派遣の種類とその仕組みとは?
派遣で働く前に知っておきたい基礎知識を解説
更新日:2024年11月20日

「今のままの働き方でよいのか不安がある…」「残業は少なめで、仕事とプライベートのバランスを重視したい」「未経験のお仕事に挑戦してみたい」――など、お仕事への不安やご希望をお持ちの方は、派遣という働き方を検討してみてはいかがでしょうか。
派遣は、働く時間や条件を比較的自由に選べる一方で、安定した収入を得ることができるため、あなたの理想の働き方を実現できるかもしれません。
本記事では、派遣の仕組みや種類、メリット・デメリットなど、派遣で働く前に知っておくべき基礎知識について詳しく解説します。
派遣の仕組みとは?

派遣とは、派遣会社に登録しているスタッフを企業に派遣し、派遣先企業で業務に従事してもらう仕組みです。つまり、派遣スタッフは雇用契約を勤務する会社と直接結ぶのではなく、派遣会社と結びます。この点が正社員やアルバイトとの大きな違いです。
派遣スタッフは派遣先企業から業務の指示を受けますが、給与の支払いや労働条件の管理などは派遣会社が行います。勤務時間や業務内容にこだわりがあれば、派遣会社に相談することで希望に合ったお仕事を案内してもらうことが可能です。ライフスタイルに応じたお仕事選びがしやすく、柔軟な働き方ができる点が派遣の魅力です。
派遣雇用にはどんな種類がある?

派遣には大きく分けて「登録型派遣」、「常用型派遣」、「紹介予定派遣」の3つの種類があります。
登録型派遣
登録型派遣は、派遣会社に登録し、就業する派遣先企業が決まったら、派遣会社と有期雇用契約を結ぶ働き方です。
登録型派遣は比較的自由度が高いため、勤務地や職種、勤務時間など、希望に合わせた派遣先を選ぶことができます。派遣先企業での契約が終了すると、また新たな派遣先で異なる経験を積み、ステップアップをしていきます。
常用型派遣
派遣会社と無期雇用契約を結び、継続的に派遣先企業で働くのが常用型派遣です。
もし新たな派遣会社がすぐに見つからない場合でも、派遣会社との雇用契約が続くため、長く安心して働くことができます。とくに、長期的なキャリアプランを描いている方に適した働き方です。
紹介予定派遣
紹介予定派遣とは、派遣スタッフとして一定期間(最長6ヶ月)働いた後、派遣先企業と本人が合意すれば正社員や契約社員として直接雇用される働き方です。
派遣スタッフとして実際に働くことで、職場の雰囲気や業務内容を確認でき、ミスマッチを防ぐことができます。一方の企業側にとっても、自社の求める人材かどうかを見極めることができるため、双方にとってメリットのある働き方です。
派遣の種類別のメリット・デメリット

