通訳・翻訳のお仕事で働くパソナスタッフにインタビュー!
学び続けることで、着実なキャリアアップを実現
Yさん
大学卒業後、就職した会社の上司の影響で医療の分野に興味を持つ。
化学系専門商社、医薬品販売業務受託企業、ドイツ系医療機器メーカー、大学病院の臨床研究センター勤務などを経て、現在は医薬系企業でインハウス通訳者・翻訳者として活躍中のYさん。いつも明るく前向きなYさんに、医療通訳者を目指したきっかけや、通訳者になることをためらいながらもキャリアをスタートさせた経緯についてお伺いしました。

医療分野の通訳者を目指すきっかけは上司の一言
大学ではドイツ語を専攻されていたとのことですが、外国語に興味を持つようになったのはいつ頃からですか?
中学生のときに、姉妹都市交流でオランダへ行ったのがきっかけです。そのときに知り合った現地の友人と、不自由なく話ができればいいなぁと思い、外国語に興味を持ちました。
英語を使うお仕事をされたのは、いつ頃からですか?
大学卒業後、薬剤の原料を扱う化学系専門商社に入社したときからです。その会社では海外営業職で、月に一回は上司と一緒に東南アジアへ出張に行っていました。
その頃から、英語を話す機会があったのですね。海外留学のご経験もあったのでしょうか?
いいえ、本格的な留学経験はありません。ですが、高校では英語学科に進学したので、英語によるディベートやディスカッションの授業がありました。また、海外の友人と中学生の頃からずっと文通を続けていたことや、海外の方とも積極的に会話をするようにしていたことが功を奏したのではないかと思います。
上司の影響があったと伺いましたが、医療分野に興味を持ったきっかけについて教えてください。
最初の会社の上司が薬剤師の免許を持っていたことや、会社が薬剤の原料を扱っていたことから、人の命に係わる医療の分野に興味を持ち始めました。
もっと深くこの分野に携わってみたいと思い始めた頃、その上司からMR(Medical Representative:医情報担当者)という仕事があることを聞き、医薬品販売業務受託企業のMRに転職しました。
本格的に通訳訓練をスタート
お仕事で本格的に英語を使うようになったのは、このあたりからですか?
医療分野で働くなかで、もともと得意だった「英語をもっと使える仕事をしたい」と思うようになり、ドイツ系医療機器メーカーのマーケティングアシスタント職に就きました。
そこでは、外国人上司のもと英語を使う機会も多くなってきたので、本格的に英語を勉強しようと大学のオープンカレッジに通い始めました。そこでは、通訳訓練法の聴解・読解講座を受講しました。
その後、医療通訳を知ったとのことでしたが、どのような経緯で医療通訳のお仕事と出会ったのですか?
大学の講師の方が教えていた通訳養成機関のホームページを見ていたところ、医療通訳の講座が目に留まりました。
好きな英語と、それまで身に付けた医療知識の両方が活かせる「医療通訳者」を目指すことが、自分の将来の強みになるのではと思い受講を決めました。医療分野に興味を持つきっかけとなった元上司にこれを報告したところ、「そのうちまた一緒に仕事ができるかもしれないな」と喜んでくれました。
結婚を機に、正社員から派遣へ
その後、どのようにキャリアアップされたのでしょうか?
勉強していくうちに自信もついてきたのですが、プロの通訳者になるにはスキルも経験も不足していたため、ボランティアで医療通訳にトライしてみました。
経験を積むために、他にも何かチャレンジしましたか?
はい。メディカルツーリズムの会社と、電話での医療通訳を請け負っている会社から、単発の通訳業務を受けていました。
医療機器メーカーの事務職と両立されていたのですか?
はい。しばらく、正社員の事務の仕事と並行していましたが、結婚を機に退職しました。
再就職されるにあたり、派遣という雇用形態を選んだ理由について教えてください。
単発の通訳業務を受けているうちに、「派遣のほうが通訳の仕事があるのでは?」と考え、パソナに登録しました。また、働き方が選べるという点も大きなポイントでした。
フルタイムのお仕事は、希望されなかったのですか?
単発の医療通訳も続けたかったので、週4日の仕事を探していました。パソナから大学病院での臨床研究のアシスタント職を紹介され、そこでは幸運にも治験についても多くを学ぶことができました。その後も、パソナから医薬品開発業務受託企業の翻訳・通訳のお仕事を紹介していただきました。
今までのキャリアチェンジは、順調でしたか?
いえいえ。最終的な目標としてインハウス通訳者を目指していたのですが、まだプロとしての充分な経験もなく、TOEICのスコアもそれほど高くありませんでした。週一回、養成機関で通訳の勉強も続けていましたが、インハウス通訳に挑戦することにはためらいがありました。この先どうしようかと迷っていたときに、パソナのキャリアコンサルティングを受け、担当者の方から「ボランティアを減らして、フルタイムで新しい仕事を探したらどうか」という提案を受けました。
ボランティアもキャリアになる
インハウス通訳への挑戦を決めたきっかけについて教えてください。
キャリアコンサルティングを受けたときの担当者の方が、「ボランティアもキャリアになる」と背中を押してくれたことがきっかけで、インハウス通訳の仕事に挑戦しようと決めました。パソナが道を拓いてくれたことに、感謝しています。
現在のお仕事について教えてください。
パソナに紹介された医薬品開発業務受託企業のグローバル臨床開発部門で、翻訳と通訳を担当しています。翻訳は、治験関連の資料(手順書、試験計画書の骨子、患者向け説明資料など)や契約書が中心です。通訳は週一回の臨床開発・治験関連の電話会議、システム関連の社内トレーニング、クライアント企業訪問を担当しています。その他、英語での議事録作成なども行っています。
現在のお仕事での、翻訳と通訳の割合は?
