RPAによる経営資源の最適化と、その先にある未来■議題テーマⅢ

昨今、知的生産性の高い業務にシフトすることで競争優位を高める働き方が注目されています。そんな中、定型業務からの脱却の手段としてRPAが注目を集めています。
2017年11月2日に開催したセミナーでは、RPA導入を成功に導くために、導入後のビジョンと、RPAがもたらす効果を経営視点から捉えることが重要であるとし、RPA導入を成功に導くためのポイントを紹介しました。


<パネリスト>
株式会社エイチ・ピィ・ピィ・ティ 代表取締役 MBA/統計士 坂本 裕司 氏
株式会社パソナ Dotank本部 東日本ソリューション事業部 事業部長 薮本 佳典

<トピックス一覧>

モデレーター:

続いて、これは経営者の方の多くが 「PDCAを踏まえて実施されているのか?」、「計画に対して効果を回収できているかが検証できていないのでは?」というケースが多いと感じたテーマです。
その辺りいかがでしょうか?

■議題テーマⅢ:RPAを導入し、1000人の仕事が400人に減った。このRPA導入は成功か?

薮本:

例えば残業がなくなったというのであれば、一定の定量的効果だと思います。現在、多くの現場で人不足と言われていることもあり、まずは業務負荷の軽減と労働力補完という観点でロボットが効果を発揮することは望ましいと思います。一方、1人ずつの業務が少し減り、就業時間内でも余力が減ったといったケースでは、どの程度の工数の業務であればRPA化して費用対効果を回収できるか?また、その生まれた余力時間を何に活かすか?ということが議論になると思います。そういった観点がないと「楽になった」だけで、競争優位性は創造されないと考えられます。次の段階として、ロボットにより効率化した時間で、どのように人が創造的業務へシフトして、知的生産性を高められるかが肝要であると考えます。

坂本:

確かに、残業がなくなることは素晴らしいことですが、業務改革において経営者が問いたいことは目標に対して実績はどうだったのか?です。つまり、
●パターンA
「目標:現在の残業量は◯◯人工あり、それを回収すること」として、
「実績:残業工数回収率は計画に対して100%」ならばPDCAは成立しているので問題ないのですが、
●パターンB
「目標:とにかく、残業量を減らそう」
「実績:現状よりも残業が削減された」では、結果オーライと言えます。
「PDCA」というように、定量的な「Plan」が曖昧なまま成功したケースはあくまで結果オーライであり、経営的には結果オーライを成果として認めません。1000人分の業務の内400人分の業務が回収できているならば、全体から40%の回収率ですから一般的に素晴らしい結果と言えますが、これは一般的な見解であって自社の定量的なPlanに基づいた評価ではありません。では、そもそもPlanの設定を客観的に論理的に事前に設定した上で、回収された時間経営資源を評価しているでしょうか? 
Planが明確でないまま進めると、それこそ手段が目的になることを助長させることにも繋がっているのが実際です。

モデレータ:

PDCAのP(計画)が定量的に明確ではないということは、そもそも検証の意味をなさないということですね。