おすすめ特集・コラム部下のうつ病サインを見逃さない!上司が知っておくべきポイントと対応策
公開日:2024.11.06 更新日:2024.11.06
- 健康経営
仕事や職場におけるストレスが原因でうつ病を発症する人は少なくありません。企業には労働者の健康と安全に配慮する義務があり、部長や課長などの管理監督者が実行責任を負います。そのため、普段から部下の行動や人間関係を見守り「いつもと違う」不調のサインを見逃さないことが大切です。
この記事では、職場で見られるうつ病の兆候や上司が知っておくべき対応策について解説します。
うつ病にかかりやすい人の特徴
うつ病は年齢や職業に関係なく誰でもかかる可能性があり、日本人の約15人に1人が一生のうちに一度はかかるといわれています。
うつ病にかかりやすい人の特徴として、几帳面で真面目な人、正義感が強い人、仕事熱心な人、他人との調和を重視する人などが挙げられます。
上司が知っておくべきは、うつ病は個人の性格や心の弱さが原因で発症するものではないということです。はっきりとした原因はわかっていないものの、生活のなかで感じるさまざまなストレスがきっかけになることが多く、複数の要因が結び付いて引き起こされるものと考えられています。
職場で見られるうつ病のサイン
職場で見られるうつ病の兆候にはどのようなものがあるのでしょうか。
心身に負荷を感じている部下は「いつもと違う」行動をとることがあります。このサインにいち早く気づくために、普段から部下の行動を気にかけておくことが大切です。
ここでは、勤怠や仕事、行動に関するうつ病のサインをご紹介します。
遅刻・早退・欠勤が増える
うつ病が疑われるサインとして、遅刻や早退、欠勤の増加が挙げられます。うつ病になると出勤の時間になっても起き上がれなかったり、出勤しても定時まで職場にいられなくなったりします。無断欠勤を繰り返すようになると、遅刻や欠勤の連絡も億劫になるほど症状が進んでいる可能性があります。
ケアレスミスを繰り返す
メンタルヘルス不調になると集中力が低下し、ケアレスミスを繰り返すようになります。仕事の能率が悪く、上司から見て普段のパフォーマンスを発揮できていないと感じる場合はうつ病の可能性を疑う必要があるでしょう。
周囲とのコミュニケーションを避ける
周囲とコミュニケーションをとろうとせず、職場での会話がなくなることもうつ病のサインです。また、躁状態とうつ状態の症状を繰り返す双極性障がいでは、躁状態のときに多弁になりやすいという特徴があります。いつもより口数が少ない、あるいは多弁になっていると感じた場合は、部下の様子を注意深く見守るべきでしょう。
服装や髪型が乱れている
うつ病になると無気力になり、自分の身だしなみに気を遣わなくなります。部下の表情に活気がなく、服装や髪型が乱れている場合にはうつ病の可能性を考える必要があります。また、身の回りの整理整頓ができなくなるのもうつ病が疑われるサインです。これまでできていたことができなくなっている、自分や周囲に対して気を配れなくなっている場合には注意が必要です。
うつ病が疑われる部下への対応
部下のうつ病が疑われる場合に上司としてとるべき対応をご紹介します。
1対1で話を聴く場を設ける
うつ病が疑われる部下に対しては、1対1で個別に話せる場を設けて部下の話をじっくりと傾聴します。上司としては部下が話しやすい雰囲気をつくるとともに、すぐに解決策を出そうとせず部下の話に真摯に耳を傾ける姿勢を持つことが大切です。部下が抱える不安や悩みを聞き出し、その気持ちに寄り添うためには、どんな話も受け入れる受容力や共感力、客観的な視点から状況を判断できるスキルが求められます。
問題解決に向けてサポートする
部下の話に耳を傾けて問題を把握し、部下が抱えるストレスを解消するために会社として支援できることを検討します。現状の業務過多に負担を感じている場合には業務量を減らす、職場の人間関係が心労となっている場合には配置転換を提案するなど、問題解決に向けたサポートをおこなう必要があります。職場においてはさまざまなストレス要因が考えられるため、できるものから改善を図っていくようにしましょう。
産業医への相談や医療機関の受診を促す
