派遣で働くメリット・デメリットとは?
正社員・契約社員との違いも解説

更新日:2024年10月10日

制作:パソナ編集部

「将来のキャリアに不安がある」「残業を減らしたい」「時間をもっと自由に使いたい」「今の仕事は体力的に厳しくなってきた」――など、現状の悩みを改善するために職種や働き方を変えたいと考えている方は多いでしょう。

そこで今回は、「派遣」という働き方について、正社員、契約社員、アルバイトとの違いや、メリット・デメリット、向いている人の特徴まで詳しく解説します。

派遣とは?正社員や契約社員との違い

まずは、「派遣」の働き方はどんな仕組みなのか、ほかの雇用形態とどう違うのかを理解しておきましょう。

派遣ってどんな働き方?

正社員やアルバイトなどは、勤務する会社が雇用主ですが、派遣スタッフの場合は派遣会社が雇用主となります。

派遣会社は派遣スタッフに対し、「お仕事の紹介」「給与の支払い」を行うほか、社会保険への加入、福利厚生、スキルアップ研修などのサポートも提供します。一方、実際の業務については、派遣先企業から指示を受けます。

正社員と派遣の違い

正社員とは、雇用期間の定めなく、企業から直接労働契約を結ぶ雇用形態を指し、「正規社員」とも呼ばれます。
派遣との違いは企業によっても異なりますが、大まかには以下の5つのポイントが挙げられます。

・雇用主
・雇用期間
・異動や配置転換の有無
・希望や条件に対しての仕事の自由度
・未経験のお仕事へのハードル

  正社員 派遣
雇用主 勤務先の会社 派遣会社
雇用期間 雇用期間の定めなし 同一組織で最長3年
異動・配置転換 あり なし
自由度 部署や仕事内容は選べない 希望に合う派遣先を選べる
未経験でのチャレンジ 未経験での転職は難しい 未経験でもチャレンジしやすい

契約社員と派遣の違い

契約社員とは、企業から直接雇用され、勤務期間に期限が設けられている「有期契約社員」を指します。「職種限定」「エリア限定」を雇用条件とするケースが多いのが特徴です。

人事異動や転勤が少なく、希望する職種や勤務地で働ける点、雇用期間が設定されている点は、派遣と変わりません。大きな違いとしては、契約社員は勤務先企業の「直接雇用」であることです。

アルバイトと派遣の違い

アルバイトは、正社員、契約社員と同じく、企業と雇用契約を結ぶ「直接雇用」です。派遣と同様に勤務時間や場所などの希望条件が通りやすく、プライベートな時間も充実させやすい点は大きなメリットと言えます。

派遣とアルバイトとの大きな違いと言えるのが、任されるお仕事内容です。アルバイトは、オペレーション業務が中心で、単純業務や定型業務が多い一方で、派遣は事務を中心に専門性の高いスキルや即戦力となる人材を募集しているケースが多いため、アルバイトよりも時給や給与が高い傾向にあります。

アルバイトも派遣も、未経験のお仕事への挑戦のしやすさという点では共通していますが、募集しているお仕事情報の傾向は異なります。

派遣で働く5つのメリット

派遣スタッフとして働くメリットは、大きく分けると5つが挙げられます。

自分の希望や志向に合うかどうかを確認してみましょう。

1.ライフスタイルに合わせて柔軟に働ける

派遣は職種・勤務地・勤務曜日・勤務時間など、自分の希望に合うお仕事を選べます。雇用契約によって勤務期間・勤務曜日・勤務時間が事前に定められており、突発的な残業や休日出勤を強いられることも基本的にはありません。そのため、自分のライフスタイルに合わせ、仕事とプライベートのバランスをとりながら柔軟に働くことが可能です。

派遣を選んだ方々からは、例えば次のような声が聞かれます。

「残業がないので、趣味を楽しむ時間が十分に確保できる」
「育児と両立がしやすく、子どものことを優先しても職場で肩身が狭い思いをせずにすむ」
「自宅から会社までの通勤が楽になった」

2.アルバイトよりも時給が高い

勤務時間を柔軟に調整しやすい点においてはアルバイトも派遣も同様ですが、時給は派遣のほうが高い傾向にあります。その理由は、派遣は「即戦力」として知識や経験、スキルを必要とする難易度が高めな仕事内容が多いためです。お仕事の難易度に見合った時給設定がされることから、アルバイトよりも高時給なお仕事が多いのです。

仕事分野 経験3年未満 経験3年以上
オフィスワーク系 1,653円 1,683円
営業・販売・サービス系 1,709円 1,586円
IT技術・通信系 2,230円 2,297円
クリエイティブ系 1,705円 1,827円

