おすすめ特集・コラムアルムナイ採用を成功させるには?メリットや注意点を解説
公開日:2024.12.25 更新日:2024.12.25
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人材獲得競争が激化する昨今、企業の人事戦略の重要性は年々増しています。また、転職が一般化しつつあり、人材の流動性が高まるなか、自社の従業員の退職増加や採用難に直面し、人材確保に課題を感じる人事担当者も多いのではないでしょうか?
採用手法は近年、従来の新卒採用や中途採用だけではなく、多様化と進化を遂げています。今回は、新しい採用手法のなかでも、即戦力の確保に特に効果が期待できるアルムナイ採用について解説していきます。
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アルムナイ採用とは
そもそもアルムナイとは、英語で卒業生や同窓生を意味する言葉です。アルムナイ採用とは、中途採用の手法の一つですが、そのなかでも退職した社員を再度雇用することを指します。すでに自社で働いていた経験を持っており、会社への理解度が高く、入社後のギャップが生じにくいのが魅力です。その採用は在籍中の社員からの推薦や退職者本人からの応募などがあります。同じ中途採用でも、リファラル採用やカムバック採用、また再雇用とは少し異なる採用手法として注目を集めています。
リファラル採用やカムバック採用、再雇用との違い
アルムナイ採用とは別の即戦力の採用手法を3つ紹介します。1つ目のリファラル採用は、自社従業員の友人や知人を紹介してもらう採用方法です。2つ目のカムバック採用は、結婚や育児、親の介護などでやむを得ず退職した社員を再度雇用する手法のことをいいます。アルムナイ採用との違いは、退職後に他社で就業しているかどうかという点です。また、3つ目の再雇用は、定年を迎えた社員をそのまま継続して雇うことを指します。
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いまアルムナイ採用が注目されている理由
アルムナイ採用が注目される背景には、転職市場の変化や人的資本経営の浸透、そして人材獲得競争の激化が挙げられます。ここからは、転職した社員を再度迎え入れるアルムナイ採用が注目されている背景について解説していきます。
採用市場のトレンドの変化
採用市場は、ここ数年で徐々に変化しています。新卒一括採用は現在も主流ですが、その一方で中途採用の重要性も増しています。多くの企業が新卒採用と並行して、即戦力となる中途人材の確保にも注力するようになってきました。
採用手法にも変化が見られ、求人媒体を利用した一括募集から、SNSや社員のネットワークを駆使した採用手法が取り入れられつつあります。つまり、不特定多数の母集団形成をおこない、そこからふるいにかけるのではなく、はじめから特定のスキルを持つ個人をターゲットとした手法へと変わってきているということです。
厚生労働省による、「令和2年転職者実態調査の概況」では、転職者を採用する際の課題として、67.2%の企業が「必要な職種に応募して来る人が少ないこと」を挙げました。自社のニーズに合う人材を獲得するためには、アルムナイ採用による個人をターゲットとした採用手法は効果的といえるでしょう。
出典:厚生労働省|令和2年転職者実態調査の概況|2 転職者の採用状況|(5)転職者を採用する際の問題 内 「表7 産業・事業所規模、転職者を採用する際の問題の有無、問題別事業所割合」を基に作成
人的資本経営の浸透
企業がアルムナイ採用を導入する理由として、経営手法の見直しが挙げられます。人材不足を背景に、人材を企業の資本として捉える人的資本経営に注目が集まっています。これまでより一層個人の能力を重視するようになり、優秀な人材の獲得に注力しています。
同時に、世界的にSDGsへの取り組みやESG投資への関心が高まっており、ステークホルダーからは利益だけでなく、多様性や環境配慮を求める声も増えています。人的資本経営は多様性を推進する社会的意義が高く、中長期的な企業価値向上に寄与するため、優秀で多様な人材を獲得・育成するうえで重要な経営手法といえます。
転職の増加と人材獲得競争の激化
いまや、転職は後ろ向きではなく、新たなチャレンジやキャリアアップのための前向きな選択へと変わっています。この変化に伴い、人材の流動性が高まり、優秀な人材の確保と定着が企業にとって重要な課題となっています。したがって、アルムナイ採用は単なる人材確保の手段だけでなく、長期的な人材戦略の一環として注目を集めているのです。
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優秀な元従業員の再雇用ができる!アルムナイ採用の可能性
