「エンプロイアビリティ」という言葉を聞いたことがありますか？実は、転職活動やキャリアアップなどにおける考え方のひとつとして、最近注目が集まっている言葉です。
この記事では、今知っておくべきエンプロイアビリティという言葉の説明やその分類、注目される背景、エンプロイアビリティを高める方法・メリットなどについて解説します。社会に必要とされ続ける人財となる為に、この機会にあなたの“価値”を高め、転職活動やキャリアアップ・スキルアップに活かしていきましょう。

自身の保有している特定の知識とスキルのこと。エンジニアならばプログラミングに関する知識・スキルが、また営業職なら営業手法のノウハウや商品・業界知識などが該当します。

業務遂行にあたり、自身が持っている思考特性・行動特性もエンプロイアビリティの要素です。協調性や積極性、コミュニケーション能力、計画実行力、柔軟性なども含まれます。

動機、人柄、性格、信念、価値観など、個人が潜在的に有しているパーソナリティもエンプロイアビリティに含まれます。

エンプロイアビリティは、さまざまな視点から細かく分類することができます。分類の例としては「相対的と絶対的」、「内的と外的」など。それらの分類をもとに各エンプロイアビリティの特性をきちんと把握することが効果的な活用につながります。なぜなら、エンプロイアビリティの中には「今の組織でこそ役に立つもの」や「時代によって変化するもの」など、効果が限定的なものや流動的なものも数多く存在するからです。

エンプロイアビリティを考えるうえで分類のひとつが、その能力の重要性が「いつの時代でも変わらないか否か」という点です。エンプロイアビリティには時代の変化や労働市場のニーズに関係なく重宝する能力と、重要性が変動する能力の二種類が存在しています。

時代の変化や労働市場のニーズによって、必要性が変わってくる能力が「相対的なエンプロイアビリティ」です。AIをはじめとしたテクノロジーの進化などにより時代の移り変わりが激しい今の時代では、相対的なエンプロイアビリティに該当するものがほとんどです。

相対的エンプロイアビリティに対し、時代や市場のニーズに左右されない能力が、絶対的エンプロイアビリティです。AIをはじめとしたテクノロジーなどでも代用することができない技術やノウハウはこれにあたります。また医師や弁護士など専門知識や資格を有している人は絶対的なエンプロイアビリティがあると言えます。

エンプロイアビリティを考えるうえで分類のもうひとつが、現在すでに雇用されている人が今の就業先で「雇われ続ける能力」と、転職活動で「新たに雇われる能力」です。

「内的なエンプロイアビリティ」とは、言い換えると今の会社・職場で雇用され続ける能力のこと。つまり、会社の業績が悪化してもリストラ等なく最後まで辞めさせられないような能力のことを言います。自社の商品に関する知識や、自社の固有の業務形態に関わるスキルはこちらに含まれます。

現在就業している会社の部署移動や他の会社に転職したとしても、現在と同等以上の処遇や条件で「雇用される能力」「雇用を可能にする能力」のことを言います。同じ業種であればどこでも必要になる国家資格や、業界で共通で活用できるノウハウや経験、スキルなどが挙げられます。転職市場が年々活発になっている現代において、外的エンプロイアビリティの重要性はますます注目されています。

エンプロイアビリティを把握し、あなたの長所・特徴と照らし合わせることで、ビジネスパーソンとして自分に何が足りないのかを認識できます。そして今後の進むべきキャリアの方向性も自然に見えてくるでしょう。つまり、エンプロイアビリティは、「何を頑張ればいいのかわからない」と悩んでいる方の指針になる、ということです。

労働市場で求められているスキルや能力を把握し、あなたの長所・特徴と照らし合わせることで、より効果的なキャリアアップや転職が実現しやすくなります。いま所属している会社にとらわれず、労働市場において何が求められているのかを、的確に把握しましょう。

技術革新やニーズ変化のスピードが速いこともあって、いまの職種が求められなくなったり、勤めている企業がなくなる可能性も充分にあります。
会社を離れることになったとしても、高いエンプロイアビリティがあれば次の仕事を見つけやすくなります。今の会社で長く働きたい場合も、エンプロイアビリティを高める努力をしておけば、リストラや左遷の危険性を低めることができます。

今の会社に勤め続けたい方も、転職を検討している方も、自身のエンプロイアビリティは常に高め続けておきたいですね。
上記でも説明したとおり、現在のエンプロイアビリティが時代の流れとともに低下してしまわないように、常に一定水準以上の能力をキープする努力も求められます。

以下ではエンプロイアビリティの高め方について解説します。

エンプロイアビリティ向上のためには、キャリアプランを明確にしてそのビジョンに向けて行動していることが重要です。ただし、あなたのやりたいことだけで計画を立てることは得策ではありません。
まずはあなた自身の能力を自己分析する必要があります。現在の自分のエンプロイアビリティを理解することによって、強みだけでなく弱点や課題も明確になります。 そうすることで、今後さらに強みを伸ばし、弱点や課題を克服するにはどうしたら良いのか、キャリアプランを立てられるようになります。
キャリアプランが明確になったら、それを達成できるような計画を立てていきましょう。 自己分析については、厚生労働省から出ている「エンプロイアビリティチェックシート 」や、弊社にて公開している自己分析のページを参考にしましょう。

キャリアビジョンが明確になったら、次に着目するのがあなたのキャリアビジョンで目指すべき業界・職種で求められる人材のニーズを把握することです。
上記「相対的なエンプロイアビリティ」でもご説明した通り、労働市場に求められるエンプロイアビリティは時代の流れとともに変化します。常に現時点でニーズの高い人物像を明確にして、その人財像に近づけるようにエンプロイアビリティを高めていきましょう。

キャリアビジョンと労働市場で求められるニーズが把握できたら、あとは行動あるのみです。
スキル・ノウハウの習得はわかりやすいのですが、忘れてわいけないのが上記でもご説明した厚生労働省発表の「エンプロイアビリティの判断基準等に関する調査研究報告書について」の中にある、「協調性・積極性、思考特性や行動特性」と「動機・人柄・性格・信念・価値観などの潜在的なもの」です。この2つ該当するエンプロイアビリティは、ヒューマンスキルやコンセプチュアルスキルと呼ばれることもあります。この2つのスキルはすぐに高めることが難しく習得には時間がかかりますが、その分より市場価値があるとも考えられます。

ヒューマンスキルとは言い換えると「良好な関係を築き、維持していくために必要な能力」のこと。ヒューマンスキルを高めるためには、日頃からあなたが仕事に関わる人とどう接しているのかを細かく見直していくことが大切です。人間関係を円滑にする能力は、コミュニケーションが活発な職場を作るだけでなく、商談などの交渉の場や若手教育にも役に立つため「どこにいっても重宝される人材」を目指すならばぜひとも身につけておきたいスキルです。

コンセプチュアルスキルとは言い換えると「組織を俯瞰して概念的に捉え、本質を見抜く能力」つまり、コンセプチュアルスキルは論理的思考力に該当します。物事を論理的に考えたり、様々な視点から多角的に検討することが自然にできるようになるためには、トレーニングが必要です。まずは日々の物事に対して「なぜだろう？」と疑問を持つことが大切です。

いかがでしたか？エンプロイアビリティを高めていくためには、あなた自身が具体的にどの能力を高めていくのかを明確にすることが大切です。どんな業界・職種でも重要になる能力をつけたいのであれば、日頃から今回ご紹介したポイントを意識しつつ、コツコツと努力していくことが大切です。
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