おすすめ特集・コラムウェルビーイング(Well-being)の意味とは?ビジネスで注目される理由を解説
公開日:2024.11.28 更新日:2025.01.29
- キャリア自律支援
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ウェルビーイング(Well-being)とは「幸福」「健康」という意味で、人が肉体的、精神的、社会的な面のすべてにおいて満たされている状態を表す概念です。
近年、ウェルビーイングはビジネスの分野で注目を集め、企業経営にも取り入れられています。本記事では、ウェルビーイングの意味やビジネスで注目されている理由を解説します。
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ウェルビーイングとは
「ウェルビーイング(Well-being)」とは、直訳すると「幸福」「健康」「福祉」にあたる言葉です。一時的な幸福感や、病気ではない状態といった狭義の幸福・健康ではなく、心と身体、社会的な面のすべてが持続的に満たされている状態、という広義の幸福・健康を指します。
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1946年に世界保健機関(WHO)憲章に登場
ウェルビーイングという言葉が最初に登場したのは、1946年に世界保健機関(WHO)が設立されたときです。ニューヨークで61カ国の代表が署名した「世界保健機関(WHO)憲章」には、以下のように記載されています。
Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.
健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。
これ以降、社会福祉・医療・心理などの分野で重要な考え方として世界に広まり、主観的ウェルビーイング(幸福度)測定の研究なども進んできました。
2015年にSDGsの目標の一つとして採択
そのウェルビーイングが近年さらに広く関心を集めるようになった理由として、2015年の国連サミットで、SDGs(持続可能な開発目標)の一つとして採択されたことが挙げられます。
17ある目標のうち、3つめの目標は「すべての人に健康と福祉を(GOOD HEALTH AND WELL-BEING)」で、ウェルビーイングという言葉が用いられています。
そのほか、目標5「ジェンダー平等を実現しよう」、目標8「働きがいも経済成長も」にも持続的な幸福を指すウェルビーイングにつながる部分があり、SDGs達成のためにウェルビーイングが分野を問わず重要な考え方であることが認識されるようになりました。
ウェルビーイング(幸福度)を測る5つの指標「PERMA」
ウェルビーイングを測る重要な指標がポジティブ心理学の創始者ペンシルバニア大学のマーティン・セリグマン教授によって提唱された「PERMA」です。
ポジティブ心理学は「幸せとはなにか」を研究する学問であり、PERMAはポジティブ心理学における幸福を構成する以下の5つの指標の頭文字をとったものです。
Positive Emotion:ポジティブな感情
うれしい、たのしい、感謝、感動などのポジティブな感情を持てているかという指標です。ポジティブな感情は、心身の豊かさにつながり、幸福や健康の源となります。
Engagement:没頭・没入
時間を忘れるほど没頭して取り組めるなにかを持っているかという指標です。没頭、没入しているときはマイナスの感情を持つことがなく、自分の知識やスキルを発揮してなにかに取り組むことで達成感を得ることができ、Positive Emotion、Achievement/ Accomplishにもつながります。
Relationship:良好な人間関係
安心感や信頼感を持てる良好な人間関係を築けているかという指標です。感謝やサポートを与えたり与えられたりする良好な人間関係は、幸福感に直結します。
Meaning and Purpose:人生の意義・目的
人生の意義や目的を見出せているかという指標です。自分の存在意義や役割、果たしたい目標が明確であれば、ポジティブな感情を持つことができ幸福感につながります。
Achievement/ Accomplish:達成・完遂
なにかを達成・完遂することができているかという指標であり、達成感や成功体験は幸福感に直結します。
これら5つの指標は、どれか1つの項目で高いレベルを目指すのではなく、網羅的に高めていくことが推奨されています。
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ウェルビーイングがビジネスで注目される理由
