社会人向け自己分析の方法
~転職やスキルアップを効果的に~

パソナ・名駅
2023年8月14日

自己分析は、新卒の就職活動などでよく行われていますが、実は社会人でも自己分析を行うことで、転職やスキルアップといったキャリア形成に役立ちます。特に昨今ではコロナ禍をきっかけに社会も大きく変化しており、まさに“今”自己分析の重要性も高まっていると言われています。
そこで、今回は自己分析をする目的や自己分析の方法、その他様々なフレームワークについてご紹介します。将来に対して漠然と不安がある方も自己分析シートを活用して自己分析を行うことで、今後進むべき方向性が見えてくるはず。ぜひご覧ください。

もくじ

自己分析の目的

自己分析は、転職活動やスキルアップ・キャリアアップを検討する上で有益な作業です。まずは、なぜ自己分析をするのか?自己分析をする目的について整理します。自己分析の目的を理解し、目的意識をもって自己分析を行うようにしましょう。

自分を客観的に見つめ直す

自己分析をするうえで一番大きな目的は、「自分を客観的に見つめ直す」ことです。自己分析を通して自分の性格や価値観、長所・短所などを整理して言語化することで、自分を客観的に分析し、将来のことを考えることができるようになります。

自分のやりたい仕事を明確にする

2つ目の目的は「自分のやりたい仕事を明確にする」ことです。自己分析をとおして自分のやりたいこと・好きなことと、自分の強み・長所を照らし合わせ共通点を見つけることで、進むべき方向性を示してくれるものになるでしょう。また転職活動においても、この点を踏まえた会社選び・仕事選びをすることで、ミスマッチを防ぐことができます。

自分の強みがアピールできる

転職活動においては、自己分析により「自分の強みがアピールできる」ようになります。転職活動をする場合、必ず自己PRが求められます。自己分析をとおして自分のやりたいことや強み・長所がしっかりと整理できていれば、根拠となるエピソードも具体的に示しながら自信をもってアピールすることができます。

就活の自己分析との違い

就活の時しっかりと自己分析を行った方も、転職活動時にはあらためて自己分析をする必要があります。たしかに自己分析は自分の強みや価値観などを明らかにする点では共通していますが、そもそも新卒採用と中途採用とでは採用ポイントが大きく異なるため、自己分析の進め方も異なってきます。
新卒採用は「可能性・ポテンシャル重視」の採用となるため自分の特徴や強み、価値観に重きを置かれます。一方、中途採用は「即戦力」の採用が中心となるため、過去の職歴と結ぶ付けた分析が必要になるのです。就活時に十分自己分析された方も、転職活動時には必ずもう一度自己分析を行いましょう。

自己分析の方法_キャリアの棚卸し【シート付き】

それでは具体的に自己分析の方法についてご説明します。表をご欄ください。この自己分析は自身の経験やスキル、得られた知識を紙などに詳しく書き出して整理する方法です。

自己分析シートの書き方

会社名・職種

過去就業した会社名を記載します。同じ会社内で部署異動している場合は行を分けて記入するとよいでしょう。

具体的な内容

実際に携わった具体的な業務内容を箇条書きで全て書き出してください。ここでは一つひとつの業務を細かく切り分け、できるだけ多く書き出すことがポイントになります。

身に付けたテクニカルスキル(能力・知識・技術)

その仕事で身に付けた能力・知識・技術などを書き出してみましょう。例にもある通り、「PCスキル(Excel・Accessデータ抽出)」「経理関係業務」「商品説明」などです。身に付けた能力・知識・技術があまり浮かばない方は、過去の経験・知識などで活かされたスキルを記載するとよいでしょう。

身に付けたヒューマンスキル(人間力・持ち味・強み)

その仕事で身に付けた人間力・持ち味・強みを記載しましょう。例にもある通り「正確性」や「効率性」、「臨機応変な対応力」などがこれに該当します。上記と同じように、身に付けた人間力・持ち味・強みがあまり浮かばない方は、過去の経験などで活かされたスキルを記載するとよいでしょう。

実際にあったエピソード

最後に実際にあったエピソードとして、実績や成果、心がけてきたこと、工夫してきたこと、やりがいや達成感を感じた出来事など具体的なエピソードを記載していきます。

自己分析シートの見方

全ての職歴について表が完成したら、全体を見ていきます。
『身に付けたテクニカルスキル(能力・知識・技術)』と『身に付けたヒューマンスキル(人間力・持ち味・強み)』で、全てもしくは複数の職歴で共通するキーワードが出てくると思いますが、このキーワードこそがあなたの「強み」です。表を見ながら自分の強み、得意なこと、活かしたい能力をあらためて明文化しましょう。また自己PR時には『実際にあったエピソード』とあわせてこの強みをアピールしていきましょう。

自己分析するときの注意点

自己分析は、転職やキャリアアップ・スキルアップにおいてとても大切な役割を果たします。しかし、自己分析のやり方を間違えてしまうと、せっかく時間をかけてもうまく活用することができません。ここでは、自己分析を行う際に気を付けたいポイントを見ていきましょう。

具体的な言葉で表現する

自己分析では、具体的な言葉・自分の表現で記載しましょう。よく使われる言葉・汎用的な言葉ばかりを使っていると、転職活動時にライバルと差別化することができませんし、何より自己分析がボンヤリしたものになります。できるだけ自分の言葉に言い換えて自分だけの強みを表現していきましょう。

