おすすめ特集・コラム健康経営優良法人のメリット・デメリットとは?認定基準をわかりやすく解説
公開日:2024.12.24 更新日:2024.12.24
- 健康経営
健康経営優良法人認定は、企業の競争力強化と持続的成長に寄与する重要な取り組みです。認定されると、企業イメージを向上して採用活動で他社と差別化できたり、国や自治体から助成金や補助金を受けられたりと、多岐にわたるメリットがあります。一方で、認定取得には一定のコストや労力が必要となります。
本記事では、健康経営優良法人の認定取得を目指す企業人事の方に、認定取得がもたらす具体的なメリットやデメリット、認定基準や申請方法などについてわかりやすく解説します。
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「パソナの健康経営」は、健康経営優良法人(ホワイト500)8年連続で認定されたノウハウを活かして、さまざまなサービスを展開しています。
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健康経営優良法人とは?
参照:経済産業省|健康・医療新産業協議会 第10回健康投資WG 事務局説明資料①(今年度の進捗と今後の方向性について)|令和5年度健康経営度調査の回答状況 内「健康経営度調査回答数、健康経営優良法人(大規模法人部門)認定状況の推移」および、健康経営優良法人2024(中小規模法人部門)の申請状況 内「健康経営優良法人(中小規模法人部門)申請・認定状況の推移」 をもとに、認定法人数のグラフを抜粋し作成
健康経営優良法人とは、経済産業省が優良な健康経営を実践している企業(法人)を認定する制度です。従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することが必要です。
大規模法人部門と中小規模法人部門の2つの部門に分けられ、とくに優れた取り組みを行っている上位500社にはそれぞれ「ホワイト500」「ブライト500」の称号が付与されます。
また、健康経営優良法人2025から「ネクストブライト1000」が新設されます。これまで中小規模法人部門は母数が大きく選出されるハードルが比較的高かったため、より多くの企業に健康経営への取り組みを促すことなどを目的として設置されました。
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健康経営優良法人の認定状況の推移を見てみると、認定数は年々増加傾向にあり、多くの企業が健康経営に取り組んでいることがわかります。
健康経営優良法人に認定されるメリット
健康経営優良法人の認定を受けることで多くのメリットが期待できます。
具体的にどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。
企業のイメージアップ・知名度の向上につながる
健康経営優良法人に認定されることで、企業は従業員の健康に配慮する姿勢を対外的にアピールできます。認定ロゴマークの使用が可能となり、企業の社会的責任への取り組みを視覚的に示すことができ、企業イメージの向上や、取引先、求職者からの評価向上が期待できます。
また、認定企業として公表されることで、知名度の向上や自社製品、サービスの選択率があがる可能性があります。
優秀な人材を確保しやすい
健康経営優良法人に認定されると、採用活動において大きなアピールポイントとなります。求人広告に認定ロゴマークを使用することで、働きやすい職場環境づくりに積極的な企業であることを求職者にアピールできます。
特に、優秀な人材は就職先の選択肢が豊富であり、福利厚生や職場環境などの条件を重視して就職先を選ぶ傾向があります。
また、昨今年代を問わずワークライフバランスを重視する傾向があり、働きやすい職場環境や健康に配慮した経営をすることで他社との差別化ができます。人手不足に課題を感じている企業が多いなか、人材を確保しやすくなることは企業にとって大きなメリットです。
従業員の健康増進により離職率が低下する
健康経営優良法人に認定を受けるためには、従業員の健康増進に配慮し、仕事に集中できる環境を整えるための取り組みが必要です。従業員が心身ともに健康でいきいきと仕事ができる環境が整えば、仕事への満足度や生産性が向上します。
