注目団体インタビュー! TNラボ様

国際航空宇宙展でご登壇された大貫美鈴様のご紹介をきっかけに、宇宙建築という未開発分野へチャレンジされている、宇宙建築サークル「TNラボ」の学生代表 高橋鷹山さんへインタビューさせていただきました。

”宇宙で暮らすを実現する”TNラボ

 
東海大学工学部 建築学科 4年
TNラボ代表

高橋 鷹山 さん

――TNラボはどんなサークルですか。

全国の宇宙建築学に興味を持つ全国の学生が共に学び、交流を深める場として2015年6月に設立された宇宙建築サークルです。
現在は大学も文理も異なる18名で活動しており、様々な専攻・学年の学生が、宇宙建築という一つのテーマを各々の興味に基づいて多角的に学び合いながら、宇宙建築をより周知させるために、勉強会の実施や企画の運営を中心に活動しています。
活動は基本的にプロジェクト形式で実施しているため、各々がやりたいことを中心に、仲間を集めながら活動ができます。

――宇宙建築というのは言葉通り「宇宙に建築物を建てる」ことですよね。
  高橋さんが想像する、宇宙建築の仕事にはどんなものがありますか?

まずは、材料の研究や資材の研究が挙げられます。宇宙で建てるため、地上とは異なる条件や環境が前提となります。
また実際に建築する人や機材が必要になると考えています。

――宇宙で建築物を建てるためには、何が最も困難だと考えていますか。

そもそも一番の課題は「宇宙へいかにして運ぶか」ということだと思います。
現在も、生活必需品や研究機材を宇宙に運ぶために、軽量化や再利用など、様々な工夫がなされています。建築物を建てるとなれば、材料や資材だけでなく建材機材を運ぶことが必要になります。宇宙へモノを運ぶ際には、1キログラムで1億円の費用がかかります。だから、まず建てるための重機を運ぶことが非常に困難なのです。そこで重機を運ばずに空気の圧力で建てるという別の発想があります。予め構造化されたものを傘のように展開して建てることができれば重機も不要になるため、コスト面でも負担が軽くなります。

――1キログラム1億円は確かに相当な費用ですね。他にはどんな課題がありますか?

宇宙を考える際、避けては通れないテーマとなるのが「水」です。水は移住できるかどうかを考える際には重要な要素です。
コンクリートで建築するならば無論水は必要になります。先ほどの建て方の話に戻りますが、水の問題から考えても、圧力を利用して展開して建てることが現実的かもしれません。

――実際、移住して暮らすとなると水は必要ですよね。

そうですね。「水」は宇宙に建築物を建てる際にも、そこでの暮らす際にも、重要な要素になると思います。
月や火星にも水が存在することはNASA(アメリカ航空宇宙局)によって確認されています。水を新たに作り出すことは困難なので、水の利用については循環させて利用していくことが現実的ではないかと思います。

――今後の活動について教えてください。

今は「宇宙建築賞」という建築コンペの運営に注力しています。
宇宙建築賞とは、宇宙飛行士の山崎直子さんをはじめ建築家や研究者の方々の協力を得て、有志の団体「宇宙建築の会」が2014年度から始めたものです。2015年度からTNラボが運営を引き継ぎ、2016年度で第3回の実施となります。
この賞は、宇宙建築の周知とアイデアの振興、発信、共有、協力といった狙いがあり、毎年テーマを設定しアイデアを募っています。開催時にはおよそ50作品程度の応募があります。

今後も、「宇宙で暮らすを実現する」ために、多くの人に関心をもってもらい、巻き込んでいけるような活動を展開していきたいと思っております。

TNラボの皆様、ご協力ありがとうございました

『やってみたい!未来の宇宙のお仕事ランキング』でも上位にランクインしていた宇宙建築について、実際に取り組まれているTNラボ様。
宇宙における建築の難しさや面白さを実感するとともに、宇宙開発の応用分野の広さを改めて感じるインタビューとなりました。

パソナ宇宙事業プロジェクトでは、宇宙産業の成長の一助となるよう、今後も「宇宙産業に関わりたい!」と考える方々へ、イベントや情報の提供に努めて参ります。

今後のイベント情報

宇宙講座、および今後のイベント開催に関するご意見・ご要望がございましたら、
下記宇宙事業プロジェクトまでご連絡ください。

space@pasona.co.jp

主催

株式会社パソナ 宇宙事業プロジェクト

2015年7月より若手社員を中心に発足。ロケット打ち上げパブリックビューイングやセミナーを開催。
宇宙ビジネスの拡大、および宇宙ビジネスに関わる人材の育成を目指したプロジェクトを推進している。