それぞれの派遣の種類には、メリットとデメリットがあります。
その特徴をしっかり理解したうえで、どの働き方が自分に合っているかを見極めましょう。
登録型派遣のメリット・デメリット
メリット1.ワークライフバランスを整えやすい
自分のライフスタイルに合わせた勤務条件を選択できるのが、登録型派遣の大きなメリットです。
例えば、育児や介護をしながら自宅近くの勤務先で働いたり、スキルアップやリスキリングなどの時間を確保するために残業が少ないお仕事を選んだり。正社員と比較すると、希望に合わせて無理なく働ける点が魅力です。
メリット2.多様な経験が積める
さまざまな職場で働くことで、幅広いスキルや経験を積むことができます。着実にスキルアップし、キャリアの可能性を広げることができるでしょう。
一方で、未経験のお仕事へのキャリアチェンジがしやすいのも、登録型派遣ならではの魅力です。憧れの業界や職種にチャレンジしてみたいと考えている方にとっても、大きなメリットといえます。
デメリット1.同じ職場での雇用期間が最長3年
登録型派遣では、同一事業所で同一の派遣スタッフが勤務できる上限は原則3年と派遣法で定められています。職場環境や業務内容に満足していても、基本的には3年を超えて就業を続けることができないのです。この3年ルールは、事業所単位でも期間制限がありますので、契約時に確認をしておくとよいでしょう。
デメリット2.次の派遣先が見つかるまで時間がかかる場合がある
派遣期間が終了するということは、すなわち派遣会社との雇用契約も終わるということです。タイミングによっては、次の就業先が決まらないまま契約が終了し、収入のない期間ができてしまいます。
それを防ぐためにも、契約満了までに次のお仕事について派遣会社に相談したり、自身でもお仕事探しをするとよいでしょう。契約終了の1ヶ月前を目安に派遣会社から次回更新有無について連絡があるので、自主的に早めに準備をしておくと安心です。
登録型派遣に向いている人
登録型派遣は、仕事とプライベートをバランスよく両立させたい方に向いています。例えば、育休明けの短時間勤務で復職したい方、特定のスキルを活かしながら多様な業務に挑戦したい方にもおすすめです。
また、将来的にどんなキャリアへ進むか模索中の方にとっても、さまざまな業界・職種で多様な経験が積める登録型派遣は向いているといえます。お仕事に対しての自分の適性を見極めることができ、進むべき道もきっと見えてくるでしょう。
常用型派遣のメリット・デメリット
メリット1.雇用が安定する
無期雇用契約により、雇用の定めなく安定して働き続けることができます。賞与などを含む給与や福利厚生面などが充実している雇用形態です。(※各派遣会社の規程に準じる。)
メリット2.収入も安定しやすい
常用型派遣の多くは月給制であるため、時給制のように就業先の契約時間に左右されない固定給です。休日が多い月や就業時間が少ない日でも、安定した給与を受け取ることができます。
また、派遣期間が終了しても、派遣会社との雇用契約は継続するため、次の派遣先が決まっていない期間があっても給与が発生するので安心です。
デメリット1.派遣先を選べないことが多い
登録型派遣の場合は、希望する勤務地や仕事内容を自分で選ぶことができますが、常用型派遣では、基本的に派遣会社がスタッフのスキルや経験に合った派遣先を選びます。もちろん、希望を伝えることはできますが、必ずしもそれが実現するとは限らないという点は注意しておきましょう。
デメリット2.採用にあたってのハードルがある
登録型派遣と比較すると、常用型派遣は採用のハードルが高い傾向にあります。というのも、無期雇用契約を結ぶにあたり、派遣会社によっては採用試験を設けるケースがあり、書類選考や面接、場合によっては実技試験が課されることもあるためです。詳しくは、それぞれの派遣会社に確認してみましょう。
常用型派遣に向いている人
常用型派遣に向いているのは、雇用、収入ともに安定・安心の環境で長く働き続きたいと考えている方です。さまざまな職場や業務を経験できる点は登録型派遣と同じなので、スキルアップをしながら、中長期的に安定したキャリア設計をしたい方に適しているでしょう。
紹介予定派遣のメリット・デメリット
メリット1.未経験のお仕事にも挑戦しやすい
紹介予定派遣には派遣期間が設けられていることから、未経験、もしくは経験が浅いお仕事にも就きやすいという特徴があります。正社員募集ではなかなか未経験可能な求人が見つからず、諦めていた職種にも挑戦できるかもしれません。
メリット2.職場と自分の相性を事前に確認できる
派遣期間中に職場の雰囲気や業務内容を実際に体験できるため、入社後に生じがちな「イメージと違った…」という違和感を事前に解消することができます。
また、実体験を通して自分の適性を知ることにもつながるため、将来のキャリア設計の見通しも立ちやすいでしょう。
デメリット1.必ず正社員として雇用されるわけではない
紹介予定派遣は、試用期間終了後に双方同意のもと「直接雇用」が約束された働き方です。正社員雇用が期待される一方で、契約社員として直接雇用を打診されることもあるため、事前に直接雇用される場合の具体的な雇用形態を確認しておくとよいでしょう。
また、派遣スタッフ側から直接雇用を断る選択肢があるのと同様に、企業側からも採用を断られることがあります。直接雇用したいと思われる人材になるために、日々の業務に真摯に取り組むことが大切です。
デメリット2.選考があるため書類や面接対策が必要になる
紹介予定派遣は直接雇用を前提としていることから、正社員採用と同様に、書類選考や面接があるケースが一般的です。職務経歴書の作成、面接対策をしておく必要があり、選考に時間もかかります。
派遣会社はそれぞれ、紹介予定派遣を希望する方に向けたフォローアップを行っているので、担当者に相談してみましょう。
紹介予定派遣に向いている人
紹介予定派遣は「将来的に正社員を目指したい」という強い希望を持っている方にぴったりです。書類の提出や面接対策などの選考過程に根気強く取り組める方、また派遣スタッフとしての試用期間中も真摯に、そして積極的に業務に励むことができる方が直接雇用されています。
派遣の働き方に関するよくあるQ&A

