MYPAGEコミュニティ『WeShare Beauty』vol.35

正しい下着のつけ方、選び方【WeShareBeauty編集部】

みなさん、こんにちは。今回、編集部がピックアップするテーマは「下着」です。
日本では高級ランジェリーからファストファッションブランドまで、様々な種類の下着を購入することができますよね。しかし、どんな下着が自分に合っているのかなと悩んだ経験がある方も多いと思います。
そこで今回は、下着販売や海外留学を経て、4年前にランジェリーデザイナーとして『NAO LINGERIE(ナオランジェリー)』を立ち上げた栗原菜緒さんをお招きしてお話しを伺いました。下着のプロである栗原さんに、下着の歴史から下着の選び方まで、分かりやすく解説していただきました。
栗原さんは、2018年10月9日(火)夜10時放送のテレビ東京「日経スペシャル ガイアの夜明け」への出演も予定されています。そちらもぜひ、チェックしてみてください。

日本のブラジャーの歴史

はじめまして、栗原です。NAO LINGERIE(ナオランジェリー)という自身のブランドを立ち上げた経験から、今回は正しい下着のつけ方や選び方についてご説明させていただきます。
実用的な話に入る前に、まずはブラジャーの歴史からお話しします。日本のブラジャーは戦後、西洋から入ってきたものがはじまりとされています。着物から洋服へ日本人のライフスタイルに変化が起こり、洋服を着るためにブラジャーが必要になりました。この頃に、“洋服を西洋人のように美しく着こなす”という概念が日本女性に定着しはじめたといえますね。
ただ、頭にいれておきたいことは、日本女性の着こなしの原点は着物にあるということです。着物はボディラインの凹凸が目立たない着こなし方が美しいとされ、布やタオルを体に巻いて着ることは今でも変わらない常識ですよね。華奢な日本人に比べて西洋人の体は、胸、ウエスト、ヒップにかけて、ボン、キュッ、ボンと表現されるようなメリハリのある体型の方が多いです。当時の日本女性は、西洋人に近いシルエットを、ブラジャーを使って補おうとしたと推測できます。

胸を大きく見せるということ

こうして日本人女性の美意識の幅が広がった一方で、時代とともに“胸”が女性のコンプレックスの対象ケースも増えました。みなさんも“谷間”とか“くびれ”などの文字が並ぶ商品を目にしたことがあるのではないでしょうか?こういった商品を付けることで、胸が中心に寄ったり、トップが上がったりなどの経験をされた方もいると思います。このようなタイプのブラジャーは、胸を大きくみせることを追求した仕様ともいえるのです。
みなさん、あまり意識されたことがないと思いますが、胸の範囲は、脇の下までのことをさします。しかし、胸を大きく見せるブラジャーは、ボリュームを出すことや谷間をつくるために、本来の胸の形よりも内側にワイヤーが入っているものが多いのです。胸を入れ込む形に独特の発展をしてきたと推測され、脂肪がないところに脂肪を集めるために強い補正がかかっています。
固いワイヤーや厚めのパッドが入ったブラジャーをつけると、肌に後がついていた経験をされたことはありませんか?後がつくほど締め付けているのは、体に負担がかかっている証拠なのです。

話題のノンワイヤーのメリット、デメリット

ノンワイヤーブラジャーは締め付けがない=体への負担が少ないところがメリットです。
しかし、年を重ねるごとに体型は変わっていき、とくに女性の胸の下垂は、個人差はありますが、28歳頃からはじまると言われています。その変化を、下着で少しはサポートできると思うのですが、ノンワイヤータイプのブラジャーでは、サポートするという面では物足りないと思います。
私のサロンにいらっしゃるお客様にも、「締め付けられるブラジャーに違和感を覚えてノンワイヤーを身に着けるようになったら、胸の下垂が気になり始めたんです。」と相談に来られるケースがよくあります。ただ、締め付けが苦手な方や、乳がん・妊娠期・生理等で身体がむくんでいる時は、ご気分に合わせてノンワイヤーをオススメします。ナオランジェリーでも販売しています。

自分に合う理想の下着を選ぶには

好きなメーカーが決まっていたら、お店に尋ねればいいと思いますが、欲しいメーカーが決まっていない場合は、百貨店の下着売場に行くことをおすすめします。
下着売場にはランジェリーコンシェルジュというスタッフがいます。ランジェリーコンシェルジュは、売場にある下着のデザインから機能・傾向を把握し、お客様に最適な下着を勧めてくれます。下着のどんなことで悩んでいて、どんなものを探しているかを伝えてみましょう。
フィッター(フィッティングをサポートいただくスタッフの方)は、ベテランの方を探すか、悩みを共感できるので自分の体型と似た方がおすすめです。信頼できるフィッターと出会えることが、下着選びの一つの鍵になりますよ。