世界保健機関(WHO)憲章やSDGsに登場したことで、社会福祉や医療分野、また世界の未来における重要なキーワードとして広まったウェルビーイング。近年になって日本のビジネス分野でも注目を集めるようになったのは、以下の理由が考えられます。
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働き方改革や価値観の多様化
2019年4月から段階的に施行されている働き方改革関連法案により、多様な働き方の実現が進められ、企業には従業員の「幸せな働き方」や「健康で豊かな人生」をより真剣に考えることが求められるようになりました。
また、雇用環境の変化、経済のグローバル化によって個人の価値観も多様化が進み、働く上で「幸福」を重視する考え方が広まっています。
企業によるSDGsへの取り組み
2015年に国連サミットでSDGsが採択されて以降、企業によるSDGsの取り組みが年々広まっています。
なかでも、企業が力を入れて取り組んでいるのが目標8「働きがいも経済成長も」です。従業員の働きがいと生産性の両立を考える上で、ウェルビーイングへの注目が高まっているようです。
また、新型コロナウイルスの世界的流行により目標3「すべての人に健康と福祉を(GOOD HEALTH AND WELL-BEING)」に力を入れている企業も増えています。
人手不足や人材の流動化
企業は、国内生産年齢人口の減少や人材の流動化によって、人材の確保や離職率に恒常的な課題を抱えるなかで、生産性向上を追求していかなければなりません。
その対策として給与や福利厚生の充実、働きやすい環境づくり、キャリア形成のサポートなど、従業員にとってウェルビーイングな職場づくりに注力する企業が増えてきました。
これには、ウェルビーイングが生産性向上につながるという研究結果が出てきたことも影響しているでしょう。
例えば、イリノイ大学名誉教授の心理学者エド・ディーナー博士らの研究では幸福感の高い人はそうでない人と比べて創造性が3倍高く、生産性は31%、売上は37%もアップすることが報告されており、幸福度が高い従業員はパフォーマンスが高いことがわかっています。
日本でも、ニッセイ基礎研究所が英国の大規模実験調査のデータを参考に日本の成人対象に調査を行い、幸福度を高めることが労働者の生産性を上げる可能性があるという因果関係を分析し公開しています。
経営にウェルビーイングを取り入れる方法
ウェルビーイングについて言葉の意味や重要性は理解しているものの「何から取り組めばよいのかわからない」「ハードルが高く感じる」という企業もまだまだ多いのが現状です。
ウェルビーイング実現には、従業員エンゲージメントの向上や、働き方改革や健康経営の推進が欠かせません。
何から手をつければよいかわからない場合、以下のような取り組みが参考になるでしょう。
- オフィスやテレワークの環境を改善し身体的ストレスを減らす
- 長時間勤務や休日出勤など従業員に負担がかかる労働環境を改善する
- 従業員が望む柔軟な働き方ができるように勤務時間制度を見直す
- コミュニケーションの活性化やビジョンの浸透により従業員エンゲージメント向上を図る
- 良好な人間関係を築けるように、社内イベントの開催やフリーアドレス制を導入しコミュニケーションを活性化
- 1on1やメンター制度で従業員のキャリア開発やスキルアップを支援する
- 従業員が希望する部署やプロジェクトで挑戦できるようにチームや人事部で支援する
- 福利厚生を充実させスポーツやレジャーの促進をおこない健康的な生活を支援する
また、実際に企業が取り組んだウェルビーイングの成功事例を以下の記事で紹介しています。こちらもぜひご覧ください。
関連記事:ウェルビーイング(Well-being)経営とは?成功している企業事例をご紹介
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まとめ
ウェルビーイングとは「心と身体、社会的な面のすべてが持続的に満たされている状態」という広義の幸福・健康を指す言葉です。
ビジネスにおいてウェルビーイングが注目されるようになった背景には、働き方改革や価値観の多様化により幸せな働き方を考える人が増えたこと、企業によるSDGsへの取り組みが浸透してきたこと、幸福度の高さがパフォーマンス向上につながる研究知見が登場してきたことなどが挙げられます。
ウェルビーイングは人材の確保、離職率の低下、生産性向上につながる重要なキーワードであり、無関係な企業はほとんどないと言えるでしょう。
ビジネスにウェルビーイングを取り入れる方法については、多様なアプローチがあります。先行している企業の事例を参考に、自社でできることから始めてみましょう。
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