通訳のお仕事解説

通訳の仕事とは?
国際会議の同時通訳、映画の字幕スーパー、あるいは欧米のベストセラー本の翻訳・・・。通訳・翻訳は、まさに日本と海外を最前線で結ぶ仕事と言えるでしょう。そこに携わる誰もが、数々のステップを経て、実力を身に付けていると聞きます。そこで、今回は通訳という目標に向かって自らの可能性を広げていくには・・・? チャレンジする女性たちに役立つアドバイスをお話します。
- 通訳は、語学力を極めた仕事です。
やはり幼少のころに海外で学び、ネイティブのような発音を身に付けないと務まらないのでしょうか。 -
いいえ、そんなことはありません。留学経験はないけれどコツコツ語学の勉強を続けながら、実際に仕事で英語を使うようになり、やがて通訳の仕事をするようになった派遣スタッフの方もいらっしゃいます。また、発音に関しては、今は学んだ国ならではの発音を尊重する傾向が強くなっているようですね。
- ということは、日本で身に付けた英語だからと臆する理由はない、と。
それにしても高い英語力は必須ですよね。 -
通訳の仕事は、いつどんな話題が出ても、適切に訳せなくてはなりません。時事や各種業界に精通した豊富なボキャブラリーはもとより、確かな日本語の力も要求されます。相手の本意を的確に理解し、それを適切に伝える表現力と、瞬時に臨機応変に判断する力も必要です。
- どのようにスキルを身に付ければいいのでしょうか?
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特別な訓練も必要なので、通訳の専門学校に入学し、勉強するのが一般的です。入学するには、一般にTOEICの900点以上の語学力が目安となっています。
でも必要なのは語学力だけではありません。例えば金融会社で通訳として勤務するには、語学力はもとより、金融についての知識や経験も欠かせないからです。ですから企業に勤めてビジネスの経験を積みながら、週に2~3日専門学校に通う方が多いですね。
- 英語の勉強だけではなく、実務経験もなくてはならない。その際の仕事とは?
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やはりまずは英文事務や外資系のセクレタリーなど、サポート業務が適しているのではないでしょうか。英語を使ったアシスタントワークを重ねるうちに、お客様の応対などで通訳業務を少しずつ担うようになり、やがて企業専任(インハウス)の通訳を担当し、中には機材を使っての同時通訳をこなすまで成長される方もいらっしゃいます。
- 言い換えると、アシスタントワークをしながらチャンスを掴んでいくのですね。
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企業側も、積極的な姿勢は見ています。通訳や翻訳をやりたいと夢に描いている人は多くても、企業からの期待に応えるだけの高いスキルを持った人材は不足しているのが現状です。チャンスはあるので、努力を重ねながらアンテナを張り巡らせることが大切だと思います。
- 専門性が高い仕事だからこそ、ステップを踏みながらスキルアップできるのですね。翻訳の場合は?
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英語を使った仕事の経験がない方は、通訳よりも翻訳の方が始めやすいと思います。パソナでも、トライアルテストの結果によっては、未経験でも翻訳の仕事をご案内できる場合があります。しかし重複しますが、実際に企業でアシスタントワークをしながら、少しずつ翻訳業務の比重が高い仕事に就いていくことをお薦めします。
- 翻訳というと、出版を連想しがちですが、一般企業での翻訳作業とは?
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社内の電子メールや会議議事録、インターネット上のホームページの翻訳、またアニュアルレポートの翻訳業務など、多岐にわたります。日本への参入が増えている外資系の金融会社やIT関連企業からの依頼が多いですね。
- 通訳と翻訳の適性は、ありますか。
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翻訳は、机に向かい書類に集中して作業する仕事です。また理解力、文章表現力も必要です。一方通訳は、黒子に徹するとはいえ、人とコミュニケーションする仕事です。短時間集中して何かに取り組む仕事が向いているのか、あるいは人と接することが好きなど、好きな要素から判断するのが良いのではないでしょうか。
- 国際会議などで、通訳の方がテキパキと訳されるのを目にすると、日本語と文法が違うのに、なぜ要領よくまとめられるのかと感心してしまいます。
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国際会議を任されるには、相当なキャリアを積まねばなりません。メモの取り方などにもテクニックがあります。やはり大切なのは、瞬時の理解力と記憶力、そして再生能力(通訳)です。たとえスピーカーが長い話をしても、限られた時間で要点を抜かすことなく訳さねばならないのですから。
- 頭の回転も速くないと務まりませんね。そのせいか早口の人が多いような・・・?
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通訳は話す仕事なので、アナウンス学校に通って発声法を学ぶ人もいるほどです。通訳を目指す人たちはとても前向きで勉強に貪欲なのです。以前、第一線で活躍される通訳の方が、日常ではまず使わないような、天気予報などで使う専門用語をノートに記しているのを見たことがあります。決して今の実力に甘んじないで、常に学習し続ける姿勢に感銘を受けました。
目的を持って地道な努力を続けられる事が、最も大切なのもしれません。
でも勉強と経験を積んでいけば、5年後、10年後には、確かな実力のある通訳・翻訳者として活躍することも夢ではないのですね。