※東京都・愛知県・大阪府における業務別の派遣就業時の平均時給
※参考資料:派遣社員WEBアンケート調査2023年度|一般社団法人 日本人材派遣協会

なお、派遣スタッフは派遣会社が提供する研修プログラムなどを活用すれば、着実にスキルアップすることができます。対応可能な業務範囲が増えたり、より高度なお仕事ができるようになると、さらなる時給アップにもつながります。

3.さまざまなお仕事を経験できる

派遣の仕組みを活用すると、さまざまな業種・業界や、大手からベンチャーまで多様な規模の企業で勤務できます。正社員での中途入社が難しいような大手企業や官公庁・自治体のプロジェクトに参加するなど、派遣だからこそ得られるチャンスもあります。

また、例えば「経理事務」といったひとつの職種でも、派遣先企業によって部門の業務領域や使用ツール、進め方などが異なるため、さまざまな経験を積むことができ、スキルアップにもつながるでしょう。一方、未経験の業種や職種に挑戦すれば、新たなキャリアの可能性を広げることもできます。身につけたスキルを次の仕事で活かしていくことで、ステップアップできるでしょう。

実際、派遣スタッフとしてさまざまな業務を経験した方からは「将来の仕事の選択肢が増えた」「自分に合う仕事・合わない仕事が明確になり、今後目指す方向が見えた」といった声が多く聞かれます。

4.正社員を目指す選択肢もある

派遣就業の時点で、正社員(または契約社員)雇用への移行を前提としている仕組みとして、「紹介予定派遣」があります。

紹介予定派遣とは?

派遣期間(3ヶ月から最長で6ヶ月)が終了した後、派遣スタッフと派遣先企業が合意した場合、正社員(または契約社員)として雇用される働き方です。正社員として入社する前に、お互いが「自分に合う職場か」「自社に合う人物か」を確認できるため、双方にメリットがあります。

紹介予定派遣は、未経験のお仕事でも就きやすいという点が大きな魅力です。「経験・スキルがないから」と、正社員登用を諦めている方にもチャンスがあります。将来的に正社員を目指している方は、紹介予定派遣のお仕事を探してみましょう。

5.派遣会社のサポートを受けられる

派遣では、自身の職歴の棚卸しや今後のキャリアプランについて、また具体的なお仕事探しや派遣就業してからも、派遣会社から一貫してサポートを受けることができます。「いつでも相談できる」という安心感を持って働けるでしょう。

具体的には、次のようなサポート体制が用意されています。

お仕事探しのサポート

企業に正社員として勤務する場合、得意とするスキルを持っていても、それを活かせる業務に関われるとは限りません。また、興味がある仕事・やりたい仕事があっても、その部門への配属が叶わないこともあります。
派遣であれば、強みとするスキル・希望・志向などを派遣会社に伝えることで、それにマッチする派遣先の紹介が受けられます。自分のスキルやキャリアを評価してくれる企業で、自分の得意な業務に携わることができるようにサポートしてもらえるでしょう。

就業中の悩みへのサポート

派遣先での人間関係や職場環境に関するお悩み、業務に対しての相談や要望などがある際に、派遣会社の担当者に相談できます。自分では直接企業に言いにくいことも、派遣会社が間に立って伝え、改善に向けて動いてくれます。

キャリアプラン・スキルアップのサポート

派遣会社は理想のキャリアの実現に向けてスキルアップもサポートしています。内容は派遣会社によって異なりますが、基本のPCスキルから専門スキルまで、多様な研修プログラムが用意されています。また、キャリアコンサルティングも実施しているので、将来のキャリアに不安がある方は、プロのアドバイスをもとにビジョンを明確にすることが可能です。

ライフサポート

福利厚生を充実させ、ライフサポートに力を入れている派遣会社もあります。

例えば、定期健康診断のほか、オプション検査費用の補助や、健康相談窓口といったヘルスケアサポート、育児・介護補助金、家事代行サービスといったライフサポートメニューが設けられているケースもあります。

派遣で働く3つのデメリット

働き方を変える、ということは大きな決断です。

派遣が自分の志向に合うかどうかを見極めるために、メリットだけでなく、デメリットも知ったうえで検討しましょう。

1.同じ職場での就業は3年まで

派遣は正社員と異なり、契約期間が定められています。労働者派遣法では、「派遣先の同一の組織単位において、3年を超える継続した同一の派遣労働者の受け入れはできない」とされています。つまり、ある職場でのお仕事に居心地の良さを感じていても、基本的には同じ職場で3年以上働き続けることはできないのです。