短所をポジティブな表現に置き換える

自己分析は、やりすぎると自分の短所ばかりに目が行き、マイナス思考になることがあります。しかし、捉え方を変えれば短所も長所になり得ます。例えば、「飽き性」は「好奇心旺盛」と言うこともできますし、「頑固」は「信念がある」とも表現できます。自己分析ではマイナス表現は避け、できるだけポジティブな表現に置き換えていきましょう。

その他の自己分析フレームワーク 

社会人の自己分析では、キャリアの棚卸しが中心になりますが、実はそれ以外にもさまざまなやり方があります。キャリアの棚卸しと合わせてこれらの自己分析を行うことで、厚みを持たせていきましょう。以下ではおすすめのフレームワークをご紹介します。ご興味のある方はチャレンジしてみてください。

モチベーショングラフ

自分の過去を振り返り、喜怒哀楽の感情で印象に残っている出来事を挙げ、人生のモチベーションの高さを時系列にグラフで表したものです。自身の感情をベースに整理するので、例えば事務職などのような、自身の成果が数字で示しづらい職種において有効です。

まずは白い紙でもエクセルでもよいので、縦軸にモチベーションの高さ、横軸に時間を表す2軸を書き出し、次に、過去から現在までを振り返り、時系列で出来事を書き出しそれぞれの喜怒哀楽のモチベーションの波を曲線で書き出してみましょう。モチベーションの分岐点で何が起こったのか、合わせて出来事も記入してください。
ここまで整理できたら次はそれぞれの出来事を掘り下げていきます。各出来事の起こったその当時置かれていた環境や自分が抱いた感情、その時考えたことと起こしたアクションをを思い出してください。
最後は、このグラフから自分の価値観や特徴を理解します。モチベーションが上がる分岐点、もしくは下がる分岐点のそれぞれで、自分の感情やその感情を抱いた理由の共通点や違いを整理します。その分岐点での出来事は様々であっても、細かく共通点や違いを見ていくことによって自分が大切にしている価値観や特徴などが見えてくるはずです。そして見えてきた共通点は、自分が物事を選択する際の判断軸であったりします。

Will・Can・Must

Will(やりたいこと)、Can(できること)、Must(やるべきこと)の3つの輪で考える手法です。それぞれ詳しく見ていきましょう。

Willは「やりたいこと」や「夢」、「目標」などが挙げられます。Willを多く持つことは、働く際のモチベーションと自分の成長につながることなので、可能な限りいろいろと考えてみると良いでしょう。また今は明確なものがなくても、好きなことや楽しい事やりがいを感じることをリストアップして整理することで、どんどんWillが固まってくるでしょう。

Canは「できること」です。自分は何ができるのか、どんなスキルを持っているのか、何に自信を持っているのかなどを書き出してみましょう。ポイントは、謙虚にならず客観的に「できること」を洗い出すこと。

Mustは、「やるべきこと」です。「会社や社会から求められている・期待されていること」と言い換えてもいいでしょう・求められている役割、やるべき仕事などを書き出してみましょう。

最後に、Will・Can・Mustを図のような重なった3つの円として表したものに当てはめて、重なった部分について考えていきます。この「Will・Can・Mustの重なり」こそが、自分の理想とする生き方であり、自分に最も適した仕事であると考えることができます。
将来のことを考えるときは、「Will」ばかり考えがち。確かに、ビジョンを描く上では、とても大切です。でもそれは、「Can」と「Must」という視点を理解した上で、はじめて描けるものです。

IKIGAI

「Sushi」や「Tsunami」などと同様に世界で通用する日本語単語に「IKIGAI」が加わったのをご存じでしょうか?そう「生きがい」です。スペイン人のFrancesc Miralles氏とHéctor Garcia氏が書いた「IKIGAI」という本がベストセラーになり世界中から注目されることとなりました。日本語を母語とする私たちは、「生きがいの言葉の意味」を深く考えたことはあまりありませんが、海外には「生きがい」にぴったりくる訳語が存在しないため、この本の中で「IKIGAI」について詳細にその考え方を解説しています。

「IKIGAI」を構成する要素は「自分の好きなこと」「自分の得意なこと」「社会や世間が求めること」「稼げること」の4つ。
「自分の好きなこと」と「社会や世間が求めること」の重なるところが『使命』です。さらに「社会や世間が求めること」と「稼げること」の重なるところが『天職』、「稼げること」と「自分の得意なこと」の重なるところは『専門性』、「自分の好きなこと」の「自分の得意なこと」の重なるところが『情熱』になります。そして、これらすべてが重なるところが『生きがい』となります。
ご自身の価値観・経験の中から「自分の好きなこと」「自分の得意なこと」「社会や世間が求めること」「稼げること」を全て棚卸して、この図に当てはめるとよいでしょう。

まとめ

いかがでしたか?
自己分析を行って自分の価値観や強みを言語化することで、おのずと今後のキャリアの方向性も見えてくるでしょう。
社会人としての経験やライフイベントを通してあなたの価値観や強みも変化します。転職・キャリアアップを考えるときだけでなく、人生の岐路に立ち、迷ってしまったときや将来への不安を抱えたときにも、自己分析をして自分自身を見つめ直すことはとても効果的です。ぜひ参考にしてあなたの人生がより豊かになることを祈っています。

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