扶養内で働くポイント
~103万・130万の壁だけじゃない~

パソナ・名駅
2022年9月19日

扶養内で働こうと思っても具体的な制度や収入をどれくらいに抑えればよいか分からない、というご質問をよくいただきます。また最近では103万円・106万円・130万円・150万円と「●●万円の壁」の種類も増え、混乱している人もいらっしゃると思います。「扶養」と一言で言っても税金か、社会保険かによってもボーダーラインは変わります。
今回は、最近の制度変更も含め、扶養枠、扶養控除について詳しく解説します。基礎知識を付けて、自分に合ったはたらき方を選択しましょう。

もくじ

扶養内で働くとは?

そもそも「扶養内で働く」とは具体的にどのような意味なのでしょうか?あらためて聞かれると、わからない方も多いと思います。
「扶養内で働く」とは、言い換えると「扶養控除が受けられる範囲の中で働く」という意味です。

扶養内=扶養控除が受けられる範囲

扶養控除とは、納税者本人に扶養家族がいる場合に受けられる所得控除のことであり、2種類に分かれています。

扶養控除は「税制」と「社会保険」の2種類

一括りで「扶養内」とまとめて表現されていますが、扶養控除には、『税制上の扶養控除』と『社会保険上の扶養控除』の2種類があり、制度としては別物です。

税制上の扶養控除

税制上の扶養控除とは、所得税・住民税の控除や、配偶者控除・配偶者特別控除のことです。

所得税・住民税

所得税は103万円以上の収入でかかってきます。
住民税は自治体によって課税基準が異なるため、98万円~100万円を目安に課税されます。

配偶者控除・配偶者特別控除

配偶者控除 納税者に収入がない、もしくは少ない(年収103万円以下)配偶者がいた場合、一定金額の所得控除(税負担が軽減)される制度。
配偶者特別控除 配偶者の収入が103万円を超えて配偶者控除の適用外となった場合も、配偶者の所得金額によって201万円までは一定金額の所得控除(税負担が軽減)される制度。

社会保険上の扶養控除

社会保険上の扶養とは、家計を主に支える人が加入する社会保険(健康保険・厚生年金)の被扶養者になることです。つまり、社会保険上の扶養に入れば、被扶養者は扶養者と同じ社会保険に加入することとなり、被扶養者は自らの健康保険料を負担せずに済みます。
ただし、下記の条件を満たすと、勤務先の社会保険への加入義務が発生します。

  1. 所定労働時間が週20時間以上である
  2. 1カ月の賃金が8.8万円(年収約106万円)以上である
  3. 勤務期間が1年以上の見込みがある
  4. 勤務先の従業員が501人以上(厚生年金の被保険者数)の企業である
  5. 学生は対象外である(夜間や定時制など、加入対象となる学生もある)

尚、勤務先の社会保険の加入の条件は、順次拡大されることが決まっています。

2022年10月拡大⇒ 従業員数101人以上、雇用期間2か月以上
2024年10月拡大⇒ 従業員数が51人以上

社会保険の加入は、雇用期間が短い人にも、より従業員数が少ない企業にも拡大されていき、社会保険加入の該当者が増える見込みです。年収106万円以上であれば、現在社会保険に加入していなくても、2022年10月か2024年10月には加入対象になる可能性があります。

扶養内で働くメリット・デメリット

扶養内で働くメリット

配偶者控除・配偶者特別控除を受けられる

税制上の扶養内で働けば、扶養者である配偶者は配偶者控除(または配偶者特別控除)が受けられます。満額で38万円の控除が受けられるため、世帯としての手取りが増えます。

国民年金に加入する必要がなくなる

会社員や公務員などで厚生年金に加入している配偶者に扶養されている人が給与収入が130万円未満であれば、国民年金の第3号被保険者となります。第3号被保険者である期間は、実際には保険料を払わなくても納付したと見なされ、将来国民年金を受け取ることができます。

健康保険に加入する必要がなくなる

年金と同じく、収入が130万円未満で配偶者が会社員や公務員であれば、配偶者の勤務先の健康保険で扶養に入ることができます。配偶者の勤務先から保険証が発行され、自分自身で健康保険料を払わなくても、3割負担の医療費で医療機関を受診できるようになります。