また、企業が従業員の健康に配慮していることで、従業員の会社への信頼感や帰属意識が強まります。その結果、職場環境の改善やワークライフバランスの向上につながり、従業員の定着率が高まります。離職率が低下が期待でき、長期的な人材確保と育成に寄与します。
融資金利の優遇・保険料の割引を受けられる
健康経営優良法人に認定されると、国や自治体からさまざまな支援や優遇を受けられます。たとえば、金融機関からの融資を受ける際、金利引き下げの優遇や、保険会社から保険料の割引などを受けられる場合もあります。
健康経営優良法人に認定された企業で働く社員個人も優遇を受けることができ、ローンを組む際の金利を優遇してもらえる場合があります。
また、建設業においては、健康経営優良法人に認定されることで、一部の地方自治体や発注機関が実施する公共工事の入札時に加点評価を受けられる場合があります。これにより、入札案件を受注できる可能性が高まり、安定した経営の実現や売上向上につながる可能性があります。
助成金を利用できる
健康経営に取り組む企業が受けられる助成金や補助金の種類は多く、たとえば以下のようなものがあります。
● 働き方改革推進支援助成金
● 業務改善助成金
● 受動喫煙防止対策助成金
「働き方改革推進支援助成金」は、中小企業の働き方改革を推進するための国の助成金制度です。労働者に対する研修・周知・啓発を行ったり、労務管理用ソフトウェアの導入・更新などの取り組みを行った場合に利用できます。
「業務改善助成金」とは、中小企業・小規模事業者の生産性向上と賃金引上げを支援する国の助成金制度です。生産性向上のための設備投資を行い、事業所内での最低賃金を一定額以上引き上げた場合に、設備投資にかかった費用の一部を助成してくれます。
「受動喫煙防止対策助成金」とは、受動喫煙による健康被害を防止するために、一定の要件を満たした喫煙専用室を設置するための工事費用の一部を支援してもらえる助成制度のことです。
ただし、健康経営の申請年度や企業規模などによっても受けられる助成金・補助金の種類が異なる可能性があるため、厚生労働省や経済産業省のホームページをご確認ください。
健康経営優良法人は意味ない?認定されるまでのデメリット
健康経営優良法人認定は、企業に多くのメリットをもたらしますが、認定取得に向けた過程で課題に直面する企業もあります。以下に、企業が直面する可能性のある課題を挙げます。
効果を数値化するのがむずかしい
健康経営の取り組みを開始し、社員の健康状態が改善されたり、欠勤や休職が減ったりしても、それを数値化して健康経営の効果であると証明するのは非常に難しいです。健康経営の効果は短期的な評価が困難なため、長期的に成果を測定し、実際の取り組みと照らし合わせる必要があります。
まずは、健康経営優良法人の認定を受けるために必要な「従業員の健康課題の把握と必要な対策の検討」や「従業員の心と身体の健康づくりに向けた具体的対策」などを明確にし、その結果をデータで証明できるように年単位で成果を追っていきましょう。
パソナでは、健康経営支援サービスとして成果の見える化を実現する「ライフスタイル調査」を提供しています。自社で保有しきれていない指標を調査することで、健康経営で求められる指標を一括で分析することが可能です。データに基づき効果的な施策を検討し、従業員の生活習慣改善を実現できるため、健康経営度調査において加点評価につながります。
参考:ライフスタイル調査
時間と費用がかかる
健康経営優良法人の認定を受けるには、時間と費用がかかることがデメリットです。先にご紹介したように、効果を数値化するのには時間がかかるうえ、認定には申請料が必要になります。
大規模法人部門では税込88,000円、中規模法人部門では税込16,500円の申請料がかかります。大規模法人の場合、グループ会社も申請するとさらに1法人あたり税込16,500円の申請料が加算されます。
申請手続きや認定に必要な書類作成には相応の時間と労力が求められます。
しかし、これらの投資は長期的な視点で見れば、従業員の健康増進や企業価値の向上につながる可能性があります。認定取得のプロセスそのものが、組織の健康経営への理解を深め、取り組みを強化する機会となることも考えられます。
社内への浸透に時間がかかる
健康経営の認定を目指すには、社員の協力が必要です。しかし、施策によっては社員からの協力を得られない場合や、社員の意識を変えるまでに時間がかかる可能性があります。
たとえば、受動喫煙防止対策を講じたとして、はじめからノンスモーカーの社員や健康意識の高い社員からは歓迎されても、ヘビースモーカーの社員はストレスを感じてしまう可能性があります。
