おすすめ特集・コラムリファラル採用とは?メリット・デメリット、報酬が違法になるケースを解説
公開日:2024.12.25 更新日:2025.01.15
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採用手法を多様化させることは、優秀な人材とのタッチポイントを増やすという意味において非常に重要です。人材の獲得が困難になっていることから、より多くの求職者に出会える採用戦略を考えている人事担当者も多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、求人媒体では出会えない人材を獲得できる、リファラル採用について解説していきます。リファラル採用のメリット・デメリット、注意点や活性化させるためのコツについてお伝えしていきますので、ぜひ参考にしてください。
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リファラル採用とは
リファラル採用とは、従業員に自社の求める人材を知人や友人の中から紹介してもらう採用手法です。リファラルとは「推薦」や「紹介」を意味し、人口減少により求人を出しても十分な募集が集まらない昨今において、注目を浴びつつあります。
リファラル採用と縁故採用の違い
「推薦」や「紹介」と聞くと、縁故採用を思い浮かべる担当者も多いのではないでしょうか。リファラル採用と縁故採用は、採用手法としては非常に似たものですが、それぞれの本質は異なります。
縁故採用では多くの場合、自社で一定の役職者の親族からの紹介によって雇うことであり、スキルや経歴をもとに採用するものではありません。また、たとえ自社にマッチしないとしても、紹介者の顔を立てるために採用しなければならない一面もあります。
一方でリファラル採用は、紹介という面においては縁故採用と同じですが、その根底にあるのは会社の求めるスキルや経歴を持つ人材かどうかという点です。
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リファラル採用が導入されている理由
リファラル採用はもともとアメリカで広く活用されていた採用手法ですが、近年は日本企業でも導入が進んでいる注目の採用手法です。転職が当たり前となった現代においても、その母集団が少ないことから、自社のニーズにマッチした人材の獲得には課題が残ります。
新たにリファラル採用を行うことは、転職潜在層へのタッチポイントを増やす取り組みの1つといえます。これまでの採用活動と組み合わせてリファラル採用の導入を検討する企業が増えているのは、このような背景からと考えられるでしょう。
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出典:株式会社プロフェッショナルバンク|【リファラル採用に関するアンケート調査】企業の約8割がリファラル採用を実施。今後の採用を担う有効な手法として注目高まる。|<調査結果詳細> 内 「通常の採用と比べた際のリファラル採用の成功確度を教えてください」のグラフを基に作成
また、リファラル採用は成功率が高いのも注目です。リファラル採用を導入している企業193社に、「通常の採用と比べた際のリファラル採用の成功確度」について尋ねた調査では、19%が「非常に高い」、61%が「高い」と回答しました。じつに合計で80%の企業がリファラル採用の成功確率が高いと回答していることがわかります。
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リファラル採用のメリット
採用コストの高騰や採用後の定着率改善など、さまざまな人材課題に対して、リファラル採用は効果的です。ここからは、リファラル採用を導入するメリットを3つご紹介していきます。
- 採用コストを抑えられる
- 定着率が高い傾向にある
- 優秀な転職潜在層にリーチできる
採用コストを抑えられる
リファラル採用のメリット1つ目は、採用コストを抑えられることです。人材会社へ委託する場合の紹介手数料は、給与に残業代やボーナス、手当などを合計した理論年収の30%ほどであるため、年収が高くなる優秀な人材の採用となればコストが大きくかかります。
一方で、リファラル採用は従業員からの紹介であるため、人材会社への手数料は一切かかりません。さらに、採用後の早期離職や自社とのミスマッチのリスクがあることを考えると、低コストで人材を獲得できるリファラル採用はメリットが大きいといえるでしょう。
定着率が高い傾向にある
リファラル採用のメリット2つ目は、定着率が高い採用である点です。商工中金による「中小企業の人材確保に関する調査」によると、リファラル採用の定着率は35.9%であり、人材紹介の23.3%を大きく上回りました。
リファラル採用では、実際に現場で働く従業員が会社の魅力も課題も事前に伝えてくれます。従業員が実体験を混ぜながら伝えるため、入社後のイメージがしやすくミスマッチを抑制していると考えられます。
このように、リファラル採用は入社後のミスマッチを避けることができ、結果的に定着率が高くなるのがメリットです。