アルムナイ採用は、企業のみならず、地方自治体でも導入が進んでいます。また、厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」によると、転職後に「満足」と感じているのは53.4%にとどまっています。転職者が「どちらでもない」と「不満足」で半数近いことから、アルムナイ採用の可能性はますます注目されるでしょう。ここからは、より具体的にアルムナイ採用の可能性について解説していきます。
自治体も注目するアルムナイ採用の実力
アルムナイ採用を導入するのは企業だけではありません。アルムナイ採用を導入する流れは、トヨタや味の素、JR東日本などの大企業をはじめ、東京都や千葉県などの自治体にまで広がっています。
経済産業省が令和4年に発表した「人材版伊藤レポート2.0」では、「自社を退職した人材(アルムナイ)のなかでも、再び自社に貢献したいという目的意識が明確な人材は、経営人材としても期待される。」と非常に高い期待が寄せられています。
人員不足に対する人材の獲得手段として考えられがちですが、アルムナイ採用はそれ以上に、優秀な人材を獲得できる可能性を秘めた採用手法といえるでしょう。
転職後に話と違うと感じる方が多い
過去3年以内に転職した経験がある会社員に対する識学の2022年の調査「転職後の幸福度調査」では、「うたい文句と実態が違った」こととして、5人に1人が「やりがいのある仕事」「成長できる環境が整っている」と回答しました。つまり、やりがいや成長を求めて転職をする一方で、実際に働いてみると期待と異なり、ギャップを感じる転職者が多いということです。また、転職をする社員がスキルアップや仕事のやりがいを求めていることもわかります。
アルムナイ採用を導入し、自社に再度貢献したいと考えている社員が活躍できる環境が整っていることを示せば、将来的に自社で再度活躍してくれる可能性があります。
転職先に馴染めない
転職者にとって、新しい職場環境への適応は、期待と同時に大きなストレス要因となり得ます。とくに、人間関係の構築や職場文化の理解には時間を要することがあります。
例えば、企業固有の意思疎通方法によるコミュニケーション手段の違い、新しい上司との関係構築がうまくいかずにストレスを抱える場合があります。これらの要因により、前職の魅力を再認識することも珍しくありません。
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アルムナイ採用のメリット
アルムナイ採用は企業の人材獲得のみならず、求職者にとっても救いの手となることがわかりました。ここからは、アルムナイ採用のメリットについてご紹介していきます。
自社にマッチした即戦力人材の獲得が可能
アルムナイ採用のメリットの1つ目は、自社の文化にマッチした即戦力の採用ができることです。自社で働いた経験を持っており、企業風土に対する理解度が高く、ミスマッチが起こりにくいのがポイントです。また、対象者のスキルや強みが理解できており、企業側としても安心して採用することができます。多くの企業が優秀な人材を求めることに苦戦しているなか、アルムナイ採用によって期待以上の成果を出すことができるでしょう。
人材採用・教育コストの低減
アルムナイ採用は、人材会社を経由する中途採用と比較して採用コストが抑えられることもメリットです。中途採用には、理論年収の30%〜40%の仲介手数料がかかります。理論年収とは、月給や残業代、賞与、手当などから計算される年収の概算値のことで、年収600万円なら、180万円〜240万円の手数料が発生することとなります。一方で、アルムナイ採用の場合は直接声をかけるため、仲介料がかからないのは魅力といえます。
関連記事:人材紹介サービスの紹介手数料の相場は?算出方法や人材紹介会社/エージェントの活用ポイントを紹介
他社で培ったスキル・ノウハウの吸収
自社の価値観を深く理解している人材を採用できるのが魅力のひとつであるアルムナイ採用。さらに、自社ではできない経験を他社で経験することで、退職時よりもスキルアップしていることが期待できます。
自社の文化や業務プロセスを理解しつつ、外部での経験を通じて獲得した新たな視点や専門知識を持ち合わせているのは人材として強みです。企業は、組織の硬直化したマインドセットを打破し、組織のイノベーションの促進や業務プロセスの改善、競争力強化が期待できるでしょう。
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アルムナイ採用を導入する注意点
優秀かつミスマッチが起こりにくい人材獲得が可能なアルムナイ採用には、注意点もあります。アルムナイ採用は、現在働いている従業員の士気を下げてしまったり、「退職しても戻れる」という誤った認識による安易な退職を促進してしまうリスクがあります。アルムナイ採用の注意点を理解しておくことで、これらのリスクを抑えることができます。
アルムナイ採用の待遇の決め方