翻訳が8割、通訳が2割程度です。専門用語の多い業界ですが、前職の大学病院で得た知識と経験のお陰で、スムーズに入っていくことができました。
それでも、初めてのインハウス通訳者としての本格的な会議通訳は、大変だったのではないでしょうか?
会社独自の用語や表現方法には、正直とまどいました。電話会議では非常に神経を使いますし、会議前に充分な事前情報が得られないときは、特に大変でした。
インハウス通訳者としてやりがいを感じるときは?
通訳終了後に、会議の参加メンバーから「最初は自分だけでも何とかなると思っていたけれど、やっぱり頼んでよかった。これからもお願いする」と言っていただけたときです。翻訳も同様で、英語での業務にストレスを抱えているメンバーのサポートは、非常にやりがいを感じます。「おかげで先方とも理解し合えたから、次からは自分でも話せるように頑張ろうと思った」「言いたかったことを伝えてもらって、助かった」などと言っていただくと、大変励みになります。
「継続は力なり」を実感
スキルアップのために、毎日行っているトレーニングはありますか?
ラジオニュースの英語放送を聴いて、毎日必ず30分シャドーイング(音声を聞き、復唱する練習方法)をしています。
それから3分程度、その日のニューストピックのノートテーキング(メモ取り)をして、そのノートをもとに逐次、翻訳のトレーニングをします。ラジオを聴きながら同時に翻訳をすることもあります。シャドーイングは、帰宅が遅くなっても、週末でも、旅行先でも必ず行っています。
そこまで熱心に続けられるモチベーションは何でしょうか?
モチベーションやスキルアップというより、私の場合は恐怖心からですね。シャドーイングを3日しないと口が回らなくなってしまうので、そのことが怖くて続けています。アスリートが、「筋トレを続けないと、筋力が落ちると感じる」のと同じだと思います。通訳業務が毎日発生するとは限らないのですが、突発的に依頼されることもあるので、常に準備を心がけています。
おすすめの勉強法はありますか?
「これをやったら絶対に伸びる」という勉強法はないのですが、強いて言えば「継続すること」でしょうか。それには「楽しい」と思える方法を見つけることが大切です。
以前、シャドーイングを1ヶ月続けても成果が出なかったことがあり、講師に相談したところ「3ヶ月続ければ必ず結果が出る」と言われました。その言葉を信じて、3ヶ月続けてみたところ、驚くほどの成果が出ました。今ではシャドーイングが楽しくて、時間を忘れてしまうほどです。このときに「継続すること」の大切さを実感しました。
もし、3日坊主で終わってしまったら、どうすれば良いでしょうか?
5日目からでも、6日目からでも、もう一度トライして、ある程度の期間は続けてみてください。それでも続けられないようなら、色々と試してみて、自分に合う方法を見つけると良いでしょう。それも勉強になると思います。
地道な努力が大切ということですね。
そうですね。私の場合は、とにかく買ったテキストは最後までやり切るようにしました。
『メディカル・セクレタリー養成講座』を受講
現在も、通訳養成機関に通われていると伺いました。どのような講座を受講されているのでしょうか?
はい。基礎コースは終了したので、今は『医療通訳ワークショップ』を週一回受講しています。講座では、医療従事者と患者間の会話を、それぞれのシチュエーションごとに学んでいます。今までも通訳の経験はありましたが、翻訳については契約書が未知の分野でした。そのため、eラーニングの『契約書翻訳講座』も併せて受講しています。
パソナ開催の医療系の講座も受講されましたか?
キャリアコンサルティングを受けたときにすすめていただいた『メディカル・セクレタリー養成講座』を受講しました。基本的な薬剤の知識や医療用語のみならず、病院の仕組み、医療現場でのコミュニケーションスキルなど、実務的なことを学びました。病院内で作成される書類についての知識も深めることができました。これらの知識は、通訳の訳出しの際に大きなプラスになっています。
今後の目標は「安定した通訳ができるようになること」
今後の目標を教えてください。
まずは、訳漏れなく通訳できるようになることです。本来、通訳に漏れがあってはならないのですが、背景が分からない状況などでも、安定した通訳ができるようになりたいです。もちろん、医療以外の様々な分野にも挑戦していきたいです。
新しい分野に挑戦するには、派遣はぴったりですね。
これは、派遣という働き方だからこそできるのだと思います。派遣はスキルが勝負ですから、自分の実力を試せるのが魅力です。実力さえあれば、契約満了後も「これからどうしよう」と慌てずに済むのではないでしょうか。契約期間が限られていることも、「今後のキャリアを考える良いきっかけになる」と前向きにとらえています。
通訳者を目指している方へ向けて、何かアドバイスはありますか?
目標に向かう途中で、諦めそうになることがあるかもしれません。そのようなときは、一人で抱え込まず誰かに相談することをおすすめします。私は、パソナのキャリアコンサルタントの方に話を聞いてもらい、方向性が定まったことで気持ちが楽になり、改めて目標設定をすることができました。
では、最後にメッセージをお願いします。
いくら頑張ったとしても、急激にスキルが上がることはありません。スキルは、毎日少しずつ積み上げていくうちに、いつの間にか実力がついていると実感できる日が来るものです。目標の達成は簡単ではありませんが、がむしゃらに日々自分を試していくことが必要なのだと思います。うまくいかなくても諦めずに頑張ってください。私も頑張ります!