優秀な転職潜在層にリーチできる
リファラル採用の3つ目のメリットは、優秀な転職潜在層へのリーチができることです。転職潜在層とは「いい企業があれば、転職をしたい」と考えている一方、まだ本格的な転職活動をしていない層のことを指します。
従業員の友人や知人であれば、転職活動をする前に仕事の悩みや相談を受けているかもしれません。そのような転職潜在層へ素早いタイミングでアプローチできるのはメリットです。
また、優秀な社員からの紹介であればなおさら、同等の能力を持つ人材を期待できます。リファラル採用を導入することで、転職市場へ出る前に優秀な人材を採用することができるでしょう。
リファラル採用のデメリット
採用コストを抑えながら優秀な人材を獲得できるリファラル採用ですが、デメリットも存在します。ここからは、リファラル採用のデメリットを3つ紹介していきます。
- 内定承諾から入社までのリードタイムが長い
- 派閥の発生や人材の同質化が起こりやすい
- 制度設計のハードルが高い
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内定承諾から入社までのリードタイムが長い
リファラル採用のデメリットの1つ目は、転職潜在層へのアプローチからはじまることもあり、採用までの時間がかかる場合が多いことです。すでに転職活動をしている人材のなかには、業務の引き継ぎの準備をしていたり、会社に対して退職の意志表示をしていたりする人材もいるため、転職潜在層と比較して短い期間で採用できるケースがあります。
しかし、転職潜在層の場合は心の準備はもちろん、スムーズな退社に向けた準備に時間がかかるケースがあります。一般的に、アプローチから採用までに2ヶ月から3ヶ月ほどかかるといわれています。早くて数週間で採用ができる中途採用と比較すると、人材獲得まで長く時間がかかってしまうのはデメリットです。
派閥の発生や人材の同質化が起こりやすい
リファラル採用の2つ目のデメリットは、人材の偏りが発生しやすいことです。従業員の紹介によって友人や知人を採用するリファラル採用では、「類は友を呼ぶ」というように、似ている特性や思考を持つ人材が集まる傾向があります。
その結果、社内で派閥を醸成する可能性がある点は注意が必要です。企業の求める多様性とは裏腹に、人材が同質化しやすいのがリファラル採用のデメリットです。
制度設計のハードルが高い
3つ目に紹介するリファラル採用のデメリットは、制度設計の複雑さにあります。リファラル採用では、紹介者への報酬、採用の流れ、採用後の教育やフォロー活動などの制度設計だけでなく、社員が制度を理解したうえで採用活動を行う必要があります。
制度を新たにつくるだけでも大変ですが、つくった制度が利用されるような社内での取り組みも必須です。特に、経験やノウハウがないまま採用活動をすると、結果的にミスマッチが起こりやすくなります。
リファラル採用は制度設計から社内浸透、制度運用までを一括して行うことが必要であり、制度導入までのハードルが高いのはデメリットといえるでしょう。
リファラル採用で注意すべきポイントと対策
リファラル採用では、紹介者の報酬が違法となる場合や従業員との信頼関係が崩れてしまうこともあります。ここからは、リファラル採用の注意点をまとめていきますので、参考にしてください。
- 報酬が違法にならないように注意
- 紹介者と応募者の関係に配慮
- 採用を行う従業員への負担が増える
報酬が違法にならないように注意
リファラル採用では、紹介者である従業員に対して報酬を支払うケースがほとんどです。その際、報酬支払が違法とならないよう注意が必要です。まずは、リファラル採用を従業員の業務の一部として就業規則に明記しましょう。例えば、「社員は会社の採用方針に伴い、適切な人材を紹介し採用活動に協力する」といった文言になります。
報酬については「賃金」として位置づけ、給与明細に記載して適切に処理します。金額設定は、採用した人物の採用ポジションやスキル、経験年数に応じて決定するのが良いでしょう。就業規則には以下の3つを明記する必要があります。
- 支払う条件
- 支払う時期
- 支払う金額
紹介者と応募者の関係に配慮
リファラル採用では、紹介された候補者が不採用となった場合に備えることが大切です。リファラル採用の候補者が不採用になると、候補者と紹介した従業員との関係性が悪化してしまうおそれがあります。
また、せっかく紹介したのに不採用になるなら最初から協力しなければ良かったと感じ、会社への信頼も崩れるほか、リファラル採用に協力する社員が減少してしまいます。そのため、不採用になった場合の説明を納得できるまで十分に行うことが大切です。
リファラル採用では、不採用となるケースについて、共通認識を持っておくことが重要です。紹介された候補者に対しても、採用面接で不採用となる可能性もあることを、十分に理解してもらうようにしましょう。
採用を行う従業員への負担が増える
リファラル採用は、従業員に採用活動をしてもらうものであり、その分従業員の負担が増えます。採用活動が通常の業務を圧迫し、さらには休日にまで及ぶ危険性は否めません。また、報酬を目当てにリファラル採用を行う従業員も出てくることも考えられます。業務の手を抜いてリファラル採用をすることは、人材不足で悩む企業にとっては本末転倒です。
