派遣社員が失業保険をもらう方法
~受給条件・期間・金額・手続きの流れ~

パソナ・名駅
2025年4月1日

お仕事を退職してから、次のお仕事に就くまでのセーフティーネットとして支給される「失業保険」。条件を満たせば正社員と同じように派遣社員やアルバイト、パートで働いた方も申請することが可能です。
今回は失業保険の受給条件、受給期間、受給金額、手続きの流れ、もらい方について分かりやすく解説します!

もくじ

失業保険とは?雇用保険との違いは?

通称「失業保険」と呼ばれていますが、正式には雇用保険と呼ばれる公的保険制度の一つで、「雇用保険の失業給付」のことを指しています。つまり、失業保険と雇用保険の違いはなく、雇用保険の中に失業保険(基本手当)が含まれています。
何らかの事情により働けない状況になってしまった方に対して、失業中の生活を心配しないで、新しい仕事を探し、1日も早く再就職していただくために支給されるもので、国から支給されます。雇用保険は主に厚生労働省が管理しており、手続きや給付はハローワークが行っています。

失業保険のもらえる条件は?

失業保険の給付するための主な条件は下記3つとなります。

雇用保険に加入している

雇用保険は、正社員、派遣社員、パート、アルバイトなどの雇用形態を問わず、以下の条件を満たすことで加入できます。

<雇用保険の加入要件>

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上(1ヶ月で87時間以上)であること
  • 31日以上の継続した雇用が見込まれること
    ※契約期間が31日未満だが「更新する場合もある」旨が雇用契約書に明示されている場合を含む

つまり、雇用保険に加入し条件を満たしていない場合、失業保険の受給資格はありません。派遣社員や、パート・アルバイトの方も、条件を満たしていれば対象となり、失業給付をもらうことができます。

一定期間以上、雇用保険に加入している

基本的な受給条件は、「離職の日よりも前の2年間に、雇用保険被保険者期間が通算1年以上あること」です。
ただし、

  • 会社の倒産や解雇などの理由で離職した場合(特定受給資格者)
  • 契約満了後、仕事を希望したにもかかわらず更新されなかった場合(特定理由離職者)

このような場合は、以下のように加入期間の条件が緩和されます。

「離職の日よりも前の1年間に、雇用保険被保険者期間が通算6カ月以上あること」

働く意思があるのに働けない状態である

失業保険は「失業された方が生活に不安を抱えず就職活動に専念できるように」という給付金です。働く意思があり働ける状態であるにも関わらず働けない状態であること、つまり「就職活動をする意思があること」が大切な条件になります。
ハローワークでも、本人に働く意思があるかの確認などを行っていますので、しっかりと働く意思を示しましょう。

失業保険の受給期間は?いつまでもらえる?

基本手当が支給される期間(所定給付日数)は、離職時の年齢や雇用保険の被保険者であった年数、離職の理由などによって、90日~360日の間で決定します。つまり、失業保険の受給期間は、年齢や退職理由、雇用保険の加入期間によって変わります。また、状況や条件によって受給期間が延長される場合もあります。
詳しい受給期間を知りたい方は、ハローワークインターネットサービスや、最寄りのハローワークに相談してみましょう。

失業保険はいくらもらえる?計算方法は?

失業保険(雇用保険の基本手当)を受給する際、「実際にいくらもらえるのか?」は気になるポイントです。
支給額は、退職前の給与や給付率によって変動し、離職前の賃金の50~80%が支給されます。雇用保険で受給できる1日あたりの金額を「基本手当日額」といい、以下の計算式で求められます。

◆基本手当日額の計算式
基本手当日額 = 賃金日額(※) × 給付率(50%~80%)

※賃金日額とは、退職前6カ月間の給与(ボーナスを除く)の総額を180で割ったものです。
◆賃金日額の計算式
賃金日額 =(退職前6カ月の総給与 ÷ 180日)

  • 通勤手当・役職手当は含まれますが、賞与(ボーナス)は含まれません

基本手当日額は、賃金日額に応じて給付率(50%~80%)が変動します。具体的には、賃金日額が低いほど給付率が高くなり、逆に高いと低くなります。ただし、基本手当日額には上限および下限の金額が設定されています。そのため、算出された基本手当日額が上限額を上回った場合は、その上限額が適用されるため注意が必要。※基本手当日額の上限と下限の金額は毎年8月ごろに変更されます。

詳しい給付金額を知りたい方は、ハローワークインターネットサービスや、最寄りのハローワークに相談してみましょう。

失業給付の受給手続きの流れともらい方

失業保険をスムーズに受給するためには、ハローワークでの手続きや求職活動が必要となります。ここでは失業給付のもらい方を6ステップで詳しく解説します!

