INTERVIEW
BPO事例インタビューChubb損害保険株式会社
保険のバックオフィス事務業務を一手に担う「中央業務センター」の改革に着手!
BPO・アウトソーシング先の切り替えで、業務改善・品質向上に成功
Chubb損害保険株式会社 久保 陵洋様(写真中央)とパソナのプロジェクトメンバー
Chubb損害保険株式会社(以下、チャブ保険)様は、54ヵ国で事業を展開する世界最大級の損害保険会社のグループであり、外資系保険会社の中で、日本で最も古い歴史を有しています。個人・法人向けに損害保険商品全般を展開しており、クラシックカー専用の自動車保険など、特徴的な商品も扱っています。
チャブ保険様では、約11年前に「中央業務センター」を発足以来、業務の一部をアウトソーシングしてきました。しかし、属人的な業務運営等の課題を抱えていました。
そうした課題を解決するために、2016年にアウトソーシング先の切り替えと、社員を含めた業務分担の変更を決断。現在、約40名体制で運営しています。今回は、その改革を指揮してきた、オペレーションズグループ統括本部 本部長の久保様に当時の課題や社内の業務改革の進め方についてお話を伺いました。
導入前の課題と効果
導入前の課題
- ベテランスタッフが属人的に業務を行っている
- 社員と業務委託スタッフの役割と責任範囲が不明確
- 繁忙期に増える業務量は社員が残業をしてカバー
導入後の効果
- マニュアル整備や多能工(マルチタスク)化を通じて、属人的な業務運営体制を解消
- 社員と外部委託業務を明確に切り分け、社員がコア業務に特化できる体制に移行
- 業務量に応じ、パソナで柔軟な人員シフトを展開することにより社員の残業が削減
「中央業務センター」とBPO・アウトソーシング対象範囲
BPO・アウトソーシングの対象業務は、大きく商品ラインと機能ラインで役割分担をしています。商品ラインの部隊は商品の種類によって、傷害保険、自動車保険、火災保険等を対応します。機能ラインのチームは、口座振替対応や、保険料収納会社とやり取り、代理店勘定精算と呼ばれる業務を行っています。
業務分担の見直し、属人的な業務運営からの脱却を目指し、アウトソーシング先を変更
業務の特性・人材面を考え、ソフトランディングが可能なパソナを選定
− 早速ですが、BPO・アウトソーシング先の切り替えを検討された背景を教えてください。
弊社は、約11年前に、会社全体の事務業務の効率化を目的に「中央業務センター」を立ち上げ、各支店にあったバックオフィス業務を本社に集約しました。主に保険契約の計上業務、証券の発送や保険料の精算等の手続き業務が中心で、年間200万件以上の書類を扱っています。立ち上げ当初から、今と業務範囲は異なりますが、BPO・アウトソーシングを活用していました。
そして、私が部門責任者に着任したのが4年前。自社の社員と委託のスタッフの役割分担が曖昧だったり、ベテランスタッフが業務を属人的に行っている状態を見て、改善の必要性を感じました。また、労働者派遣法の改正等の影響もあり、新たにBPO・アウトソーシングのパートナーを選定し、部門の抜本改革を進めることを決めました。
− パソナを選んだ理由を教えてください。
いくつかありますが、最大の理由は、一番現実的なプランを提案してもらえたことです。具体的には、トランジッション(人材移管)を慎重かつ適切に進めるという方法です。
当時、長年にわたり委託対象となる業務に携わってきたスタッフが多数いました。そうした方々の経験値を活かしながら、適正な委託化に向けて、ソフトランディングさせていくことが大きなポイントでした。我々の思いを汲んで、パソナからは、「コミュニケーションプラン」、「不利益の無い条件」、「委託メンバーに長く働いてもらうための制度」等を提案してもらいました。
また、パソナは人材サービスを基盤としているため、新規での採用が必要になった場合も優秀な人材を採用できるという点も決め手のひとつでした。
そして、委託先を選ぶうえでは、課題解決に取り組む姿勢も重要だと感じています。他社の中には、「なんでもやります」という提案もありましたが、現実的ではないという印象でした。パソナのコンサルタントの方が、課題の表層部分だけでなく、具体的な業務の中まで見てくれたことや、ディスカッションを通しての着眼点も的を射ていて、信頼できる方々だったということも評価したポイントです。
プロジェクトの管理者とスタッフが密にコミュニケーション
業界に精通したコンサルタントとも連携を図り、課題を解決
− では、実際にBPO・アウトソーシング導入後の課題はどんなことがありましたか。
今思い出しても、導入直後が一番大変でしたね。我々は、業務の線引きが不明確という課題を解決するとともに、このタイミングで、正社員が担当する業務領域も見直すことを考えていました。正社員には、高度な判断が伴う業務にシフトしてもらおうと。つまり、シンプルな業務委託先の切り替えではなく、社員を含めた業務の大変革でした。ほとんど全員の業務領域が変更になるということもあり、改革当初は正直なところ、混乱も生じました。
業務領域を変更した後は、当たり前ですが、社員も含めて誰もが新しい業務を担当します。そのため、導入当初は、ミスが起きてしまうこともありました。そうすると、代理店の方々や契約者様にご迷惑をかけてしまうので、安定的な運用ができるよう、早期の改善に取り組みました。
− どのような方法で解決してきましたか。
双方の関係者が良くがんばったと思います(笑)。パソナでは、当初想定よりも管理者を手厚く配置してもらえたと感じています。そこは今振り返っても大事なポイントでした。管理者の方々が機能してくると、ミスもほとんど起きなくなりました。管理者の方々には、スタッフと密にコミュニケーションを取ってもらい、例えミスが起きても再発防止策を立てて、それぞれのスタッフに浸透するまで、粘り強く指導・教育を続けてくれました。