アルムナイ採用で注意したいのが、再雇用時の待遇です。退職時よりもスキルを身につけたり、経験を積んでいることを考慮すると、年収が上がる可能性があります。しかし、条件によっては入社を辞退されてしまったり、逆にほかの社員との年収の差が大きくなれば従業員の士気を下げる可能性があります。
アルムナイ採用をした従業員の満足度は転職したときよりも全体的に高い傾向にありますが、年収だけを見ると不満を感じる方が多いです。アルムナイ採用をうまく進めるには、仕事内容や期待値を明確にした報酬の設定と、社内への理解が求められます。また、アルムナイ採用のメリットとして、即戦力としての活躍が期待されているとおり、適切な待遇設定がこうした成果につながると考えられます。
連絡する際には個人情報に注意
アルムナイ採用で注意したいのが、個人情報の適切な管理と利用です。退職した元従業員へのアプローチは、必然的に個人情報の取り扱いが伴います。以前の雇用関係があったという理由で安易に個人情報を利用することは、法的リスクを伴う可能性があります。
例えば、円満退社した従業員に対して連絡を取る場合でも、個人情報保護法を遵守し、適切な手続きを踏む必要があります。退職時に問題があった元従業員への接触は、法的リスクや企業イメージへの悪影響を招く可能性があるため、慎重に検討すべきです。連絡を取る際は、退職理由を把握しておくことや、当時の同僚や上司への丁寧なヒアリングが必須となります。
制度導入のハードルが高い
アルムナイ採用の導入には、採用ルールの設定や従来の人事制度の見直し、応募資格や選考方法、採用後の評価基準を定めるなど、制度導入の準備だけでもかなりの負担がかかります。
また、アルムナイ採用専用のサイトや交流イベントの開催などは効果的ですが、継続的なリソースの投入が必要となります。そのため、即時全面導入が難しい場合は、段階的なアプローチを検討するといいでしょう。
関連記事:採用ブランディングとは?会社側のメリットや具体的な進め方を解説
アルムナイ採用を成功させるポイント
アルムナイ採用を成功させるには、制度設計のみならず、退職時の取り組みや継続したコミュニケーションが大切です。ここからは、アルムナイ採用を成功させるポイントについて詳しく解説していきます。
イグジットマネジメントを理解する
アルムナイ採用を成功させるためには、イグジットマネジメントへの理解が効果的です。イグジットマネジメントは、人材マネジメントにおける出口戦略であり、企業の新陳代謝を促進する働きがあります。また、企業と従業員がお互いに納得して退職を迎えられるようにする取り組みでもあります。
自社に対して不満を抱えたまま退社する従業員が多い場合、その分アルムナイ採用の機会は減ってしまいますので、イグジットマネジメントはアルムナイ採用を成功させるために欠かせない戦略であるといえます。
アルムナイ採用の制度化と退職者受け入れの社内浸透
制度設計だけでなく、従業員からの理解を得ることで、アルムナイ採用の成功確率を上げることができます。転職した社員への印象が悪い場合、再入社する社員に対する批判は避けられません。「また辞めるのではないか」「退職しなければよかったのでは」という否定的な反応を受ける可能性があります。
転職経験者や、採用市場の最新トレンドに日々触れている人事担当者は転職に対して前向きな考え方を持っていても、従業員はそうでないケースもあるでしょう。アルムナイ採用を成功させるためには、制度の目的や重要性の啓蒙活動による理解を得ることが必要です。
退職者との定期的なコミュニケーションを意識する
アルムナイ採用の対象者は、制度設計以前に退職した従業員も含みます。そのため、制度を作るだけではなく、退職した従業員に戻ることができると周知する必要があります。
方法としては、SNSの活用や会社ホームページへの掲載などがコミュニケーション手段として有効です。また、既存社員のネットワークも活用すれば、より確実に対象者へアプローチすることができるでしょう。また、アルムナイ採用の制度設計後に退職する従業員がいる場合には、アルムナイ制度があることを改めて伝えるといいでしょう。
関連記事:採用支援とは?具体的な支援内容と利用時に注意すべきポイントを紹介
まとめ:アルムナイ採用は他の採用方法と使い分けるのがポイント
人材の流動性が高まり、転職が当たり前の時代になっても、転職を後悔する従業員は一定数います。アルムナイ採用の導入によって、自社を退職した優秀な人材を再度雇用することができるのは魅力的な一方、社内の従業員の理解も必要となり、制度導入までのハードルが高く、担当者の負担が増えることもあります。
採用活動の成功率を上げるためには、アルムナイ採用のほか、複数の採用手法と組み合わせることも大切です。しかし、人材不足を理由に、新たな採用手法への取り組みを諦めている企業もあるのではないでしょうか?また、ノウハウがなく不安を感じている企業もあるでしょう。
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