貿易事務に資格は必須?
必要スキルやおすすめの資格について解説
更新日:2025年04月22日

「貿易事務」のお仕事に興味がある方の中には、「働くために特別な資格は必要なの?」「未経験からはじめる場合、どんなスキルが求められるの?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
今回は、貿易事務の仕事に必要とされるスキルや、取得しておくと役立つ資格、さらにキャリアアップを目指す際におすすめの資格についてご紹介します。
目次
貿易事務とは

貿易事務とは、海外との貿易取引にかかわる事務業務を行うお仕事です。担当する業務は大きく分けて「輸出業務」と「輸入業務」に分けられます。
どちらも共通する業務はありますが、それぞれに求められる知識や対応内容には違いがあります。
【輸出業務】
- 海外からの注文受付、出荷手配
- 通関書類の作成(インボイス・パッキングリストなど)
- 船積み・航空便の手配
- 輸出申告およびスケジュール管理
- 代金回収に関する手続き
【輸入業務】
- 海外への発注および納期確認
- 現地出荷状況のフォロー
- 通関書類のチェック・輸入申告
- 国内配送の手配
- 関税・消費税の計算や支払い処理
貿易事務の活躍の場は、商社、メーカー、フォワーダー(通関業者・海貨業者)、乙仲、船会社、航空会社、物流会社など多岐にわたります。また、勤務先の業種によっても業務内容が異なります。
貿易事務には資格が必要?活かせるスキルとは

貿易事務のお仕事に就くために、資格は必ずしも必要とされていませんが、資格や経験・スキルがあることで、即戦力として企業からのニーズも高く、就業のチャンスが広がる可能性があります。
ここでは、未経験の方でも無理なく身につけやすく、実際の業務にもすぐに活かせるスキルをご紹介します。
英語力・語学スキル
貿易事務は、海外の取引先と電話やメールでのやりとり(コレポン)が主な業務です。
売買契約書や輸出入に関する書類など、外国語の文書を作成・確認する業務もあります。そのため、英語を中心とした語学スキル(読む・書く)が求められますが、実際の業務では定型フォーマットの書類を扱うことも多く、語学に自信がない方でも対応しやすい業務もあります。
また、業種や担当業務によっては「聞く・話す」スキルや、英語以外の言語(中国語、韓国語、スペイン語など)が必要となることもあります。たとえば、海外の取引先との納期調整やトラブルなどの電話対応、オンライン会議への参加などが挙げられます。
PCスキル
貿易事務の業務では、貨物の出荷・納品管理や貿易書類の作成などにPCを使用します。メールの作成や送受信、Word、ExcelなどのOfficeソフトの操作スキルが求められます。
具体的には、Wordでの文書作成や書式設定、Excelでのデータ入力や簡単な関数の使用ができると、実務で役立つでしょう。また、企業ごとに独自のフォーマットや専用のシステム端末を使って作業を行うこともあるため、基本的なPC操作に慣れているとスムーズに対応しやすくなります。
貿易実務に関する知識
「貿易取引の流れ」「貿易に使用される書類」など、貿易の仕組みや基礎知識、専門用語についてあらかじめ理解しておくと業務を行う際に役立つでしょう。勤務先によって担当する貿易実務の内容は異なりますが、主な実務内容を業種別に紹介します。
商社・メーカー
- 商品の受発注:輸出入の受発注手続き、納期の調整など行う
- 貿易書類の作成・確認:インボイスやパッキングリストなどの必要書類を作成、確認する
- コレポン対応:輸出入スケジュールや進捗状況について、取引相手とメールや文書、電話でやり取りを行う
フォワーダー ※商社やメーカーの手続きを代行する仲介業者
- スケジューリング:商品の輸送のスケジュールを作成し、現地のフォワーダーや運送会社と調整する
- 輸送手段の手配:船会社や航空会社に輸送を依頼し、必要な手続きを行う
- 通関手続き:税関への輸出入申告に必要な書類を収集・作成し、手続きを進める
船会社・航空会社
- 書類の作成:B/L(船荷証券)、Sea Waybill(海上運送状)、Air Waybill(航空貨物運送状)などを発行する
- 貨物到着案内(Arrival Notice)の送付:到着予定日や積載品の明細をまとめた書類(A/N)を作成・送付する
物流会社
- カウンター業務:電話やメールで商品の保管依頼を受け付ける
- 貨物のデータ管理:専用システムに貨物情報を入力し、入出庫の状況を管理する
- 請求書の発行:保管料や荷役料(入出庫・仕分けなどの倉庫内作業)を計算し、請求書を作成する
貿易事務を目指す方におすすめの3つの資格