そのため、採用活動に使う時間や業務との調整は、可能な限りガイドラインに落とし込みましょう。また、優秀な人材を獲得でき、定着率も高いリファラル採用に頼り切ることは避け、ほかの採用手法と合わせて活用することが重要です。
リファラル採用を導入するまでのステップ
ここからは、リファラル採用の導入手順を解説していきます。それぞれのステップを理解することで、リファラル採用の制度導入をスムーズに進めることができるでしょう。
- リファラル採用の制度設計
- スモールスタートから全社へ導入する
- 専用ツールの導入も検討する
リファラル採用の制度設計
リファラル採用の制度設計では、以下のポイントについて考える必要があります。
- 採用活動も業務であること
- 報酬は給与として支払うこと
- 報酬が支払われる条件や金額について
- 採用候補者の個人情報の扱いや守秘義務について
- 採用候補者への労働条件の明示
- 会社の情報開示の範囲
採用活動も業務であるということは、つまり残業代や採用のための会食などの費用は会社が負担するものと考えられます。また、採用で入手した個人情報の取り扱いには注意が必要です。また、会社側の情報をどこまで開示するかについても、あらかじめ決めておく必要があります。
スモールスタートから全社へ導入する
リファラル採用の制度が整ったら、まずはスモールスタートで始めましょう。実際に企業が求める人材像に基づき、適切な従業員を選出し、少数のグループを対象に試験的にリファラル採用を行います。
この段階で得られたフィードバックをもとに、採用までの課題や障壁がどこにあるかなどを検証し、制度を見直します。例えば、採用に必要な書類が煩雑で、通常の業務にくわえて行うことが負担という声があれば、必要書類のフォーマットを作成したり、作成自体は人事が行うことを検討しましょう。
制度の見直しが終わったら、はじめて全社に向けて説明会を実施し、本格始動をするのがいいでしょう。
専用ツールの導入も検討する
リファラル採用を成功させるためには、専用ツールの導入を検討することも大切です。人材会社を介さずに、従業員を採用担当者として活用する分、従業員の負担が増える悩みを専用ツールを導入することで軽減できます。
リファラル採用のツールは、仕事の紹介から応募、選考、採用の一連の流れを管理することが可能です。人事は専用ツールをとおして、求めるポジションの求人票を従業員へ共有し、従業員はその求人票をLINEやFacebookなどのSNSで紹介することができるほか、従業員の活動実績の可視化や応募者の管理などもスマホ一台で完結させ、効率的に採用活動を行うことができます。
リファラル採用をさらに推進するためのコツ
リファラル採用は、制度設計をして終わりではありません。その制度を活用するのは従業員であり、従業員自身が正しく活用する必要があります。ここからは、リファラル採用をさらに促進するためのコツを紹介します。
- 採用後の効果について宣伝する
- 紹介しやすい環境づくりを行う
採用後の効果について宣伝する
リファラル採用を推進するためには、採用後の効果を宣伝することが有効です。例えば、採用に携わった従業員に対して実際にリファラル採用をしてみてどうだったかなどのインタビューを行い、良かった点や悪かった点を紹介するといいでしょう。
リファラル採用が気になっている従業員に対して、活動を促す効果が期待できます。また、リファラル採用をした従業員に対して意見を求めるほかの従業員が現れたり、社内のコミュニケーションも活性化されるでしょう。
紹介しやすい環境づくりを行う
紹介しやすい環境づくりは、リファラル採用を促進するためにも重要です。自社の魅力を正確に伝えるためには、人事制度やキャリア設計、同僚の入社理由や働きがいを知っておくといいでしょう。
また、リファラル採用では採用後のフォローの手間や不採用になったときに気まずいという声も多くあります。リファラル採用を促進するためには、リファラル採用の流れ全体を効率化し、採用に関する不安を取り除くことが重要といえるでしょう。
リファラル採用は他の採用方法と併せて活用するのがおすすめ
リファラル採用は、自社にマッチする即戦力を低いコストで確保できることから、注目を集めている採用手法です。転職潜在層へのアプローチが可能で、成功率も高いのが魅力ですが、一方で採用活動には従業員の負担がかかるほか、不採用後のフォロー活動など、手間がかかるのはデメリットです。
リファラル採用に頼りすぎることで、従業員が疲弊し、通常の業務が疎かになる懸念もあります。また、人材の偏りも企業としては注意したいポイントです。企業はリファラル採用だけでなく、中途採用やアルムナイ採用など他の採用手法と組み合わせることで、リファラル採用のデメリットをカバーした採用戦略を築くことができます。
複数の採用手法を確立しておくことで、より多くの人材とのタッチポイントを持つことができ、人材不足の解決と同時に優秀な人材を確保することができるでしょう。
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