部下にうつ病の兆候が見られ、職場内で対応しても改善しない場合には産業医への相談を勧めましょう。なかには産業医への相談に対して抵抗を示す部下もいますが「うつ病かもしれない」という自己判断だけで終わらせないことが重要です。社内で相談することに気が進まないようであれば無理強いはせずに、社外の医療機関を受診するように促したり、本人の同意を得たうえで上司が産業医や専門家に相談したりするのが望ましいでしょう。
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うつ病で休職した部下への対応
うつ病で休職した部下に対しては上司による継続的なフォローが必要です。
ここでは部下の休職時に上司がとるべき対応をご紹介します。
定期的に連絡をとる
休職期間中も本人と定期的に連絡をとり、焦らずにゆっくりと体を休めてほしいことを伝えましょう。連絡頻度は月1回程度を目安に、体調がよくないときはできるときに返事をしてほしい旨を伝えるなど、本人の状態に合わせて柔軟に対応することが大切です。また、本人との連絡が難しい場合には家族に代行してもらうことをあらかじめ取り決めておくとよいでしょう。
職場復帰を支援する
うつ病の症状が改善し職場復帰を目指せる状態になったら、部下が無理なく安心して復職できるように支援していきます。このとき、数か月にわたって休職していた人に対し、発病前と同じ仕事ぶりを期待するのは難しいことを上司が理解しておかなければなりません。主治医や産業医の意見を参考にしながら、本人の健康状態に見合った業務内容や業務量、就業上の配慮を検討する必要があります。
復職後もフォローする
うつ病の通院期間は年単位となることも少なくありません。職場復帰後も定期的な通院が必要となるケースが多いため、企業には通院時間の確保に配慮することが求められます。その際はサポートに入るほかの社員に感謝を伝えるなど、互いに協力し合える環境を上司が率先してつくっていくことが大切です。
また、職場復帰できたとしても、実際に仕事を始めると再び体調が悪化してしまうことも考えられます。復職後も遅刻や欠勤の回数が多く、勤怠が安定しない場合には就業継続の可否を検討する必要があるでしょう。
部下のうつ病を防ぐための対策
部下のうつ病を未然に防ぐためにはどのような対策が必要となるのでしょうか。
ここでは企業に求められる対応策をご紹介します。
職場環境の改善
作業環境や作業方法、人間関係など、職場内には複数のストレス要因が存在します。部下のうつ病を防ぐためには、組織全体で職場環境の改善に取り組んでいく必要があります。
厚生労働省が提案する職場環境改善の手順は以下のとおりです。この5ステップを参考に、産業保健スタッフや人事担当者、管理監督者(上司)などが互いに連携しながら環境改善の取り組みを進めていきましょう。
参考:15分でわかるラインによるケア|働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト こころの耳(厚生労働省)
メンタルヘルス研修の実施
メンタルヘルス研修を取り入れることで心の健康に対する理解が深まり、不調を抱える部下への適切な対応方法が身につきます。一般社員向けにはメンタルヘルスに関する知識やセルフケアの方法を学ぶプログラム、管理職向けには部下に対するケアや職場環境の改善に関するプログラムなど、それぞれの階層に応じた研修を実施するのが効果的です。
相談窓口の設置
メンタルの不調は上司や人事部に相談しづらく、一人で抱え込んでしまうケースも少なくありません。幅広いテーマに対応可能な外部相談窓口を取り入れ、不調を抱える社員が気軽に相談できる体制を整えましょう。パソナの「ONLINE健康推進室」では、多くの人が日常的に利用する「LINE」を通じて社員の悩みに寄り添うサポートを提供しています。
また、定期的な個人面談を通じて部下との信頼関係を構築し、管理職がヒアリングできる体制を整えることも重要です。外部機関を有効に活用しつつ、職場の悩みや不安を上司に気兼ねなく相談できる環境づくりにも取り組んでいきましょう。
まとめ
うつ病はストレスをきっかけに起こることが多く、誰もがかかる可能性のある心の病気です。職場の管理監督者には、遅刻や早退、欠勤が増える、ケアレスミスが増える、口数が少なくなるといった「いつもと違う」部下の状態にいち早く気づき、適切な対応をとることが求められています。
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