MYPAGEコミュニティ『WeShare Beauty』vol.59

着物に合わせたメイクとヘアのポイント

着物を着る方は必見!せっかく着物を着るのにヘアとメイクがいつものままではもったいないですよね。着物には洋服とは異なったヘアとメイクのルールがあります。今回はそのルールを、着物と洋服の違いを比較しながらわかりやすく簡単にお伝えします。

着物メイクの基本

洋服は身体の曲線を意識して立体的に構成されているのに対して、着物は直線的なフォルムで構成されています。そのため、洋服のときのように、アイシャドウを深いグラデーションで仕上げたり、シェーディングやハイライトを多用して顔立ちを立体的に作りすぎてしまうと、着物の平面的な要素とケンカしてしまい、妙に顔だけが浮いてしまうことがあります。着物のメイクでは光や陰で立体感をつけることよりも、アイラインやリップラインといったパーツの「輪郭」をきちんと描くことによって、顔立ちをはっきり見せるメイクを心がけましょう。

日本の伝統色だから美しい

着物には日本独特の伝統的な色彩が数多く用いられています。例えば「山吹色」(黄色系統)や「朱色」(赤系統)などの暖色系、「紺色」や「群青色」(青系統)などの寒色系、そして「藤色」(紫系統)や「若草色」(緑系統)などの中性色系が代表的です。いずれも日本の四季に見られる植物や風景から名前をとった、情緒ある名前が使われています。また色の要素が多い着物では、ポイントメイクの色選びや色使いは洋服以上に気を遣いたいところです。そこで、次から色選びと色使いのポイントを見ていきましょう。

色選びのポイント

一見難しそうな色選び。しかしコツを覚えてしまえば簡単です。ポイントは着物の柄の中にある色から1色ピックアップすること。特に面積を多く使われているメインカラーをピックアップすると簡単です。例えば赤い柄であればリップに赤を使い、目元は薄いベージュで仕上げたり、紺色の柄があればネイビーのアイラインをさりげなく引いたりと、バリエーションは様々です。色のまとまりが生まれ、着物がより引き立ちます。その際、暖色(黄色や橙、赤など)であればチークやリップに使い、寒色(青)や中性色(緑や紫)であればアイシャドウやアイラインに使うと良いでしょう。寒色や中性色は薄めの色をふんわり使うのが失敗しないポイントです。

色使いのポイント

色選びと同じくらい大切なのが色使い。一般的な柄や古典柄の場合、アイシャドウは薄めにして、リップはアイシャドウよりもやや濃く仕上げると良いでしょう。すると目元と口元で濃淡のメリハリが生まれ、全体が引き締まった印象に仕上がります。一方、目元が濃く、口元を薄く仕上げるメイクはモダンな印象を与えるため、現代柄の着物を着るときにおすすめです。どちらの場合も目元と口元の両方を濃く仕上げるのではなく、どちらか一方にポイントを絞ることで上手にバランスを取ることができます。チークはいずれの場合もふんわりと自然な血色感を与える程度に仕上げるのがベストです。

品良く仕上げるポイントはツヤ!

一昔前は「着物にはツヤを抑えたマットな肌づくり&マットなアイシャドウ」が定説でしたが、今は違います。肌は適度にツヤを残し、目元や口元にツヤがあっても構いません。しかし、キラキラやギラギラといった、繊細なツヤ感を超えた輝きはNG!着物の光沢感とマッチせず、品のない印象を与えてしまいます。着物のメイクでは「真珠の光沢のような」パールがベスト。肌も流行のパウダーを抑えたツヤ肌よりも、全体に軽くパウダーをのせたスタンダードな肌づくりがマッチします。リップグロスも着物の場合は少なめに、できればクリーミーな質感の口紅ひとつで仕上げたほうが品良く仕上がります。

ヘアはどうする?

ヘアスタイリングについても、着物だからといって必ずしも以前ほど堅苦しいアップスタイルをする必要はありません。しかし、おさえておきたいポイントがいくつあります。まずは「襟足」。着物の衿につかないボブやショートスタイルの場合は問題ありませんが、衿につく長さの場合はまとめたほうが後ろ姿が美しくみえます。結んだ先を飾りピンや和風なバレッタなどを使って隠すと簡単です。またロングヘアの場合、自分でうまくまとめるのが難しければ、編み込みや、かんざしを使った簡単なヘアアレンジもおすすめです。

いかがでしたか?今回ご紹介したコツを取り入れるだけで着物をもっと素敵に着こなすことができます。ぜひお試しくださいね!

プロフィール

ヘアメイクアップアーティスト・髙木大輔さん

美容師を経験後、ヘアメイクアップアーティストとして(株)資生堂入社。撮影、宣伝広報活動、ファッションショー等のアーティスト活動を経て独立されました。現在は横浜元町のヘア&メイクアップサロン『Atelier Salon DD』でトータルコーディネーションの視点に立ったオリジナルの美容メソッドをもとに、ヘアおよびメイクアップを提供。サロンワークのほかに、日本のみならず上海、香港など海外でのデモンストレーション、美容技術教育、撮影と多岐にわたり活動中です。

  • 髙木大輔さんは、パソナグループのグループ会社『プロフェリエ』に所属するプロの方です。