①離職票の受け取り

失業保険の申請をするためには、勤務先から交付される「離職票」が必要です。離職票には、退職理由や雇用保険の加入期間が記載されており、ハローワークでの手続きに必要不可欠な書類となりますので、必ず受け取りましょう。
パソナの場合は、以下の流れで離職票を発行しています。

②受給資格の決定

ハローワークで求職申込みをし、離職票を提出します。その後、ハローワークが受給要件を確認して受給資格が決定した場合、「雇用保険受給説明会」の日時が指定されます。この説明会では、失業給付の受け取り方法や注意点について詳しく説明されるため、参加するようにしましょう。

③雇用保険受給説明会

受給資格決定後、7日間の「待期期間」を経て「雇用保険受給説明会」が開かれます。この説明会では、失業保険の受給に関する詳細な説明が行われるほか、「雇用保険受給資格者証」や「失業認定申告書」などの重要な書類が交付されます。これらの書類は、今後の手続きで必要になるため、大切に保管してください。

④求職活動を行う

失業保険を受給するためには、単に失業しているだけではなく、積極的に求職活動を行っていることを証明する必要があります。失業の認定を受けるまでの間、ハローワークの窓口で職業相談や職業紹介を受ける、求人へ応募するなどして積極的に求職活動を行います。

⑤失業の認定を受ける

受給資格決定から約3週間後に、初回の「失業認定日」が設定され、失業の認定(失業状態にあることの確認)を受けます。失業認定申告書に求職活動の状況等を記入し、雇用保険受給資格者証とともにハローワークに提出します。 問題がなければ、失業給付が支給されることになります。なお、初回の認定日以降は、4週間ごとに失業認定日が設けられるため、忘れずに通うようにしましょう。

⑥失業手当の受給

失業の認定が完了すると、通常5営業日で、指定した金融機関の預金口座に失業手当が振り込まれます。以降も、4週間ごとにハローワークで失業認定を受けることで、継続的に給付を受けることができます。ただし、求職活動の実績が不足していたり、失業認定を受けなかったりすると、失業給付をもらうことができませんので、手続きを確実に行うことが重要です。

会社都合退職と自己都合退職の違い

注意しておきたいのは退職理由によって失業給付金の受給開始時期が異なる点です。認定はハローワークで行っておりますので、より詳しく知りたい方はハローワークで相談してみてください。

会社都合退職(自己都合でも正当な理由があった方含む)の場合

初回の失業認定の1週間後に失業手当が振り込まれます。受給資格の決定から雇用保険受給説明会までに7日間の「待機期間」がありますので、初回の失業手当は20日分前後になります。給付期間中は、これ以降も4週間に一度ハローワークで失業認定を受けることで、最大28日分の失業手当を4週間ごとに受け取れます。

自己都合退職の場合

待機期間7日間のあと、さらに1ヶ月間の給付制限期間があります。(※雇用保険法の改正により、2025年4月より給付制限期間が2ヶ月から1ヶ月に短縮されました)そして給付制限期間の空けた2回目の失業認定のあとに初めて失業手当が振り込まれます。初回の失業手当は給付制限期間が明けてから2回目の認定日前日までの分となりますので、15日分前後になります。給付期間中は、これ以降も4週間に一度ハローワークで失業認定を受けることで、最大28日分の失業手当を4週間ごとに受け取れます。

ただし、「特定理由離職者」に該当する場合、会社都合退職と同じ扱いになる可能性があります。認定はハローワークで行っておりますので、より詳しく知りたい方はハローワークで相談してみてください。

まとめ|失業保険で確実に失業手当を受給するために知っておくべきポイント

派遣社員やパート・アルバイトの方でも、一定の条件を満たせば失業手当を受給することが可能です。
受給条件としては、雇用保険に加入していること、一定期間以上の加入実績があること、そして積極的に求職活動を行う意思があることが求められます。また、受給期間は年齢や退職理由によって異なり、会社都合退職の場合は早く受給できるのに対し、自己都合退職の場合は2カ月間の給付制限があるため、注意が必要です。さらに、受給金額は退職前の給与に基づいて決定され、50~80%の給付率が適用される仕組みになっています。
スムーズに失業保険を受給するためには、ハローワークでの手続きを確実に行い、求職活動の実績をしっかりと記録しておくことが重要です。特に、失業認定日は4週間ごとに設定されているため、忘れずにハローワークへ行くようにしましょう。
「自分が失業保険をもらえるのか?」「受給できる期間や金額はいくらなのか?」と疑問に思った方は、最寄りのハローワークやハローワークの公式サイトで詳細を確認することをおすすめします。失業保険を最大限に活用し、安心して次の仕事を探せるように準備を進めましょう!

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