美しく機能性あるブラジャーの定義

私が作っているナオランジェリーは、快適で美しく、ありのままの体を大切にする下着を提案しています。快適という面からお話すると、大事な点はアンダーの長さとワイヤーの広さ、肩ひもの柔軟性です。
ワイヤーは、脇の下まで自然に包み込むパターンにしています。アンダー外側のワイヤーは、安定感を出すために、腕を下げたときにワイヤーが脇に当たらない高さまで高くしています。
肩ひもの伸縮性がないと、肩にくいこんで凝りの原因になりますので、柔軟性をもたせています。ひとつひとつの素材は柔らかいものを使用し、肌に沿うものを選びます。
デザイン全体に関しては、見た目の美しさという面で素材が固いと美しくないので、生地の伸びや密度を調整して透け感を大事にしています。
ブラジャー=ストレスというイメージがある方は、アンダーのサイズに対する違和感をお持ちの方が多いと思います。アンダーサイズは、65cm、70cm、75cmと5cmごとが定番です。サイズはホックの位置で調整することもできますが、アンダーが67cm、69cm、72cmの人たちが同じアンダー70cmを付けていると考えると、数センチの違いですが、ゆるさやきつさを感じてしまうのは当然です。
私のブランド『NAO LINGERIE(ナオランジェリー)』では、アンダーを一度ほどいて、カットして、その方にジャストなサイズをオススメさせていただいています。心地よく着用するためには、お直しが必要なケースが多々あります。下着を選ぶ際には、アンダーのお直しが出来るかどうかを確認することも必要だと思います。

栗原さんが提唱する“心ある接客”

私は、お客様一人ひとりの背景を知ってランジェリーを選ぶ事が大事だと思っています。
相手の環境、状況に応じて提案することを心がけているので、職業柄どんなものを好むのか、お子様の有無やお子様の人数・年齢、旦那さまのことなども、伺える範囲でお聞きします。サロンへカップルでいらっしゃる際、パートナーの意見を聞いて最終決断をされる方もいます。そうした場合、パートナーの方の好みも、今後のために把握させてもらいます。
小さいお子様がいらっしゃる女性のケースですと、「洗濯などの手間を考えてシルク素材よりもコットンがよいかな」など、ランジェリーがそれぞれの方の生活の邪魔にならないよう、ご提案するようにしています。さらに、ここからはプロのフィッターの力量次第になりますが、お客様の着心地の良さにも、しっかり着たい人とゆるく着たい人それぞれ好みがあります。私は下着をきついと感じることがいちばんよくないと思っているので、そこをいかに軽減してあげるかを考えてお客様と向き合うようにしています。

下着は、体を美しくみせてくるという要素のほかに、肌に直接ふれ、体の中でも大切な生殖器を守る役割を担っています。
洋服と同様にトレンドはありますが、日常を共に過ごす大切なものだと思っています。ブランドを立ち上げた頃から心がけているのは、肌に優しく、着心地がよく、品ある美しさをもちあわせ、オンオフ問わずに使える下着をつくるということです。ブラジャーは本当に繊細なもので、1ミリ、1度の差が人を傷つけます。パターンを引く際に、0.03ミリの世界でこだわり、ワイヤーありのブラジャーで、きちんと胸をホールドするのに、1日着ていても疲れない、楽な着け心地を追求しています。
女性としてこの体で生まれてきたことに自信を持ってほしい、最大限に女性性で輝いてほしいという想いから作品作りを続けています。今回の記事が、みなさんにとって下着と向き合うきっかけになってくれたら嬉しいです。

『ナオランジェリー』デザイナー兼代表 栗原菜緒さん

プロフィール

外務省から下着業界へ転身したランジェリーデザイナー。4年前、デザイナー兼経営者として自身のブランドNAO LINGERIE(ナオランジェリー)を立ち上げ、下着業界に新規参入を果たした。締めつけないのに美しい機能性とデザイン性を合わせ持つ下着が業界の注目を集め、2018年9月21日(金)より、日本橋高島屋S.C.本店4階マイボディルームに常設店舗出店が決定している。
雑誌、テレビと数多くのメディアにも取り上げられ “今最も見たい女性”、“今最も見せたい女性”の人生を7つの「ルール」で描き出す新感覚ドキュメントテレビ番組「セブンルール」をはじめ、テレビ朝日「超人女子」へのテレビ出演の実績を持つ。