それぞれのセカンドキャリア
「元Jリーガー 長谷川太郎さんにインタビュー!」 【中編】

【前編】では、長谷川さんが働きながらサッカーをしていた頃の話を聞きましたが、【中編】では、引退した時の話と、そこから本格的に仕事をしていた時期について、お話を伺いました。
インタビューは、パソナスポーツメイト担当としてアスリート支援を行う菊池康平が行いました。

インドで引退!帰国後にどうしたら良いかわからないので、とりあえず色々な就職サイトに登録!

菊池:

その後、浦安を辞めて海外にいきましたよね。2014年だから34歳の時ですよね?

長谷川:

そう、34歳の時です。これがもう最後だと思ってました。浦安の2013年シーズンの最後の公式試合(地域決勝)に出れなかったんです。監督に必要とされて入団したのに、負けている状況にも関わらず使ってもらえなくて。この時に引退を決意し、清水康也にも伝えたんだ。涙が止まらなくてね。

菊池:

いつ頃のことですか?

長谷川:

確か11月末とか12月だね。その時も子供達にサッカーを教えてたんだけど、浦安女子U-15の選手達に「夢を持たないとダメだよ」みたいな話を伝えたんです。
その時に「俺は何してるんだろう?そんなこと言える資格があるのか」って思ってね。サッカーをやっぱやりたいって思って。良く考えたら海外でやってないなって。
最後は海外でやるって昔から決めてたのに、現実を見てやめようとしているのが歯痒くて。

菊池:

それで海外に行くことにしたんですね?

長谷川:

それで行く決断をしたんです。周りからはかなり反対されましたよ。

菊池:

奥さんや子供もいた年齢でもありますもんね?

長谷川:

家族を自分の実家においていくという状況だったから、嫁さんもそうだし、親からも「何言ってんの!?」って言われました。チームも決まってなかったし。

菊池:

凄い葛藤の中、チャレンジに向かったんですね。

長谷川:

「チームはないけど、自信はある!」ってよくわからないことを言って行きましたね(笑)サッカーをやり切りに行きました。

菊池:

どこの国へ行ったんでしたっけ?

長谷川:

インドです!3ヶ月くらいプレーしました。

菊池:

インドでのプレーを最後に引退しようと決めて行ったんですよね。

長谷川:

はい、やり切りに行きましたね。

2014年4月27日のインドでの試合が最後の試合になりました。ちょうど親友の命日の日でした。自分でも信じられない様なゴールを決めれて良い終わり方が出来ました。

菊池:

インドで引退されて、5月くらいに帰国し就職活動が始まったんですよね。今回はここからの話を深く聞きたいんです。

長谷川:

未だにその時に登録した就職サイトからメールが来ますね。全く情報がなくどうしたら良いかわからないので、とりあえず色々な就職サイトに登録してみました。

菊池:

まずは登録してみたんですね?

長谷川:

情報がないけどとりあえず動かなきゃと思って。色々な企業を見に行ったり、受けたりしたんですが、なかなかやりたい事がわからなくて。「俺はいったい何がしたいんだろう?」と自問自答してました。

そんな中、友達から警備の仕事を紹介してもらって、就活をしながら警備の仕事も始めました。

菊池:

そういえば、その時期に夜に一緒にフットサルをやった後に「今からバイトなんだ!」と太郎さんが言っていたのを思い出しました。警備の仕事だったんですね!!

長谷川:

まさにそうなんだよ!あの日は昼から夕方までサッカースクールの手伝いをしてから22時までフットサルをして、24時から東京駅で朝の11時まで警備員をやってました。

菊池:

かなり大変なスケジュールですね!

長谷川:

明け方の4時くらいに一回寝落ちしそうになりましたね(笑)

菊池:

どんな警備なんですか?

長谷川:

車を路駐しちゃう人に「ダメですよ」と注意したり、撮影の際は「こちらは撮影中なので入らないでください」などの注意をしたりしていました。

菊池:

それが初めてのバイトだったんですか?

長谷川:

そうです!サッカースクールのバイトを含めなかったら初めてです。その後に整骨院のお手伝いもさせて頂きました。

菊池:

でもなんでいきなり時間的にそんなハードなアルバイトをしたんですか?

長谷川:

なんか色々やってみたかったんです。アルバイトは就職する前の今の時期にしか出来ないと思っていたし。働いていた時は「意外に向いてるよ」って言われたんだよ(笑)

菊池:

確かにこの写真の太郎さんは似合ってますよ!!

色んなサイトに登録されて就活をしていたと聞きましたが、企業選びはどうしていたんですか?

長谷川:

最初は聞いたことがある会社からまわっていました。その中でワクワクする会社もありました。でもサッカー以上にワクワクすることはなかったんです。

菊池:

なるほど。確かに私もサッカー以上にワクワクすることはないかもしれません。

長谷川:

「楽しそう!」とか「自分のプラスになるな!」という仕事を探していました。

菊池:

警備員の仕事の話に戻りますが、警備員の仕事は良くも悪くも特別な力がなくても出来るじゃないですか。プロサッカー選手の時のように「太郎さん、ゴールを期待しています!」という期待はされないじゃないですか。そういう葛藤はなかったんですか?

長谷川:

警備員の仕事をやっていくと、これもプロだなと思いました。使命感に駆られてやっている方々をみてプロフェッショナルだなと思いました。みんなどの仕事も自分次第というか、気持ちのもちようだなと感じましたね。

(2017年1月13日)

プロフィール

長谷川 太郎

1979年8月17日生まれ。
ポジション:FW

【サッカー歴】
1998年 柏レイソル
2002年 アルビレックス新潟
2003年 ヴァンフォーレ甲府
2007年 徳島ヴォルティス
2008年 横浜FC
2009年 ニューウェーブ北九州/ギラヴァンツ北九州
2011年 浦安SC
2014年 mohammedanSC(インド)
2014年 現役引退

ライタープロフィール

菊池 康平

1982年7月27日生まれ。
海外でプロサッカー選手になる夢を達成するべく、大学時代より複数の国の海外チームに飛び込みで挑戦。2008年にパソナを1年休職して渡ったボリビアでプロ契約を果たした。現在は16ヶ国でサッカーに挑戦した経験を夢先生などの活動を通して子どもたちに伝えている。また、パソナスポーツメイト事業の担当として、アスリートへの就労支援にも従事。

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