時短勤務制度はいつまで使える?
制度・給与などの疑問を解消する基本ガイド
更新日:2026年1月13日
「育児や介護と両立しながら働きたい」「フルタイム勤務は難しいけれど、短時間でも働きたい」――そんな方を支える仕組みのひとつが「時短勤務(短時間勤務制度)」です。この記事では、時短勤務の制度内容や利用できる人、利用できる期間や給与への影響、「短日数勤務制度」との違いなど、よくある疑問にわかりやすくお答えします。あわせて、派遣という働き方で時短勤務を活用する方法についてもご紹介します。
目次
「時短勤務」とはどんな制度?
「時短勤務(法律上は『短時間勤務制度』)」とは、通常の所定労働時間よりも短い時間で働けるようにする制度のことです。※この記事では文脈により「時短勤務」「短時間勤務制度」の使い分けをしています。1日8時間勤務を6時間に短縮するなど、働く時間を減らす形で利用します。主に、子育てや介護といった家庭の事情に合わせて利用されることが多く、ワークライフバランスを保ちながら働き続けられるように設けられています。法律上では「育児・介護休業法」により、一定条件を満たしている労働者に対し、短時間勤務制度を利用する権利が保障されています。
※本記事は法律や制度の概要をわかりやすくまとめたものです。実際の適用や詳細は勤務先の就業規則や厚生労働省など行政の公式情報をご確認ください。
どんな人が使えるの?雇用形態に制限は?
時短勤務を利用できるのは、主に子育てや介護をしている人(一定の条件を満たす必要あり)で、正社員に限らず、契約社員やパートでも利用できます。基本的な条件として、「週の所定労働日数が2日以上あること」「1日の所定労働時間が6時間以下でないこと」などがあります。※なお、「週5勤務を週4日にする」といったものは「短日数勤務制度」と呼ばれ、「短時間勤務制度」とは異なる制度です。詳しくは後述します。
実際の運用については、企業ごとに異なります。法律で最低限のルールが定められていますが、それ以上に柔軟に制度を設けている企業もあれば、逆に細かな制約を設けている企業もあります。そのため、自分が利用できるかどうかについては、勤務先の就業規則や人事部門に確認しておきましょう。
「短時間勤務制度」と「短日数勤務制度」の違いとは?
多くの人が混同してしまうこの2つの制度の違いについても解説します。
短時間勤務制度
- 1日の所定労働時間を短縮する制度(例:1日8時間勤務→6時間勤務)
- 育児・介護休業法により、企業に設置が義務付けられている
- 一定の条件(週の所定労働日数が2日以上あることなど)を満たせば、労働者は利用する権利がある
短日数勤務制度
- 1週間の所定労働日数を減らす制度(例:週5日勤務→週4日勤務)
- 法律上の義務ではなく、企業が任意で導入する制度(例:JR西日本、ANAなど)
- 制度の有無や利用条件は、企業によって異なる
企業によっては、短日数勤務制度を「短時間勤務制度に準じた運用」として設けている場合もあります。しかし、短日数勤務制度は育児・介護休業法に基づく法的な権利として認められているわけではありません。そのため、短日数勤務を希望する場合は、まず勤務先に制度があるかどうか、就業規則や人事部門に確認する必要があります。
時短勤務はいつまで使える?
時短勤務制度の適用期間や回数について紹介します。
育児・介護休業法に基づく短時間勤務制度の適用期間は、育児の場合、「子が3歳に達するまで」(子の3歳の誕生日の前日まで)とされています。しかし、企業によっては「小学校入学まで延長可能」といった制度を設けているケースもあります。
なお、育児のための短時間勤務制度の運用が難しい場合は、「フレックスタイム制度」「始業終業の繰上げ・繰下げ」「事業所内保育施設の設置運営」などの措置を講じることが、企業の努力義務とされています。2025年の育児・介護休業法の改正では、短時間勤務の代替措置の選択肢の一つとして「テレワーク」が追加されました。
介護の場合も、企業は「短時間勤務制度」のほか「フレックスタイム制度」「始業終業の繰上げ・繰下げ」「介護サービスの費用の助成その他これに準じる制度」のいずれか1つ以上の制度を設ける必要があり、期間・回数は「対象家族1人につき、利用開始の日から連続する3年以上の期間内に2回以上」と定められています。
制度について、実際の運用は企業によって異なります。法律で最低限のルールが定められていますが、それ以上に柔軟に制度を設けている企業もあれば、逆に細かな制約を設けている企業もあります。そのため、自分の雇用形態や勤務条件で時短勤務ができるかどうかは、勤務先の就業規則や人事部門に確認しておきましょう。
時短勤務の実際の労働時間は?