さまざまな職場で経験を積みたい方、ステップアップしていくことに意欲的な方には派遣が向いていると言えます。

2.任される業務範囲が限定的

派遣スタッフは、業務範囲が契約で定められています。契約外のお仕事にもチャレンジしてみたい場合は、契約職種を変えるなどして挑戦できますが、企業との調整が必要になるため実現するのは簡単ではありません。リーダーやマネジャーのポジションをはじめから目指している方には不向きでしょう。

一方で、「自分が得意とする仕事だけに集中したい」「責任を負うこと、裁量権を与えられることにプレッシャーを感じる」というタイプの方には、業務範囲が広がらないことはむしろメリットであるとも言えるでしょう。

3.時給制の場合は時期によって収入が不安定

派遣スタッフのお給料は「時給制」が主流です。そのため、一般的なカレンダーに基づき、土・日・祝日が休みの職場で働いている場合、月によって収入にバラつきがあります。年末年始・GW・お盆休みといった長期休暇が含まれる月は収入が減り、「家賃やカードの支払いなどの管理が大変」という声もあります。

とはいえ、柔軟性が高い働き方であるため、単発の仕事をしたり副業をしたりしてカバーすることも可能です。

また、収入の不安定性に対する派遣スタッフのお悩みを解消するために、「月給制(固定給)」を導入している派遣会社もあります。

派遣の働き方に向いている人の特徴とは?

それでは、派遣の働き方に向いているのは、どのような人なのでしょうか。

プライベートの時間も大事にしたい人

プライベートの時間を充実させるため、希望するライフスタイルに合わせて働きたい方に向いています。例えば、結婚・出産などでライフステージが変わった方、趣味を楽しむ時間を確保したい方、スクールに通うなど「学び・インプット」の時間を捻出したい方などにマッチする働き方だと言えるでしょう。

仕事内容・勤務地・勤務時間などの条件にこだわりがある人

正社員として勤務していると、希望と違う部署や職種に配置される可能性もあります。あるいは、希望しない地域への転勤を命じられることもあるでしょう。

一方、派遣であれば「この業務に特化したい」「このスキルを活かしたい/磨きたい」など、仕事内容や役割を指定してお仕事を選ぶことが可能です。勤務地や勤務時間なども、希望に合う職場を選択できます。このように、譲れない条件がある方にとって、派遣は条件に合ったお仕事を見つけやすいと言えます。

専門性を高めてスキルアップしたい人

派遣は、業務範囲が明確に定められた働き方です。「この専門業務に専念し、極めていきたい」と考える方に向いています。

また、同じ職種・職務であっても、企業によって手法や進め方はさまざまです。正社員の場合はその会社のやり方でしか学べませんが、派遣であれば職種・職務を変えずに複数の企業を経験できるため、さまざまなやり方を身につけることができます。スペシャリストとしての知見・スキルを高めていけるでしょう。

派遣のメリット・デメリットを踏まえて、自分に合う働き方を選ぼう

ここまでお伝えしてきたように、それぞれの雇用形態にはメリットもデメリットもあります。「どれが良い」という正解はありません。

自分自身のライフスタイル、キャリアビジョン、価値観に合う働き方を、さまざまな角度から検討し、見極めることが大切です。

パソナの派遣で働くメリットとは?

パソナでは、派遣のデメリットの1つに挙げられる「収入の不安定性」を解消するため、派遣業界ではじめて「月給制」を設けました。月給制で働くスタッフの方々からは「生活設計が立てやすく、家計管理が楽になった」「毎月の収支を気にしなくて済むので安心」といった声が寄せられています。

また、パソナでは研修やスキルアップ体制が充実しており、基本のPCスキルやビジネスマナー、メール、電話での正しいコミュニケーションが学べる講座などもあります。貿易事務、経理事務といった専門性の高いお仕事へのキャリアアップをサポートする講座も多数ご用意。実践で役立つ知識やスキルを徹底的に習得できます。

「派遣についてもっと知りたい」「自分に合う働き方がわからず悩んでいる」といった方は、ぜひ「アバターキャリアコンシェルジュ」をご活用ください。パソナへのご登録は不要で、匿名、無料でご利用いただけます。ぜひお気軽にご相談ください。

この記事の監修者

パソナキャリアコーチ

派遣営業や登録担当などを経験した後、国家資格2級キャリアコンサルティング技能士を取得し、現在はキャリアコーチ統括室に所属。 これまで20年以上にわたり、スタッフの方々の就労に向けた多様な働き方の提案や、キャリア形成のサポートをしています。
また、パソナ「ワークライフファシリテーター資格」も取得し、一人ひとりの自律的なキャリア構築やライフプラン設計の支援もしています。

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