派遣スタッフとして働くにあたっては、基本的な派遣の種類や仕組みだけでなく、まだまだ疑問に思うことも多いでしょう。
そこで、派遣がはじめての方からよくある、働き方に関する質問にお答えしていきます。
- 派遣は正社員とどんな違いがある?
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正社員と派遣の大きな違いは「雇用主」です。正社員は企業と直接雇用契約を結ぶ一方、派遣スタッフは派遣会社と契約し、派遣先企業で業務を遂行します。また、業務内容や勤務地、勤務時間といった希望条件に対する自由度、異動や配置転換の有無など、正社員と派遣の働き方にはいくつか違いがあります。
詳しくは下記のコラムをご確認ください。
- 残業代や交通費って出るの?
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労働基準法に基づき、派遣スタッフには残業代や交通費が支給されます。
ただし、派遣先企業や派遣会社によって規定や条件が異なる場合があります。派遣会社や派遣先企業へ事前に確認し、契約内容をしっかりと把握しておきましょう。
- 有給休暇ってある?
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派遣スタッフには年次有給休暇があります。労働基準法に基づき、勤務6ヶ月以上でかつ一定の勤務日数を満たしている場合に、年次有給休暇を取得する権利が発生します。
有休の取得方法や申請手続きについては派遣会社によって異なるため、スムーズに有休取得ができるよう事前に確認しておきましょう。
- 派遣スタッフとして働くまでの流れは?
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派遣スタッフとして働くまでの基本的な流れは以下の通りです。
1.派遣会社への登録
まずは派遣会社に登録します。登録が完了したら、お仕事についての希望条件やご自身のスキルなどの情報を入力しましょう。
2.お仕事探しをする
登録が完了したらお仕事探しをします。派遣会社からは、希望に合ったお仕事の案内がもらえますが、自分でも積極的にお仕事検索をしてみましょう。
3.お仕事応募と詳細条件のすり合わせ
気になるお仕事が見つかったら、応募をしましょう。具体的に進めていくにあたっては、職場環境や就業条件、業務内容について営業担当から詳しい説明があります。疑問点については担当者にしっかり確認しておきましょう。
4.派遣先での就業開始
派遣先が決まったら、派遣会社と契約を結び、派遣先企業での勤務が始まります。
お仕事開始までの流れは派遣会社によっても多少異なるため、各社のHPなどで確認しておきましょう。
自分に合った派遣の種類を検討しよう!

以上のように、派遣は「登録型」、「常用型」、「紹介予定派遣」と種類も複数ある、柔軟性の高い働き方です。それぞれに特徴やメリット・デメリットがあるため、ライフスタイルやキャリアプランに合った選択をしましょう。
「派遣の中でもどの形態が自分に適しているかわからない…」「働き方に悩んでいる」といった方は、一度派遣会社に相談してみるのがおすすめです。
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