貿易事務のお仕事を目指す際に、次のような資格を取得しておくことで、業種や就業先の選択肢が広がり、就業チャンスが増える可能性があります。
1.TOEIC®
貿易事務では、業務上英語力が求められる場面が多くあります。英語力を客観的に証明する資格の一つが「TOEIC® Listening & Reading Test(以下、TOEIC)」です。
TOEICはリスニング100問、リーディング100問の計200問で構成され、マークシート式で解答する試験です。ビジネスメールや契約書など、実際のビジネスシーンを題材にした問題が多く、国際的な業務に必要な英語力の指標として広く利用されています。
TOEICは合格・不合格で判定されず、10点~990点のスコアで英語力が評価されます。
「基礎的な英語力がある」とされる目安は600点前後。英語を業務で使用する企業では「TOEIC600点以上」を採用条件とするケースも見られます。
ビジネスの現場で英語を使った実務経験がなくても、600点以上のスコアがあれば「一定の英語力がある」と評価されやすく、貿易事務未経験からでもお仕事に就ける可能性が高くなります。
TOEICの学習方法は、市販の参考書や問題集を使った独学のほか、効率よく学習を進めるために対策講座やeラーニングを活用するとよいでしょう。
2.貿易実務検定®
貿易実務知識の検定試験として、「貿易実務検定®」があります。輸出入の基本的な流れ、専門用語、書類の役割など、実務に沿った問題が出題されます。
試験はA級、B級、C級の3段階があり、貿易実務未経験者はC級の合格を目標にするとよいでしょう。
C級は、貿易事務の基礎知識や定型業務に関する問題が出題され、実務経験1~3年程度のレベルが想定されています。現在は、B級、C級ともにWeb試験が導入されており、日本全国や海外からでも受験が可能です。
貿易実務検定の学習法は、市販のテキストや過去問題集を利用しての独学でも可能ですが、専門知識を正しく理解するために、資格スクールやeラーニングの活用もおすすめです。
また、貿易のお仕事を取り扱っている派遣会社では、貿易実務検定の対策講座や、貿易に関するセミナーなどを定期的に実施しています。
3.MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)
貿易事務では、WordやExcelを使った文書作成・管理が日常的に行われるため、PCスキルの証明として「マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)」を取得しておくとよいでしょう。
試験科目は「Word」「Excel」「PowerPoint」「Access」「Outlook」の5つがあり、希望する科目・バージョンを選択して受検します。特に、WordとExcelの一般レベル(アソシエイト/スペシャリスト)を取得しておくと、貿易事務で必要とされる基本的なPCスキルを証明できます。
試験は、全国約1,500ヶ所の会場で、ほぼ毎日実施されています。「全国一斉試験」と「随時試験」の2つの受験方法があり、希望する受検方法を選べます。
MOSの学習方法は、市販の教材を購入して独自に学習する方法や、PCスクール、eラーニングを活用することもできます。
また、パソナでは、PCスキルの基本講座を定期的に実施していますので、ご興味のある方は活用してみてください。
キャリアアップに役立つ資格

貿易事務からさらにステップアップを目指す方へ向けて、キャリアアップに役立つ資格をご紹介します。
通関士試験
貿易事務の業務を通じて、輸出入や貿易の流れに関する知識を身につけた方には、キャリアアップの一つとして、「通関士」のお仕事があります。
通関士は、貿易に欠かせない「通関手続き」を専門に行うプロフェッショナルです。
輸出入の際には、税関に対して商品の申告を行い、必要に応じて検査を受けたうえで許可を得る必要があります。この一連の手続きを担うのが、通関士の仕事です。
通関士試験は、年に1回実施される国家試験で、通関に関する法律や実務知識が問われます。難易度は高く、合格率は例年10〜15%程度となっています。受験者の多くは、貿易業務や通関業務の実務経験者です。
学習方法は、法律や制度の理解を深めるために、資格スクールや通信講座、eラーニングを活用する方法があります。
また、貿易事務の現場で実務経験を積みながら学ぶこともおすすめです。 実際の業務を通じて輸出入の流れや通関書類に触れることで、知識と実践が結びつき、理解がより深まります。日々の業務を学びの機会ととらえ、仕事と並行してコツコツと試験対策を進めていくことが、合格への近道にもなります。
貿易事務の資格取得はTOEIC®から

貿易事務のお仕事を目指して資格の勉強を始めるなら、まずは「TOEIC®」にチャレンジするのがおすすめです。
企業によっては、実務未経験でも英語力と意欲がある方を歓迎しており、TOEICのスコアが採用基準を満たしていれば、アシスタント業務からスタートすることもできます。
まずは、TOEICでのスコアアップを目指し、英語力を高めていくことから始めてみましょう。
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