宇宙プロジェクトin職博!特別企画 ~宇宙食~

パソナグループでは、「未来の自分、発見!」をテーマに、今年も職博が開催されました。
宇宙事業プロジェクトでも、未来をつくるお仕事として『宇宙食』をテーマにブースを出展しましたので、特別版WEBレポートとしてお届けします。

宇宙食に関するアンケート 結果発表!

宇宙食に関するブース出展に先立ち、宇宙食とそのお仕事にどのようなイメージを持っているか、一般の方にアンケートをさせていただきました。
回答にご協力頂いた方々は、女性6割・男性4割、年代は20代~60代まで幅広い年齢層の方で、9割の方が宇宙に高い関心をお持ちの一方、宇宙食を実際に食べたことがあるのは3割でした。

Q.宇宙で食べてみたいメニューは何ですか?
  第一位:カレーライス!!
  第二位:スイーツ
  第三位:ラーメン
  次点:パスタ、フレッシュな野菜や果物類、丼ものといった温かい食べ物

『いつもの定番料理を、宇宙でも!』という意向が反映された結果となりました。

Q.宇宙×食の分野で仕事をするとしたら、どのような仕事をしてみたいですか?
  第一位:宇宙食の商品開発
  第二位:宇宙食の栄養士
  第三位:農業(スペースファーム)

メニューや栄養バランスへの関心を反映し、商品・メニューの開発、栄養士などが人気となりました。

Q.宇宙食を開発している会社に聞いてみたいことは何ですか?
  開発に関して・・・
  ・開発する上で最も重要視していること(味、栄養、賞味期限等)
  ・開発にあたってどのような行程があるのか?
  ビジネスに関して・・・
  ・これからの宇宙食市場の動向は?
  ・宇宙だけではなく、発展途上国や災害時に役立てることも可能か?

宇宙飛行士のために開発された『宇宙食』、今後の更なる発展や他分野への応用に大きな期待が寄せられています。

特別企画!理研ビタミン株式会社にお仕事インタビュー

~宇宙食を作ること、それがミッション~

「宇宙食」という言葉は知っていても、実際にどんな製品があるかご存知でしょうか?実は、普段よく食べている日本食も宇宙食として改良され、宇宙飛行士が食べているんです。今回は実際に“宇宙で食べられるわかめスープ”を製造している理研ビタミン株式会社にお話を伺いました。

理研ビタミン株式会社
食品開発部 海藻・業務用企画室 主事

辻 隆久さん

「いつか、宇宙で自分が作ったわかめスープを飲んでみたいです」

宇宙でわかめスープを食べてもらうために

―――― どうして宇宙食を作り始めたんですか?

JAXAからの呼びかけで始まりました。12年ほど前、日本食品科学工学会とJAXAが提携して、宇宙日本食を作るプロジェクトを企画し十数社が参加したんです。そのうちの1社が理研ビタミン株式会社でした。「みんなで協力して宇宙日本食を作る」というミッションが課せられ、当社として何ができるかと考えたときに、普段の食事で食べているわかめスープとお吸い物を宇宙日本食として商品化しようということになったんです。
※お吸い物は現在宇宙食としての製造はなし

―――― もともとある商品を宇宙食へ改良したんですね。

そうですね。わかめスープのわかめ以外は通常商品と変わりません。理研ビタミンの“ウリ”である「エキス成分」はそのまま、わかめを細かく切ることで変化をもたせています。宇宙食のパッケージは飲み口が細いので、それに合わせてわかめを細かくしないと詰まってしまいます。また、1年間の賞味期限をもたせて作成しています。

想像を超えるほどの厳しい検査項目があった

製造工程は厳しいチェックが入ります。商品の中身はもちろん、パッケージも含めて多くのチェック項目と製造工場への立ち入り検査があります。これはなぜかというと、1つの事例としては宇宙では機械が壊れてもすぐに修理ができないからなんですね。特に水が漏れた場合は大事になるので、シール部分や商品の物性について厳しいチェックが入ります。また、1度の受注で100袋製造するのですが、実は手作業で詰めています。

―――― 手作業だったとは知りませんでした。正直なところ、採算は合うのでしょうか?