時短勤務の実際の労働時間や、ルールについて紹介します。
育児のための時短勤務では、1日の所定労働時間を原則「6時間」としています。また、6時間の勤務パターンを必ず設けたうえで、「5時間勤務」「7時間勤務」など複数の選択肢を用意し、選べるようにしている企業もあります。介護の場合は「1日○時間」と決められているわけではなく、企業は「1日の所定労働時間を短縮」「週または月の所定労働時間を短縮」「週または月の所定労働日数を短縮」など、いずれかの制度を設ければよいとされています。
労働基準法では、「労働時間が6時間を超えると45分以上、8時間を超えると1時間以上の休憩をとること」と決められています。そのため、実働が6時間ちょうどなら休憩を入れる義務はありませんが、多くの企業ではお昼休憩を入れて調整しています。たとえば、「9:00〜16:00(1時間休憩あり)」=実働6時間、といった形態です。
時短勤務中の給与や手当はどうなる?
基本的に、給与は働いた時間に応じた額を支給されます。時短勤務の制度を利用し、働く時間が短くなれば、その分、基本給や時給は減ることになります。賞与(ボーナス)については、勤務実績や評価制度に基づいて支給金額が算出されます。
時短勤務の制度を利用したこと自体を理由に、不当に給与や賞与を減らすことは認められていません。育児・介護休業法や男女雇用機会均等法では、短時間勤務制度の利用や妊娠・出産を理由とした不利益な取扱い(解雇、減給、賞与の不利益な算定など)を禁止しています。たとえば、「短時間勤務制度を利用したこと」を理由に、評価を下げたり、本来支払われるべき賞与を減額したりすることは違法です。
なお、2025年4月からは「育児時短就業給付金」という雇用保険の給付制度が導入されました。2歳未満の子を育てるために、時短勤務で給与が減った場合、一定の要件を満たせば月の給与の10%が支給されます。(例:月給20万円の方なら2万円が支給されるなど)ハローワーク経由で手続きを行います。
手当については、手当の種類ごとにルールが異なります。残業した場合の残業手当(25%以上の割増)が発生する基準は、その人の時短の所定時間にかかわりなく、法定労働時間(原則:1日8時間・週40時間)を超えたかどうかで決まります。ただし、所定時間を超えた場合にも残業手当(割増)を支払う企業もあります。
通勤手当・役職手当・家族手当・住宅手当などは企業のルールによりますが、「不合理な差がないこと」が定められています。
社会保険(健康保険・厚生年金)は、正社員の場合、時短勤務になってもそのまま加入を続けられます。パートで働く場合も、「週20時間以上」「月額賃金8.8万円以上」など、一定の勤務条件を満たせば加入できます。
時短勤務中に残業を相談されることはある?
時短勤務をしていても、繁忙期などに勤務先企業から「勤務時間を延長できないか?」と相談されることはあるかもしれません。
ただし、適切に時短勤務を申請していれば、その時の状況で受け入れが難しい場合は、無理に応じる必要はありません。企業側も、強制することはできないのです。
前提として、「時短の所定時間」を超えて働くことは所定外労働時間=残業となります。育児・介護には残業に関する2つの制度があります。
- 所定外労働の制限(残業免除)……申請すれば、企業は所定外の残業をさせてはいけません。育児については小学校就学前まで対象。介護も対象です。
- 時間外労働の制限(残業の上限)……申請すれば、法定時間外(1日8時間・週40時間超)の残業は月24時間・年150時間を超えさせてはいけません。育児・介護ともに対象です。残業を確実に断りたい場合は、「所定外労働の免除」の申請をしておくと安心です。
パートや派遣でも時短勤務はできるの?
パート・アルバイトや派遣スタッフでも、一定の条件を満たせば、育児や介護のための時短勤務を利用できます。
パートと派遣、それぞれの違い
パート・アルバイトの働き方はもともと「フルタイムより短い時間で働く」形態です。
たとえば、「午前だけ働く」「週3日だけ出勤する」といった勤務形態です。
育児・介護休業法に基づいて設けられた「短時間勤務制度」については、多くの企業ではパート・アルバイトもその対象に含めています。本来のパートタイムの勤務時間より、さらに短い勤務時間を希望して働ける可能性があります。
派遣スタッフの場合は、「派遣元」となる派遣会社が制度の案内や手続き、派遣先との調整などを行います。派遣で時短勤務を希望する場合は、雇用元となる派遣会社に相談しましょう。また、派遣先にも、育児・介護休業法上の配慮義務があるため、制度をきちんと利用できるようサポートしてくれます。
時短勤務を始めるにはどうすればいい?