扶養内で働くデメリット

将来的に受け取れる年金が少なくなる

扶養に入った配偶者は、自身の年金を支払わなくても年金を受けることができるようになりますが、この方法で受給を受けられる年金は国民年金だけとなるため、その金額は非常に少なくなります。扶養に入らない働き方をすれば、年金保険料の負担は発生しますが、厚生年金を受給することができるようになります。

働き方が制限される

以下でもご説明をしますが、扶養に入るためには年収の壁があり、年収の制限を受けることになります。そのため、働きながら扶養に入るには時給や勤務時間などに制限があるため、求人の選択肢が狭くなる可能性があります。また、一度正社員を離れてしまうと、正社員としての復帰が難しいという現状があります。将来的に正社員になりたいと考えている場合には、働き方を慎重に検討しましょう。

扶養に関係する年収の壁

上記でもご説明をした通り扶養控除には『税制上の扶養控除』と『社会保険上の扶養控除』の2つがあり、それぞれにいくつもの「壁」があります。一括りで覚えようとすると非常にややこしくなるため、それぞれ分けて整理するとよいでしょう。
具体的には『税制上の扶養控除』については103万円・150万円の壁を、『社会保険上の扶養控除』では106万円・130万円の壁を意識するとよいでしょう。以下では、それぞれ詳しく解説していきます。

  • ここでは、表現を簡略化するため、便宜上、扶養する人を夫、扶養に入る人を妻として解説します。

103万円の壁

103万円の壁は、『税制上の扶養控除』の壁です。
年収103万円を超えると所得税の納税義務が発生し、妻自身(被扶養者)が所得税を納める必要があります。ちなみに住民税は地域によって違いますが、およそ100万円前後からかかり、年収103万円の場合は、年数千円程度です。住民税も所得税も払いたくない場合は、住む地域の住民税の課税基準額がいくらになるのかを確認し、それ以下に収めましょう。
また年収が103万円を超えると38万円の配偶者控除が適用されなくなりますが、配偶者の年収が103万円を超えても、年収150万円までは配偶者特別控除があり、満額で受けられるようになっています。

106万円の壁

106万円の壁は、『社会保険上の扶養控除』の壁です。
『社会保険上の扶養控除』でもご説明した通りですが、条件を満たすと、勤務先の社会保険への加入義務が発生します。社会保険に加入すると、保険料が天引きされ手取り収入は減りますが、健康保険や厚生年金に自ら加入することで、病気やケガで仕事に就くことができなくなってしまった時の手当が貰えたり、将来もらえる年金が増えるなどのメリットもあります。

130万円の壁

130万円の壁は、『社会保険上の扶養控除』の壁です。
「106万円の壁」に該当しなかった人でも、年収が130万円を超えると、勤務先の規模や勤務条件にかかわらず夫の社会保険の扶養が外れます。その結果、仮に短時間勤務であっても勤務先の会社で社会保険に加入する必要があります。尚、勤務先が社会保険を採用していない会社の場合、国民健康保険や国民年金保険に加入する必要があります。

150万円の壁

150万円の壁は、『税制上の扶養控除』の壁です。
年収150万円までは配偶者特別控除により最大38万円の控除を受けることができますが、年収150万円を超えると配偶者特別控除の満額を受けることができなくなり、201.6万円を超えると控除額は0円になります。つまりその分の税負担が増加します。

(参考)通勤交通費は年収に含まれる?

通勤交通費を年収に含むか・含まないかは『税制上の扶養』と『社会保険上の扶養』で異なります。

『税制上の扶養』では、通勤交通費を年収に含めません。税制上、これらは所得に当たらないとされているためです。
一方、『社会保険上の扶養』では、金額に関わらず通勤交通費も年収に含まれます。また通勤交通費以外にも、家族手当・住宅手当などの手当も年収に含まれるので注意が必要です。

まとめ

いかがでしたか?
これから扶養内のお仕事を探す方は、まずはこの記事を参考に正しい知識で現状を把握した上で、時給や就業日数・時間など、自分である程度の基準を設けると、お仕事探しがスムーズになります。

とはいえ、「扶養内」については税金や社会保険に関する様々な制度があるため簡単に理解できるものではありません。自分で計算するのは複雑で自信がない…という方は、ぜひパソナへご相談ください。

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