宇宙食で採算は合わないです。ただ売上や利益を求めるだけのビジネスではなく、日本にとっても重要なミッションであるという認識でいます。

 

わかめスープのパッケージ。
商品名部分に”wakame seaweed”の表記が見える。
他にも内容量や賞味期限などが英語表記されている。

実は、私も宇宙に詳しかったわけではなく、商品開発に携わっていたから宇宙食製造プロジェクトに参加したんです。当時は工場技術グループという、いわば現場のセクションにいました。宇宙食を製造するのは初めての取り組みだったのですが、多くの細かい検査項目をクリアしなければならないという難しさは、想像を超える世界でした。JAXAの方と何度も何度もやりとりをして、細部まですり合わせてやっと完成したのが、このわかめスープです。

―――― もともとある商品を改良するだけでも大変なんですね。わかめスープを開発し、嬉しかったことはありますか?

宇宙日本食の報告会の際に、宇宙飛行士の若田さんにも「地球で食べる味と変わらない!」と、日本食を宇宙で食べられることに喜んでいただけました。海外宇宙飛行士にも大変好評だったようで、実際に宇宙にて食べてみた感想も「美味しい」と言っていただくことができ、その時は「やってきてよかった」と本当に思いました。「日本食は世界でも通用する!」と喜びを感じました。
余談ですが、宇宙では味を薄く感じるみたいです。地球では重力があるため、逆立ちしない限り頭に血がのぼることはありませんが、宇宙の無重力空間では血の巡り方が変わるのでそれに伴って味覚にも変化があるようです。

―――― 宇宙食を作ることそのものは本当に大変なことばかりだと思いますが、ミッションの前半にある「みんなで協力して」という部分についてはいかがでしたか?

自分ひとりで開発することは難しいと感じました。わかめスープそのものの製造はもちろんのこと、今までと販路が全く異なるので、品質保証の面等も関連部署と協力する必要がありました。周囲とコミュニケーションをはかって進めていくことが一番大切だと実感しましたし、今後も様々な方との協力がなければ、良い商品を作ることはできないと思います。

これからの宇宙食

―――― 今後の展望を教えてください。

そうですね。試作や他商品を見ていると、缶詰やレトルト、乾燥した食材などが向いていると思いますし、パッケージから漏れないこと、賞味期限が長いことをうまく応用して災害時の非常食としても活用できるのではないかと考えています。ただ、宇宙食にするのが難しい商品はまだまだたくさんあります。有名なところで言えば、ドレッシング系はそのままでは難しいですね。

理研ビタミンは食品を扱っている会社なので、「安心・安全・健康」を皆様にお届けできる商品作りを目指しています。今後も協力し合い、様々な良い商品を作り、ご提供できるよう努力して参ります!

身近で買える宇宙食

今回の宇宙食ブースでは、市販されている宇宙食の展示も行いました。東京では、宇宙食が一般向けにも販売されている場所があります。そのまま食べるタイプ、水やお湯で戻すタイプなど種類も豊富なので、ぜひお試しください!

▲(左上)筒状の形のパン、(中央)チョコアイス

▲(左から)ホタテ、たこやき、カレー、白飯

今後のイベント情報

今後のイベント情報は、下記サイトに最新情報を掲載致します。ぜひご覧ください。

宇宙講座、および今後のイベント開催に関するご意見・ご要望がございましたら、
下記宇宙事業プロジェクトまでご連絡ください。

space@pasona.co.jp

主催

株式会社パソナ 宇宙事業プロジェクト

2015年7月より若手社員を中心に発足。ロケット打ち上げパブリックビューイングやセミナーを開催。
宇宙ビジネスの拡大、および宇宙ビジネスに関わる人材の育成を目指したプロジェクトを推進している。