者
- 代表取締役 社長 大本 晶之
- ホームページ
- https://www.marubeni.com/jp/
※記事の内容については掲載時点のものとなりますので予めご了承ください。
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パソナプロジェクトメンバーのコメント
営業統括本部 エキスパート・BPO事業本部
PMO室 プロジェクト長
岡田 崇
この度は、日頃より大変お世話になっております丸紅様より、貴重なお言葉を頂戴するとともに、インタビューにもご協力いただき、誠にありがとうございました。
貴社が事業および組織の変革期にある中で、BPO領域において、営業社員の皆様のお役に少しでも立てておりますこと、大変光栄に存じます。
また、日頃より密にコミュニケーションを取らせていただいていることに、心より感謝申し上げます。今後もさまざまなご要望を頂戴しながら、それらにどのようにお応えできるか、パソナ一同、創意工夫を重ねて取り組んでまいります。引き続き、何卒よろしくお願い申し上げます。
パソナBPOメンバーたちの声
私たちはただ業務を “こなす”のではなく、常にお客様の期待を超える価値をお届けしたいと考えています。急なご依頼や複雑な案件も少なくありませんが、まずは「どうすれば実現できるか」をチームで考え、難しい場合も必ず代替案を添えてご相談するよう心がけています。単なる作業代行ではない、能動的に改善提案を行う姿勢こそ、私たちの強みです。
現場では経験豊富なメンバーが中心となり、困りごとをすぐに相談し合える風通しの良いチームワークがあります。入社間もないメンバーも先輩の姿勢に影響を受け、主体的に動く文化が根づいています。また、スーパーバイザーやマネージャーとの定例ミーティングで気持ちを共有できる環境が、安心して業務に向き合える大きな支えになっています。
お客様にしっかり寄り添いながらも、チームが無理なく力を発揮し続けられるよう、業務の範囲や進め方については丁寧に調整し、長く安心してお任せいただける関係づくりを大切にしています。