翻訳のお仕事インタビュー
スタッフインタビュー
スタッフ:平山 さん
翻訳の仕事を始めるには、明確な目標とそれに向かった計画的な勉強が必要です。とはいえ毎日会社に勤め働きながら、勉強を続けていくのは簡単なことではありません。そこで平山さんは、「派遣」という選択肢を選び、仕事と翻訳の勉強の両立を実現しました。翻訳者を目指したきっかけや、ステップを上りはじめた軌跡について伺いました。
将来は翻訳者になりたいと漠然と思う人は多くても、本腰を入れて勉強するきっかけは得にくいもの。翻訳者を目指すようになった経緯を教えて下さい。
説明すると長くなってしまうのですが(笑)、もともと私は大学を出てから広告代理店やマーケティングの会社で正社員として勤務していました。でも8年ほど勤務して30歳になったとき、これから先の自分のキャリアの積み方について考えたのです。さらに30年経った時を考えると、社員でいるよりもフリーでいたほうがいいんじゃないかと。フリーならば定年もないし、好きな仕事もできますから。
30年後のキャリアですか! そこまでの視野をもって、フリーランスになることを決意されたのですね。
それに以前から、エンターテイメント系の翻訳をしたいという目標をずっと抱いていました。会社員時代にも学校に通い、チャレンジしたこともあった。でも仕事と勉強を両立させることが難しくて、途中で挫折してしまいました。
派遣は、自分の条件に叶った仕事を探すことができますからね。
正社員の時は時間の拘束が多かったけれど、派遣ならば自分で仕事を選べるので、時間をコントロールすることもできます。時間を有効に使って勉強を優先し、しかも経験を活かした仕事ならば楽しんでできるはず。それでパソナに登録したのです。
現在は、派遣先でビジネス関係の翻訳に携わりながら、学校に通われています。
仕事は週4日の勤務で、ビジネスの翻訳業務を担当しています。時間的にはどちらかというと、翻訳の勉強の方を優先していますね。
他者の文章を訳すのは、自分の責任内での業務と違う、大きな責任が生じます。どのような翻訳業務を?
メーカーの研究所で、研究の報告書やプレゼンの資料、海外の情報の記事を訳すなどの業務をしています。多くは、日本語から英語の文章を作成する仕事です。
でも将来の夢であるエンターテイメント系の翻訳は、英語から日本語の翻訳が必要ですよね。現在の業務と、逆の方向では?
確かに全く違うことをやっているのですが、それがとても刺激になっているのです。逆の視点で捉えることで、発想の転換につながるから。たとえばひとつの英単語も、両側から捉えることで、思考の流れがつながり、フィールドが広がってくる。ジャンルは異なりますが、とても勉強になりますね。
直接的なノウハウだけでなく、自身の間口を広げるような勉強をすることで、理解力も深まっていくのかもしれませんね。
今の仕事では、日本語で読んでもよくわからないような資料ばかり。社員の方に、その文章の背景を説明していただくのですが、それは英文を日本語に訳すときも、同じことだと気がつきました。バックグラウンドでどういうことが起こっているのか、探求する心構えができてきたように思います。
それは自らの体験で得た、貴重な発見ですね。将来の仕事に役立つ経験です。
他者の文章を訳すという仕事をプロとして受け、初めて気づけたことだと思っています。化学用語もよく扱うのですが、知らない言葉や分野に接するだけでも、好奇心をそそられます。とにかく毎日が発見、発見。貴重な体験の連続で、新鮮です。
仕事域を広げることで、将来への不安を払拭し、また可能性を高めていくのですね。
向上心あふれるお話には、翻訳という仕事へのヒントがたくさんありました。