時短勤務の制度を利用するには、企業に申請する必要があります。
就業規則にある申請書の様式に沿って、勤務時間や期間を決めて提出し、承認されれば利用開始ができます。
一般的な流れは次のとおりです。
- 自分が時短勤務制度の対象条件に当てはまるか就業規則を確認する
- いつまでに申請が必要か、規定を確認する
- 希望する勤務パターン・期間を決め、上司・人事部に時短勤務を希望する旨を相談する
- 申請書に必要事項を記入し、必要な証明書類(子の年齢や介護の必要性がわかるものなど)があれば準備して、申請書+証明書類を提出する
- 承認された後、通知書を受け取り、時短勤務を開始する
なお、時短勤務を申し込む時には、「所定外労働の免除(残業免除)」も申請しておくと安心です。この制度を利用することで、企業は所定時間外の残業を命じることができません。この対象は2025年4月から、育児の場合「就学前」までに拡大しており、介護の場合にも同様の制度があります。
家庭と両立しながら働きたいなら、派遣の時短勤務がおすすめ
家庭との両立のため時短勤務をしたい方にとって、「派遣」という働き方は相性が良いといえるでしょう。その理由として、就業時間や残業の有無が契約で明確になりやすいこと、派遣会社が窓口になって派遣先と調整してくれることが挙げられます。派遣のメリットをご紹介します。
「勤務時間」「残業なし」などの条件を最初の段階で選択できる
派遣の場合、募集段階から勤務条件が明示されるため、「○時間勤務」「残業なし」など、希望条件にマッチした派遣先を選びやすいといえます。
「急な残業」を求められにくい仕組みがある
派遣スタッフへの残業依頼は、派遣契約や労使協定の範囲内で行う決まりがあります。
実際には、少しの残業であれば派遣先とスタッフの間でその日の状況に応じて調整されることもあります。
残業なしの契約なのに恒常的に残業が発生するような場合は、派遣会社が契約内容の見直しや調整に入る仕組みです。
派遣会社が手続き・調整してくれる
育児・介護休業法上の手続き(短時間勤務・残業免除・ハラスメント防止など)や派遣先との就業条件の調整は、派遣会社が窓口となって対応してくれるため安心です。
ライフステージの変化に応じ、働き方を柔軟に変えていける
派遣では、契約期間ごとに条件を見直せるため、家庭の事情や子どもの成長に合わせて、次回更新でさらに短い時間帯へ変更したり、残業なしの別案件へ切り替えたりといった形で、希望を反映できるケースも多いです。派遣会社のサポートを活用するとよいでしょう。
時短勤務制度は、育児や介護とお仕事を両立するための大切な制度です。制度の内容を理解し、自分に合った働き方を見つけることで、無理なく長く働き続けられます。派遣という働き方も選択肢の一つとして、ぜひ検討してみてください。
時短勤務の求人一覧
時短勤務に関するよくある質問(FAQ)
時短勤務制度はいつまで使えますか?
育児のための時短勤務は、法律上「子が3歳に達するまで」(3歳の誕生日の前日まで)利用できます。ただし、企業によっては「小学校入学まで」など、より長い期間を認めているケースもあります。介護のための時短勤務は、対象家族1人につき「利用開始の日から連続する3年以上の期間内に2回以上」利用できます。実際の運用は企業によって異なるため、勤務先の就業規則や人事部門に確認しましょう。
時短勤務にすると給与はどうなりますか?
時短勤務では、働いた時間に応じて給与が支給されるため、勤務時間が短くなればその分基本給も減ります。ただし、時短勤務制度を利用したことを理由に不当に給与や賞与を減らすことは法律で禁止されています。また、2025年4月からは「育児時短就業給付金」という制度が導入され、2歳未満の子を育てるために時短勤務をする場合、一定要件を満たせば月の給与の10%が雇用保険から支給されます。
派遣やパートでも時短勤務制度は使えますか?
派遣スタッフやパート・アルバイトでも、一定の条件を満たせば時短勤務制度を利用できます。派遣の場合は雇用元となる派遣会社が制度の案内や手続き、派遣先との調整を行います。派遣での時短勤務は、勤務時間や残業の有無が契約で明確になりやすく、派遣会社がサポートしてくれるため、家庭との両立を目指す方に適した働き方といえます。







