アンガーマネジメントとは?
~怒りのタイプ診断や4つの方法を徹底解説~

パソナ・名駅
2023年10月23日

「アンガーマネジメント」という言葉を聞いたことはありますか? 怒りを上手にコントロールするための方法、それがアンガーマネジメントです。この記事では、アンガーマネジメントの意味や効果、さらにはあなたの怒りのタイプを診断する方法や4つのテクニックについて、分かりやすく解説しています。怒りや感情のコントロールが苦手な方やストレスを軽減したい方は、アンガーマネジメントを学び、コミュニケーション能力を向上させましょう。

もくじ

アンガーマネジメントとは?

怒りのメカニズム

「アンガーマネジメント」を学ぶ前に、まず怒りのメカニズムを理解しましょう。
「怒り」の感情を説明するときに、こころをコップに例えてみます。こころのコップには、いろいろな感情が入っています。悲しみや悔しさ、不安などのマイナスの感情がこころのコップに溜まってきて、溢れてしまったときに、「怒り」が出てきます。さらに、怒りを上手に表現できないとストレスがたまります。怒りは、心の中の思いを発散する役割を持っているので、上手にコントロールすることはとても重要です。

アンガーマネジメントの意味

アンガーマネジメントとは、怒りやイライラなどの感情を上手にコントロールするスキルのことをです。怒りは自然な感情で、場合によっては必要なこともありますが、感情を制御できなくなると、人間関係や仕事のパフォーマンスに悪影響を及ぼすことがあります。そのため、アンガーマネジメントでは怒りを感じた時に冷静に対処するための手法を学ぶことで、感情の爆発を防ぎ建設的な解決策を見つけることを目指します。つまりアンガーマネジメントを身につけることで、ストレスを軽減することができたり、良好な人間関係を築くことができるようになります。

アンガーマネジメントが注目される背景

アンガーマネジメントがなぜ、今必要とされているのでしょうか。その理由は主に3つあります。

価値観の多様化

近年、価値観の多様化が進んだことで、さまざまな価値観を受け入れなければならなくなりました。しかし、人は今まで信じていた価値観が裏切られたときに怒りを感じやすいとされているため、それによって怒りが引き起こされることが増えてきています。アンガーマネジメントは、自分の感情を抑えるためのスキルを身につけることで、価値観の違いによる衝突を和らげる手助けとなっています。

ハラスメント

近年はハラスメントの問題に対する意識が高まっており、多くの会社で規定や内部通報の仕組みを作るなど、さまざまな取り組みがなされています。上司が部下を叱ることが教育・指導の一部のつもりであっても、周囲からパワーハラスメントと受け取られる可能性があります。怒りを相手にぶつけるのではなく、適切に想いを伝えることが重要であることが改めて認識され、アンガーマネジメントが注目されています。

AI/DXなどの技術革新

AI化やDX化などの技術革新により、会社で求められるスキル・能力も変化しています。今まで重要視されていた「職場での経験」や「事務処理能力」はAIをはじめとした技術で、ある程度は代替ができるようになります。一方、AIが最も苦手とするのが、人間の複雑な感情を前提とした【コミュニケーション能力・協調性】です。アンガーマネジメントを含むコミュニケーション能力の高い人材は、今後も必要とされ続けるでしょう。

アンガーマネジメント 4つのメリット・効果

アンガーマネジメントを実践することで次のような4つのメリット・効果が期待できます。

冷静な判断力ができるようになる

怒りの感情が高まると、冷静さや客観的な視点が欠け、思いもよらない行動をとってしまうことがあります。アンガーマネジメントを実践することで、怒りの感情に振り回されず、冷静に状況を判断することができます。

自己分析ができるようになる

アンガーマネジメントを学ぶことで、自分自身の怒りのパターンやトリガーを理解することができます。怒りの感情は人それぞれ異なる要因によって引き起こされることがあります。自己分析を通じて、自分自身の怒りのルーツを見つけ出し、それに対する対処法を見つけることができます。

