~パソナ40周年記念企画~ 『無重力フライト』 体験リポート!

今回、パソナ宇宙事業プロジェクトでは、パソナ40周年記念企画として、
「無重力空間に行ったらやってみたいこと」を、スタッフの皆さんから募集し、
当選者の方に、日本宇宙フォーラムが提供する「無重力フライトチケット」をプレゼント致しました!(※1)

無重力空間に行った貴重な体験記を、ぜひご覧下さい。

(※1) 無重力フライトチケットとは、日本宇宙フォーラムが提供する無重力簡易実験への参加権のことです。

いざ、無重力フライト体験へ

「飛行場ってわくわくしますね!もう、フライトが待ち遠しいです!」

2016年8月20日、土曜日。無重力フライトクルーに見事当選された、パソナ登録スタッフの小林奈央子さんは、バスが名古屋空港の飛行場に入った瞬間、とても嬉しそうに声を上げました。

小林さんは、息子さんが幼い頃飛行機やロケットに夢中になった影響で、ご自身でも航空宇宙機について学ぶ機会が増えたのだと言います。
気づけばその魅力にとりつかれ、いつの間にか家族の中で、旅客機に関して誰よりも詳しくなっていました。

新しいお仕事を探していた2016年4月、ちょうど滋賀県のご自宅近くにある保険代理店での損保事務のお仕事との出会いがあり、パソナからご就業を開始されました。5月には久しぶりの家族旅行でアメリカ航空宇宙局(NASA)を訪れ、ロケットや飛行機に対する思いが再燃。
そんな矢先に見つけた「パソナ無重力フライトクルー募集!」という本企画には、「無重力空間で紙飛行機、模型の飛行機など素材の違う飛行機を一緒に飛ばすと、飛び方にどんな違いがあるか?」という実験テーマを応募してくださいました。

 
 


さて、果たして実験は成功するのでしょうか。

そして、無重力の世界とは、
どのようなものなのでしょうか。

   ▲搭乗前の小林さん

【1.無重力フライトとは?】

私たちが暮らす地球上の重力を1G(G=英語で重力を表す”Gravity”の頭文字)という単位で表します。
宇宙空間で人間が体感する無重力は0Gという単位で表されます。
また、月で感じられる重力は1/6Gと言われ、自身の体が地球上の1/6の重さに感じられます。

それではなぜ、地球上で無重力が体験できるのでしょうか。
飛行機の機体を急上昇・急降下させることで、地上では1Gだった重力が0~2Gとなる環境が生み出されます。
愛知県に本社を置くダイヤモンドエアサービス株式会社では、4~8人乗りのビジネスジェット機を使用し、主に宇宙空間を想定した環境下での研究実験用に運航しています。
10年ほど前からは一般向けの運航も開始しました。

【2.未知の無重力の世界へ行ってらっしゃい!】

フライト1時間前、空腹よりは少し食事を取ったほうが酔いにくくなるということで、パンやゼリー等の軽食をとり始めました。

フライトクルーの皆さんには無重力の世界を気にされる方が多くいらっしゃいましたが、実は気分の悪くなる方が多いのは重力が地上よりもかかる、1G以上の過重力の時なのだそうです。特に2Gになると自分の身体が倍の重さに感じられ、内臓にも重さがかかるのだと言います。そのため過重力時は楽な姿勢にして、できるだけ動かないのがベストだと教えて頂きました。

8月の炎天下、彼らを乗せた小さな飛行機は名古屋空港を出発し、太平洋上空へと飛んでいきました。

▲機長・副操縦士とフライト前にパチリ!

【3.おかえりなさい! 気になるフライトの感想は……?】

最も多かった感想が、無重力空間では意外と自分の思ったとおりに動けない、というものでした。
体がふわふわと浮くためコントロールが難しく、想定していた通りの動きができずに、どちらが上でどちらが下か分からなくなることもあったそうです。
これは、人間が耳の中にある耳石が重力で動くことによって「上下左右(平衡感覚)」を認知しているため、無重力空間では正常に機能しなくなることが原因です。

他の方も、サッカーマンガの主人公と同じユニフォームを着て、後方宙返りをしながらサッカーボールを蹴る実験や、パウチ型のゼリーパッケージの中から水を出して飲む実験など、面白い取り組みをされていました。

▲重力がゼロになった瞬間。小林さん(右)の手に握られているのは、紙飛行機と模型の飛行機です。

▲重力がゼロになる時間は一回30秒。これが全部で8回繰り返されました。

【4.無重力空間ではどうなるの?紙飛行機と模型の飛行機、飛び方の違い】

小林さんの実験結果ですが、自分自身が思い通り動けないため、同時に2つのおもちゃの飛行機を飛ばすこと自体が難しかったそうです。
飛び方の違いは詳しく観察できませんでしたが、何かの拍子に手から離れた2つの飛行機は、空中をぷかぷかと漂いながらも前進し、進んだようです。

無重力環境では、力が働かなければ浮いたモノはそのままの位置で漂い続けますが、
少しでも力が加われば、その向きに移動していく性質があるため、模型の飛行機が手から離れた際に、飛行機に少しだけ力が加わったからだと考えられます。

【5.無重力フライトを終えて】

無重力フライトを終えた小林さんは以下のように語ります。

「無重力空間の映像はテレビなどでは見ますが、自分で体感するのと、しないのとでは全然違うと感じました。
水の中の感覚とも違いますし……。席から落ちてもお尻が浮くなんて、これまでにない新しい感覚でした。
今まで、宇宙は自分には関係の無いもの、遠い存在だと感じていました。
しかし宇宙に行かずとも、地球上で、それも日本で無重力を体感できる。
そして、宇宙に行かなくても宇宙と関われるお仕事があるんだと感じました。
宇宙というものがとても近くなった気がします。」

今、世界では民間企業によるロケット開発が進んでおり、宇宙旅行に行くことも夢ではなくなってきています。
また、宇宙産業はそれ単体で独立したものではなく、製造・IT・農業・ヘルスケア・食品などの分野と隣接しています。
これから、一人ひとりが宇宙と関わる機会が増えていくのではないでしょうか。

例えば、宇宙空間では骨粗しょう症患者の方の10倍のスピードで骨量が減少します。
そこで、宇宙飛行士の方の新薬利用やトレーニング実践が、骨粗しょう症治療にも役立つと言われています。
これからニーズの拡大する医療・福祉分野において、NASAやJAXAと共同で治療法やトレーニングメニューを開発するお仕事が生まれるかもしれません。
ウェアラブル端末の開発・販売企業の市場は、宇宙空間にも広がるかもしれません。

無重力空間でこんなことしてみたい!というちょっとしたアイディアが、
宇宙飛行士の生活に取り入れられたり、新しいビジネスになったり・・・そんな想像をするとワクワクしませんか?

今後のイベント情報

今後もパソナでは、宇宙に関するお仕事の知識、スキルの支援、関連するイベントに取り組んでまいります。

宇宙講座、および今後のイベント開催に関するご意見・ご要望がございましたら、
下記宇宙事業プロジェクトまでご連絡ください。

space@pasona.co.jp

主催

株式会社パソナ 宇宙事業プロジェクト

2015年7月より若手社員を中心に発足。ロケット打ち上げパブリックビューイングやセミナーを開催。
宇宙ビジネスの拡大、および宇宙ビジネスに関わる人材の育成を目指したプロジェクトを推進している。