社員それぞれに嗜好やライフスタイルが異なるため、社員全員が改善意識を持って協力を得られるようになるまでには、時間が必要でしょう。
個々の社員のニーズに合わせた柔軟なアプローチを取ることで、より効果的で持続可能な健康経営の実現につながります。時間をかけて全社的な取り組みとして定着させることで、社員の ウェルビーイング向上という大きな成果が期待できるでしょう。
健康経営優良法人の認定基準【5つの要件】
健康経営優良法人の認定基準には、主に以下の5つの要件があります。
1. 経営理念・方針:健康経営の戦略、社内外への情報開示
2. 組織体制:健康づくり責任者が役員以上であること(特に大規模法人部門)
3. 制度・施策実行:従業員の健康課題の把握と必要な対策の検討。大規模法人部門では16項目のうち13項目、中小規模法人部門では一定数のクリアが必要
4. 評価・改善:健康経営の推進に関する効果検証
5. 法令遵守・リスクマネジメント:定期健診の実施、50人以上の事業場でのストレスチェック実施、労働関連法違反による送検がないこと等
(参考:ACTION!健康経営|健康経営優良法人2025(大規模法人部門)認定要件
ACTION!健康経営|健康経営優良法人2025(中小規模法人部門)認定要件)
認定基準は申請する年度によって多少内容が変更になる可能性があるため、「ACTION!健康経営」のホームページを確認しましょう。
申請手順と申請スケジュール
健康経営優良法人の申請から認定までの具体的な流れは、企業規模や年度によって多少異なります。詳しくは「ACTION!健康経営」のサイトをご確認ください。中小規模法人の場合は、申請申込をする前に健康宣言事業への参加が必要です。
健康経営優良法人の申請書の入手・提出手順は、以下の通りです。
1.「ACTION!健康経営」ページ(https://kenko-keiei.jp/)にアクセス
2.「新規ID発行サイト」ボタンから、法人名やメールアドレスを登録して新規IDを取得
3.登録したメールアドレスに送られてくる専用サイトのURL、ID、パスワードを確認
4.専用サイトにログインし、申請書をダウンロード
(必ず自社で登録したサイトからダウンロードしてください)
5.ダウンロードした申請書に必要事項を記入
6.申請期間(おおよそ8月中旬~10月中旬)に記入済みの申請書を専用サイトにアップロード
申請スケジュールも年度によって異なりますが、以下を参考にしてみてください。
申請期間は1年に1回しかないため、準備は計画的に進めましょう。
1.認定基準の発表:例年5月から6月頃に検討が行われます。
2.申請項目の開示:7月末頃に当年の申請項目が公開されます。
3.申請期間:8月中旬から10月中旬までが一般的な申請期間です。
4.内定:翌年2月中旬から下旬に内定連絡があります。
5.認定発表:翌年3月頃に認定結果が発表されます。
パソナでは、健康経営に関するセミナーの開催やコラムの配信などを行っており、メルマガにて定期的に情報をご案内しています。この機会に是非ご登録いただき、健康経営度調査にお役立てください。
まとめ
健康経営優良法人の認定は、従業員の健康管理を経営的な視点から戦略的に取り組んでいる企業を評価、顕彰する制度です。認定をうけるメリットには、企業イメージの向上や優秀な人材の確保、生産性の向上などがありますが、認定取得や維持にかかるコスト、時間、手間などのデメリットもあります。
認定を目指す際は、自社の課題と目標を明確にして従業員の健康損信と企業の成長を両立させる長期的な視点が重要になります。この取り組みによって、企業の持続的な発展と社会的責任が遂行できるでしょう。
パソナグループでは、2023年度の健康経営度調査において、健康経営優良法人のホワイト500を8年連続で取得しています。どのようなアプローチをおこなったか具体的事例も交えてご紹介していますので、是非参考にしてください。
8年連続 ホワイト500! 『パソナグループの健康経営 取り組み紹介』
2023年度の健康経営度調査において、健康経営優良法人のホワイト500を8年連続で取得したパソナの、健康経営の具体的な取り組みをご紹介しています。
健康経営PDCAコンサルティングサービスページ
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