コミュニケーションがスムーズになる

怒りの感情が高まると、他人との関係性が悪化することがあります。しかし、アンガーマネジメントを実践することで、怒りを上手にコントロールし、相手との対話や協力関係を円滑に進めることができます。またコミュニケーションがスムーズになることで、人間関係のストレスが軽減されます。

生産性が向上する

怒りの感情が高まると、集中力や創造性が低下し、仕事の効率が悪化します。しかし、アンガーマネジメントを実践することで、怒りをコントロールし、仕事に集中することができます。その結果、生産性が向上し、組織の成果に貢献することができます。

アンガーマネジメント診断と怒りのタイプ

アンガーマネジメント診断

自分の怒りのタイプを知ることで、より効果的なアンガーマネジメントができます。参考として、日本アンガーマネジメント協会が公表する「アンガーマネジメント診断」をご紹介します。

STEP1:質問に答える

Q1~12までの質問に対して下記の項目から最もあてはまる回答を選んで、点数をつけてください。
まったくそう思わない→1点、そう思わない→2点、どちらかというとそう思わない→3点、どちらかというとそう思う→4点、そう思う→5点、すごくそう思う→6点

Q1 世間には尊重すべき規律があり、人はそれに従うべきだ。
Q2 ものごとは納得いくまでつきつめたいと思う。
Q3 自分がやっていることは正しいという自信がある。
Q4 人の気持ちを間違って理解していたということがよくある。
Q5 性善説よりも性悪説の方が正しいと思う。
Q6 言いたいことははっきりと主張すべきだ。
Q7 たとえ小さな不正でも見逃されるべきではないと思う。
Q8 好き嫌いがはっきりしている方だ。
Q9 周りの人が自分のことを何と言っているのか気になる。
Q10 自分で決めたルールを大事にしている。
Q11 人の言うことをそのまま素直に聞くのが苦手だ。
Q12 後先考えずに行動できるタイプだ。

STEP2:点数を付けタイプを見つける

(1)Q1+Q7、(2)Q2+Q8、(3)Q3+Q9、(4)Q4+Q10、(5)Q5+Q11、(6)Q6+Q12と、6通りの足し算を行います。一番高い点数だったものが、あなたのタイプです。

(1)Q1 +Q7の点数が一番高かった人:公明正大タイプ
(2)Q2+Q8の点数が一番高かった人:博学多才タイプ
(3)Q3+Q9の点数が一番高かった人:威風堂々タイプ
(4)Q4+Q10の点数が一番高かった人:外柔内剛タイプ
(5)Q5+Q11の点数が一番高かった人:用心堅固タイプ
(6)Q6+Q12の点数が一番高かった人:天真爛漫タイプ

あなたの怒りのタイプは?

タイプ 概要
公明正大タイプ

ルールや規則を守らない人に対して、強い怒りの感情を抱きやすい傾向があるタイプです。イライラを解消するには、自分の価値観を相手に押し付けず、互いに価値観の違いがあることを認める必要があります。

博学多才タイプ

完璧主義で白黒をはっきりさせたい傾向があるタイプです。イライラを解消するには、すべてのことに白黒をつけるのではなく、時と場合によって「白や黒ではない中間が存在してもいい」と受け入れる姿勢を持つ必要があります。

威風堂々タイプ

自尊心が強く、周囲からの評価に対して過敏になりやすい傾向があるタイプです。イライラを解消するには、他人が評価されたからといって、自分の評価が低くなったとネガティブに受け取らないことです。

天真爛漫タイプ

目上の人にもはっきりと自分の意見を主張し、感情を表現できるタイプです。イライラを解消するには、勢いだけで結論を出さない、相手の意見を聞く、周囲の意見を受け入れるなど、立ち止まって考えることが重要です。

外柔内剛タイプ

温和な雰囲気を持ちつつも、軸がブレない意志の強さがあるタイプです。イライラを解消するには、やりたくないことは断り、ストレスをためないための発散方法を見つけることです。