また、損害保険業界に精通しているコンサルタントの方をアサインしてもらえたことも大きかったです。ただ処理を行うだけではなく、「書類のここにチェックが付いているということは、何を意味するのか」といった視点で、業務フローの設計や、スタッフへの指導をしてもらえたことが、早期に安定化を実現できた要因だったと思います。
ミスがなくなり、属人化していた業務のマニュアルも整備。業務改善を継続的に実施
− BPO・アウトソーシング先を切り替えた当初から見て、現在はどのような状況になっていますか。
まず、ミスがほとんど起きない状態になりました。また、当初はマニュアルも全く整備されていませんでしたが、今はほとんどの業務においてマニュアル化されています。
業務改善も双方で意見を出し合いながら、今まさに進めています。例えば、ある帳票をファイル保管していたところ、「これは必要ないのでは?」とパソナのコンサルタントが指摘してくれました。その後、使用状況を代理店側にも確認してみると、全く使われていないことが判明。おかげで、その業務をなくすことができました。過去ずっと行ってきたので、当たり前のようにその業務を続けてきましたが、やはり外部のプロフェッショナルに入ってもらうことで、客観的な指摘をもらえるのがありがたいです。
これからもお互いに改善案を出しながら、より強い組織を作っていきたいと思っています。
自社の社員側に目を向けると、残業時間が減り、社員が担うべきコア業務に時間を使えるようになっています。元々の業務委託の目的だったため、改善に繋がって良かったです。
− 今後BPO・アウトソーシングを検討される企業担当者の方へのアドバイスをお願いします。
業務の変革を行うのは、やはり簡単なものではなく、多少のハレーションはつきものです。しかし、中長期的な目で見ると、大きな業務改善インパクトが期待できます。
また、今回のように、業務の役割や、プロセスを変える際は、社内全体の協力や関わる人同士の密なコミュニケーションが欠かせません。私の場合、部門に業務改善の方針を伝えるときは、全員を集めたミーティングの場で、あえて自分から伝えるようにしていました。部長、課長、係長と伝言ゲーム方式で方針を落としてしまうと、正しく意図が伝わらないのではと考えたので、そのことを実践していました。
− 最後に、今後の目指すべき姿やパソナに期待することを教えてください。
まだ営業現場には、事務的な業務が多数残っています。全体最適を考えると、そうした業務を「中央業務センター」で行っていけるよう業務の整理を行っているため、今後、パソナに委託業務としてお願いしていくことも視野に入れています。これからも良き戦略パートナーとしての役割に期待しています。
そのほかにも、弊社の社員と共同で、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の活用等、新しいテクノロジー活用しての業務改善も積極的に行っていきたいです。
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BPOは導入後にいかに安定的に運用を継続するか、ということが大変重要です。そのポイントを解説するとともにパソナの継続的な支援サービスについてご紹介いたします。
煩雑化・属人化した業務を整理してアウトソース パソナのBPOサービス
高品質な業務受託サービスを提供しているパソナのBPOサービス。 業務を効率化し、社員のコア業務への集中を実現します。 事務・サポート業務から、各社の固有業務まで幅広く対応しています。
企業プロフィール
54ヵ国で事業を展開し、約30,000名の従業員を擁する世界最大級の損害保険会社であるチャブ・グループの日本法人。
チャブ保険は、斬新な発想とチャブ・グループのグローバルなネットワークをもとに、個人から法人まで幅広く革新的な損害保険商品を提供。
豊富な商品構成やサービス、幅広いディストリビューション能力、優れた財務力、卓越した保険引受、高品質の損害サービス、グローバルな拠点展開などが強み。
- 会社名
- Chubb 損害保険株式会社
- 所在地
- 東京都品川区北品川6-7-29 ガーデンシティ品川御殿山
- 設立
- 1996年1月26日(日本法人化)
- 代表者
- ブラッド・ベネット(ファー・イースト リージョナル・プレジデント)
- 従業員数(2019年3月時点)
- 550人
※記事の内容については掲載時点のものとなりますので予めご了承ください。
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パソナプロジェクトメンバーからのコメント
Chubb損害保険業務委託プロジェクト
プロジェクトマネージャー
冨田 貴史
チャブ保険様は、業務委託開始前からパソナの派遣スタッフが多数お世話になっており、人材採用のポイントや企業文化などを日頃から教えていただいていたことが大きかったと思います。パソナでは、派遣の営業担当と業務委託の担当を分けずに、一気通貫でお客様の課題解決に向けたソリューションを提供できるところが強みです。
業務委託切り替えの当初は、大変な部分はあったかと思いますが、開始から日を追うごとに、メンバー内でのコミュニケーションも自然と増え、運営上の課題点について、話し合う体制づくりができました。チャブ保険様のご協力のもと、今でもプロジェクト長を中心に、PDCA(Plan、Do、Check、Action)のサイクルを回し、小さな改善を継続することができています。