用心堅固タイプ

慎重な人に多く、周囲への警戒心が強く他人を信用できないため、人間関係において強いストレスを感じやすいタイプです。イライラを解消するには、自分や相手に対する思い込みを捨て、相手を信じる、頼ることを心がける必要があります。

アンガーマネジメントの4つの実践方法

アンガーマネジメントを実践するためには、以下のような方法や技術を取り入れることが有効です。

6秒ルール

怒りなどの感情のピークは長くて6秒だといわれています。6秒を過ぎると怒りの衝動性は収まってきますので、怒りを感じた時には、まずは6秒間深呼吸するなどして我慢しましょう。6秒かけて深くゆっくりと深呼吸することで、怒りの感情を静めることができます。

点数化する

6秒のカウントをしている時間で、10が最も怒りが強く0が全く怒っていない状態として、その怒りの感じ方や強さを0から10段階で点数化しましょう。このようにすることで、怒りが沈静化して感情を客観的に捉えることができます。また点数を過去と比較することで、怒りをコントロールするための具体的なアクションプランを立てることができます。

その場から離れる

怒りが収まらない場合、その場を離れることも有効です。たとえば、トイレに行ったり、外に出て深呼吸をしたりすることで、怒りの感情をリセットすることができます。また、他の人と話すことで気分転換することもできます。怒りが収まるまで一時的に距離を置くことで、冷静さを取り戻すことができます。

価値観を捨てる

怒りを感じる原因は、自分の価値観に対する脅威や不満によるものが多いです。しかし、価値観は人それぞれ異なるものです。怒りをコントロールするためには、自分の価値観を柔軟に捉えることが重要です。たとえば、他の人の意見や状況を考慮し、相手の立場を理解することで、怒りを抑え冷静な判断をすることができます。

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アンガーマネジメントに関するよくあるご質問

怒りの衝動は何秒で収まりますか?

どんなに激しい怒りであっても感情のピークは長くて6秒だといわれています。つまりこの6秒さえ乗り切れば、自然と怒りの衝動は収まってきます。「イライラしたらとにかく6秒待つ」まずはこのことを意識することで衝動的な行動を起こしにくくなります。

人が怒るとき、脳では何が起きているのですか?

怒りの感情は、脳の中の「大脳辺縁系」で生じ、「前頭葉」で抑制するというシステムになっていて、この2つの部位の働きによって、怒りの感情は引き起こされたり抑制されたりしています。ただし、怒りを抑制する「前頭葉」が働き出すには3~5秒程度の時間がかかるため、突発的に発生する怒りの感情にはすぐに対応できません。この仕組みから、怒りを感じたときには、「前頭葉」の機能が活性化するまで6秒我慢すれば、怒りが収まると言われています。

イラッとしたら深呼吸が効果的なのはなぜですか?

怒りやストレスを感じたとき、人は自然と呼吸が浅くなり、緊張が高まる傾向があります。つまり怒りを感じたときは、 落ち着いた場所で呼吸を整える時間をとることができると、怒りを軽減する効果が得られます。

アンガーマネジメントの欠点・デメリットはありますか?

アンガーマネジメントはとても有効な方法ですが、無理に感情を抑えすぎてしまうとストレスや不満が蓄積され健康に悪影響を及ぼす可能性もあります。また、あくまで一時的な感情をコントロールするものなので、根本的な問題や原因に対する取り組みが不足する場合があります。まずは冷静になってから根本的な問題可決に努めましょう。

まとめ

いかがでしたか?アンガーマネジメントを実践することで、怒りをコントロールし、より健康的な人間関係を築くことができることが理解できたと思います。冒頭に説明した通り、AI化・DX化が進む現代においてあらためてアンガーマネジメントを含むコミュニケーション能力の重要性が再認識されています。ぜひこの記事でご紹介した「6秒ルール」や「点数化」などの具体的な方法を取り入れながら自己成長を図りましょう。またパソナでは、研修も充実しており、さまざまなスキルを身につけることができます。是非、パソナに登録して新たな一歩を踏み出してみてください。